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April 04, 2008

平和堂、2008年2月期、決算を公表、増収増益、堅実な決算!

   いよいよ、2008年2月期の決算の公表がはじまった。来週、再来週がピークとなると思うが、本ブログではできるだけ、早く、今期の決算内容を分析し、取り上げてゆきたい。今回は4/2に公表された平和堂の決算を取り上げてみたい。まず、営業収益であるが、4,209.97億円(102.0%)となり、増収となった。平和堂は今期、創業50周年の節目となる年を迎えての決算であったが、昨年、4,000億円を超え、今期はさらにそれを上回る営業収益となった。食品スーパーマーケット業界でも年商4,000億円を超える企業は数社であり、今後、日本の食品スーパーマーケット業界としては、平和堂を含め未知の売上規模への挑戦となる。営業収益についで、営業利益は136.40億円(101.1%、営業収益比3.2%)、経常利益139.51億円(103.5%、営業収益比3.3%)、当期純利益62.98億円(106.6%、営業収益比1.55%)と、増益となり、堅実な増収増益の好決算であった。

   平和堂は本体以外の主な営業収益として、東海地区の平和堂東海、中国湖南省の湖南平和堂実業有限公司、CD・DVDのダイレクトショップ、外食等があるが、今期は特に中国事業が好調に推移したという。昨年9月に2号店を出店したが、初年度から黒字となる好決算となり、中国事業は増収増益となったという。ただ、東海地区は苦戦しているようで、昨年11月にアルプラザ小牧店を新規出店し、増収とはなったが、まだ事業としては黒字に至っていないという。また、本体については、昨年11月に滋賀県守山市にフレンドマート守山水保店、7月に京都府京都市にフレンドマート梅津店、滋賀県草津市にフレンドマート守山水保店、6月に滋賀県近江八幡市にフレンドマート彩都店、3月に大阪府茨木市にフレンドマート彩都店と5店舗を新規出店している。

   ただ、売上高、すなわち、不動産収入等を引いた店舗売上の状況を見ると、売上高は全体で100.6%、既存店は97.6%という、やや厳しい状況であり、特に既存店の客数が98.4%という状況である。平和堂はSC、GMS等の売上構成比が大きく、SCタイプのアルプラザが35店舗、67.6%、GMSが25店舗、16.5%と合計総売上の84.1%を占め、純粋なSMフレンドマートは全102店舗の内42店舗と最も多いが、売上構成比は15.9%である。今期は特にその売上構成比の高いアルプラザ、GMSがいずれも99.1%、96.4%と厳しい状況となり、フレンドーマートは107.1%と好調であったが、カバーしきれず、売上が厳しい状況となったといえる。ちなみに、平和堂の不動産収入等の営業収益に占める割合は6.7%(昨年6.8%)と極めて大きな数字であり、この6.7%が経費比率32.5%(昨年32.6%)と売上総利益の29.3%(昨年29.3%)のマイナスをカバーし、売上高に対する営業利益率を3.5%に押し上げている構造である。

   また、平和堂の商品別構成比を見ると、純粋な食品スーパーマーケットのフレンドマートの売上構成比は15.9%と少ないが、食品は55.3%と中核部門であり、アルプラザ、GMSの中でも食品は極めて重要な部門となっている。衣料品が18.1%、住居関連品が14.9%、その他11.7%であり、食品が経営の根幹といえ、その意味で、食品スーパーマーケットを主体とした企業ともいえよう。今期の数字を見ると、食品は100.6%と堅調な数字であったが、衣料品96.5%、住居関連品98.3%と、この両部門の数字が昨対を割っており、既存店が97.6%となった。

   したがって、今期は不動産収入等の貢献が大きかったといえ、今後、好調な食品を軸に既存店をいかに活性化してゆくか、衣料品、住居関連の底上げをどう図ってゆくかが当面の経営課題といえよう。食品に関しては、ここ最近、作業改善の水平展開を推進するとともに、棚割商品に対しての自動補充システムの導入を図っているという。そして、今期に関しては作業改善の全店展開、定着を推進するための店舗組織改革を実施するとのことである。現在、食品が全社を引っ張り、全体の売上の55.3%を担う中核部門であるだけに、この業務改革が急がれるところであろう。

   さて、財務の方であるが、今期の自己資本比率は35.2%(昨年35.5%)と依然として、食品スーパーマーケット業界の中では低い数字であるが、SCのアルプラザ、GMSの売上構成比が84.1%という状況であり、大きな資産を前提とした業態構造となっているため自己資本比率が低くならざるをえない状況といえよう。特に出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金及び保証金の合計は1,969.14億円(昨年1,960.19億円)と総資産の何と71.35%を占めており、これを全102店舗で割ると19.30億円となり、これは、通常の食品スーパーマーケットの約5倍といえ、経営に重くのしかかっている構造である。自己資本比率35.2%のちょうど倍であり、これを補うのが、負債面の社債を含む長短借入金の合計870.01億円(昨年877.24億円)であり、総資産の31.52%となる。自己資本比率にこれを足すとほぼ出店にかかわる資産となり、現状の出店構造は、自己資本半分、借入半分という状況であり、新規出店を積極的に実施してゆくには少し重い構造といえ、今後の安定的な成長戦略を構築するには財務面の改善も課題といえよう。

   このように、平和堂の2008年2月期の決算が公表されたが、増収増益にはなったもの、不動産等の営業収入を抜いた売上高は100.6%、既存店は97.6%と伸び悩んでいる状況である。特に、食品は好調であるが、衣料、住居関連が厳しい状況であり、今後、主力業態であるアルプラザ、GMSの活性化が急務であるといえよう。また、財務的にも自己資本比率が低く、借入れに依存する出店構造となっており、今後の安定的な成長を目指す上においても財務の改善が急務といえよう。今期、平和堂が既存店の活性化と財務改善にどのように取り組むのかに注目したい。

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