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April 09, 2008

客数PI値はおもしろい!

    客数PI値は実におもしろい指標である。おもしろい指標なのだが、実物を見る機会は意外に少ない。なぜならば、客数PI値はレシート分析が基本になるからである。客数PI値とは客数を客数で割って算出するため、全体の客数、大分類の客数、カテゴリーの客数、単品の客数、さらには、様々な商品グループの客数や購買行動による客数など、多種多様であり、それこそ無限に存在する。原則、何らかの客数がとれれば、客数PI値は算出することができる。また、さらに、おもしろいことに、客数PI値は点数、金額が存在しない場合でも存在しうる、独特な指標でもある。ある商品を購入しない顧客がいた場合、当然、その商品の点数、金額は存在しないので、PI値、金額PI値は存在しないが、客数PI値は存在する。その商品を購入しない顧客の客数÷全体客数であり、これはその商品を購入しない顧客の客数PI値である。当然、その商品を購入した顧客の客数PI値もあり、その商品を購入した顧客÷全体客数となる。

    客数PI値はこのように独特な指標であり、これを使うことにより、これまで見えなかった世界が見え始め、使いこなしてゆくと意外におもしろい指標であることがわかる。客数PI値はレシート分析が基本になるといったが、レシート分析なしで、活用できる事例が現実には存在する。チェーンストアにおけるPI値の算出の場合である。あるいは、ほぼ同じイメージだが、本ブログでもよく取り上げている日経MJ、新製品週間ランキングのように、複数の店舗のPI値を算出する場合などである。どちらも、レシート分析はおこなわないが、客数PI値を算出し、実践的に活用することが可能である。そこで、ここでは、チェーンストアにおけるレシート分析を使わずに、客数PI値を活用して、実践的にPOSデータを活用するケースを考えてみたい。

   よくあるケースであるが、チェーンストア全体、すなわち、全店のPI値を算出する場合、通常、ある商品のある店舗のPI値はその店舗の客数で割って算出する。ところが、そのチェーンストアの別の店舗にその商品が導入されていなかった場合は、当然、その店舗のその商品のPI値は存在しない。この場合、このチェーン全体のPI値はどう計算するかであるが、通常、PI値はその商品があろうが、なかろうが、全店の客数で割ってPI値を算出する。すなわち、その商品の売上が上がった店舗の合計点数を全チェーンの合計客数で割ったPI値となる。ところが、ここで問題が発生する。では、その商品の売上だけが上がった店舗のみの客数で割ったら、これはPI値でないのか、そうでないかである。結論からいえば、これもPI値である。ただし、客数が違うPI値であり、全店の客数を使った場合のPI値と売上が上がった店舗のみの客数を使ったPI値となり、分母が違うPI値となる。そして、この時、双方のPI値の関係はどうなるかである。

   よくあるケースが、どちらかに一本化しようという場合である。これは喧々諤々の議論となり、中々、結論が出ない場合が多い。その結果、通常は全体の客数で割ったPI値を採用することが多い。なぜなら、PI値はある意味構成比と同じであり、分母が同じであれば、それぞれのPI値を足せば合計が簡単に算出でき、すべての商品のPI値を足せば、チェーン全体のPI値となるからである。逆に、売上が上がった店舗のみの客数で割ったPI値の場合、分母がばらばらとなり、それらを足しても、全体のPI値を算出することはできず、チェーン全体のPI値と全体のPI値は整合性が取れなくなってしまう。このようなことを考えると、整合性が取りやすい、全チェーンの客数で割ったPI値を採用したくなるのは当然といえば当然である。

   そこで、客数PI値の登場である。この2つのPI値は実は密接な関係があり、客数PI値で結ばれている。ここでいう客数PI値とは分母はチェーン全体の客数であり、分子が売上が上がった店舗のみの客数である。数式にすれば、売上が上がった店舗の客数÷チェーン全体の客数である。これが客数PI値であるが、この客数PI値を算出することにより、一見結び付きそうにない2つのPI値が、チェーン全体のPI値=客数PI値×売上が上がった店舗のみのPI値、となり客数PI値を媒介にして関係づけられることになる。

   ここがポイントであり、客数PI値とは分母の違う様々なPI値を結びつけてしまう役割を果たす指標であることがわかる。この客数PI値の出現により、チェーンストア全体のPI値は理想的には2つ必要であり、双方のPI値を示した上で、その関係を客数PI値で結びつければ良いことがわかる。これにより、売上が上がった店舗のPI値が客数PI値を見た場合、小さけれ、店舗数が少ないことがわかり、逆に多ければ、店舗数が多く、全店で売上が上がれば、客数PI値は1となり、全チェーンの客数を使ったPI値も、売上が上がった店舗だけのPI値も同じ数字になる。すなわち、客数PI値は0から1までの数字となり、その度合いを見ることによって、双方のPI値の関係をつかむことができ、より、チェーンストアの商品展開の実態を理解することが可能となる。

   客数PI値については、さらに、理論的な展開、実践的な使い方がたくさんあるがそれについては、また、稿を改めて取り上げてみたい。

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