伊藤忠食品、CRMへ本格参入!
5/12の日経MJで、「伊藤忠食品、携帯で購買履歴管理」、「スーパー外食向け新システム」、「IT会社と提携10社導入見込む」という記事が掲載された。内容は、伊藤忠食品がスピードパートナーズと資本業務提携を深め、この7/1から食品スーパーマーケット、外食産業向けの携帯電話を活用したCRMシステムの販売をはじめるというものである。すでに、食品スーパーマーケットの大丸ピーコック、ドラックストアのセイジョーがシステムの導入を決定したといい、今後、1年間で10社程度、会員数では500万人を見込むという。
ここ最近、CRMは日進月歩で進化しており、従来のポイントカードを活用したものから、最近では電子マネーがはやりである。今回、このシステムを導入する大丸ピーコックも電子マネー、Edyをすでに導入しており、この携帯でのサービスが新たに加わることとなるが、Edy利用者は、携帯登録をすると、Edyと携帯双方のポイントが受けられるのか、それとも一方だけなのか、その辺がみえないところであるが、携帯という新たな媒体を活用する本格的なCRMが伊藤忠食品を主体に稼働することになる。
記事の内容を読むと、今回のCRMサービスは、会員登録から、販促まで一貫して携帯電話でできる仕組みであり、会員には来店時や広告商品受け取りの際にポイントが付与されるという。また、ホームページと連動して、そのポイントも他のポイントに交換できるようにもなったり、メーカーの新製品への意見をきくことができるようになるなど、食品スーパーマーケット側のホームページを活用した顧客とのコミュニケーションもはかり、販促、新商品の評価等にも活用するという。
ただ、今回の携帯活用の仕組みについてはいくつか課題もあるといえよう。ひとつは、携帯会員と食品スーパーマーケットの利用客の関係である。携帯の普及の速度は目覚ましいものがあり、ほぼ、1人1台の時代に入ったといえるが、今回のように会員カードの代わりに携帯を使える顧客が全体のどのくらいを占めるか、また、ある特定の客層に偏ってしまい、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングに活かせるかどうかである。電子マネーも普及しているとはいえ、食品スーパーマーケットへ導入した事例を見ると数10%という状況であり、マーチャンダイジングに活用するにはまだまだ絶対数が足りない状況であることを考えると、携帯の場合も電子マネーを優に超える会員比率になるかどうかが見えないところである。
さらに、その中で、食品スーパーマーケットとしては、いわゆる優良顧客に対して扱く還元をすることが本来のCRMの目的であるが、携帯会員のみ厚く還元すると、本来の優良顧客が不満を抱く可能性は否定できないといえよう。いかに携帯会員で食品スーパーマーケット本来の優良顧客に会員になってもらえるかが、CRMを成功に導くためにもひと工夫が必要といえよう。一般的に通常のポイントカードは全顧客の80%前後にまで会員比率があがるので、ほぼ、優良顧客の会員化をはかり、厚く還元することが可能になるが、限られた特定の顧客層のみへの厚い還元は逆効果になる恐れもあり、ここがこの携帯を活用したCRMの課題といえよう。
そして、もうひとつは、食品スーパーマーケットのCRMで本当に還元しなければいけない商品は生鮮食品、惣菜、日配であり、この部門の売上構成比は60%から70%にもなる。したがって、この部門の優良顧客の会員化を行い、この部門の商品での厚い還元が食品スーパーマーケットにとっては決めてとなる。その生鮮、惣菜、日配のPOSデータをうまく取り込み、顧客データとリンクさせ、何らかのアクションプログラムをつくる必要があるが、このデータの取り込みが至難の技であることである。
各食品スーパーマーケットによって、これらは商品分類、商品コード、単品管理の仕方が違っており、これらを統一することは不可能に近い作業であり、食品スーパーマーケットごとに対応せざるをないといえよう。今回の日経MJの記事を読む限りでは、この辺がよく見えないところだが、一歩間違えると、食品スーパーマーケットの約30%から40%の部分であるグロサリー主体となったCRMとなってしまい、店舗全体へのインパクトが限定されてしまいかねないことである。
CRMの目的は食品スーパーマーケットの顧客へ対しての一律還元をやめ、同じ販促費用をかけるのであれば、より、店舗に貢献している顧客に対し、手厚く還元することにより、優良顧客の来店頻度を促し、最終的には顧客のLTV(ライフタイムバリュー)、生涯にわたっての末長いお付き合いをしてもらうことである。そのためには、まず、店舗の優良顧客に確実に会員になっていただき、その優良顧客に最高のサービスを提供できる体制をきづくことである。また、その際、可能であれば、すべてのカテゴリーの優良顧客をも会員化できることが望ましいといえる。そして、その顧客のリピートの高いNo.1商品により厚く還元することがポイントである。今回の携帯CRMがどこまで、この辺をおさえた仕組みとなるかに注目したい。
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