イオングループの食品スーパーマーケットを見る!
イオンが4/7、2008年2月期の決算を公表した。4/8の新聞にはこの決算の状況が詳しく報じられるかと思うので、ここでは、今回の決算の中で、特に食品スーパーマーケットにかかわる部分を中心に今回の決算の状況を見てみたい。まず、イオンの全体の連結決算の状況であるが、営業収益5兆1,673.66億円(107.1%)、営業利益1,560.40億円(82.2%:営業収益比3.01%)、経常利益1,663.26億円(88.3%:営業収益比3.21%)、当期純利益439.32億円(76.2%:営業収益比0.85%)となり、増収減益の厳しい決算となった。
イオンは事業区分を大きく4つに分けており、それぞれの営業収益と営業利益を公表しているが、それによれば、総合小売事業(GMS、食品スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど)は107.7%、92.2%、専門店が105.0%、赤字、デベロッパ-事業が111.8%、93.0%、サービス等事業111.0%、84.0%と営業収益はすべての事業区分で増収となったが、営業利益が逆にすべての事業区分で減益となり、特に、専門店が赤字になったことが大きかったといえよう。
この状況について、イオンは決算コメントの中で、「米国タルボット(The Talbots, Inc.)が米国での消費低迷の影響を受け大幅な減益となったこと、改正貸金業法施行の影響によりイオンクレジットサービス株式会社の国内業績が低迷したこと、当社業績が天候不順の影響を受け想定水準に至らなかったことなどにより、10 期ぶりに連結営業利益は減益となりました。また、株式会社ダイエーの“のれん相当額”について損失処理を行なったこともあり、・・」と解説しており、全体的として厳しい決算となったという。
さて、このような中で、イオンの食品スーパーマーケット事業はどのような状況であったかを見てみたい。イオンの食品スーパーマーケット事業は全体の営業収益の中で16.1%の構成比である。GMSが最も多く50.7%であり、ついで、コンビニエンスが2.1%、その他4.3%であり、合計、総合小売業で73.2%となる。これに専門店11.3%、デベロッパー2.5%、金融等サービスが13.0%加わり、5兆1,673.66億円を構成している。したがって、まだまだ、食品スーパーマーケットの構成比はイオンの中では小さいといえ、依然として、売上の中核部門は50%を超えるGMSである。
その食品スーパーマーケットの状況を見てみると、大きく6つに分かれており、マックスバリュ東北、東海、西日本、中部、北海道、その他である。この内、営業収益で昨対をクリアーしたのはマックバリュ東海110.1%、マックバリュに西日本106.8%であるが、マックスバリュ中部97.7%、マックスバリュ北海道84.8%は、今期は3月から1月に決算変更をしての変則決算であるので、実質、昨対は超えているといえよう。したがって、営業収益ではマックスバリュ東北のみ、96.9%と昨対を割ったが、それ以外は好調であり、SMグループ全体としては106.6%となった。
これに対し、営業利益については、赤字はなかったが、増益となったのはマックスバリュ東海とマックスバリュ西日本のみであり、それ以外のマックスバリュはすべて減益となった。また、最終利益の当期純利益については、マックスバリュ西日本のみ増益であり、残りのマックスバリュは東海も含め、すべて減益となり、特に、マックスバリュ東北は赤字決算となった。これについても、マックスバリュ中部、マックスバリュ北海道が変則決算であったので、実質の数字は判断が難しいものがあるが、利益に関しては厳しかったといえよう。結果、すべてプラスとなったのはマックスバリュ西日本のみであり、食品スーパーマーケットのマックスバリュグループは営業収益こそ、好調に推移したが、利益の方は厳しい結果であったといえよう。
また、食品スーパーマーケットの店舗数であるが、イオンはコンビニエンスも含め、全部で11,274店舗であり、昨年と比べ930店舗増加している。この内、食品スーパーマーケットは1,182店舗となり、昨年より417店舗増加し、最も店舗数の増加の多かった部門である。これは、新店よりもM&Aによる店舗数の増加が多かったことによるといえよう。その新店については、食品スーパーマーケットは69店舗であるので、417店舗の増加の内16.5%であり、80%以上がM&Aによる食品スーパーマーケットの増加であることがわかる。ちなみに、来期、すなわち、2009年度の食品スーパーマーケットの新店予定は今年とほぼ同じ63店舗の予定であるが、今年は8月から持株会社制に移行することが決まっており、M&Aによる新店が増えるのではないかと予想される。
なお、営業収益、営業利益ではその他の食品スーパーマーケットになっていたマックスバリュグループ以外の食品スーパーマーケットはジョイ、光洋、ジョイフル東海、カスミ、ベルク、マルエツ、イオンタイランド(タイ)であり、これら連結企業を含めて、イオンの食品スーパーマーケットグループが形成されている。
このように、4/7、イオンの2008年2月期の決算が公表され、増収ではあったが、減益となる厳しい決算となったが、その中で、イオンの16.1%の営業収益を構成する食品スーパーマーケット、マックスバリュ他、連結会社の状況を見てみたが、営業収益は好調ではあったが、営業利益、当期純利益に関しては、全体同様、厳しい決算となり、食品スーパーマーケットに関しても収益性が改めて課題として浮かび上がったといえよう。近々公表される予定の中長期経営計画で、この点に関してどのような方針と具体策を示すかに注目したい。
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