イオン、光洋を軸に関西を再編!
4/4、イオンが、岡田元也代表執行役社長の決定により、イオン直営の近畿圏の京阪神地区の食品スーパーマーケット15店舗を光洋に承継させる吸収分割契約を2008年6月21日に実施するとことを公表した。通常であれば、光洋がイオンに吸収合併されるところであろうが、光洋にイオンの食品スーパーマーケットを合体せ、近畿圏の中核食品スーパーマーケットとして再スタートを切るということであり、事実上のマックスバリュ関西の立ち上げということになる。ただ、イオンは現在、光洋の株式を89.93%を持っているので、子会社であり、光洋というブランドを残した形でのイオンの事業といえる。これで、イオンはマックスバリュ北海道、東北、東海、中部、西日本、九州に加え、関西が新たに再編されたことにより、日本ではじめての全国的な食品スーパーマーケットチェーンを構築したことになる。
イオンは今回の食品スーパーマーケット事業の統合の意義を次のように解説している。「生鮮やデリカ部門の強みを有する光洋と、商品の品揃えや価格、金融サービスなどに競争力を持つ近畿地区のマックスバリュ事業を一体化させ、近畿地区でのSM事業を担う中核会社を創出する」という。また、これにより、「新たに誕生する光洋は、双方の経営資源を活用することにより、立地に応じた多様な店舗展開や、IT・物流等のインフラを最大限に活用し、これまで以上に充実した商品やサービスの提供を行う」とのことである。そして、その結果、「今まで以上にお客さま満足を追及する事が可能となり、光洋の成長と発展をより確実なものとする」という。
イオンはCFSでドラクストア業界へのゆるやかな連帯を強固な連帯に再構築し、今回は、食品スーパーマーケット業界でさらに強固な連帯、実質子会社化をはかるというこれまでの経営哲学を大きく変更し、強力なイオングループ構築へ向けて本格的に動き始めたといえよう。今週には、新たな経営計画が公表される予定であり、ここではこれらの一連の動きを中長期的に方針づける内容となるものと思うが、イオンのこれまでの経営哲学の変革をうたうものになろう。
ちなみに、イオンが光洋に分割する食品スーパーマーケットは以下の15店舗となる。難波湊町店、平野駅前店、淀川三国店、瓢箪山店、小阪店、吹田千里丘店、江坂店、高槻南店、豊中緑丘店、箕面外院店、羽倉崎店、東鴻池店(本年4月下旬開店予定)、生駒南店、膳所店、武庫元町店であり、すべてマックスバリュである。
また、今後、事業主体となる光洋の現状であるが、これにともない、光洋は決算期を8月から1月に変更しているので、昨年8月度の決算数字と、この1月度の5ケ月間の変則決算の数字を見てみると、売上高422.95億円(178.07億円)、営業利益11.31億円(4.72億円)、経常利益13.43億円(6.19億円)、当期純利益6.06億円(-4.35億円)とこの1月期は当期純利益が赤字に転落しており、厳しい決算であったことがわかる。
さらに、財務面を見ると、自己資本比率は9.91%であり、特に、流動負債と固定負債の合計が総資産の56.54%、出店にかかわる資産の固定資産の総資産に占める割合が72.1%という状況であり、出店構造が自己資本ではまわらず、大半を負債に負っていた構造であり、今後の成長をはかるにはかなり厳しい財務状況であったことがわかる。今回、光洋は新たに普通株式を普通株式347,760株イオンに対し発行するというので、これにより、自己資本の増強が図れると同時に、新たにイオンから光洋に分割されるマックスバリュ15店舗の利益が増加するので、利益構造、資本構造が改善され、現状の厳しい財務状況が大きく改善されるものとなろう。
そして、経営体制については、光洋の株主総会が本年4 月14 日に開催される予定であるが、そこでイオン従業員の取締役3 名(内常勤2 名)、監査役1 名の就任・派遣を予定しているといい、経営権をイオンが握り、その後、イオン従業員の出向が行われる予定であるという。
ただ、今回の新生光洋の売上は合計で約1,000億円であり、関西圏で食品スーパーマーケット業態がシェアをとるには、すでに2,000億円クラスの食品スーパーマーケットが数社展開しており、今後、少なくとも2,000億円以上の売上規模が必要といえよう。そのためには、自社の新店のみで、2,000億円以上を目指すには、現状の約2倍の30店舗の新規出店が必要といえ、新規出店のみでは数年以内に2,000億円の規模は難しいといえ、今後、次のM&Aも視野に入っているものといえよう。この8月には持株会社となることでもあり、より、M&Aはしやすい経営環境になるといえよう。
このように、4/4、イオンが光洋に関西圏で展開している食品スーパーマーケット業態、マックスバリュを15店舗割譲し、これまで空白といわれた関西圏に本格的な食品スーパーマーケット事業を立ち上げた。ただ、これは、まだ、スタートといえ、次のイオンの展開がどのような手を打ってくるかに注目といえよう。当面、今週には公開される予定のイオンの中期経営計画に注目したい。
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