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May 2008

May 31, 2008

日経MJ、新製品週間ランキング、5/30、アイスが熱い!

   恒例の日経MJ、新製品ランキングが5/30、公表された。今週は、冷凍食品部門でアイスクリームが上位を独占した。ランキング20位の中でアイスクリームが19品入り、冷凍食品はたった1品であった。その1品とはアクリフーズ、くまちゃん占いえびとチーズのグラタン4カップ入り140gであり、客単価170円の9位であった。これ以外はすべてアイスクリームが独占する異常事態であり、気温の上昇ととともに、アイスクリームの新製品が上位しめた週となった。

   その中でもNo.1となったのは先週8位からの急上昇の森永乳業、エスキモーPARM(パルム)チョコレートアイスクリームバー55ml×6本、客単価281円である。カバー率84.0%での数字であり、先週比83円の客単価アップとまさに急上昇である。No.2は江崎グリコ、Newジャイアントコーン<チョコナッツ>・<クッキー&チョコ>・<クッキー&バニラ>140ml、客単価279円であり、カバー率は90.4%と高い数字である。日経MJは、全45チェーン、250店舗の食品スーパーマーケットのPOSデータであり、関西、関東双方のチェーンが網羅されており、カバー率の高さがナショナルブランドの度合いを示しているといえ、80%、90%は極めて高いカバー率といえよう。

   No.3は先週アイスクリームNo.1、全体ではNo.2であったハーゲンダッツジャパン、ドルチェミルフィーユ106mlであり、客単価260円である。先週比140円と大きく落ち込んでいるのが気になるところであるが、依然として高い数字をキープしている。No.4は明治乳業、エッセルスーパーカップ超バニラ200ml、客単価238円、No.5は森永乳業エスキモーピノチョコアソート10ml×26粒、客単価223円、No.6も森永乳業、エスキモーピノ10ml×6粒、客単価216円、そして、No.7がロッテアイス、HERSHY‘Sチョコレートアイスバー55ml×7本、客単価203円である。ここまでが、客単価200円のCランクの新製品であり、今週注目のアイスクリームといえよう。

   また、この7品の平均単価を見ると、275円、87円、263円、88円、372円、87円、208円と見事に100円以下と200円以上とに分かれ、しかも、いずれも客単価は200円(1人当り0.2円)強となる。これは客単価アップのポイントは客単価=PI値×平均単価であるので、平均単価が低くPI値の高い商品の強化とPI値は低くとも平均単価の高い商品の強化の双方をしっかり品揃えすることが重要であることを示しており、客単価アップはまさにバランスがポイントであるといえよう。

   アイスクリームについで、今週注目は、その他食品に大きな動きがみられる。初登場No.1に日清食品、カップヌードルミルクカレー86gが客単価、何と760円とAクラスの500円を優に超えた数字で登場した。カバー率も67.6%とまずまずの数字であり、今後、注目の大型新製品となる可能性を秘めており、注目である。No.2には先週No.1のダノンジャパン、「ダノンビオ」ヨーグルトプレーン加糖85g×4個が先週比の客単価がわずか6円のダウンで563円とAクラスの高い数字を依然として維持しており、注目である。今後、しばらく、この2つの大型新製品が全体を引っ張ってゆく可能性が高いといえよう。No.3には、先週No.82からの急浮上となった敷島製パン、超熟ロール6個入り、客単価396円が入った。敷島製パンはNo.5にも先週No.159からNo.5となったスナックパンチョコ8本入りが、客単価254円でランクインしており、これも今後注目といえよう。No.4には、カバー率が26.8%と地域性が高い新製品、一正蒲鉾、サラダスティック85gが客単価338円で入った。

   飲料に関しては、上位は先週と大きな変化はないが、No.1の明治乳業、おいしい牛乳1000mlが、依然として客単価1,259円と1,000円の大台を超え、今週の全新製品の中でNo.1である。これ以外では、No.12に初登場、日本コカ・コーラ、アクエリアス500mlペットボトル×24というケース商品が客単価257円で入った。ただ、カバー率はわずか8.8%であり、ごく限られたチェーンでの数字であるといえ、平均単価も1,681円と高額であるので、客数の多い店舗を選んでの展開がポイントとなろう。No.13にも初登場の花王、ヘルシアウォータアセロラ味500mlペットボトルが客単価236円で入った。初登場でカバー率が70.8%と高い数字であり、今後注目といえよう。

   これ以外では菓子では客単価200円以上が3品しかなく、厳しい状況であるが、依然としてNo.1はネスレコンフェクショナリー、キットカットミニ15枚が客単価421円でダントツの数字である。家庭用品では、No.1は先週同様、カネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョン(医薬部外品)45ml、客単価740円であるが、No.2に先週No.218から急浮上したマックスファクター、イリュームホワイトキャプチャーセットホワイトキャプチャーUV+ウォーター30g+150mlが客単価262円で注目といえよう。

   このように今週はアイスクリームの新製品がアクティブに動きはじめており、気温の上昇とともに今後の動向に注目である。特に、PI値、平均単価のバランスが品揃えの決め手となるランキングとなっており、品揃え、売場づくりが大きなポイントといえよう。今後、新製品は、再度、様々な商品での値上げが予想されており、付加価値をあげての新製品、容量を落としての新製品等続々と登場してくるといえ、新製品の動向からしばらくは目が離せない状況が続くといえよう。来週以降も新製品動向をしっかり追っかけてゆきたい。

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May 30, 2008

いなげや2008年3月期決算、増収増益!

   いなげやが、5/13、2008年3月期の決算を公表した。営業収益2,271.75億円(103.2%)、営業利益38.86億円(105.4%:営業収益比1.71%)、経常利益42.18億円(106.3%:営業収益比1.85%)、当期純利益12.36億円(72.8%:0.54%)と当期純利益は減損損失が発生し、減益となったが、営業、経常段階では、増収増益となる堅調な決算となった。今期は、2007年4月にブルーミングブルーミー港北店(横浜市都筑区)、10月にブルーミングブルーミー鴻巣駅前店(埼玉県鴻巣市)、同20年3月に浦和中尾店(さいたま市緑区)をそれぞれショッピングセンター内に新設したが、スクラップも6店舗となったため、期末店舗数は、125店舗(前期128店舗)と3店舗減となり、営業収益が103.2%と伸び悩んだ。

   いなげやは、今期、2008年4月期から、2009年4月期(2010年3月決算)までの新中期2ケ年計画に入っており、前期の第1次構造改革を経て、第2次の構造改革へ入った。この2008年3月期の決算がちょうど第1次構造改革の成果が問われた決算であり、今後、さらに踏み込んだ構造改革に入ってゆくことになる。その新中期2ケ年計画であるが、構造改革のさらなる深耕をスローガンに、高い競争力と安定した収益力の両立、新たなる成長戦略に向けた準備の期間と位置づけている。数字目標としては、SM事業売上高営業利益率2.0%、既存店売上前年比+1.0%を掲げている。

   特に、この新中期2ケ年計画中に、成長戦略を担う業態開発にも着手し、小型、中型、大型の3タイプのSM事業の確立を目指すという。現在、小型のCSM業態は37店舗(昨対97.6%)、中型のSM業態は43店舗(昨対100.1%)、大型のSSM業態は45店舗(昨対102.2%)と合計125店舗(昨対100.6%)であり、ほぼ3分割されているが、大型店ほど伸び率が高く、小型店がやや苦戦気味である。

   また、イオンとの業務提携の状況であるが、現在、いなげやは、イオンが15.07%所有し、筆頭株主となっている。イオンとの業務提携については、特にPBの導入を積極的に進めている。売上高は部門全体の2.2%(昨年2.0%)、粗利高は2.6%(昨年2.3%)という状況であるという。部門については、一般食品と雑貨衣料であり、合計869アイテム(昨年644)、売上金額は13.07億円(2.16億円増の119.8%)と大幅に増加している。ただ、また、売上構成比は2.2%であり、全体への貢献度は小さいといえ、イオンが目標としている15%から20%まで引き上げるには、部門拡大とさらなる品揃えの拡大が必要といえる。いなげや独自の既存のPBとの関係も含め、今後の対応が気になるところである。

   ここで、いなげやの営業利益の状況を見てみたい。商品売買から得られる売上総利益は27.3%(昨年27.6%)と0.3ポイント下がっており、あきらかな原価上昇が見られ、厳しい状況である。不動産等の営業収入が3.2%(昨年3.2%)であったため、営業総利益は30.5%(昨年30.8%)と0.3ポイント下がっている。これに対し、販売費及び一般管理費は28.7%(昨年29.1%)と0.4ポイント削減されており、結果、営業利益が1..8%(昨年1.7%)と0.1ポイント改善し、これに売上伸び103.2%が貢献し、営業利益が増益となった。ただ、原価上昇を経費削減でっカバーした形であり、今後、値上げがさらに浸透してくると、原価上昇はさらに進むものといえ、経費の削減だけではカバーしきれず、減益となりかねず、原価低減へのアクションが求められよう。その意味でも、イオンとの共同仕入れ、PBのトップバリュの導入も原価低減策としては有力な選択肢といえよう。

   一方、今期は3店舗の出店にとどまったが、今後の成長をうらなう上での財務基盤を見てみると、自己資本比率が56.2%(昨年49.5%)と50%を超え、安定した数字となった。一般に食品スーパーマーケットの自己資本比率は50%がひとつの目安といえ、この数字を超えてくると出店余力が増し、安定した出店の基盤が整うといえる。いなげやの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計であるが、370.22億円(昨年341.64億円)と総資産の50.69%であり、自己資本比率の範囲内での出店であり、健全な財務バランスといえよう。あとは、収益力である営業利益をいかに改善するかであり、新中期2ケ年計画の経営目標である営業利益率2.0%を確実に達成することが当面の課題といえよう。ちなみに、これを全125店舗で割ると2.96億円であり、小型店が約30%の構成比である分、出店にかかわる資産も低めに抑えているといえよう。また、負債の主要項目である長短借入金等の合計であるが、81.46億円(昨年87.87億円)と若干削減され、総資産に占める割合は10.71%であり、今後、営業利益の増加とともに一層の削減が十分に可能な範囲といえよう。

   このように、いなげやの2008年3月期の決算は増収増益の好決算といえるが、依然としてスクラップ店舗が新店を上回る構造改革の真っ最中といえる。自己資本比率は50%を超え、充実しつつあり、出店余力はましつつあるが、キャッシュフローを生み出す、営業利益率の改善が原価の上昇に耐えられない状況となっており、今後いかに原価改善をはかるかが最大の経営の課題となりつつあるといえよう。その意味でも、原価改善がダイレクトに見込めるイオンとの業務提携をどこまで本格的に踏み込むかが注目といえよう。

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May 29, 2008

スーパーバリュー、2008年2月期決算、増収増益!

   スーパーバリューが上場後初の決算、2008年2月期を4/14公表した。スーパーバリューは食品スーパーマーケットとホームセンターを併設した複合型小売店舗「Super Value」を首都圏に8店舗展開する企業である。その内訳は、埼玉県(5店舗)、東京都(2店舗)、千葉県(1店舗)の計8店舗であり、すべて首都圏である。今期の決算状況であるが、売上高358.55億円(102.9%)、営業利益11.17億円(125.4%:売上対比3.11%)、経常利益9.25億円(127.1%:売上対比2.57%)、当期純利益5.38億円(148.4%:売上対比1.5%)となり、売上は新店がなかったため、伸び悩んだが、利益は2桁増となり、増収増益の堅調な決算であった。

   スーパーバリューの強さは何といっても、ローコストオペレーションにあるといえる。今期の経費比率は18.4%であり、食品スーパーマーケットとホームセンターの複合業態というオペレーションが相反する難しい業態運営であるが、コストを低く抑えたローコストオペレーションを確立したといえよう。昨年も18.4%であり、安定した経費コントロールができており、スバーバリューの最大の強みといえよう。これに売上総利益20.5%(昨年20.2%)と昨年より、0.3ポイント改善し、営業収入も1.0%(昨年0.8%)と0.2ポイント改善し、結果、営業利益が21.5%(昨年21.0%)と0.5ポイント改善したことにより、今期は売上が伸び悩んだにもかかわらず、経費比率を18.4%に抑え、営業利益が3.1%(昨年2.6%)となり、2桁の増益となった。

   このローコストオペレーションの背景には、店舗運営面において、現状の店舗主導主義にチェーンストアオペレーション機能を加えたローコスト経営を徹底し、価格競争力の維持と業務効率化の追及に取り組んでいることが大きいという。スーパーバリューの売上高、約350億円の内訳は食品スーパーマーケットが67.1%(約240億円)に対し、ホームセンターが32.9%(約110億円)であり、食品スーパーマーケット主導の業態といえる。さらに、細かく見ると、生鮮食品が32.9%、グロサリーが34.2%、ホームセンターが32.9%であり、これをワンフローアーで展開しており、いわば都市型スーパーセンターといえる新業態といえよう。食品スーパーマーケットの雑貨部分を大きく拡大し、商品構成をホームセンター関連まで拡大した新業態である。

   ただ、現在の最大の経営課題は自己資本比率であり、今期12.4%(昨年6.7%)と昨年よりは大きく改善したが、それでも10%台は今後の安定成長をはかるためにはかなり、きつい数字といえる。その最大の要因は長短借入金にあり、今期115.55億円(昨年123.27億円)と多額な額に上り、総資産の64.12%を占める状況である。昨年よりは、改善しているが、これは上場により、資本金及び資本剰余金の合計が6.44億円(昨年0.9億円)と大幅に増加しており、その大半を借入金の返済に充てたためである。ただ、それでも、まだ、100億円以上あり、借入金の削減は自己資本比率を高め、成長戦略を打ち出す上には最優先課題といえよう。

   一方、スーパーバリューの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は145.03億円(昨年138.41億円)となり、総資産の80.4%を占めている。1店舗当たり18.12億円と通常の食品スーパーマーケットの4から5倍の大きさであり、今期も新店がなかったが、簡単に新規出店ができる資産ではない金額である。したがって、自己資本比率12.4%では全くバランスがとれず、長短借入金の64.12%を加えても、76.52%と若干低くなり、厳しい出店構造といえよう。スーパーバリューはこれに、ホームセンター特有の在庫負担も通常の食品スーパーマーケットよりも大きく、今期は、たな卸資産が16.61億円(昨年16.49億円)と総資産の9.21%となり、この部分の資産も新規出店に関して負担が大きくなり、これらを合わせると1店舗当たり、約20億円の出店にかかわる資産が必要といえ、簡単には新規出店ができる構造ではないといえる。ただ来期となる2009年2月期には、2006年6月に新規出店した上尾愛宕店以来のスーパーバリューを、埼玉県に1店舗を計画(2008年12月開店予定)しているとのことである。

   これを受けて、最近のスーパーバリューの株価であるが、現在1,100円前後で推移している。今年の2月の上場時、2/25の初値が1,439円でスタートし、その翌日、2/26に、現在までの上場来最高値の1,639円を付けて以来、株価は厳しい状況を続けている。3月中旬には1,000円を割り込み、この決算が公表された4月初旬は900円強で推移していた。この堅調な決算が公表されるとやや株価は上昇し、1,000円まで回復し、その後、5月に入り1,100円台となり、現在1,100円前後で推移している。

   このようにスーパーバリューの上場後はじめての決算が公表され、増収増益の堅調な決算となり、特に、利益が2桁の増益となったが、今期出店が0と売上が伸び悩んでいる状況である。そ背景には、借入金が重く経営にのしかかり、思うような新規出店ができない構造となっており、この点を改善してゆかないと、今後、安定した成長をつづけてゆくことは難しいといえよう。スーパーバリューは食品スーパーマーケットにホームセンターを見事に融合し、ローコスト経営を実現した競争力のある新業態といえるが、出店にかかわる資産が多額になり、簡単に新規出店ができない構造でもある。スーパーバーリューが今後、いかにキャッシュフローを高め、借入れを返済し、自己資本比率を充実させ、安定した成長戦略をどのように構築してゆくかに注目したい。

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May 28, 2008

イオン、直取引を拡大、卸売業の動向がポイント!

   日経新聞、5/27の1面と12面にイオンの記事が掲載された。見出しを見ると、1面では、「イオン、直接仕入れ5倍、年5,000億円卸通さず、一部で値下げ」、2面では、「イオン、直接仕入れ拡大、グループの購買力テコに、卸の反発必至、規模と収益、直結狙う」という、少しセンセーショナルな見出しであるが、要はイオンが現状の直取引4%(約1,000億円)を3年後に15%(約5,000億円)に引き上げるという内容である。逆に見ると、現在95%以上が卸を通しており、3年後も85%は卸経由ということになり、依然として、直取引の比率は小さく、イオンにおいても卸の存在が、現在はもちろん、今後もいかに大きいかを示しているといえよう。

   一般的に、直取引になると商品原価が5%程度削減されるという。したがって、15%の売上構成比に5%の粗利率の改善が加わると、0.75%の粗利貢献度となる。これが大きいか、小さいかであるが、目標としては、1.0%からできれば2.0%の粗利改善は欲しいところであろう。そうすると、目標の直取引15%を前提とすると、1%の粗利改善をするためには商品原価を7%弱は欲しいところであるが、現在の店頭価格から工場出荷価格へ変えることができても、かなり厳しい数字といえよう。そうすると、直取引をさらに増やすということになるが、その場合は、商品原価が5%削減できることを前提とすると、20%で1%となるので、当然、次の直取引の目標が20%となろう。ダブルで改善できれば、約1.5%の原価引下げが可能となるので、イオンの狙いはこの辺にあるように思える。

   実際、イオンはこれまで、全国7エリアにRDC(リージョナルDC)を8つつくり、そこを拠点に約30ケ所の物流拠点を作り上げ、全国を網羅する体制を着々と築きあげており、そのための専門会社、イオングローバルSCM株式会社を昨年設立し、営業を開始している。当面の目標、直取引15%を実現するための環境は整ったといえ、それを受けての、この日経の記事といえよう。

   今回、イオンの3年後の直取引の目標が示されたが、実は、この数字を超える直取引をすでに実現しているグループがある。CGCグループである。CGGCグループは現在221社、3,327店舗が加盟し、売上総額は3兆8,479億円であり、イオンの食品関連約3兆円を上回る規模である。しかも、直近のCGCの本部取扱高は6,627億円であり、この中には直取引、CGCのPBも含まれていると思われるが、単純に比率を見ると17.2%と直取引が本部取扱ベースで15%を超えている現状である。その意味では、すでに先行事例があるといえ、今回のイオンの15%という数字は食品業界としては、実現可能性が高い数字といえよう。今後、このCGCグループとイオンが2大流通勢力となり、日本の中ではメーカー、卸を巻き込んで全面対決の様相を呈してきたといえよう。さらに、日本の全体を見渡すと、生協グループ、そして、各エリアごとの100店舗クラスの独立系の食品スーパーマーケットが勢力を拡大しており、日本の食品市場はこの4大グループが覇権を競いあう時代に突入したといえよう。

   さて、ここで、卸売業の状況をマクロに見てみたい。つい、最近、経済産業省から公表された商業統計の最新版、平成19年度を見ると、小売業の年間商品販売額は134兆5,716.75億円であるが、卸売業は何と410兆6,788.94億円と約3倍も大きい販売額である。これは、商品の流通がメーカー、卸、小売業という単純な流れではなく、メーカー、卸、卸、小売業やメーカー、卸、卸、卸、小売業など、2次卸、3次卸が複雑に絡んでいるためであると思われる。食品卸だけを見ても、75兆4,189.42億円であり、飲食料品小売業が40兆8,100.66億円であるので、食品流通でも約2倍の販売額であり、2次卸の比重が相当大きいといえよう。

   このような実態を見ると、イオンが15%を当面の目標とすることも頷ける話であり、イオンが取り組もうとしていることは、メーカーとの直取引というよりも、いかに卸を排除するかという問題とうつる。ただ、これだけ、圧倒的な卸の販売額の大きさを見ると、メーカーと小売業の問題よりも、卸の2次、3次段階の集約により、1次卸への集約化の方がマクロな流通構造から見ると先決のように思える。イオンに限らず、食品小売業は、直取引では15%から20%が当面の目標といえ、将来的には30%、50%を目指すことになると思うが、同時並行で、2次、3次卸を1次卸に集約してゆくことも物流改革のもうひとつのテーマともいえよう。

   このように、イオンが本格的にメーカーとの直取引に臨む体制を整え、3年後に15%の目標数値を掲げたが、この実現性は、すでにCGCが達成していることからも可能性は高いと思われるが、それでも粗利率への貢献度は1%以下と想定され、1%以上の効果を出すためには、店着価格から工場取引価格への切り替え、ないしは20%から30%の直取引へのいっそうの拡大が必要であろう。ただ、日本の流通構造は金額ベースで見る限り、卸が圧倒的な存在感をもっており、この面での流通構造全体の改革も重要なテーマであり、3年後、15%の直取引を達成した後の残り85%の卸との関係もイオンにとって大きな経営課題といえよう。

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May 27, 2008

バロー、2008年3月期決算、増収増益、3,000億円突破!

   バローが2008年3月期決算を5/15公表した。営業収益3,180.26億円(110.4%)と昨年の2,881.68億円から大幅な増収となり、年商3,000億円を突破した。営業利益も104.91億円(113.0%)と2桁の増益となり、増収増益の好決算となった。経常利益108.35億円(108.7%)、当期純利益41.36億円(105.6%)とすべての利益が増益となった。また、単体についても2,104.60億円(106.9%)と昨年の1,969.53億円と比べ、食品スーパーマーケット単体でも2,000億円を超える増収となった。利益についても、営業利益62.95億円(113.5%)、経常利益72.86億円(113.0%)、当期純利益29.11億円(102.4%)と増益となり、連結、単体ともに増収増益の好決算であった。

   連結と単体が年商で約1,000億円違うのは、バローはグループとして多岐に渡る業態を展開しているためである。バローの展開業態を見てみると、スーパーマーケット159店舗(バロー113店舗、ユース27店舗、タチヤ9店舗、サンフレンド10店舗)、ホームセンター35店舗、ペットショップ16店舗、ドラックストア151店舗、スポーツクラブ48店舗、その他13店舗の合計422店舗となる。また、グループ会社もドラックストアの中部薬品、スポーツクラブのアクトス、惣菜の中部フーズ、物流センターの中部興産など、14社が連結となっている。

   バローはこのように最近では積極的な事業拡大を行っており、特に、食品スーパーマーケット業界へのM&Aを含む業務提携には積極的である。昨年6月にはすでに子会社していたサンフレンド10店舗を100%の子会社とし、9月には北陸のどんたく(山成商事)との業務提携を行っている。さらに、今年に入り、この1月にはエイチ・ツー・オーリテーリンググループとの業務提携を実施しており、地元、中部を中心に北陸、関西へと展開を広げている。

   また、5/21の日経MJでは、この6月にPB開発の専門会社を設立するという記事が掲載された。記事によれば、約800品目のPBを開発し、自社だけでなく、傘下のドラックストアなどを含め、他の食品スーパーマーケットへの外販も行うという。すでに、グループで食品スーパーマーケットが159店舗、ドラックストアが151店舗あり、今回業務提携したどんたく、エイチ・ツー・オーリテーリンググループとの相互PB等にも発展する可能性は高いといえよう。今回のPB専門会社では、開発したPBをメーカーに生産委託し、全量をバローが引き取るという。

   PBは現在ブームといえる活況を呈しており、イオンのトップバリュー、セブン&アイホールディングスのセブンプレミアムをはじめ、CGCグループ、AJSグループ、ニチリウなど積極的なPBの開発に動き出した。各社計画を見ると、ほぼ売上の15%から20%であり、おそらく、今後、3年で食品スーパーマーケットの売上の約20%がPBとなる可能性が高いといえよう。ちょうど、値上げ問題がPBへの追い風ともなっており、今回値上げした商品のほとんどは売上減となった商品は少ないが、数量減は確実に起こっており、メーカーとしても今後、生産調整を余儀なくせざるをえない状況になることが予想され、その分がPBへ流れる可能性は高く、小売業、メーカー双方にメリットがある消費環境となりつつあるといえよう。

   さて、バローの今期の営業利益が2桁の伸びとなった背景であるが、商品売買から得られる売上総利益が23.8%(昨年23.5%)と0.3ポイント改善したのが大きいといえよう。これに不動産収入、物流収入などの営業利益が3.5%(昨年3.6%)のり、営業総収入は27.3%(昨年27.1%)と0.2ポイント上昇した。一方、販売費及び一般管理費は23.9%(昨年23.8%)と0.1ポイント上昇したが、差し引き営業利益が3.4%(昨年3.3%)と0.1ポイント改善し、営業収益の110.4%が寄与し、113.0%の営業利益増となったといえよう。経費は若干増加したが、それを利益、特に商品売買から得られる売上総利益でカバーしたことが大きかったといえよう。

   これに対し、バローの今後の成長戦略をうらなう、自己資本比率であるが、今期は32.4%(昨年32.1%)と0.3ポイント改善しているが、依然として低い自己資本比率であり、今後、安定成長路線にのるためには一層の自己資本比率の改善が課題といえよう。その自己資本比率が低い要因であるが、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は1,032.88億円(昨年975.78億円)であり、総資産の62.7%となり、自己資本比率ではまかなえない構造となっており、借入等に大きく依存する状況である。ちなみに、これを全422店舗で割ると2.44億円(食品スーパーマーケットだけでは3.70億円)である。一方、負債の主要項目である社債を含む長短借入金の合計は、617.07億円(昨年575.55億円)と若干増加気味であり、総資産に占める割合は37.4%であり、自己資本比率の32.4%を足すと69.8%となり、出店にかかわる資産とほぼバランスがとれる。

   このように今期のバローの決算は増収増益の好決算となり、積極的なM&A、資本・業務提携を積極的に行い、事業規模もグループ全体で3,000億円を超えた。ただ、気になるのは自己資本比率が32.4%と低く、今後、安定成長をはかる上には借入金の削減が課題といえ、今後、成長と安定のバランスをどうとった経営を実践してゆくかが課題といえよう。この4月度の直近の売上状況は全体100.2%、SM事業は99.9%(既存店95.6%)と成長が鈍化しており、気になる数字である。今後、バローがこの好調な増収増益をどう財務改善に活かし、成長戦略に軌道をとってゆくかに注目したい。

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May 26, 2008

食品スーパーマーケット売上速報、2008年4月度、堅調!

   食品スーパーマーケット業界主要企業の2008年4月度の売上速報が出揃った。この4月度は値上げ問題がどのように売上に響くかが注目されたが、数字を見ると、2月、3月度と比べるとやや失速した感があるが、依然として堅調な売上であったといえよう。月次売上を公開している25社の食品スーパーマーケット、一部HCも含む4月度の数字を見ると、全体では105.9%、既存店も100.2%と昨対を超えた。3月度が全体107.0%、既存店102.2%であり、2月度が107.5%、102.4%、そして、1月度が104.8%、99.7%であるので、2月、3月よりはやや伸び率が下がったが、1月度よりは伸び率が高く、堅調な売上を維持しているといえよう。ただ、一部企業では既存店が95%前後の数字も見られ、もう数ケ月、数字を注意深く見る必要があろう。

   ちょうど、5/23に日経MJで主要外食31社の4月度の売上速報の数字が掲載されたが、これを見ると、既存店の昨対を超えた企業はわずか4社のみであり、外食は厳しい数字が続いている。特に、客数が激減しており、客単価は好調な数字となっており、あきらかな外食からの客離れが起きている状況といえ、食品スーパーマーケットへの顧客の流れが起こっているようである。来週後半には家計調査データも公開される予定であり、内食、外食の状況がより明らかになるものといえよう。

   このような中で、この4月度売上伸び率No.1はマックスバリュ北海道の140.1%であった。140.1%は異常値であるが、これはこの4月からマックスバリュ北海道がジョイ18店舗への株式交換によるM&Aを行ったため、店舗数が72店舗となり、大幅な売上増となったためである。ここ最近、各食品スーパーマーケットのM&Aが増えつつあり、特に、イオングループのマックスバリュ各社が積極的である。食品スーパーマーケット業界もイオングループを軸に様々なM&Aが今後予想されよう。

   No.2もM&Aがらみで、売上が異常値となったマックスバリュ中部である。マックスバリュ中部は昨年10月にマックスバリュ名古屋を吸収合併しており、この10月以降売上120%以上で伸びており、好調である。マックスバリュグループはこの2社以外にも、No.4にマックスバリュ東北109.8%、No.5にマックスバリュ西日本104.5%、そして、No.10にマックスバリュ東海106.5%と全上場マックスバリュがベスト10、105%以上の売上の伸び率であり、好調な数字であるといえよう。

   マックスバリュ以外では、No.3に大黒天物産が、117.2%で高い伸び率であった。ただ、既存店は97.9%とやや厳しい状況であり、積極的な新店が売上を牽引している状況といえよう。M&Aなしの新店のみで、120%近い売上を達成するのは大量の出店が必要であり、大黒天物産も50店舗になったので、今後はM&Aも視野に入れた成長戦略も選択肢となろう。No.6はマルエツであり、107.5%、既存店も102.6%と好調である。マルエツも子会社を吸収合併しての好調な数字であるが、既存店も102.6%と堅調な推移であり、ここ最近、安定した数字の推移である。

   No.7はハローズの107.5%、No.8はイズミの約107.0%、No.9はヤオコーの106.8%であり、以上がベスト10である。そして、もう1社、No.11のカスミが106.4%であり、ここまでの11社が105%以上の好調な食品スーパーマーケットといえよう。ヤオコーについては、売上だけでなく、客数、客単価、そして、PI値、平均単価まで公開しているが、それを見ると、客数は全体106.3%、既存店99.7%と既存店の客数がやや下がっているが、客単価は全体100.4%、既存店100.6%と100%を超えている。その中身である、PI値は全体が100.0%、既存店が100.1%、平均単価は全体が100.4%、既存店が100.5%とすべての数字がわずかではあるが100%を超えており、この4月は堅調な売上であったといえよう。

   逆に、この4月、売上が厳しかった食品スーパーマーケットはヤマザワ97.0%、エコス97.7%、いなげや98.2%、スーパーバリュー98.9%、アークランドサカモト99.1%、バロー99.9%の6社が100%を割った。3月度は2社であったので、4月度はやや売上に鈍化が見られ始めたともいえよう。この6社の中でも気になるのはヤマザワであり、全体97.0%に対し、既存店も95.8%と大きく下がっており、厳しい数字である。既存店の客数96.7%、客単価98.3%と双方下がっており、新店が思うように出店できないだけでなく、既存店の活性化も課題といえよう。

   これ以外で今月注目の動きは、PLNATが103.8%、既存店も103.6%と堅調な数字となったことである。特に、この数字には入らないが、5/27にPLANT-3を京都の福知山に新規出店しており、新店戦略が動きだしたことである。PLANTは最近、動産担保による資金調達に成功し、厳しい財務状況がやや改善し、新規出店の環境が整いはじめたことによるといえよう。既存店も徐々に回復し始めており、今後の動向に注目といえよう。

   このように、この4月度は、これまでの好調な2月、3月と比べると、やや売上は失速気味ではあるが、依然として堅調な数字で推移しており、4月度も概ね食品スーパーマーケットは売上の好調さが続いているといえよう。ただ、値上げ問題は、昨年から今年はじめにかけて第1弾の値上げがほぼ浸透し、この4月から第2弾の値上げが始まっており、5月以降の食品スーパーマーケット業界の売上がどのように推移するか注意深く見守る必要があろう。次の5月度の売上速報にも注目である。

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May 25, 2008

電子マネーnanacoの実情、意外に低い店舗シェア!

   日経MJ、5/23に電子マネーの記事が掲載された。電子マネーについては、本ブログでも昨年の7月に取り上げている。その時の内容は、「・・記事には、この3つのカードの一覧表が載っており、月間利用件数(万件)、発行枚数(万枚)、利用可能店舗数(店)の数字が比較されている。それによると月間利用件数ではnanacoが3,000万件、Edyが1,800万件、Suica/PASMOが1,747万件となり、nanacoがダブルスコアでトップとなった。・・」という状況であったが、今回は直近のこの4月度の集計が掲載された。それを見ると、月間利用件数は、nanacoは2,800万件、Edyが2,400万件、Suicaが2,074万件、PASMOが526万件、WAONが620万件、そして、ICOCAが66万件である。nanacoが若干減ってはいるが、やはりトップを走っている状況である。

   ただ、発行枚数がそれぞれかなり違うので、これを発行枚数当り、すなわち、PI値に換算してみると、nanacoは2,800万件÷576万枚=486.1%、Edyは2,400万件÷3,960万枚=60.6%、Suicaは2,074万件÷2,177万枚=95.2%、PASMOは526万件÷870万枚=60.4%、WAONは620万件÷422万枚=149.9%、そして、ICOCAが66万件÷368万枚=17.9%という状況である。この数字、PI値は月間であるので、平均月1回、すなわち、100%以上のPI値の電子マネーは、nanacoとWAONのみであり、その中でもnanacoがダントツで高い利用率であることがわかる。週1回以上の利用率であり、同じ、電子マネーでもこれだけ差があるのはびっくりである。ちなみに、前回、約1年前のPI値は、nanacoが789.5%、Edyは58.1%、Suica/PASMOは79.6%であったので、nanacoも若干下がっているところが気になるが、それでも依然として、高い利用率であるといえよう。

   また、記事には前回もそうだが、利用可能な店舗数も載っているので、ここから、セブンイレブン1店舗当たりの数字を計算してみると、576万枚÷1.92万店=300枚となり、セブンイレブンでは1店舗当たり300枚のnanacoが発行されていることになる。さらに、決済件数との関係を見てみると、1店舗当たり、2,800万件÷1.92万店であるので、1店舗当たり1,458件となり、1日当りは約50件となる。ということは、セブンイレブンでは、1日1店舗当たり50件のnanacoの使用率ということになる。セブンイレブンの客数を1日約1,000人とすれば、50÷1,000人で5%の利用率となる。1店舗当たり、約300枚のnanacoを発行して、1日、50人、約5%(20人に1人)がnanacoを使うという現況であると推測され、しかも、300人のnanacoの顧客が月約5回、週1回以上来店するという状況といえる。

   これを高いと見るか、低いとみるかであるが、食品スーパーマーケットのポイントカードと比較すると、圧倒的に低いといえよう。現在、nanacoは客数約1,000人/日のセブンイレブンを想定した場合、300枚、すなわち客数の30%であるが、1,000人/日クラスの客数の食品スーパーマーケットではポイントカードは少なくとも3,000枚から、5,000枚は発行されており、その利用率は80%から90%となるのが通常であり、セブンイレブンの1日、50人、約5%はポイントカードと比べると極端に低い数字であるといえる。ちなみに、WAONを同様に計算すると、1店舗当たり、422万枚÷2.5万店=約170枚であり、nanacoの半分強である。1店舗当たりの決済件数は620万件÷2.5万店=248件となり、nanacoの約20%弱となる。これは1ケ月の数字であるので、1日当り、10件弱となり、極めて低い数字といえ、客数1,000人/日で計算しても1%、食品スーパーマーケットの平均的な客数2,000人/日で計算すると0.5%となり、単純平均で見る限り、非常に厳しい数字の現実である。しかも、WAONの利用率、すなわち、PI値は149.9%であるので、月1.5回の使用であり、WAONのカードホルダーの使用率もかなり低い状況といえよう。

   これらの計算は単純平均で出しているので、実際、もっと頻度の高い店舗もあるとは思うが、それにしても、PI値トップのnanacoでも1店舗当たりの利用率はかなり低いといえ、しかも、前回の時よりもは発行枚数が増えたことにもよると思うが、各指標が下がっており、気になるところである。本来、電子マネーの目的は顧客の利便性をより追及し、結果、企業側としても、顧客の来店頻度を引き上げ、客数を増やし、売上アップにつなげたいという意図があるといえよう。また、顧客の購買履歴を分析し、マーケティング、マーチャンダイジングへつなげてゆきたいという意図もあるといえよう。ただ、この現実の数字を見ると、果たして、顧客は電子マネーを本当に便利だと思っているのか、何ともいえない微妙な数字といえよう。また、この利用率からそれなりのマーケティング、マーチャンダイジングの分析は当然可能であるが、より精度をあげ、現実的な仮説をつくる上にもあと10倍ぐらいのカードホルダー、利用割合が欲しいとところであろう。

   電子マネー元年といわれた昨年からほぼ1年が経過し、各社がカード発行枚数を競いあっている状況であるが、前回と数字を比較してみると、各指標が大きく伸びているとはいえず、むしろ、若干、カード1枚当たりの価値が下がっているようにもとれる数字といえよう。今後はカード枚数を増やすことよりも、顧客の数、使用頻度を引きあげる質の向上を改めて検討する時期に来たようにも感じる。少なくとも電子マネーが決済を独占することは、今後、こと小売業においては難しいと判断してよさそうである。

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May 24, 2008

日経MJ、新製品ランキング、5/23、冷食、飲料に注目!

   日経MJ、新製品週間ランキングが5/23公表された。ここ最近、値上げ関連商品、冷凍食品問題等があり、ランキングにイレギュラーな商品が数多く登場していたが、先週ぐらいからランキングが落ち着き始め、やっと本来の新製品がその存在感を表しはじめたといえよう。特に、今週は、アイスクリームを含む冷凍食品、飲料に動きが見られる。また、客単価Aクラスの500円以上の新製品も全部で7品登場しており、Bクラスの300円以上は8品、そして、Cクラスの200円以上は28品と注目すべき商品が増えつつある。特に、飲料は全品客単価Cクラス以上の200円を超え、今後、気温も上昇しはじめており、新製品ランキングも激戦が予想される。

   今週は、まず、冷凍食品の状況を見てみると、No.1に味の素、ギョーザ12個入りが客単価Aクラスの537円(1人当り0.537円)でトップとなった。先週比34円アップであり、2/21初登場であるので、そろそろ13週となり、新製品からはずれることになるが、13週近くでも客単価500円以上はすごい商品である。カバー率も88.0%であり、対象45チェーン、250店舗の大半に導入されての数字であり、注目といえよう。ただ、中国餃子事件が起こる前の昨年の金額PI値を様々なPOSデータで確認すると800円を超えていたこともあり、この537円は完全復活までは回復していないといえよう。その意味でまだ伸びる可能性を秘めており、今後の動向が気になるところだ。

   冷凍食品部門No.2はハーゲンダッツジャパン、ドルチェミルフィーユ106mlであり、客単価は400円と先週比では92円落ちたが、客単価はCクラスの300円を超えており、注目である。アイスクリームについては、No.5に江崎グリコ、Newジャイアントコーン<チョコナッツ>・<クッキー&チョコ>・<クッキー&バニラ>、客単価252円、No.8にも森永乳業、エスキモーPARM(パルム)チョコレートアイスクリームバー55ml×6本も客単価198円で入っており、ここ数週間アイスクリームの上位ランクが増え始めている。

   また、冷凍食品については、No.3に日清フーズ、マ・マーお弁当用スパゲティナポリタン240g、客単価294円、No.4に味の素、Hot1!エビピラフ2人前450g、客単価255円、No.6にも味の素、甘酢たれがけ豚の竜田揚げ300g、客単価251円、この新製品は先週38位から急浮上である。さらに、No.7に加ト吉、ごっつ旨いお好み焼1食294gが客単価241円でランクインしており、以上が客単価Cクラスの200円以上の冷凍食品である。

   冷凍食品についで注目は飲料部門である。No.1は今週、全新製品の中でNo.1の客単価1,302円の明治乳業、おいしい牛乳1000mlであり、No.2は日本ミルクコミュニティ、メグミルク牛乳1L、客単価933円と牛乳が上位を占めているが、今週の飲料部門は文字とおり、初登場でランクインした新製品が3品登場している。No.6にサントリー、伊右衛門新茶500mlペットボトルが客単価428円で入った。カバー率も73.6%とまずまずであり、出足好調といえよう。また、No.9には日本コカ・コーラのアクエリアスゼロ500mlペットボトルが客単価265円で入り、さらに、2LもNo.14に客単価236円で入った。いずれも客単価Cクラスの200円を超えてのランクインであり、今後の動向に注目といえよう。また、日本コカ・コーラについては、No.4にも注目の新製品、ファンタふるふるシェイカーオレンジ190mlが客単価689円とAランクの500円を超えており、依然として高い客単価を維持している。先週比が277円と大きく落ち込んでいるのが気になるところだが、どの辺で客単価が落ち着くかが今後のポイントといえよう。

   この2部門以外では、その他商品も順位に大きな変動はないが、No.1のダノンジャパン、「ダノンビオ」ヨーグルトプレーン・加糖85g×4個が客単価569円、先週比36円と客単価Aクラスを維持しており、注目である。No.2には一正蒲鉾、サラダスティック85gも客単価310円とBクラスを維持しており、練製品としては注目といえよう。ただし、地域性が高い商品であり、カバー率は19.2%と低いが、導入店舗での客単価は高く、導入が可能であれば、重点商品となる水準である。

   また、菓子部門でも今週初登場の新製品が2品ある。ひとつは、ロッテ商事、ガーナdeトッポ2袋、客単価351円であり、もう一品はネスレコレクショナリー、キットカットミニ黒糖14枚、客単価280円である。2品とも客単価B、Cクラスであり、今後、どの辺で客単価が落ちつくか注目とえいよう。

   そして、最後に家庭用品であるが、No.1のみ客単価が突出し、超Aクラスの1,045円となったカネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョン(医薬部外品)45mlである。No.2が資生堂、TSUBAKIシャンプーつめかえ用400ml、客単価213円であるので、いかに1,045円の客単価が大きいかわかる。

   このように、今週の新製品週間ランキングは、値上げ関連製品から本来の新製品のランキングにもどりつつあり、先週あたりから、気温の上昇に伴い、アイスクリーム、飲料の新製品が上位ランクに入りはじめ、注目の新製品が登場しつつある。また、冷凍食品も復活の兆しがみえはじえめており、来週以降も新製品ランキングの動向に注目である。

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May 23, 2008

ヤマナカ、2008年3月、増収減益、既存店101.4%!

   愛知のヤマナカが5/2、2008年3月期の決算を公表した。営業収益1,120.48億円(10 1.6%)、営業利益11.99億円(82.3%:営業収益比1.07%)、経常利益13.98億円(91.2%:営業収益比1.24%)、当期純利益7.20億円(昨年は赤字:営業収益比0.64%)となり、今期は既存店が101.4%と健闘し、増収となったが、営業、経常、当期純利益が減益となる厳しい決算となった。特に、当期純利益については昨年から減損会計が大きく響き、厳しい数字となっている。ただ、昨年の減損会計は54.4億円に対し、今期は3.3億円と大幅に縮小しており、特に、今期合計で全68店舗の内、51店舗の減損損失の計上が終わったので、これで、減損会計の計上も一段落といえよう。

   ヤマナカは現在、店舗フォーマットをライフスタイル対応型で、ファッションのしまむら等が併設されるNSC(近隣型食品スーパーマーケット)タイプの業態にシフトさせており、すでにこのタイプの店舗が新設、改装を含め、16店舗になった。今期新店は3店舗オープンしているが、2007年3月の岐南店(岐阜県羽島郡岐南町)以外の11 月にオープンした忠節フランテ館(岐阜県岐阜市)、旧勝川店の建替えとなった10 月の勝川フランテ(愛知県春日井市)店等、最近はほとんどがフランテタイプである。また、来期についてもこの4月に出店した大府フランテ館(愛知県大府市)、6月の多治見フランテ(岐阜県多治見市)、初秋ごろの四日市富田フランテ館(三重県四日市市)と新店すべてフランテ型タイプでの出店とり、今後のヤマナカの戦略業態となった。ちなみに、フランテはフランス語のフレ(最新、新鮮)とアンシャンテ(はじめまして)を掛け合わせた造語であるという。 

   ただ、現在の財務内容を見る限り、このフランテが経営内容の改善につながっているとはみえず、依然として苦しい財務状況が続いている。ヤマナカの自己資本比率は現在32.7%(昨年32.3%)であり、ここ数年間は、34.1%(2004年)、 34.8%(2005年)、 37.1%(2006年)という状況であり、ここ数年のフランテが主力業態となりつつある状況を見ても、数字の好転が見られない状況といえる。その要因は、負債の主要項目である社債を含む長短借入金等が209.8億円(214.7億円)と総資産の42.1%を占め、経営に重くのしかかっているためでる。ヤマナカは今期も建て替えを含め3店舗の新店を創設しているが、その出店に関する資産である土地、建物、差入保証金の合計を見ると、312.4億円(昨年322.5億円)となり、総資産の62.7%(1店舗当たり4.6億円)となる。自己資本比率32.7%では約50%しか賄えない構造となっており、長短借入金等に大きく依存する状況での新店開発といえ、厳しい財務状況といえよう。

   しかも、営業利益が今期11.9億円と営業収益比約1.0%と低迷しており、減価償却費を入れた営業キャッシュフローは約20億円であるが、投資、財務キャッシュフローの減少が大きく、十分な新店投資への原資の確保が厳しい状況であるといえ、今後の安定成長路線を軌道に乗せるためには一層の財務改善が急務といえよう。

   その営業構造を見てみると、商品売買から得られる売上総利益は25.3%(昨年25.2%)と0.1ポイント改善しているが、販売費及び一般管理費が28.8%(昨年28.4%)と0.4ポイントと大幅に上昇しており、結果、差し引き、-3.5%(昨年-3.2%)と大きくマイナスとなっている。これを営業収入4.6%(昨年4.6%)で相殺し、営業利益を1.1%(昨年1.4%)捻出している構造であり、商品力で経費をカバーできない状況であり、苦しい営業構造であるといえよう。ヤマナカの商品構成比を見ると、生鮮では青果12.9%、そして、グロサリーが25.2%突出している構造となっており、粗利の高い、畜産10.6%、水産10.5%が青果に比べ低く、さらには、粗利No.1のデリカも8.2%(昨年8.0%)と昨年よりは上昇しているが、まだまだ低い状況であり、粗利強化型の商品力が相対的に弱い状況といえ、この面でのマーチャンダイジング力の強化が最大の課題であるといえよう。新業態、フランテがどこまで、この収益構造を改善できるかが今後のポイントであろう。

   ヤマナカは今回、新中期3ヵ年計画「PS(パラダイムシフト)2010」を策定し、“「ヤマナカブランド」を確立し、東海地区で最も愛され支持されるスーパーマーケットとなる”という中期経営ビジョンを達成するべく取り組みはじめた。具体的には、「顧客満足経営の実践」、「働き甲斐のある職場の実現」、「個店対応力の向上とチェーンメリットの追求」、「健全な成長による収益体質の強化」の4つを中期経営方針の柱に掲げ、一人一人・一店一店が主体性を持ち、日々改善を積み重ねることによって大きな改革へとつなげてゆくという。今後、その柱の業態がフランテであるといえ、このフランテがどこまで、ヤマナカの営業構造を改善し、経営全体へのインパクトがあるかが課題である。ただ、この数年の数字を見ている限り、経営改善効果が明確に現れつつあるようには見えず、今後、一層のフランテ型業態の進化が問われるところであろう。ヤマナカの今後の新店、フランテの動向、特に財務面へのインパクトに注目したい。

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May 22, 2008

冷凍食品、2月度の約300店舗のPOSデータを見る!

   冷凍食品の2月度の食品スーパーマーケット、約300店舗のPOSデータを独自に入手した。今後、ある程度は定期的に入手が可能となったので、本ブログでも様々なカテゴリーでPOS分析を試み、今後、その分析結果を取り上げてゆきたい。ちょうど、チェーンストアエイジ4月号から、POS分析売場改革、実践講座がスタートしたので、これを補う意味でも参考にしていただければと思う。冷凍食品についてはチェーンストアエイジの5月号でも取り上げているので、本ブログでは売場改革という視点ではなく、単品動向がどのように変化したかという視点に重点をおいて、昨年のデータと今年のデータの比較を試みてみたい。今回は、この1月末に起こった中国冷凍餃子事件後の冷凍食品の影響について、単品レベルで、食品スーパーマーケットではどのような影響が見られるかがポイントである。

   今回の冷凍食品のPOS分析については、特に、上位200品の昨年の2月度と今年の2月度のPOS分析の比較を試みてみたが、まず、問題のJTの冷凍食品であるが、昨年はお弁当大人気ふっくらオムレツ4個140g、お弁当大人気北海道栗かぼちゃコロッケ6個、焼とり串5本 20g×5本など10品がランキングに入っていたが、今年は200位以下ないしはカットされたため、1品もランキングに入っていない厳しい状況である。

   同様に餃子関係の冷凍食品であるが、昨年は全冷凍食品の中でNo.1の売上金額であり、月間1,000万円を超える唯一の冷凍食品であった味の素ギョーザ12個が、今年は3位に後退し、売上も500万円を切ってしまった。その要因を分析してみると、売上金額では46.5%であるが、金額PI値が43.7%、カバー率は98.9%であるので、導入店舗数はほとんど変わらなかったが、金額PI値が半分以下に落ち込み、売上が下がったといえる。売上=金額PI値(客単価)×客数であるので、このPOS分析では売上=金額PI値×カバー率がほぼ近い関係であり、売上ダウンの要因を金額PI値とカバー率で見ることにより、問題の特定が可能となる。味の素ギョーザは、明らかに金額PI値のダウンであり、お客さまの購入頻度が減ったことによると思われる。ただ、ここ最近のデータでは急激に回復傾向が鮮明であり、日経MJの新製品週間ランキングでも冷凍食品部門の上位をしめている。

   ちなみに、今年、冷凍食品No.1の売上金額は加ト吉、S・さぬきうどん5食1,000gであり、600万円強である。これはチェーンストアエイジ5月号で取り上げた事例と同じ結果である。昨年はNo.7であり、昨対で見ると140%近い大きな伸びである。金額PI値も1,000人当たりで、1,113円(1人当り1.11円)を超えており、冷凍食品の中ではトップクラスである。ただ、カバー率が約40%と限られた食品スーパーマーケットの中での金額PI値であり、仮に、カバー率は70%を超えてくれば、売上金額は1,000万円を超えることになり、この商品はまだまだ伸びる余地が大きいといえよう。

   また、この商品はさすがに、CGCがPBを出しており、今年は全冷凍食品の売上の中で昨年のNo.13からNo.4となり、さぬきうどんがいま冷凍食品の中では注目の商品といえよう。同じ、さぬきうどんがニチリュウのPBにも採用されているが、やはり、昨年のNo.52からNo.29への急上昇であり、売上金額でも120%以上伸びている状況である。どちらも、カバー率ではなく、金額PI値の上昇であり、安心安全を求め、消費者がPBにシフトし始めた状況がこのさぬきうどんの冷凍食品では数字に表れているといえよう。

   ただ、PB全体が伸びているかというと、CGCの重点商品であるCGC タイ産断然お得エビF12尾は89.9%とカバー率がほぼ昨対100%であるが、金額PI値が80%ぐらいに落ち込んでおり、CGC 塩ゆでえだまめ 400gも売上金額が70%強と落ち込み、やはり、カバー率が95%強であるが、金額PI値が65%強と落ち込んでおり、PBだからといって顧客の支持が上向いたわけではないことがわかる。

   さらに、冷凍食品の中で、特徴ある動きのあるものをいくつか見てみると、冷凍食品では売上金額では食品スーパーマーケット約300店舗で合計月間300万円以上あるとトップクラスとなるが、その中であけぼの 白身&タルタルソース 150gを見ると、売上金額では昨対110%となったが、その中身は、カバー率が昨年の約50%から60%に伸ばし、金額PI値は85%ぐらいになっており、金額PI値の落ち込みをカバー率でまさにカバーしての売上金額の改善である。この厳しい冷凍食品の中でも、導入店舗を広げ、売上金額を伸ばした商品である。ニチレイF ミニオムレツ6個 180gも同様な傾向であり、売上金額が120%近くになっているが、その中身は金額PI値が75%ぐらいに落ち込んではいるが、カバー率が145%近くまで伸ばしているのが特徴である。

    このように冷凍食品は全体としては厳しい状況にあるが、個々の単品を見ると、この厳しい中でも数字を大きく引きあげた商品もある。特に、No.1となった加ト吉のさぬきうどんのように、金額PI値を引きあげての数字改善をしたものや、金額PI値は下がってしまったが、その落ち込みをカバー率でカバーし、売上金額を引きあげた商品等もあり、商品個々の違いが鮮明である。今後、まだ落ち着いたといえる状況ではないが、冷凍食品の動向がどのような動きとなるかに注目したい。

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May 21, 2008

九九プラス、2008年3月期決算、減収減益の厳しい決算!

   九九プラスが5/14、2008年3月期の決算を公表した。売上高は、1,229.97億円(98.8%)、営業利益4.01億円(42%:売上対比0.32%)、経常利益3.56億円(41.3%:売上対比0.28%)、当期純利益0.47億円(前期は赤字:売上対比0.04%)となる減収減益の厳しい決算であった。利益幅も営業段階ではわずか0.32%という状況であり、昨年、2/28の取締役会でローソンとの資本・業務提携を決議して以来、ちょうど1年が経過したが、依然として、厳しい経営状況にあるといえ、ローソンの支援を受けての業績の回復の兆しがまだ見えない決算結果であったといえよう。

   来期予想については、売上高1,373.00 億円(111.6%)、営業利益5.50億円(137.0%:売上対比0.4%)、経常利益5.20億円(145.8%:売上対比0.37%)、当期純利益0.6億円(126.8 %:売上対比0.04%)と増収増益予想であるが、利益率はわずかであり、業績は依然として厳しい状況が続くものといえよう。
特に今期、利益面が厳しかった要因を見てみると、売上総利益が26.7%(昨年26.9%)と0.3ポイント下がっており、仕入原価の影響や、競合との価格競争が大きく響いているといえよう。また、販売費及び一般管理費については、26.4%(昨年26.1%)と0.3ポイント上昇しており、差し引き、営業利益が0.3%(昨年0.8%)と0.5ポイントと大きく下がったことが大きかったといえる。粗利、経費双方が改善できず、ダブルパンチとなった状況であり、厳しい利益構造である。

   九九プラスはローソンとの資本・業務提携により、今期、様々な課題に取り組んできた。その主な内容を上げれば、ローソンとの店舗情報の共有を進め、これまでよりも収益性を重視した慎重な出店に取り組んだという。今期は三大商圏(首都圏、関西圏、中京圏)を中心に出店を行い、前期末に比べ57店(直営:出店63店・閉店3店、FC:出店0店・閉店3店)増加し、この3月末の総店舗数は837店(直営718店、FC119店)となった。数年前の急成長の年間数100店舗を新規出店していた時と比べると極めて慎重な出店状況といえよう。また、PBにおいても、ローソングループとの商品共通化のスケールメリットによるコストダウンの追求とお客様への更なる安心感の提供を目的とした「バリューライン(VL)」の導入を行い、将来的には売上の20%を目指すという。

   そのPBについては5/20の日経新聞で「自主企画商品、ローソン「100円」全国販売、調味料などまず35品目、低価格を前面に」という記事が載ったが、100円商品のPB強化であり、まさに、九九プラスとの連動を意識したものであろう。さらには、物流政策においても、ローソンの協力のもと関東エリアの物流センターの集約化を実施し、9月に常温センター(千葉県野田市)、11月に低温センター(千葉県市川市)、2月に低温センター(神奈川県横浜市)を稼働させたという。

   このように、ローソンとの業務提携が着々と進みつつあるとはいえるが、この取り組みが、まだ現段階では経営へのインパクトにはなっておらず、今後、さらに思い切った政策が必要といえよう。

   その来期であるが、来期はさらにローロンとの提携関係をさらに深める方針であるという。すでに、「SHOP99」、「ローソンストア100」の統合を目指した試験店の展開を開始しているとのことで、これが現在、既存店の改装を含め、10店舗となったという。そして、この実験店舗をもとに、いよいよ、念願のFC化に、今期後半には踏み切る予定であるという。新規店舗数も来期は120店舗を予定しており、売上も2桁増の予想である。

   一方、九九プラスの財務状況であるが、自己資本比率は40.1%(昨年34.7%)と昨年より約5%上昇した。九九プラスはもともと家賃を支払っての出店がほとんどであり、最近はFC展開も現在全837店舗の内、119店舗となり、資産としての土地代はかからない出店構造であり、出店にかかわる資産は建物と敷金・保証金が大半を占める。その合計は91.93億円(昨年91.37億円)とほぼ同じであり、総資産に占める割合は35.59%と自己資本比率40.1%の範囲内であり、このバランスを見る限り、出店余力はあるといえよう。また、1店舗当たりの出店にかかわる資産は837店舗で割ると0.10億円と出店にかかる資産が低いだけに、ごくわずかな資産での出店が可能な構造となっている。であるにもかかわらず、自己資本比率が40.1%にとどまるのは、負債の主要項目である長短借入金が44.68億円(昨年62.64億円)と総資産の15.8%に加え、買掛金が92.15億円(昨年90.83億円)と総資産の32.67%と多額の資産となっているからであるといえよう。ただ、長短借入金は昨年より約20億円削減されており、結果、自己資本比率はここ数年の動きをみると2008年(40.1%)、2007年(34.7%)、2006年(29.3%)、2005年(34.7%)、2004年(18.2%)と着実に改善しており、営業利益が今後ローソンの支援を受けて改善されてゆけば、さらに充実する可能性は高く、今後の営業力の強化が鍵を握っているといえよう。

   このように九九プラスはローソンとの資本・業務提携に踏み切り、ちょうど1年が過ぎたが、まだ、収益面での改善効果は明確に表れているとはいえない数字である。ただ、財務面では、自己資本比率が上昇に転じるなど、確実に数字に反映されはじめており、現在進めている改革が軌道に乗れば、営業面の数字も改善される可能性も高いといえ、今期、来期が重要な改革期間であるといえよう。今後、九九プラスの営業利益がいつ改善するかに注目したい。

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May 20, 2008

客数PI値は奥が深い!

   最近、ID-POS分析に携わる機会が増えた。小売業界はもちろん、メーカーにもここのところ通常のPOS分析はもちろん、ID-POS分析も密かなブームが起こりはじめており、POSデータが小売業の本部、店舗間、小売業とメーカー間、さらには卸との間で、日本中を飛び回っているような活況を呈しはじめた。ただ、大半の小売業は通常のPOS分析主体であり、まだまだ、ID-POS分析まではいたっていないようであるが、ごく一部ではあるが、かなりID-POSの研究も進み始めている動きがうかがえる。

   本ブログでもID-POS分析については何度も取り上げているが、ID-POS分析を研究すればするほど、新たな発見もあり、実に奥が深いといえる。その中でも、ID-POS分析特有の指標のひとつに客数PI値がある。ID-POS分析には指標がざっと数えただけでも30から40はあり、通常のPOS分析が数指標である点と比較すると雲泥の差であり、これは次元が違うと思った方が良いといえよう。つくる気になれば、100指標ぐらいはできてしまい、正直、人間がやるべきかどうか、最近は少し悩んでいる。

   したがって、ID-POS分析の評価も無限大のパターンとなる。通常のPOS分析では、金額PI値=PI値×平均単価の評価であれば、理論的に6つしか存在しないが、ここにID-POS分析特有の客数PI値が入り、金額PI値=客数PI値×PPI×平均単価となったとたんに、金額PI値がアップする場合、ダウンする場合とつきつめてゆくと、ざっと数10パターンとなり、簡単には解けない迷路にはまり込んでしまう。つい最近まで、この評価は18通りだとばかり思っていたが、最近、研究が進み、いまでは30通りをこえており、32パターンまで確認されている。要は、3Dになると2Dの面から立方体になるため、面積ではなく、体積が複雑に変化するためにパターンが増えてしまうのである。

   これが、ID-POSになった場合はさらに複雑な問題が発生し、どう考えても普通の人間が取り組むべき問題とは思えず、これはどこかで、ブラックボックスとしてしまうか、逆に、実践的で効果の高いもの、時間はかかるが効果の大きいものなどに単純化し、誰でもその選び抜かれた指標さえ管理すれば、結果がでるというところまで突き詰めるかのどちらかが選択肢といえよう。

   その中でも恐らく、ID-POS分析の数ある指標の中で、現段階で、最も重要な指標のひとつが客数PI値であろう。客数PI値だけでも、ID-POS分析ではたくさん登場し、様々な活躍をする。また、実践的にも用途が広く、戦略的にも戦術的にも用いることができ、実に重宝な指標である。

   その客数PI値であるが、大きく2つに分けることができる。そもそも、客数PI値とは、客数を客数で割って算出する指標であり、金額PI値が金額を客数で割り、数量PI値が数量を客数で割るのと同様に手軽にひょういひょい作ることができる。大きく2つに分かれるといったのは、分母が客数の場合とIDの場合に分かれるということである。ここで、客数とはレシート枚数のことである。ID-POS分析はIDを前提とした分析となるので、この分析にはレシート枚数、すなわち、客数が使われることはなく、IDの世界で完結してしまう。たとえば、売上=ID×ID金額PI値とか、ID金額PI値=ID数量PI値×平均単価とか、ここには客数=レシートという概念はなく、IDの世界でぐるぐる回っているだけである。

   これに対し、客数=レシートを用いた世界もこれまで通りしっかり存在する。売上=客数×金額PI値であり、金額PI値=数量PI値×平均単価などがそうで、これも、逆に、ここにはIDは存在せずに、客数=レシートの中で回っており、ID-POS分析と平行に走り、ほぼ、ID-POS分析とシンメトリーで分析が展開される。この2つは、かなり、美しい世界であり、売上を媒介にして左右対称、ここに客数PI値が加わると、左右、上下、奥行き対象、ないしは相似形となる美しい世界が展開されることになる。たとえば、金額PI値=客数PI値×PPI×平均単価に対し、金額PI値=ID客数PI値×ID-PPI×平均単価というようにである。

   さて、ここからが本題であるが、では、この客数PI値とID客数PI値はどのような関係にあるのだろうか。そもそも、客数とはIDと来店頻度の掛け算でできあがった世界であり、実は客数とIDははじめから密接な関係があり、客数(レシート枚数)=ID×来店頻度とあらすことができる。本ブログでは、これまではこの来店頻度を逆数にし、客数PI値とし、来店頻度をあえて定義しなかったが、実は、この来店頻度は何をかくそう、ID客数PI値のことであり、客数(レシート枚数)は客数=ID×ID客数PI値とすることができ、この方がすっきりする。同様に、ID=客数×客数PI値となる。したがって、客数PI値はID客数PI値の逆数となり、この2つを掛けると客数PI値もID客数PI値も消滅し、1となる。ちなみに、ここで客数PI値はID÷客数であり、ID客数PI値は客数÷IDのことである。

   このように、客数PI値は大きく2つ存在し、従来の客数=レシート枚数を分母にした客数PI値とIDを分母においたID客数PI値があり、この2つの客数PI値が通常はそれぞれの世界で活躍しているが、時々、この2つがぶつかり、どちらかの世界に転換したり、時には真正面からぶつかり、消えてしまったりする。客数PI値は、このように実におもしろいダイナミックな動きをしており、実に奥が深く、あじわいのある指標といえよう。

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May 19, 2008

関西スーパーマーケット、2008年3月期、増収増益!

   関西スーパーマーケットが2008年3月期の決算を5/12公表した。営業収益1,057.14億円(103.0%)、営業利益23.23億円(110.7%:営業収益比2.19%)、経常利益25.59億円(115.5%:営業収益比2.42%)、当期純利益5.53億円(47.5%:営業収益比0.52%)と当期純利益は特別損失が発生したため下がったが、営業、経常段階では2桁の増益となる増収増益の好決算となった。特に、今期は新店なしの既存店のみでの増収であり、既存店が好調に推移しての好決算であった。

   関西スーパーマーケットの既存店が好調に推移した要因を見てみると、今期は既存店が102.8%、全店が103.1%であり、しかも、中間決算段階では既存店は101.3%と伸び悩んでいただけに、後半の伸びが少なくとも104.0%以上は伸びていたこととなり、特に、後半好調に推移したことによるといえよう。関西スーパーマーケットは3月期決算であるため、2月期決算の食品スーパーマーケットよりも、3月末と後半1ケ月多くなることにより、この値上げ問題による食品スーパーマーケットへの追い風を既存店がもろに受けての結果ともいえよう。また、今期、関西スーパーマーケットは、Edyを利用した電子マネーの「おさいふカード」やクレジットカードの全店への導入に取り組んでおり、この効果も大きかったといえよう。

   さらに詳しく、既存店が好調な要因をみてみると、関西スーパーマーケットの客単価は今期1,665円(昨年1,659円:100.3%)であり、客単価が上昇しての既存店のアップではなく、客数が3,189人(昨年3,112人:102.4%)上昇しての既存店のアップであることがわかる。ちなみに、客単価の中身はPI値が989%(昨年991%:99.8%)、平均単価が168.25円(昨年167.08円:100.7%)であり、ほぼ横ばいである。したがって、今期の関西スーパーマーケットの既存店の好調さの要因は客単価ではなく、客数アップによる売上増であり、各店舗での客数が増えている状況である。昨対割れした既存店も昨年は22店舗あったが、今期は46店舗中8店舗であった。

   また、商品面を見てみると、最も伸びた部門は菓子の104.8%、精肉の104.7%が好調であり、ついで、一般食品104.3%、青果103.5%と、ポイントと連動して比較的価格訴求のかけやすい部門であり、Edyの全店導入の効果により、ポイント還元が功を奏したといえそうである。ただ、少し気になるのは、海産が99.8%、惣菜が102.0%と伸び悩んでいることである。特に、惣菜は売上構成比が8.1%と惣菜の強い食品スーパーマーケットと比べるとまだまだ低く、今後の課題といえよう。

   ポイントについては、関西スーパーマーケットは優良顧客(お買い上げが多い顧客)ほど還元率を高く設定しており、月間5万円以上となると2.5%還元となる。最も低い月間1万円から2万円で0.5%還元であり、その次が1.0%、1.5%、2.0%と還元率が上昇してゆき、5段階のポイント還元政策をとっているのが特徴である。まだ、数10%の会員比率であるというので、経営へは大きなインパクトにはなっていないと思うが、会員のみの還元率は1.5%から2.0%に近いのではないかと想定される。

   関西スーパーマーケットの売上、利益の状況であるが、商品売買から得られる売上総利益は24.4%(昨年24.5%)と0.1ポイント下がり、原価の上昇がやや見られる状況である。また、営業収入も1.9%(昨年2.1%)と0.2ポイント下がっており、合計、営業総利益が26.4%(昨年26.6%)と0.2ポイント下がっており、粗利はやや苦しい状況であった。これに対し、販売費及び一般管理は24.1%(昨年24.5%)と0.4ポイント削減しており、経費削減を徹底している。人件費は昨年より、絶対額で上昇しているが、販売費が下がっており、Edy等へ販促を傾けた結果、その他の販促を削減したと思われる。結果、営業利益が2.2%(昨年2.1%)と上昇し、既存店の売上の好調さとあいまって、営業利益が2桁の伸びとなる好調な決算となった。

   一方、今後の出店をうらなう、財務面であるが、自己資本比率は45.9%(昨年42.7%)と上昇しており、出店余力がたかまりつつあるといえよう。その中身を資産面と負債面から見てみると、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は293.62億円(昨年336.89億円)と差入保証金が削減され、減少しており、総資産に占める割合は54.47%である。したがって、約10%分が自己資本ではまかなえない構造であり、その負債の主要項目である長短借入金の合計を見てみると、104.5億円(昨年136.5億円)と今期の好調な決算を受け、約30億円削減され、総資産に占める割合は19.3%である。今後、この好調な決算が続けば、長短借入金はさらに削減可能であり、自己資本比率の大幅な上昇も望める財務状況といえよう。ちなみに、1店舗当たりの出店にかかわる資産は全46店舗で割ると6.38億円と都心部へのSSMタイプでの出店も多く、通常の食品スーパーマーケットと比べやや大きな資産構造といえよう。

   このように関西スーパーマーケットが2008年3月期の決算を公表したが、増収増益の好決算となり、来期からは新たに中期3ケ年計画もスタートする。いよいよ100店舗体制へ向けての新規出店も再開されることとなり、すでにこの4月に出屋敷店(兵庫県尼崎市)がオープンしており、既存店が今後とも好調に推移すれば、高成長も期待できる今期決算内容であったといえよう。関西スーパーマーケットの次の第1四半期の決算に注目したい。

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May 18, 2008

NHK、ドキュメントで鹿児島巨大スーパーを特集!

   5/17、NHKで鹿児島の巨大スーパーを取り上げていた。関係先の方から番組紹介をいただいき、早速、夜10:25からはじまった番組を見た。番組名は「ドキュメントにっぽんの現場」であり、今回のタイトルは、「千客万来、まちの“不夜城”、鹿児島・巨大スーパー」である。番組冒頭で、「車、車、車、24時間スーパーマーケットは今日も大賑わい、・・」というナレーションではじまり、その全貌が映しだされるところから番組が始まった。この巨大スーパーについては、話には聞いていたが、映像で見るのははじめてであり、興味深く、30分間を見た。なお、再放送は5/23(金)午前3:40(木曜深夜)だそうですので、見逃した方は必見です。

   番組の中でも紹介されていたが、この巨大スーパーの創業者、牧尾英二社長が11年前に脱サラをして、鹿児島県の地元、阿久根市にオープンしたという。NHKのホームページの解説を見ると、少し長いが引用してみると、「鹿児島県北東部、人口2万5千人の阿久根市。年々過疎化が進む町にちょっと“不釣り合い”な24時間営業の巨大スーパーマーケットがある。5千坪の広大な店舗に食料品から軽自動車まで33万品目の品揃え。年間の来客数は実に600万人をこえる。過疎地でなぜこれほど賑わうのか。周辺に店がなく、買い物バスに30分乗ってやってくる高齢者。ここに友人とやってくるのが唯一の楽しみだという主婦グループ。高校生たちは「町にはファストフードの店もゲームセンターもない」と少々不満を云いながら、放課後、友達とのおしゃべりに興じる。スーパーは深夜でも人の姿が消えることはない。残業に追われこの時間しか買い物ができないと、子供連れでやってくる家族もいれば、仕事の疲れを癒すため、帰宅前ここで一人の時間を過ごす女性もいる。 過疎化が進む町で人々が集まる巨大スーパー。浮かび上がってくる地方での暮らしを見つめる。・・」という内容であり、これらが映像でインタビューを交えて淡々と番組が進んでゆく。

   平日でも客数が15,000人来店し、年間約600万人の延べ客数になるという。単純に365日で割ると1日平均16,438人であるので、確かに計算上は平日15,000人が来店しているといえよう。しかも、24時間営業であり、深夜の売上も約30%というので、深夜だけでも単純に割ると、平日4,500人となり、客数の多さに圧倒される。では、客単価はどうかと年商約90億円から逆算すると、90億円÷600万人=1,500円となり、通常の食品スーパーマーケットよりも低い数字である。これは逆に意外な数字であり、びっくりである。

   番組の中では年配の方がビールなどまとめ買いをし、2ケ月分を1回に9万円から10万円はいつも買うというシーンがあり、さらに仏壇、車まで販売している場面もあった。また、ほとんどの客が大型カートを活用しており、深夜の家族連れの買い物シーンもあり、客単価は異常に高いのではと勝手に想像していたが、1,500円とは意外だった。番組の映像を見る限り、高額商品が豊富に品揃えされ、上限100万円ぐらいまであるので、平均単価も高いのではと思っていたが、客単価が1,500円であると、1人仮に5点(PI値500%)であれば300円であり、10点(PI値1000%)であれば、150円であり、3点(PI値300%)であれば500円であるので、平均単価もおそらく400円から500円ではないかと想定される。また、坪売上を逆算すると、90億円÷5,000坪であるので、180万円となり、かなり低い数字である。商品がゆっくり回っているイメージであり、これも、番組で見る限りあれほど賑わっているので、商品も高回転し、坪売上もかなり高いのではと想像していたが、意外である。

   ということは、この巨大スーパー、番組の中ではAZスーパーセンターの看板がかかっていたが、客単価ではなく、客数の極限を追求した業態であるといえよう。どんな顧客に対しても、顧客が望めば、顧客が欲しい商品は限界まで品揃えし、しかも、いつでも欲しい時にその商品を顧客は購入できるという哲学ともいうべき、信念がつらぬかれており、商品ではなく、顧客に焦点を当てた顧客志向の究極を追求した小売業態といえよう。

   現在、日本の小売業の組織はチェーンオペレーションが定着し、商品と販売の機能が分かれ、商品部が主体となり、商品部が仕入れた商品をいかに各店が販売するかが商売の中心になっている。ところが、この鹿児島の阿久根市の巨大スーパーは、全く逆の発想であり、顧客が欲しいものは何でも揃える。しかも、その顧客ターゲットを絞らないところがすごいところである。現在、業績が思わしくないGMS業態は一見品揃えは豊富であるが、どちらかというと顧客ターゲットを30代から50代までに絞り込んだ品揃えとなっており、20代以下、50代以上の顧客にとっては不満のある品揃えであり、商品の絞りみというよりも、顧客の絞り込みを行っている小売業態であるといえよう。

   商売は商品と顧客の関係で決まるが、商品に顧客を合わせるか、顧客に商品を合わせるか、さらに、顧客をどこまで絞り込むかの選択であるが、この巨大スーパーは顧客に商品を合わせ、しかも顧客を絞り込まなかったところに、顧客から圧倒的な支持を受け、客数が究極にまで伸びた答えがあるのではと感じた。それにしても商売は奥が深いものであるとつくづく思う。

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May 17, 2008

日経MJ、新製品ランキング、5/16、冷食、アイス好調!

   日経MJ、新製品週間ランキングが5/16、公表された。やっと、値上げ関連商品が一段落しつつあり、今週ぐらいから、本来の新製品が姿をあらわしつつある。特に、その他食品のヨーグルト関係が一斉に姿を消し、変わって、その他の新製品が続々と登場している。また、今週は、冷凍食品部門に動きがあり、先週No.1のハーゲンダッツを味の素のギョーザが抜き、客単価も500円(1人当り0.5円)を超え、No.1となった。中国冷凍餃子事件の影響もここへきて急速に回復しているといえ、冷凍食品も復活の兆しが見え始めたといえよう。

   そこで、まず、今週は冷凍食品部門について見てみたい。No.1は客単価503円となった味の素、ギョーザ12個入りであり、カバー率も86.8%と対象45チェーン、約250店舗の大半をカバーしている。2/21に初登場の新製品であるので、そろそろ、13週となるため、新製品からははずれるが、13週目でもこの高いAランク、500円の客単価であり、注目である。味の素の冷凍食品はNo.3にもエビシューマイ12個入り168gが客単価297円で入っており、冷凍食品は全体として好調な動きであるといえよう。これ以外にも、No.7に加ト吉、ごっつ旨いお好み焼1食294gが客単価231円、No.9に日清フーズ、マ・マお弁当スパゲティナポリタン240g、客単価224円、No.11に味の素、Hot1!エビピラフ2人前450g、客単価207円が入っている。ここまでが、客単価200円のCクラス以上の冷凍食品である。

   また、先週No.1、今週は味の素、ギョーザ12個入りに抜かれたが、No.2のハーゲンダッツ、ドルチェミルフィーユ106mlも客単価492円とNo.1の503円とはわずか差であり、依然として高い客単価を維持しているといえよう。ただ、先週よりも客単価が116円ダウンしており、気になるところだ。アイスクリームもこれ以外にも、No.4に江崎グリコ、Newジャイアントコーン<チョコナッツ>・<クッキー&チョコ>・<クッキー&バニラ>140ml、客単価273円、No.5に森永乳業、エスキモーPARM(パルム)チョコレートアイスクリームバー、55ml×6本、客単価249円、No.6に明治乳業、エッセルスーパーカップ超バニラ200ml、客単価240円、No.8に森永乳業、エスキモー「ピノチョコアソート」10ml×26粒、客単価224円、そして、No.10に森永乳業、エスキモーピノ10ml×6粒、客単価216円が客単価Cクラスの200円を超えた新製品である。今週はこのように、冷凍食品部門の冷凍食品とアイスクリームがバランスよくランキングに入り、しかも、客単価200円のCクラスが多く、今後、注目といえよう。

   これについで注目は、値上げ関連商品がグッと減ったその他食品が今週は注目といえよう。No.1は先週値上げ関連商品に押され、No.5だったダノンジャパン、「ダノンビオ」ヨーグルトプレーン・加糖85g×4個、客単価Aクラスの533円である。カバー率も82.0%と高く、注目である。ダノンジャパンは、No.9にも「ダノンビオ」プレーン・砂糖不使用85g×4、客単価219円、No.10にも「ダノンビオ」いちじくミックス80g×4が客単価215円で入り、ダノンシリーズは好調な動きである。No.2はグリコ乳業、Happyプッチンプリン運だめし400g、客単価309円、No.3に一正蒲鉾、サラダスティック85g、客単価295円、No.4に伊藤ハム、朝のいきいきロースハム3連42g×3、客単価227円、No.5に東洋水産、マルちゃん北の味わいざるラーメン150g×2、客単価227円が入るなど、洋日配、和日配、バランスよくランキングに入っており、その他食品の新製品も今週は注目の部門といえよう。

   飲料部門、家庭用品部門ではあまり大きな動きがなかったが、その中で注目は飲料部門のNo.3の日本コカ・コーラ、ファンタふるふるシェイカーオレンジ190mlであり、今週は客単価が54円ダウンしたが、依然として936円と超Aランクの客単価を維持しており、カバー率も84.8%と高く、注目である。缶飲料関係でここまで客単価が高い商品はまれであり、初登場が4/19と約1ケ月前であることを考えると一時的な販促による高い数字ではないといえ、今後、どの辺で客単価が落ち着くかが気になるところである。

   家庭用品では順位の変動はあまりないが、先週、今週No.1のカネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョン(医薬部外品)45ml、客単価850円が先週比390円と大きくダウンしている。平均単価が9,685円と超高額であるので、1ケ月単位ではPI値がかぎりなく小さくなり、客単価が不安定になりがちとなり、まさに、今週は大きくダウンした客単価となった。

   そして、菓子部門であるが、この部門も大きな変動はなく、No.1は先週同様、ネスレコンフェクショナリー、キットカットミニ15枚であり、客単価272円であるが、No.1でも客単価はCクラスの200円台であり、菓子は客単価から見ると今週は厳しい数字である。ただ、No.4に先週45位からカルビー、ギザギザポテト焼きしお味80gが客単価133円、No.7に先週20位から、でん六、小袋甘納豆(テトラ)235g、客単価110円が急浮上しており、注目である。

   このように、今週はこれまでの値上げ関連の新製品が初登場から13週をこえ、ランキングから消えはじめ、本来の新製品が上位のランキングに入りつつあり、今後は本当の新製品の動向がわかるようになるといえよう。来週以降、特に、冷凍食品、その他食品の動向に注目である。

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May 16, 2008

伊藤忠食品、CRMへ本格参入!

   5/12の日経MJで、「伊藤忠食品、携帯で購買履歴管理」、「スーパー外食向け新システム」、「IT会社と提携10社導入見込む」という記事が掲載された。内容は、伊藤忠食品がスピードパートナーズと資本業務提携を深め、この7/1から食品スーパーマーケット、外食産業向けの携帯電話を活用したCRMシステムの販売をはじめるというものである。すでに、食品スーパーマーケットの大丸ピーコック、ドラックストアのセイジョーがシステムの導入を決定したといい、今後、1年間で10社程度、会員数では500万人を見込むという。

   ここ最近、CRMは日進月歩で進化しており、従来のポイントカードを活用したものから、最近では電子マネーがはやりである。今回、このシステムを導入する大丸ピーコックも電子マネー、Edyをすでに導入しており、この携帯でのサービスが新たに加わることとなるが、Edy利用者は、携帯登録をすると、Edyと携帯双方のポイントが受けられるのか、それとも一方だけなのか、その辺がみえないところであるが、携帯という新たな媒体を活用する本格的なCRMが伊藤忠食品を主体に稼働することになる。

   記事の内容を読むと、今回のCRMサービスは、会員登録から、販促まで一貫して携帯電話でできる仕組みであり、会員には来店時や広告商品受け取りの際にポイントが付与されるという。また、ホームページと連動して、そのポイントも他のポイントに交換できるようにもなったり、メーカーの新製品への意見をきくことができるようになるなど、食品スーパーマーケット側のホームページを活用した顧客とのコミュニケーションもはかり、販促、新商品の評価等にも活用するという。

   ただ、今回の携帯活用の仕組みについてはいくつか課題もあるといえよう。ひとつは、携帯会員と食品スーパーマーケットの利用客の関係である。携帯の普及の速度は目覚ましいものがあり、ほぼ、1人1台の時代に入ったといえるが、今回のように会員カードの代わりに携帯を使える顧客が全体のどのくらいを占めるか、また、ある特定の客層に偏ってしまい、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングに活かせるかどうかである。電子マネーも普及しているとはいえ、食品スーパーマーケットへ導入した事例を見ると数10%という状況であり、マーチャンダイジングに活用するにはまだまだ絶対数が足りない状況であることを考えると、携帯の場合も電子マネーを優に超える会員比率になるかどうかが見えないところである。

   さらに、その中で、食品スーパーマーケットとしては、いわゆる優良顧客に対して扱く還元をすることが本来のCRMの目的であるが、携帯会員のみ厚く還元すると、本来の優良顧客が不満を抱く可能性は否定できないといえよう。いかに携帯会員で食品スーパーマーケット本来の優良顧客に会員になってもらえるかが、CRMを成功に導くためにもひと工夫が必要といえよう。一般的に通常のポイントカードは全顧客の80%前後にまで会員比率があがるので、ほぼ、優良顧客の会員化をはかり、厚く還元することが可能になるが、限られた特定の顧客層のみへの厚い還元は逆効果になる恐れもあり、ここがこの携帯を活用したCRMの課題といえよう。

   そして、もうひとつは、食品スーパーマーケットのCRMで本当に還元しなければいけない商品は生鮮食品、惣菜、日配であり、この部門の売上構成比は60%から70%にもなる。したがって、この部門の優良顧客の会員化を行い、この部門の商品での厚い還元が食品スーパーマーケットにとっては決めてとなる。その生鮮、惣菜、日配のPOSデータをうまく取り込み、顧客データとリンクさせ、何らかのアクションプログラムをつくる必要があるが、このデータの取り込みが至難の技であることである。

   各食品スーパーマーケットによって、これらは商品分類、商品コード、単品管理の仕方が違っており、これらを統一することは不可能に近い作業であり、食品スーパーマーケットごとに対応せざるをないといえよう。今回の日経MJの記事を読む限りでは、この辺がよく見えないところだが、一歩間違えると、食品スーパーマーケットの約30%から40%の部分であるグロサリー主体となったCRMとなってしまい、店舗全体へのインパクトが限定されてしまいかねないことである。

   CRMの目的は食品スーパーマーケットの顧客へ対しての一律還元をやめ、同じ販促費用をかけるのであれば、より、店舗に貢献している顧客に対し、手厚く還元することにより、優良顧客の来店頻度を促し、最終的には顧客のLTV(ライフタイムバリュー)、生涯にわたっての末長いお付き合いをしてもらうことである。そのためには、まず、店舗の優良顧客に確実に会員になっていただき、その優良顧客に最高のサービスを提供できる体制をきづくことである。また、その際、可能であれば、すべてのカテゴリーの優良顧客をも会員化できることが望ましいといえる。そして、その顧客のリピートの高いNo.1商品により厚く還元することがポイントである。今回の携帯CRMがどこまで、この辺をおさえた仕組みとなるかに注目したい。

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May 15, 2008

ウォルマート、売上速報、2008年4月、109.8%!

   ウォルマートが5/8、2008年4月期の売上速報を公表した。4月度は4/5(土)から5/2(金)までの、土曜始まり、金曜〆の4週間の集計であり、今年度の累計では13週となり、ちょうど、第1四半期となる。アメリカでは一般的に、月度は4週か5週となり、四半期が4週、4週、5週の13週で集計し、売上速報を公表しているが、日本では月末締めがほとんどである。その4月度のウォルマートの売上速報であるが、全体では109.8%と好調な売上であった。伸び率では海外部門に負うところが大きかったが、13週累計と比べると、この4月度は国内部門の顕著さが目だった。

   その内容であるが、ウォルマート部門が13週累計105.6%に対し、106.5%、サムズクラブ部門が13週累計106.4%に対し、110.4%と大幅な伸びとなった。これに対し、海外部門は118.9%に対し、118.4%と伸び率は依然120%近い伸びであるが、累計を下回っており、今月は国内部門が絶好調であったことが大きかったといえよう。

   特に数字で見てもサムズクラブ部門が2桁の伸びと好調であったが、これは、石油相場の上昇によるガソリンを含めた燃料の売上が好調であったためである。ウォルマートは、既存店の売上集計には燃料部門の数字が入った場合と入らなかった場合に分けているが、これを見ると、サムズクラブ部門は燃料を入れた場合の既存店の伸びは109.5%であり、昨年の102.3%と比べ大幅な伸びを示している。燃料を入れない場合も106.6%と既存店は大きく伸びているが、燃料を入れた場合はそれ以上の伸びてであり、そのインパクトは2.9%あり、特にこの4月度の燃料の貢献が大きかったかがわかる。

   逆に、ウォルマート部門の既存店は102.6%と燃料を入れた場合も、入れなかった場合も同じであり、燃料のインパクトは0%である。燃料はサムズクラブ部門に大きくプラスに表れるといえ、今後の石油相場の動向次第では、さらに上ぶれもあるといえ、ここ最近の石油をはじめとする資源高が思わぬところで現れた現象といえよう。

   ウォルマートの既存店の数字を全体として見てみると、103.8%と堅調な伸びを示している。燃料を除いても103.2%であり、全体としては0.6%のインパクトである。その内訳はウォルマート部門が102.6%、サムズクラブ部門が109.5%であり、13週累計が全体では102.4%、ウォルマート部門が101.8%、サムズクラブ部門が105.2%であるので、既存店に関しても、この4月度は好調であったことがわかる。ウォルマート自身はこの好調さの要因については、特に、この4月度は、薄型テレビが絶好調であり、これに加え、ビデオゲーム関連が好調であったという。また、食品も堅調な動きであったという。逆に伸び悩んだ部門は衣料品、住関連用品であったという。

   一方、ウォルマートの海外部門であるが、依然として、高い伸びを示しており、ウォルマートの牽引役となっている。全体では118.4%であり、金額ベースでも76.09億ドル(約8,000億円弱)となり、4月度ウォルマート全体の売上が約300億ドル(約3兆円)であるので、優に全体の25%を超え、ウォルマート部門の大きな柱となったといえよう。日本ではイオンが今後海外部門に本格参入することが決まったが、その決断のひとつに、このウォルマートの海外部門の好調さもあるのはないかと思う。ただ、残念ながら、海外部門の牽引役には日本の西友は入っておらず、今回の4月度の売上速報のコメントの中にも西友には言及がなかった。

   ウォルマートの海外部門で特に好調な部門はイギリスのアズダ、カナダのウォルマート、ブラジル、中国であったという。特にアズダは、EDLPの低価格戦略が効を奏し、生鮮関連などが好調であったという。カナダではスーパーセンターが好調であったといい、ブラジル、中国でもこの4月度は既存店が好調に推移したという。

   この流れを受けて、ウォルマートの株価は絶好調であり、今年に入り、この5月までほぼ右上がりで株価は上昇をつづけている。今年初めの株価は45ドル前後であったが、2月に入り50ドルを突破し、その後、3月は50ドル前後でもみあっていたが、4月に入ると再び株価は上昇に転じ、4月の後半には60ドル近辺にまで株価は上昇した。そして、5月に入ると57ドル前後でもみあっているが、今後、60ドルを超えるかどうかが焦点になってきたといえ1月の45ドルと比べると、130%以上の上昇といえ、投資家の関心が現在ウォルマートにあつまり始めているといえよう。ウォルマートの過去3年間の株価の動きの中でも60ドル台は一度もなく、50ドル強が最高であるので、60ドル近辺の株価は極めて高い水準であるといえよう。

   このようにウォルマートの4月度の売上は絶好調であるといえ、スーパーセンターを中心としたウォルマート部門、サムズクラブ部門、そして、海外部門、すべてがバランスよく売上を伸ばしている。近々、第1四半期の決算が公表されると思うが、その結果にも期待が高まり、株価の動きを見ても、いま、ウォルマートの動向に注目が集まりつつあるといえよう。この第1四半期決算、そして、次回、5月度の売上速報に注目である。

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May 14, 2008

原信ナルスH、2008年3月期、増収減益、着々と投資!

   原信ナルスホールディングスが5/7、2008年3月期の決算を公表した。売上高は1,115.37億円(106.9%)と堅調な伸びを示したが営業利益36.29億円(95.7%:売上対比3.25%)、経常利益37.26億円(99.4%:売上対比3.34%)と減益となった。ただ、当期純利益は15.35億円(126.0%:売上対比1.37%)と大幅な増益であった。今期は原信とナルスが経営統合をして、2年目の決算となり、経営統合をさらに堅固にすべく、様々な投資に取り組んでおり、その面での経費増が営業利益、経常利益の減益につながったという。また、新潟地区は競合状況も厳しく、この値上げ環境の中でも激しい価格競争も繰り広げられており、その面での粗利が伸び悩んだことも大きかったという。

   実際、今期の営業利益の構造を見てみると、商品売買から得られる粗利である売上総利益は27.5%(昨年28.1%)となり、昨年と比べ、0.6ポイントと大きく落ち込んでおり、厳しい状況であったことがわかる。これに対し、販売費及び一般管理費については、24.2%(昨年24.5%)とむしろ、0.3ポイント削減されており、粗利ダウンをカバーすべく、経費の改善が行われており、結果、営業利益が3.3%(昨年3.6%)と0.3ポイントのダウンでとどめている。残念ながら、この経費改善が売上の伸び106.9%でカバーできず、営業利益が若干のダウンとなってしまったが、売上総利益のダウンが予想以上に経営へのインパクトが大きかったといえよう。

   ただ、最終的に当期純利益が大きくプラスになったのは、今期、この粗利ダウンへも大きな影響があったと思われる昨年7月に起きた新潟県中越沖での地震による地震保険金収入が特別利益で0.3%加算されたためである。実際、この地震により、原信ナルスホールディングスは甚大な影響を被っており、スーパーマーケット7店舗、フードサービス1店舗が一時営業ができない状況となったという。その結果、この地震による損失が2.45億円発生したが、先の特別利益に計上された地震保険収入が2.27億円入り、ほぼ相殺ができたという。原信ナルスホールディングスは約3年前にも新潟県中越沖地震でも多大な損害を被っており、今回、その貴重な体験が今回のように早い復旧に結びついたという。

   現在、原信ナルスホールディングスは、経営統合後、様々な改革に取り組んでいるという。最も大きな改革が物流センターの建設であり、今年7月に新潟県上越市に完成の予定であるという。これにより、現在の新潟県長岡市で稼働している中之島物流センターと合わせて2つの物流拠点ができあがるという。この物流センターはTC機能とDC機能を併せ持っているという。この物流センターの完成により、チェーンストアのドミナント展開が一層進むものといえ、今後は新潟県外への出店も視野に入れての展開に入るという。

   また、商品面でもこれまでAJSグループに加盟していたナルスが昨年6月に原信と同じボランタリーチェーンであるCGCへ加盟し、原信ナルスホールディングス全社をあげてのCGCブランドの展開が始まった。これに加え、原信が以前から取り組んでいた袋詰めサービスも、昨年4月からナルスでも取組みはじめたといい、接客サービスも全社をあげての体制が整ったという。ただ、今後は環境対策からレジ袋を削減し、マイバックへと全国的に移行がはじまっており、この面を含め、サッカー業務において、どのようなサービスが可能かが課題となろう。

   このように、今期は着々とナルスとの経営統合を強固なものにし、さらなる成長へ向けて経営基盤を固めつつあるが、原信ナルスホールディングスの今期の自己資本比率は43.7%(昨年42.4%)と昨年よりは、改善しているが、ナルスとの経営統合前の数字と比べると若干下がっており、気になるところである。原信ナルスホールディングスの出店にかかわる資産である土地、建物、敷金・保証金の合計は275.95億円(昨年268.45億円)と若干増加し、総資産に占める割合は56.7%と自己資本比率を15%弱上回っており、そのバランスを負債の主要項目である長短借入金等の合計139.49億円(昨年121.48億円)と総資産の28.6%でカバーしている構造であり、今後、成長路線に軌道を乗せるためには、借入金等を削減し、さらに自己資本比率の改善が経営課題といえよう。

   これを受けて、ここ最近の原信ナルスホールディングスの株価の動きであるが、この決算発表のあった5/7、年初来最高値となる1,130円をつけた。その後はこの近辺で株価はもみあっているが、一時3月中旬に900円前後の株価をつけてから、ほぼ、その後株価は上昇気味で推移しており、好調な動きといえよう。

   このように、原信ナルスホールディングスの決算が5/7に公表され、利益面ではやや厳しい数字とはなったが、次の成長へ向けての物流センターをはじめ、様々な投資を行っており、2年目となったナルスとの経営統合も着実に進んでいるといえよう。原信ナルスホールディンスが今後、いつ、新潟県外への出店がはじまるかがに注目である。

   なお、最後に、原信の創業者、原信ナルスホールディングスの代表取締役社長の原信一氏が5/5に逝去されたとのことで、謹んでご冥福をお祈りします。

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May 13, 2008

天満屋ストアー、2008年2月期、減収減益、厳しい決算!

    岡山の天満屋ストアが4/17、2008年2月期の決算を公表した。営業収益954.35億円(99.0%)、営業利益31.75億円(98.6%:営業収益比3.32%)、経常利益26.41億円(103.6%:営業収益比2.76%)、当期純利益6.82億円(183.2%:営業収益比0.71%)と経常利益、当期純利益では増益となったが、営業利益ベースでは減収減益となる決算であった。一般的にチェーンストアが成長してゆくには、一定の新店の開発が必須である。今期の天満屋ストアーの新規出店は昨年の8/2にオープンした「ハピーズ大安寺店」の1店舗のみであり、全店が25店舗であるので、既存店が厳しい中、105%の成長を確実にするには2店舗は必要であったが、この1店舗にとどまったことが減収につながったといえよう。

   ただ、このハピーズ大安寺店は投資額は8億円と食品スーパーマーケットとしては、投資額は少し多めであるが、店舗面積934坪、年商20億円を目指すはじめてのNSC(近隣型ショッピングセンター)となる。しかも、団塊&団塊ジュニア中心とするニューファミリーをターゲットにした食品スーパーマーケットであり、カジュアル衣料やスターバックスコーヒーも入るなどファッション性の高いNSCであり、今後の天満屋ストアーの戦略店舗といえる。今後、このNSCの出店戦略を軌道に乗せられるか、否かが、天満屋の成長にとって重要な鍵となろう。

   その天満屋ストアーの現在の成長余力であるが、残念ながら、自己資本比率が19.6%(昨年18.6%)と厳しい状況である。天満屋ストアは食品スーパーマーケットよりもGMSに近い業態であり、食品の売上構成比が54.0%、衣料品23.4%、生活用品20.1%、その他2.5%となる。したがって、店舗面積も大きくなり、その分投資額も増えるため、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金および長期保証金の合計は524.0億円(昨年536.7億円)であり、総資産の72.7%を占める。これを全25店舗で割ると、1店舗当たり20.96億円となり、通常の食品スーパーマーケットの5倍近い数字であり、多額な出店にかかわるコストがかかる業態であるといえよう。

   したがって、現状の自己資本比率19.6%では到底まかなえず、負債に大きく依存する構造となっている。その負債の主要項目である長短借入金をみると、408.4億円(昨年433.8億円)と昨年よりは、約30億円削減されているが、総資産に占める割合は56.7%となり、これに自己資本比率19.6%を足すと76.3%となり、バランスがとれる状況である。このように、出店にかかわる資産の大半を負債に負っている財務構造であり、新規出店が厳しい状況といえよう。

   一方、天満屋ストアの営業構造を見てみると、売上総利益は24.8%(昨年24.6%)と0.2ポイント改善されており、厳しい競合状況の中、既存店が伸び悩む中においても、粗利は改善されており、マーチャンダイジング力は改善されつつあるといえよう。ただ、販売費及び一般管理費が25.8%(昨年25.6%)と昨年より、0.2ポイント上昇しており、厳しい状況である。また、この25.8%の販売費及び一般管理費を売上総利益24.8%で補えない構造となっており、このマイナスをカバーするのが営業収入の4.4%(昨年4.4%)であり、結果、営業利益3.5%(昨年3.5%)となる。ちなみに、営業収入の内訳は約40%が不動産収入であり、約45%弱が共同配送手数料収入であり、その他約5%となり、不動産収入よりも共同配送手数料収入の方が大きい数字である。

   今後、自己資本比率を引き上げ、安定成長体制にもってゆくためにも、営業利益率をさらにたかめ、キャッシュフローを生み出し、財務改善につなげることが経営課題といえ、まずは、粗利率の改善、そして、経費の削減を一層すすめてゆくことが重要な経営課題といえよう。

    これを受けて、天満屋ストアの株価の動きであるが、1/15が年初来最高値の969円 をつけて以降しばらくは950円近辺でもみあっていたが、2月に入ると株価が下がりはじめ、3月に入ると900円を割り込んだ。そして、4月に入ると、850円前後となり、この決算発表のあった4/17も850円近辺と株価はほとんど動きがない状況であった。その後、4/24に821円まで下がり、年初来最安値となり、5月に入りやや上昇したが、現在840円前後で推移している状況といえる。投資家は買いとも売りともつかない、現状維持の判断といえよう。

   このように、4/17に天満屋ストアの決算が公表されたが、やや厳しい決算となり、自己資本比率は昨年よりは改善されたが、19.6%と依然として厳しい状況が続いている。ただ、今期は天満屋ストア初となるNSC1号店ハピーズ大安寺店が出店しており、今後、厳しい財務状況の中で、このNSC業態を増やしてゆければ、収益面でも大きく貢献することが見込まれよう。現在店舗数は25店舗であるので、NSC業態がまず5店舗を超えてくれば、全体へのインパクトも大きくなり、営業面だけでなく、財務面の改善にもつながってゆくものといえ、いかに、今後、NSCを出店してゆくかが当面の経営課題といえよう。次の天満屋ストアのNSCの出店に注目したい。

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May 12, 2008

ヤオコー、2008年3月期、16期増収増益、2,000億円!

   ヤオコーが2008年3月期の決算を5/7、公表した。先週ぐらいから、食品スーパーマーケット業界の3月期決算の公表がはじまった。食品スーパーマーケット業界の3月期決算は約10社ぐらいであるが、今後、順次公開されてくるものといえよう。そのヤオコーの決算概要であるが、営業収益2,022.53億円(107.4%)、 営業利益78.14億円(112.1%:営業収益比3.86%)、経常利益78.03億円(112.3%:営業収益比3.85%)、当期純利益 42.27億円(109.9%:営業収益比2.08%)となり、年商2,000億円を突破し、単体では19期連続、連結では16期連続の増収増益となる好決算であった。

   特に、ヤオコーは積極的な新規出店と既存店の改装を実施しており、今期も2007年4月に太田小舞木店(群馬県太田市)、幸手店(埼玉県幸手市)、7月に川越新宿店(埼玉県川越市)、8月に上里店(埼玉県児玉郡上里町)、9月にユニモちはら台店(千葉県市原市)、11月に浦和上木崎店(埼玉県さいたま市)、そして、2008年1月に取手戸頭店(茨城県取手市)をオープンしている。店舗改装についても、17店舗について実施しており、これが全体の数字を押し上げたと同時に、既存店も101.6%と堅調な伸びをもたらしたといえよう。

   ヤオコーは日本でも最もNSC(近隣型ショッピングセンター)へ特化した出店政策をとっており、今期、新店7店舗の内6店舗がNSCでの出店であり、来期もすでに3店舗の出店が決まっているが、すべてNSCでの出店である。また、既存店の改装17店舗内、13店舗がNSCの改装であり、日本の食品スーパーマーケット業界ではいち早くNSC業態を確立したといえよう。その結果、店舗数は、埼玉県64店舗、千葉県11店舗、群馬県8店舗、栃木県5店舗、茨城県9店舗、東京都1店舗の計98店舗となり、次期は、期中には確実に100店舗に到達することとなる。ちょうど、年商も2,000億円となり、1店舗当たり平均も約20億円という食品スーパーマーケットとしては極めて安定した売上規模である。  

   ここへきて、食品スーパーマーケット業界も年商2,000億円、100店舗規模の企業が各地で生まれつつあり、このクラスになると客数もほぼ年間延べ1億人を超える規模となり、各地区の食生活にはかかせない、まさにライフラインをささえる一大産業となりつつあるといえる。今後、このクラスを核に、M&Aも含め、年商5,000億円、1兆円の企業が近い将来、食品スーパーマーケット業界でもいつ誕生してもよい環境が整いつつあるといえよう。

   ヤオコーの今期決算のもうひとつの特徴は惣菜(デリ)部門の売上構成比が過去最高の数字、13.9%となったことである。生鮮No.1の青果が12.8%であるので、その差が1ポイント以上開いたことになり、昨年の13.6%、一昨年の13.3%と比べても毎年、確実に惣菜の売上構成比が上昇しており、食品スーパーマーケットの中でも惣菜(デリ)No.1の企業はめずらしいといえよう。また、粗利率も48.39%(昨年47.96)と高い数字であり、結果、相乗積(粗利構成比)6.7%と全体の粗利率が28.8%であるので、何と、約25%近い粗利貢献度であり、売上だけでなく、粗利への貢献度も極めて大きな戦略部門となったといえよう。

   ヤオコーの全体の売上、粗利状況であるが、今期は、商品売買から得られる売上総利益が28.8%(昨年28.4%)と0.4ポイント改善しており、これはまさに惣菜(デリ)の貢献度に負うところが大きいといえよう。ただ、販売費及び一般管理費は28.9%(昨年28.9%)とほぼ売上総利益と同じであり、商品売買以外の利益で営業利益を引き上げている構造であるところが気になるところである。その最も大きな利益が物流センター収入であり、売上高対比で2.8%と巨額な数字となる。これに積極的なNSCの出店による不動産収入等が1.3%加わり、合計4.1%の営業収入があり、この分がほぼそっくり、営業利益にのり、今期の営業利益は差引4.0%(昨年3.9%)となった。物流センター収入、不動産収入が営業利益に大きく貢献しているといえよう。

   一方、今期のヤオコーの自己資本比率であるが、43.3%(昨年42.6%、1昨年40.4%)と年々、好調な決算を背景に改善しており、負債に頼らない新規出店構造ができつつあるといえよう。ヤオコーの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は413.33億円(昨年384.47億円)と総資産の63.2%であり、自己資本比率43.3%ではカバーできず、負債に約20%負う構造である。その負債の主要項目である長短借入金であるが86.79億円(昨年104.75億円)と好調な決算により、昨年より、約20億円削減され、総資産にしめる割合は13.2%であった。これに自己資本比率43.3%を足しても56.2%であるが、ヤオコーの場合は預かり保証金が50.54億円と総資産の7.7%あり、これを足すとほぼバランスがとれる構造となっている。したがって、今後、さらに安定成長をはかってゆくためにも、負債を削減し、自己資本比率を引き上げてゆくことも課題といえよう。

   このように、ヤオコーの2008年3月期の決算が公表され、増収増益の好決算となり、年商も2,000億円を超え、店舗数も98店舗、来期は確実に100店舗となり、売上規模も食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスとなった。その原動力がNSCを戦略業態にすえ、惣菜(デリ)を核にした商品戦略にあるといえよう。ただ、今後、この勢いをさらに継続してゆくには、もう一歩、財務面、自己資本比率の充実が課題といえよう。今後、この好調な決算をもとに、ヤオコーの財務面がどこまで堅固なものになるかに注目したい。

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May 11, 2008

丸久、2008年2月期、増収増益、自己資本比率改善!

   丸久が4/10、2008年2月期の決算を公表した。営業収益676.69億円(106.4%) 、営業利益34.50億円(110.4%:営業収益比5.09%)、経常利益32.29億円(113.1%:営業収益比4.77%)、当期純利益14.47億円(158.9%:営業収益比2.13%)と増収増益、特に利益が2桁増となる好決算となった。これにともない、利益剰余金が増加し、借入金の返済が進み、自己資本比率がここ数年では最高の数字となる24.0%まで回復した。

   丸久はここ数年、自己資本比率が低迷し、新規出店が思うように進まない状況であったが、この5年間の自己資本比率の推移を見ると、2004年(14.4%)、2005年(15.8%)、2006年(18.7%)、2007年(20.5%)、そして、2008年(24.0%)と年々自己資本比率を高めており、財務内容が確実に好転しはじめている。特に、2005年にイズミと業務資本提携を結び、イズミが4.22%の株式を所有し、翌年にはマルキュウポイントカードとイズミのゆめカードのポイント相互乗入れを開始するなど、業務提携も着実に進みつつあり、その面からの成果もあらわれつつあり、業績もここ最近好調である。ただ、自己資本比率24.0%は以前と比べ大きく改善したとはいえ、まだまだ、低い数字であり、今後、成長路線に軌道を乗せるためには、さらに、改善が必要といえよう。

   丸久の自己資本比率が24.0%となる要因は、資産面で見ると、出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金保証金の合計が224.97億円(昨年228.72億円)と総資産の70.16%を占めており、自己資本では全くカバーできない構造となっているためである。そのため、負債に大きく依存しており、負債の主要項目である長短借入金の合計が159.61億円(昨年177.18億円)と昨年と比べ約20億円削減されてはいるが、総資産に占める割合は49.7%と大きい。これに自己資本比率の24.0%を足すと、73.7%となり、バランスがとれる構造となっており、借入に大きく依存した出店構造となっている。ちなみに、丸久は現在50店舗であるので、1店舗当たりの出店にかかわる資産は4.49億円である。

   ここ最近、丸久は戦略店舗として、MARUKYUのARUKをとったSSM業態のアルクを開発し、出店しはじめており、この戦略業態が丸久の収益構造の好転につながっているといえる。すでに、アルクは24店舗と全50店舗の内、約半分をしめており、今期の新規出店1店舗、そして、来期の新店2店舗もアルクである。また、丸久の売上ベスト10はすべてアルクであり、売上伸び率ベスト10の内、ベスト3を含む6店舗がアルクであり、アルクがまさに丸久の戦略業態となったといえよう。アルクの現在の売上ベスト3は、アトラス萩店34.84億円(100.5%)、5,697㎡、アルク下松店28.12億円(116.6%)、1,901㎡、アルク琴芝店24.35億円(101.8%)、1,992㎡であり、伸び率べスト3は、アルク下松店28.12億円(116.6%:H17/6開店)、1,901㎡、アルク新南陽店18.19億円(111.9%:H17/10開店)、1,357㎡ 、アルク小野田店16.55億円(109.1%:H12/11開店)、1,930㎡である。

    今期、丸久の収益構造であるが、売上総利益が25.2%(昨年25.4%)と0.2ポイント下がっており、不動産収入等の営業収入は2.5%(昨年2.5%)と変わらなかったので、結果、営業総利益が27.7%(昨年27.9%)と2ポイント下がった。一方、販売費及び一般管理費は22.5%(昨年22.8%)と0.3ポイント改善しており、差し引き、0.1ポイントの改善となり、営業利益が5.2%(5.1%)となった。粗利は若干下がったが、経費が改善し、結果、営業利益が上昇しており、アルク業態は結果として経費改善に繋がっているといえよう。営業利益が5%を超える食品スーパーマーケットはそう多くはないので、丸久はアルクを戦略業態に据えた結果、確実に高収益体制ができつつあるといえよう。今後、この高収益体制を維持し、財務改善につなげてゆければ、自己資本比率はさらに改善され、成長余力が徐々に生まれてくるといえよう。

   これを受けて、丸久の株価であるが、残念ながら、株価は決算発表の4/10前も後も800円前後で横ばいであり、売買高も低迷しており、投資家の動きは鈍いといえる。丸久の株価は今年前半は1,000円前後で推移していたが、2月に入り株価が下がりはじめ、その後、3/10には年初来最安値となる740円をつけた。ただ、その後、株価はややあがりはじめ、4月に入り、800円を超えたが、その後、株価は4/10の好決算を受けても横ばいが続いている状況である。

   丸久のここ最近の動きであるが、3/17に山口県に8店舗を展開する食品スーパーマーケット、ピクロスの株式を取得し、子会社化しており、M&Aにも積極的に動き始めた。ちょうど、業務・資本提携をしているイズミも九州で36店舗を展開するマルミヤと資本・業務提携をしており、中国地方ではイズミを中心に、九州をも視野に入れた食品スーパーマーケットのM&Aが起き始めている。

   このように、丸久の2008年2月期の決算は増収増益の好決算であり、しかも、営業利益率も5%を超える高収益であった。今後、この好決算が来期以降も維持できるかどうかがポイントとなるが、丸久が現在取り組んでいる戦略業態アルクの売上規模、伸び率を見る限り、安定している。したがって、アルク業態の売上構成比が増えれば増えるほど、収益は安定してくるといえ、まさにアルクが丸久の戦略業態になったといえよう。丸久の今後のアルクの新店に注目である。

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May 10, 2008

日経MJ、新製品ランキング5/9、依然値上げ関連独占!

   日経MJ、新製品ランキングが5/9、公表された。今週も値上げ関連の新製品がズラリと上位を独占した。特に洋日配、飲料関連では定番商品の重点商品がこの値上げにより、バーコードを変えた商品が多く、新製品と見なされたため、上位にランクインしているのが特徴である。通常、日配の定番での重点商品は客単価(金額PI値)500円(1人当り0.5円)と見てよいが、500円を超える新製品が今週は全部で12品もあり異常値であるといえよう。ちなみに、新製品においては、Aランクが客単価500円、Bランクが客単価300円、Cランクが客単価200円でみればよく、ちょうど、新製品のAランクが定番の重点商品と同じ客単価500円となる。

   まず、先に、客単価1,000円を超えた超Aランクの今週の新製品を見てみたい。全部で4品あり、その内、値上げ関連が3品である。No.1は明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81 500g、客単価1,629円(1人当り1.629円)であり、カバー率100%であり、対象45チェーン、250店舗すべての店舗に導入されている定番中の定番、しかも客単価Aランクの500円を優に超え、最重点商品である。平均単価は154円であるので、PI値を逆算すると、(1,629円÷1,000人)÷154円=1.05%であり、PI値1%を超える超重点商品であることがわかる。PI値1%は大変な商品であり、月間数字でこの水準を超える商品は食品スーパーマーケットの生鮮を含む全商品の中でも数百品しかなく、店舗にとって重要な商品にとどまらず、お客さまのライフラインをささえる最重点商品といってもよいくらい高い数字である。

   No.2は同じく、明治乳業、おいしい牛乳1000mlであり、客単価1,343円であり、カバー率は74.0%である。PI値を逆算すると平均単価が217円であるので、0.61%となり、1%は切るが0.5%を超えており、これも高い水準のPI値である。PI値0.5%は食品スーパーマーケットの全商品の中では500~1,000番以内には入高水準であり、重点商品といってよい数字である。No.3は客単価1,240円で家庭用品から、これはまさに新製品のカネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョン(医薬部外品)45mlが入った。ただ、平均単価は9,699円と高額であり、PI値を逆算すると0.012%となり、1日2,000人の平均的な食品スーパーマーケットで4日か5日に1個売れる商品であるので、客数が1日5,000人以上は欲しいところであり、客数の多い食品スーパーマーケットのみお薦めといえよう。No.4は日本ミルクコミュニティ、メグミルク牛乳1Lが客単価1,017円で入った。平均単価は180円であるので、PI値は逆算すると0.56%であり、これも重点商品の基準をクリアーしており、重要な定番商品といえよう。

   以上が今週客単価超Aランクの1,000円を超えた新製品であるが、これについで、客単価Aクラスの500円台の新製品を見てみたい。このクラスの新製品が最も多い部門は飲料部門とその他食品部門の3品であり、ついで、家庭用品1品、冷凍食品1品となる。その中でも最も客単価の高かった新製品は日本コカ・コーラのまさに新製品、ファンタふるふるシェイカーオレンジ190mlであり、客単価990円、先週比369円と異常値である。平均単価は98円と先週97円から1円上がっており、価格訴求によらない異常値が発生しており、各食品スーパーマーケットでエンド展開等の販促がかかったものといえよう。カバー率も86.4%と高く、今後、注目の新製品といえよう。

  ついで、客単価751円の明治乳業、おいしい牛乳スーパーESL1,000ml、客単価657円のマックスファクター、SK-Ⅱホワイトニンングソースダームディフィニション50ml、客単価655円の明治乳業、プロビオヨーグルトLG21 120g、客単価608円のハーゲンダッツジャパン、ドルチェミルフィール106ml、客単価546円の明治乳業、北海道十勝ヨーグルト90g×4、客単価543円の伊藤園、おーいお茶新茶500mlペットボトルと続く。以上が、客単価Aランク500円以上の今週の新製品である。この中で、ハーゲンダツのドルチェ、日本コカ・コーラのファンタふるふる、伊藤園のおーいお茶、そして、カネボウ化粧品のブランシール、マックファクターのSK-Ⅱがまさに新製品であり、注目といえよう。

   また、今週の興味深い動きとしては、菓子部門でネスレコンフェクショナリーのキットカットシリーズが好調であり、No.1に客単価366円でミニ15枚、No.7に客単価156円でミニ苺味14枚、No.11に客単価112円でミニきなこが入っており、注目である。そして、冷凍食品でもNo.2に味の素、ギョーザ12個入りが客単価471円で入っており、ギョウーザも復活しはじめたといえよう。

   このように、今週も値上げ関連商品が上位を、極めて高い客単価で独占したが、それを除いた本当の新製品も飲料部門、菓子部門、冷凍食品部門等で増え始めている。今後は、当面、この2つが混在しての動きとなると思うが、どちらにせよ、客単価Aクラス500円以上については無条件で定番化の見直しに入ってよい水準の高い数字であるので、客単価500円を超えた場合は要注意である。来週以降も新製品の動向に注目といえよう。

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May 09, 2008

カスミ、2008年2月期決算、増収増益、客数1億人突破!

   カスミが4/18、2008年2月期の決算を公表した。営業収益2,028.29億円(107.3%)、営業利益61.31億円(115.5%:営業収益比3.02%)、 経常利益67.32億円(116.7%:営業収益比3.31億円)、当期純利益24.87億円(170.9%:営業収益比1.22%)と増収増益の好決算であった。特に、今期は営業収益も2,000億円を超え、売上ベースでは客数も1億429万人(年間延べ)と1億人の大台を超えた。現在、カスミの客単価は1,867円であるが、これで客単価1円が年間1億円の重みとなる。食品スーパーマーケットのチェーンストアは、100店舗を超えると、客数が年間延べ1億人近くとなるが、カスミもいよいよ年間1億人の客数を超えるチェーンストアとなった。

   ただ、今期は既存店が100.0%(客数101.5%、客単価98.5%)とやや伸び悩んでおり、売上が伸びた要因は積極的な新規出店に負うところが大きかった。新規出店に関しては、押堀店(千葉県東金市)、フードスクエアロックシティ水戸南店(茨城県東茨城郡茨城町)、フードスクエアロックシティ守谷店(茨城県守谷市)、荒川本郷店(茨城県稲敷郡阿見町)、ミーモ店(茨城県水戸市)、田間店(千葉県東金市)、笠間店(茨城県笠間市)、フィズ店(茨城県猿島郡境町)と計8店舗をオープンしている。これにより、茨城県85店舗、埼玉県19店舗、千葉県19店舗、栃木県7店舗、群馬県3店舗の計133店舗となった。

   また、今期の営業利益であるが、商品売買から得られる売上総利益は27.8%(昨年27.9%)と価格競争が厳しかったと見え、0.1ポイント下がっている。これに不動産収入等の営業収入が3.4%(昨年3.6%)乗るが、これも0.2ポイント昨年よりも下がり、結果、営業総利益は31.2%(昨年31.5%)と0.3ポイントダウンし、今期の粗利は厳しい状況であった。これに対し、販売費及び一般管理費は28.1%(昨年28.6%)と0.5ポイントと大きく改善し、結果、差し引き、営業利益が3.1%(昨年2.9%)と0.2ポイント改善し、営業利益が営業収入の伸び107.3%と相まって、115.5%と2桁の大幅増となった。粗利は苦しかったが、大幅な経費の削減が利益を押し上げたといえよう。

   カスミは現在、イオンの子会社であり、株式は32.8%をイオンが所有している。現在取締役9名、監査役4名で経営の意思決定をしているが、イオンからは社外取締役として、1名受け入れ、岡田元也社長自らが取締役相談役となっている。したがって、経営の独立性は保たれてはいるが、イオンとの関係は徐々に深まっており、イオンが株式を1%増やすと33.3%を超え、イオンの発言権が大きく増すことになるので、今後、イオンがどこまでカスミの経営権に踏み込むかが注目である。最近はイオンのPB、トップバリュの扱いもはじめているが、今期の売上総利益を見る限りでは、売上総利益の数字が昨年よりも落ちており、まだ経営へインパクトを与えるほどにはなっておらず、今後、どこまでイオンとの関係が深まるかがポイントであるが、それも、あと1%イオンが株式の所有比率を引きあげるかにもよるといえよう。

   これに対して、カスミの今後の成長をうらなう上で、その出店余力であるが、今期決算の自己資本比率は46.8%(昨年43.9%)と昨年よりも増加しており、ここ数年の中でも最も高い自己資本比率となった。カスミの出店にかかわる資産である土地、建物、敷金・保証金の合計は433.82億円(昨年440.56億円)と昨年より若干減り、総資産に占める割合は55.5%であり、自己資本比率を約10%うわ回る出店にかかわる資産構造となっている。ちなみに、全133店舗で割ると3.26億円であり、食品スーパーマーケット業界の平均よりもやや低い数字といえ、出店コストを抑えた新規出店体制ができているといえよう。

   一方、負債面を見てみると、その主要項目である長短借入金は110.36億円(昨年166.08億円)と約50億円削減されており、これは一昨年の208億円と比べると約半分となる金額であり、ここ数年で、この好調な決算を受け、急激に長短借入金を削減しており、財務体質が改善されつつある。今期、総資産に占める割合も14.12%となり、自己資本比率の46.8%を足すと、60.92%となり、出店にかかわる資産55.5%をうわ回る構図となる。来期以降も好決算が続けば、数年後には無借金経営も視野に入り、出店余力は増し、堅固な財務状況となろう。

   これを受けて、カスミの株価であるが、4/18以前の1ケ月前の3/17には年初来最安値457円をつけていたが、その後、株価は反転し、上昇に転じた。4月に入り、株価は540円まであがり、しばらくこの近辺でもみ合っていたが、4/18に今回の好決算が公表されると通常数万株の商いであった売買高が、いきなり、約20万株の大きないとなり、この日を境にさらに株価が上昇しはじめ、4/30には年初来最高値となる602円を付け、5月に入っても600円前後で推移している。投資家はカスミを買いと判断したといえよう。

   このように、2008年2月期のカスミの決算が好決算となり、積極的な新規出店と経費の削減により、大幅な増収増益となった。また、ここへ来て、借入金も大幅に削減されつつあり、自己資本比率も改善され、財務内容が確実に改善されつつあり、新規出店余力が増しつつあるといえよう。今後、この好調な決算を背景に、イオンとどこまで資本・業務提携が深まってゆくのかに注目したい。

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May 08, 2008

家計調査データ、2008年3月度、値上げの影響は?

   家計調査データ、2008年3月度のデータが4/30、公表された。3月度の家計調査データは、はまさに値上げ商品の影響がどう家計に影響を与えたかが反映される月でもあり、注意深くデータを分析することがポイントとなるが、総じて、値上げされた商品の動きは良い動きをしており、しかも、客数PI値は減っておらず、家計は現段階では値上げを受け入れざるをえなかったといえ、これまでどおりの購入をしているようである。客数PI値がほとんど下げっていないことから、消費額が上がった商品は平均単価の上昇以上に購入数量が下がらなかったということであり、食品スーパーマーケットにとっては、現段階では値上げはプラスに働いているといえよう。ただ、今後も値上げが続くため、今後とも消費動向については注視してゆくことが必要といえよう。

   本ブログでは、家計調査データを独自に分析しており、通常公表される月間の数字を1日当りに換算し、さらに、このデータを購入世帯数の割合と購入世帯のみの消費額に分解し、食品スーパーマーケットの客単価と比較しやすいようにしている。これにより、消費額が上がった場合、落ちた場合もその原因を購入世帯の割合に問題があるのか、購入世帯の消費額に問題があるのかの原因を突き詰めることが可能となり、より消費実態に迫ることが可能となる。

   さて、この3月度の家計調査の全体であるが、外食を除く、食品のみの消費額は、1,956.87円(100.3%)となり、微増であった。衣食住、サービスを含む全体の消費額は10,082.74円(99.7%)であったので、食品は堅調な数字であったといえよう。その中で最も伸びた部門は、油脂・調味料105.84円(107.3%)、肉類209.94円(105.1%)、穀類215.94円(105.0%)であり、値上げ商品群の多い部門の数字が良かったといえる。逆に、伸び悩んだ部門は調理食品(惣菜)254.61円(93.3%)、果物 91.23円(95.5%)、魚介類239.16円(96.1%)、飲料113.68円(96.7%)であり、惣菜、生鮮食品関連が多かった結果となった。

   このような中で、個々の項目で注目すべき、特に値上げ関連商品の状況を見てみると、絶好調の穀物であるが、乾うどん・そば3.97円(139.8%:購入世帯のみの消費額134.0%、購入世帯の割合104.3%)、小麦粉2.32円(138.5%:119.8%:115.6%)と、この2つは異常な伸び率であり、特に、購入世帯のみの消費額が増加しており、数量の落ち込みが少なく、値上げ分がそのまま、消費額にプラスに働いている結果といえよう。これ以外にも、スパゲッティ3.87円(118.8%:116.9%:101.7%)、即席めん4.55円(116.5%:118.4%:98.4%)、もち2.77円(113.2%:103.9%:109.0%)、食パン26.23円(12.4%:109.3%:102.9%)と、いずれも2桁の伸びであり、値上げ問題が、3月度に関してはプラスに左右していることが鮮明である。また、値上げ幅の大きかったカップめんに関しては、8.94円(102.2%:114.0%:89.7%)と消費額は微増であるが、購入世帯数の割合が89.7%と大きく落ち込んでおり、さすがに買い控えが起こっているといえよう。ただ、購入世帯のみの消費額は114.0%とプラスになっているので、平均単価の上昇以上に数量が落ち込まなかったといえ、現段階では金額ベースで踏みとどまっている段階といえるが、もう一段値上げがあると、消費に影響を与えそうな状況といえよう。

   同様に、穀物の値上げに関連する商品群として油脂・調味料があるが、全体では107.3%と好調であるが、これも個々に見ると、カレールウ4.90円(118.8%:115.3%:103.0%)、マーガリン2.55円(117.9%:109.2%:107.9%)、乳卵類ではあるが、バター2.61円(109.5%:112.2%:97.6%)、と好調である。さらに、油脂・調味料を見ると、食用油8.03円(111.7%:108.0%:103.4%)、ジャム3.87円(111.1%:100.2%:110.9%)と以上が2桁の伸びである。また、ふりかけ4.23円(109.2%:103.2%:105.8%)、砂糖4.35円(108.9%:100.2%:108.6%)、みそ7.16円(108.8%:112.5%:96.7%)、マヨネーズ・ドレッシング8.68円(108.0%:102.9%:105.0%)といずれも好調であり、全体的に好調な数字となっており、この商品群も値上げが現段階では、大きくプラスに左右しているといえよう。

   また、これらと関連しているかどうかわからないが、生鮮食品では肉類が105.1%と好調である。特に、合いびき肉5.45円(114.2%:103.4%:110.5%)、鶏肉33.94円(111.8%:109.7%:101.9%)、ソーセージ19.52円(111.0%:106.6%:104.1%)が2桁の伸びであり、好調である。ただ、牛肉は53.84円(98.4%:98.7%:99.7%)と伸び悩んでいるとこが気になるところである。

   一方、これら好調な商品群に対し、明らかに、消費額が下がった商品群もあり、調理食品(惣菜)が93.3%という落ち込みである。コロッケのみ唯一5.68円(112.8%:107.2%:105.2%)と2桁伸びたが、うなぎのかば焼き4.77円(55.0%:114.1%:48.2%)、ぎょうざ4.58円(72.4%:107.5%:67.4%)、しゅうまい2.45円(79.2%:101.3%:78.1%)、やきとり4.58円(82.1%:95.9%:85.6%)と中国問題、冷凍餃子事件が尾を引いているようで、これらの商品の回復が見られない状況といえる。また、主食の弁当、寿司、おにぎりともに昨対を割っており、厳しい状況である。

   このように、現在、家計調査データの直近は3月度のデータであるが、この数字を見る限りでは値上げ問題は現段階では消費者へ大きな影響を与えているとはみえず、価格の上昇分がそっくり、売上に反映されている状況といえよう。食品スーパーマーケットにとっては追い風になっている現状といえるが、値上げは4月、5月以降も続々と続いてくるため、今後の消費動向については、注意深く見てゆく必要があろう。

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May 07, 2008

ハローズ、2008年2月期、増収増益、来期、香川へ出店!

   広島のハローズが2008年2月期の決算を4/11、公表した。売上高571.94億円(109.6%)、営業利益20.44億円(107.5%:売上対比3.57%)、経常利益20.22億円(107.9%:売上対比3.53%)、当期純利益11.36億円(113.0%:売上対比1.98%)となる増収増益の好決算であった。特に、今期は、24時間営業、600坪タイプの新店を2007年7月、乙島店(岡山県倉敷市)、2007年12月、西大寺店(岡山県岡山市)、2008年2月、江崎店(岡山県岡山市)と3店出店しており、売上高も109.6%と堅調な伸びを示した。現在、ハローズは、広島県19店舗、岡山県18店舗、計37店舗であるが、来期はいよいよ四国へ参入することが決まり、今後、香川県の新たなドミナントエリアを加え、広島、岡山の3極構造となり、中長期的にはこの地区で1,000億円を目指すという。

   ハローズは、経営目標にROA(総資産経常利益率)12.0%を掲げ、財務バランスを重視する経営戦略を採用している。そのため、ROA(総資産経常利益率)=売上高経常利益率×総資産回転率であるので、それぞれの目標を明確にした経営に心がけている。売上高経常利益率に関しては4.0%を目標とし、高収益商品の開発、情報システム、物流システムの改革、固定費の削減に取り組んでいる。また、総資産回転率については、3.0回を目標とし、用地の取得物件を賃借物件3に対して、取得物件1の割合を基準とし、事業用定期借地契約を行い、新規出店に伴う設備投資額を抑えた出店に心がけているという。経営目標にROA、ROEを掲げる食品スーパーマーケットはあるが、ここまで、具体的にその中身にまで踏み込み、経営目標を公開しているのは希であり、その意味でもハローズはPLよりも、BS重視の経営に徹した食品スーパーマーケットといえよう。

   ただ、気になるのは自己資本比率38.8%(昨年41.4%)であり、ROA=ROE×自己資本比率でもあるので、自己資本比率が低い場合は、ROE(株主資本利益率)を極端に引き上げないとROAが上昇しないため、極端な事例では株主資本を極力低く抑え、利益率の極大化をはかることにもなりかねず、新規出店が負債重視となりかねず、その意味で自己資本の充実は好決算であるがゆえに、今後の課題といえよう。

   そのハローズの出店構造を見てみると、出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金保証金の合計は151.46億円(昨年130.37億円)であるので、約20億円増加しており、総資産に占める割合は65.49%であり、自己資本比率38.8%では賄えない構図である。当然、負債に負うところとなるが、その主要項目である長短借入金の割合は、62.44億円(昨年50.23億円)であるので、総資産の27.0%となり、自己資本比率の38.8%を足すと65.8%となり、バランスがとれ、約40%を借入に負う出店構造といえ、今後、一層の成長路線に経営の軌道を乗せてゆくには、この自己資本比率の改善も重要な経営課題といえよう。ちなみに、ハローズは現在、37店舗であるので、1店舗当たりの出店にかかわる資産は4.09億円であり、450坪、600坪型のSM、NSCが主力となりつつある現状では資産を抑制した出店となっているといえよう。

   また、ハローズの業態開発については、早くから24時間化に取り組んでおり、1994年には早くも、業界に先駆けて300坪24時間化がスタートしている。現在では450坪、600坪型の24時間営業を主力業態とし、最近ではNSC(近隣型ショッピングセンター)にも力を入れている。今後は都市住宅地域には300坪タイプ、郊外住宅地域には450坪、600坪タイプを出店してゆき、自らデベロッパーとなる最小の投資コストでテナント退店のリスクの低いNSCの開発にも力を入れてゆくという。

   さらに、ハローズは、現在、年商規模が500億円台であるが、年商1,000億円、将来的には瀬戸内海沿岸で3,000億円構想もあり、これらを念頭においてと思われるがPB開発にも積極的に取り組み、NB商品と同品質で、価格は3割安く、値入れは30%以上を目指している。現在、デイリー、一般食品、菓子、鮮魚を中心に444品目のPBを開発しており、その売上は全体の6.1%となり、年々売上構成比を高め、粗利率への貢献度もじわじわと表れつつある。将来的に10%を超えてくると、PBの影響力が高まり、価格競争力に加え、粗利改善につながるので、経営へのインパクトが生じてくるといえよう。

   これを受けて、ハローズのここ最近の株価であるが、決算発表前は571円まで下がった時もあったが、この決算が公表された4/11には580円となり、その後、株価は4月中旬になると600円を超え、現在650円前後で推移しており、投資家は今回の決算を買いと判断しているようである。

   このように、ハローズの2008年2月期の決算は増収増益の好決算となり、今期も新規出店3店舗と順調に出店を増やし、来期も4店舗が予定されている。しかも来期はいよいよ、四国、香川県への出店、2店舗が予定されており、ドミナントエリアが増えることとなる。また、そのための戦略フォーマート24時間、600坪タイプの食品スーパーマーケットを核としたNSC業態の開発も進んでいる。近々に出店されるであろうハローズの四国、香川県への初となる第1号店の動向に注目したい。

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May 06, 2008

MV西日本、2008年2月期、好調、来期2,000億円へ!

   マックバリュ西日本が4/7、2008年2月期の決算を公表した。営業収益1,959.38億円(106.8%)、営業利益76.70億円 (111.8%)、経常利益79.51億円 (111.7%)、当期純利益38.65億円 (125.8%)と好調な決算であり、何れも過去最高益を更新した。既存店に関しても対前期比で102.9%という堅調な数字であった。来期はいよいよ、年商2,000億円を達成する予想であり、営業収益2,150.00 億円(109.7%)、営業利益83.00億円(108.2%)、経常利益85.00億円 (106.9%)、当期純利益41.00億円(106.1%)の予想である。

   マックスバリュ西日本は、ここ最近、積極的な新規出店を行っており、年間2桁以上の出店による積極的なスクラップ&ビルドを推進している。2006年より、四国へもドミナントエリアを拡大しているが、今期も2店舗(丸亀城南店・西の土居店)を出店し、四国エリアは3店舗となった。現在、マックスバリュ西日本は、この四国3店舗を加え、兵庫県に73店舗(売上構成比50.7%)、岡山県8店舗(6.4%)、広島県21店舗(22.4%)、山口県30店舗(20.2%)の合計135店舗を展開している。

   今期、マックスバリュ西日本が過去最高の増益となった要因を見てみると、販売費及び一般管理費は22.8%(昨年22.77%)と0.1ポイント上昇しているが、売上原価を75.2%(昨年75.5%)と0.3ポイント引き下げたことが大きかった。営業収入は昨年同様2.0%であったので、結果、営業総利益が26.8%(昨年26.5%)と0.3ポイント上昇し、販売費及び一般管理費の0.1ポイントの上昇をカバーし、営業利益が4.0%(昨年3.8%)と0.2ポイント改善した。これに、営業収益106.8%が相まって、営業利益を過去最高の数字に押し上げたといえよう。

   マックスバリュ西日本は食品スーパーマーケット業界の中でもグロサリー関連構成比が高く、加工食品23.5%、酒類6.9%、日配食品9.8%、パン・生菓子5.5%、乳製品・冷蔵飲料7.2%、冷凍食品3.3%、日雑他7.4%と非生鮮構成比が63.6%と約60%強を占めている。生鮮関連は農産10.8%、水産8.8%、畜産8.5%、惣菜8.3%の36.4%である。したがって、グロサリー関連の粗利率の改善が全体へは大きな影響を与える構造であり、今期は特に、イオンのPB、トップバリュの売上構成比が前期の6.3%から7.4%へと1.1%上がっているので、この影響も大きかったといえよう。今後、イオンではグループをあげてトップバリュの強化に入ることから、マックスバリュ西日本も近々には売上構成比が10.0%を超えてくるものといえ、さらに、粗利改善につながるものといえよう。

   また、マックスバリュ西日本は様々な業態開発にも取り組んでおり、現在、SSM(スーパースーパーマーケット:NSCを含む)が73店舗と最も多く、全体の売上の54.7%を占めている。今期新規出店の9店舗の内、7店舗がSSMであり、しかも、このすべてがNSC(近隣型ショッピングセンター)である。食品スーパーマーケット業界の主力フォーマットは現在、NSCとなりつつあるが、マックスバリュ西日本もここ最近はNSC業態での積極的な新規出店を繰り広げている。SSMについで、SM(スーパーマーケット)が多く、40店舗(売上構成比23.4%)である。もともと、マックスバリュ西日本は小型食品スーパーマーケットのウェルマートが発祥であり、依然は小型食品スーパーマーケットが主力業態であったが、ここ最近は、主力業態がSSMへ移ったといえる。

   これら2つの業態に加え、立地によっては、ザ・ビックというディスカウント業態もあり、現在13店舗、売上構成比は19.5%となっている。この業態は既存の店舗を業態変換する場合が多く、価格競争が厳しい既存店のディスカウント政策として、業態転換する場合が多い。さらに都市部の店舗面積が限られる立地にはCSM(コンビエンススーパーマーケット)という業態もあり、現在9店舗、売上構成比は2.4%である。業態としては、4つ持っているが、主力業態は現在SSMに絞られつつあり、今後、このSSMを主体にNSCでの展開が増えてゆくものと予想される。

   そこで、これらを支える出店余力であるが、今期決算時の自己資本比率は46.4%(48.0%)であり、若干、昨年よりは下がったが、安定した自己資本比率である。出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は320億円(昨年286.3億円)であり、総資産に占める割合は50.5%とほぼ自己資本比率46.4%とバランスがとれており、自己資本内での新規出店が可能な構図であり、出店余力は高いといえよう。ちなみに、これを全135店舗で割ると1店舗当たり2.3億円となり、食品スーパーマーケット業界の中でも極めて出店にかかわる資産が小さい構造であり、ここ最近2桁の積極的な出店を裏づける財務構造であるといえよう。また、負債について、その主要項目である長短借入金等を見てみると、6.34億円(昨年20.08億円)であり、この好調な決算が続けば、来期は無借金経営が可能であり、財務的には極めて堅固な体制が築かれつつあるといえよう。

   このようにマックスバリュ西日本の決算は増収増益の過去最高の決算となり、いよいよ、来期は年商2,000億円、かつ無借金経営が視野に入ったといえ、今後、瀬戸内海地区では最も元気な食品スーパーマーケットの1社として、成長が期待できる堅固な経営体制が築かれつつあるといえよう。今後のマックスバリュ西日本の動向には注目である。

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May 05, 2008

Chain Store Age、5/01号、POS分析で売場改革、第2弾!

   Chain Store Age、5/01号に「POS分析で売場改革」実践講座、店長、バイヤー必読の第2弾、「冷凍食品の話」を投稿した。この記事は先月からスタートし、前回は「食パンと菓子パンの話」と題し、POSデータからどのように品揃えを分析するかを解説し、食パンと菓子パンでは全く品揃えの実態が違い、それに応じたマーチャンダイジングが活性化の決め手になることを示した。今回は、一転、「冷凍食品の話」と題し、時間軸の活用についての解説をまとめてみた。

   冷凍商品を取り上げたのは、この1月の下旬に殺虫剤入り冷凍餃子事件が起き、その後、冷凍食品への消費者の買い控えが起こり、売上げが激減し、昨年との数字を比較することによって、まさに時間軸でPOSデータを分析し、状況を正確に把握できると考えたからである。実際に、TOPNAVI-NETの約400店舗、約2,000万人の延べ客数の2月度のPOSデータを分析してみて、歴然たる違いが分析され、冷凍食品への影響が予想以上に大きかったことが明らかになった。

   この影響は、ここ最近、回復基調にあるとはいえ、現在でも厳しい状況にある。ちょうど、5/2の日経新聞に「冷食各社、減産を継続」、「JT5割程度、味の素系は2割」、「中国製離れ鮮明」、「需要低迷、原材料高も響く」、さらには、「JT、8期ぶり減益、今期営業益見通し、のれん代償却1,000億円」という記事が掲載された。この中で、今後1年間減産が続けば、業界全体で約2,000億円の減収となるという。2007年の国内冷凍食品の市場の規模が約1兆円弱であるので、昨年対比は約80%という厳しい状況であるという。

   今回もChain Store Ageの記事の中で恒例のPOS分析分布図である金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店で分析した冷凍食品全品約2,700品を掲載した。また、図表3では、この2月度の冷凍食品の重点商品のデータの昨対比較を掲載したが、全体は約30%のマイナスである。この2月が最も影響の大きかった時期であるといえ、その後、回復傾向にあるので、日経の記事の予想のように昨対約80%よりは回復するとは思えるが、今期の冷凍食品はかなり厳しい数字となることは、今回のPOS分析からも十分に予想できるといえよう。

   一般にPOSデータを活用して時間軸で比較することは簡単なようで、難しい面がある。当然、単純な生データである売上金額、売上数量を比較しても、その中には客数が含まれているため、正確な時間軸での比較には適していない。時間軸を活用する場合は、必ず、この客数を除外して比較しないと判断を誤ることになる。そこで、客数を除外する方法がPI値、金額PI値の活用であり、要は顧客1人当たりに、売上金額、売上数量を換算することがポイントとなる。実際に時間軸で比較する際には、これを100倍(100人当たり)、1,000倍(1,000人当たり)にし、より分かりやすくしても良い。TOPNAVI-NETでは1,000人当りを基準にしているので、ここでは、金額PI値、PI値は1,000人当りで示して、冷凍食品の数字を比べている。

   今回、冷凍食品全品、約2,700品を分析してみたが、Chain Store Ageには誌面の掲載上、Aランク商品の一部しか掲載できなかったが、それらを見てみると、分析する前に予想していなかったことが起こっていた。それは、AランクのNo.1の商品、加ト吉の加ト吉S・さぬきうどん5食1000gの金額PI総店であり、この数字が1昨年よりも大きく跳ねあがっていたことである。金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店=客数PI値×数量PI扱店×平均単価であるので、各指標の昨年対比を見ると、その要因がわかる。この中で最も変化した指標は客数PI値も若干上昇しているが、数量PI扱店が大きく変化しており、平均単価はほぼ横ばいである。したがって、導入店舗の数も平均単価も昨年とさほど変わってはいないが、顧客の支持が大きく上昇しており、冷凍食品の中でもこの商品には顧客からの支持が集まったといえる。冷凍食品全体が下がったのではなく、逆に数字を大きく伸ばした商品もあったということである。

   さらに、それ以外の商品を見ても、その影響度はまちまちであり、大きく影響を受けたもの、あまり影響がなかったもの、逆にプラス効果のあったものもあり、金額PI値、PI値で時間比較をすると状況がよくつかめ、今後、どのような対策を打てば良いかが見えてくる。ポイントは金額PI総店は最終結果であり、ここが判断基準にはなるが、その要因は客数PI値であり、金額PI扱店であり、さらには、数量PI扱店であり、平均単価であるということである。

   このように、今回のChain Store Age、第2回目のポイントはPOS分析における時間軸の活用についてであったが、時間軸を活用する際には、必ず、客数1人当りに直した金額PI値、PI値で分析することがポイントであり、さらに、その原因を客数PI値、数量PI扱店、平均単価で見極めることが、次のマーチャンダイジングの改善につながることであり、ここをしっかりおさえるのが今回の記事の趣旨である。次回は、いま最も重要な経営課題のひとつである値上げ問題について、実際のPOSデータをもとにどのように分析し、対策を立てるかについて解説する予定である。

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May 04, 2008

商社、空前の利益、2008年3月期決算、大手5社最高益!

   日経新聞5/1に商社の記事が掲載された。「大手商社5社、最高益」、「前期純利益、資源高追い風に、三菱商事は11%増4,600億円」、「丸紅、新興国で自動車好調」、「投資拡大に慎重姿勢も」という見出しの記事である。かつて、商社冬の時代といわれた時もあったが、今期、商社は絶好調であり、空前の利益を計上した。記事の中ではまだ公表のない三井物産を除き、三菱商事、住友商事、伊藤忠商事、丸紅、双日の連結業績の一覧が掲載されているが、これを見ると、全社、純利益が増益となり、しかも来期予想も双日の1%減を除き、さらに増益予想であり、特に、来期は今期以上に資源・エネルギー部門が大幅な増益となる予想である。

   この2008年3月期の公表された実際の数字を日経新聞の表から見てみると、三菱商事4,627億円:11%(来期5,800億円:25%)、住友商事2,389億円:13%(来期2,430億円:2%)、伊藤忠商事2,185億円:23%(来期2,400億円:10%)、丸紅1,472億円:23%(来期1,650億円:12%)、双日1,014億円:13%(来期1,000億円:-1%)である。特に、今期も、そして、来期は今期以上に資源エネルギー部門が好調であるといい、まさに、ここ数年の資源高が商社に、空前の好景気をもたらしている結果が鮮明となった。

   少し、日経の記事の中身を見てみると、今回、商社の大幅な増益をもたらした要因は資源高による追い風に乗ったことに加え、新興国でのインフラ投資関連の機械受注などが増えたことも大きいという。特に、丸紅は中東やアジアで自動車や関連生産設備の販売が好調であったという。住友商事も欧州の自動車事業などが伸びたといい、資源高+新興国での好景気が商社の増益を押し上げたといえよう。

   さて、このような好況に沸く商社であるが、商社は小売業とも密接な関係がある。かつて、商社が積極的に小売業への投資を増やした時期もあったが、ここ最近は大きな動きがなく、今期の空前の好決算を踏まえ、今後、商社が小売業へどのようなアクションを起こすかが注目される。現在の商社と小売業との関係を、この4/15のチェーンストアエイジの記事、流通相関図をもとにまとめてみると、三菱商事はライフコーポレーションへ21%、ローソンへ31%、エーエムピーエムへ10%の投資である。三井物産はセブン&アイへ1.6%の投資であり、住友商事はサミットへ100%、マミーマートへ20%、関西スーパーマーケットへ10.1%である。丸紅はダイエーへ29.5%、マルエツへ29.9%、東武ストアへ30%、ローソンへ5.8%、そして、伊藤忠商事はファミリーマートへ31.4%という状況である。

   この中で、ここ最近の動きを見ると、住友商事は西友、ウォルマートの件では西友への支援が思うように進まず、今回のウォルマートへの株式売却においても評価損を出すなど、厳しい状況にあり、小売業へは積極投資が難しい状況にあるといえよう。また、丸紅もダイエーの活性化が中々軌道にのらず、苦労している。ここへきて、イオンとの2人3脚でダイエー、そしてマルエツの活性化に入っているが、イオン主導の体制が徐々に強くなりはじめ、丸紅主導の体制が崩れつつあるといえよう。三菱商事もライフコーポレーションとの関係は深まりつつあるが、他の食品スーパーマーケットへのM&Aの動きは見えない状況である。コンビニのローソンへは依然として積極的であるが、ローソンが傘下に治めた九九プラスの活性化に苦労している状況といえよう。

   このような状況を見ると、商社が今期の空前の利益を小売業、特に食品スーパーマーケット業界へさらに投資する可能性があるかというと、かなり低いといえ、まずは、資源、エネルギー分野、そして、新興国への投資が最優先であり、ついで、成長が期待される金融、医療、環境分野であろう。

   ただ、ごく最近の直近の動きでは、出資関係はないが、伊藤忠商事とユニーは包括的業務提携協力を結んでいるが、そのユニーがイズミヤと業務提携に入るとの内容を日経新聞がスクープした。この状況如何では、伊藤忠商事もからみ、ユニー、イズミヤ主導で各地区の有力な食品スーパーマーケットが提携関係に入り、中小食品スーパーマーケットの業界再編に発展する可能性もある。そうなると、他の商社も、投資優先度は現段階では低いとはいえるが、食品スーパーマーケット業界でのシェアを確保するために業界再編に動き出す可能性もないとはいえず、今後のユニーの動向が気になるところである。

   ちょうど、この記事を書いている時に三井物産の2008年3月期の決算が公表されたが、純利益は4,100億円:36%(来期4,600億円:12.2%)という増収増益の好決算であり、これで主要商社すべて、大幅な増益となった。

   このように今期の大手商社、すべてが空前の増益となったが、その要因は資源・エネルギー関連、新興国市場の好況によるものであることから、今後の投資も優先的にこられへ向かい、ついで、成長分野へ向かうと思われ、小売業、特に食品スーパーマーケットの再編への投資は優先度がより低くなったといえよう。ただ、ユニーの動き次第では、伊藤忠商事が食品スーパーマーケット業界への投資を積極的に行う可能性もあり、その場合は各商社も動く可能性は否定できない。その意味で、ユニーの今後の動向に注目である。

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May 03, 2008

日経MJ新製品週間ランキング、5/2、値上げ関連が牽引!

   ここ数週間、値上げ関連商品が新製品ランキングの上位を独占し、通常であれば、定番として新製品のランキングには登場しない最重点商品が新製品として、続々と登場している。これは、各メーカーが値上げと同時に、従来のバーコードを変更したこともあり、新たなバーコードをPOSデータが新製品と見なしてしまうために起こる、大幅かつ広範な値上げ時に特有の現象である。特に、日配関連が顕著であり、この日経MJ、新製品週間ランキングでも日配が属するその他食品と飲料に端的に表れている。ただ、逆に考えれば、定番商品の中で重点商品を知るには絶好の機会であり、新製品の売場への導入を検討するだけでなく、定番の重点商品を見なすこともできるので、全体の品揃えをチェックする良い機会でもあるといえよう。

   今週はこれら値上げ関連商品もさることながら、実際の新製品も含め、アクティブな動きとなり、客単価、超Aクラスの1,000円を超える新製品が4品、Aランクの500円を超える新製品が13品も登場しており、要チェックである。そこで、これら客単価の極めて高い新製品にまず注目してみたい。

   No.1は明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81 500gであり、客単価は1,725円(1人当り1.725円)と驚異的な数字であり、カバー率も100.0%と対象45チェーン、250店舗すべての店舗で導入されている定番中の定番である。カバー率100%は年間の新製品の中でもめったになく、定番でも全チェーンが導入されている商品は少ないといえる。ただ、それ以上に客単価1,725円は極めて高く、平均単価が153円であるので、PI値を逆算すると(1,750円÷1000人)÷153円=1.14%となる。PI値1%以上は食品スーパーマーケットの全約10,000品の中でも約200品ぐらいしかなく、部門を超えて店長、さらには、社長直属管理としてもよいくらいの重要な最重点商品である。

   今回、同じく、客単価1,000円以上となったカネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョン(医薬部外品)45mlがあるが、客単価は1,629円とこれも驚異的な数字であるが、平均単価が9,746円と高額であり、カバー率も33.2%と低く、PI値を逆算すると(1,629円÷1,000人)÷9,746円=0.016%であり、平均客数1日2,000人の食品スーパーマーケットで0.32個であるので、3日に1個売れるか売れないかのPI値であり、通常の食品スーパーマーケットとしては少し厳しい数字である。このような高額商品に関しては、客数が1日5,000人以上は欲しいところである。

   これ以外の客単価、超Aクラスの新製品は、明治乳業、おいしい牛乳1000mlであり、客単価1,347円、カバー率74%、日本ミルクコミュニティ、メグミルク1L、客単価1,084円、カバー率86.8%である。これら4品が客単価、超Aランクを超えた今週の値上げ関連も含めた新製品である。

   これに対して、客単価Aクラスの500円以上のものを高いもの順に見てみると以下の通りである。客単価971円、マックスファクター、SK-Ⅱホワイトニグソースダームディフィニション50ml、客単価881円、森永乳業、森永ビヒダスプレーンヨーグルトBB536 500g、客単価782円、明治乳業、おいしい牛乳スーパーESL1000ml、客単価682円、明治乳業、プロビオヨーグルトLG21 120g、客単価674円、マックスファクター、SK-Ⅱホワイトニグソースダームリバイバルマスク10枚入り、客単価621円、日本コカ・コーラ、ファンタふるふるシャイカーオレンジ190ml、客単価568円、森永乳業、アロエヨーグルト2連85g×2個、客単価547円、味の素、ギョーザ12個入り、客単価531円、ダノンジャパン、ダノンビオヨーグルトプレーン加糖85g×4個、客単価530円、明治乳業、ラブ1000ml、客単価528円、日本コカ・コーラ、アクエリアス2L×6、客単価509円、ハーゲンダッツジャパン、ドルチェミルフィール106ml、そして、客単価501円、明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81そのままでプレーン500gであり、全部で13品である。

   以上が客単価500円以上の今週の値上げ関連も含めた新製品全品であり、定番を含め、再度、品揃えを見なおしたいところである。また、今週は、客単価は500円までいかなかったが、菓子部門でチョコレートが健闘しており、No.1に客単価Bクラスとなったネスレコンフェクショナリー、キットカットミニが客単価382入った。No.2には客単価はCクラスの200円であるが、ロッテ商事、アーモンドチョコレート106gが客単価259円で入るなど、チョコレートの新製品が健闘している。

   このように、今週の新製品ランキングは、ここ数週間値上げ関連商品が客単価の上位を独占している傾向が続いているが、それに加え、本来の新製品も客単価Aクラスに入るものも増え始めている傾向も見え始めており、今後、夏に向けてアクティブな動きが期待できそうである。この5月からも、また小麦関連の商品の値上げも始まっており、値上げ関連の新製品はまだまだ続きそうであるが、これは、逆に、定番商品を再度見直し、固めるよいチャンスでもあり、来週以降も新製品の動向に注目したい。

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May 02, 2008

イズミ、2008年2月期決算、好調、来期5,000億円へ!

   イズミが2008年2月期の決算を4/11、公表した。営業収益4,706.98億円(105.3%)、営業利益247.98億円(102.7%:営業収益比5.26%)、経常利益247.63 億円(102.6%:営業収益比5.26%)、当期純利益136.64億円(103.9%:営業収益比2.90%)と増収増益となる堅調な決算であった。ここ最近イズミの売上が急回復しており、特に、この2/22に広島では約30年ぶりとなる「ゆめタウン広島」をオープンするなど、2月期の全体の売上がそれまでは100数%であったが、この月一気に110%を超え、3月度の直近では115%となるなど、全体へのインパクトも大きかった。来期はゆめタウンが3店舗の新規オープンが予定されているので、当面、110%から115%の高成長が継続されるものと予想され、イズミが成長軌道に乗り始めたといえよう。これで、来期はいよいよ、年商5000億円を突破することが確実となった。

   実際、イズミ自身は来期予想を営業収益5,155.00億円(109.5%)、264.00億円(106.5%:営業収益比5.12%)、経常利益253.00億円(102.2%:営業収益比4.90%)、当期純利益153.00億円(112.0%:営業収益比2.96%)としているが、現在の状況を加味するとさらにプラスアルファも期待できる勢いである。ただ、不安定予想もあり、既存店が単体で見ると、売上高前年比、全部門計が98.7%、衣料品 98.2%、住居 98.7%、食料品 99.1%、賃貸店舗 98.6%と、いずれの部門も100%を切っており、厳しい状況が続いている。今後、既存店をどこまで活性化できるかが来期の最重要経営課題といえよう。

   この堅調な決算と最近の高い成長率が評価されてか、ここ最近のイズミの株価は急上昇している。イズミの株価は3/17に年初来最安値の1,300円をつけて以来、株価は上昇に転じ、この決算発表の4/11前には1,600円前後まで上昇した。そして、決算発表のあった4/11の翌営業日の4/14、それまで数10万株の商いであった株が、この日100万株を超える大商いとなり、株価が上昇、その後、3日間100万株前後の大商いが続き、株価は1,700円を突破、その後も株価は上昇気味で推移し、4/25には1,791円となる年初来最高値を付け、現在、1,750円前後で推移している。投資家はイズミを買いと判断したといえよう。

   さて、イズミの営業利益率は5%を超え、食品スーパーマーケット業界の中では高収益であるが、その要因を見てみると、商品売買から得られる売上総利益は22.4%(22.6%)とかなり低い数字であり、昨年よりも0.2ポイント下がっている。ただ、イズミは食品スーパーマーケットというよりもGMS、SCに近い業態である「ゆめタウン」が主力業態であるため、食品の売上構成比は約35%であり、食品以外が65%と大きな売上を占めている。その内訳は衣料品約20%弱、住居約10%、テナント等約35%強という状況となる。したがって、粗利率もテナントその他の影響が大きく、食品26.7%、衣料品37.8%、住居31.7%と高い粗利率であるが、約35%強を占めるテナント等が8.0%となるため相乗積をとると粗利率が22.4%と低くなるという営業構造である。したがって、販売費及び一般管理費が21.6%(昨年21.6%)であるので、差し引き、0.8%(昨年1.0%)のプラスしかないが、これに不動産収入等の営業収入が何と4.7%(昨年4.7%)乗り、営業利益率が5%を超えるという高収益につながっている。

   また、来期もイズミは3店舗の新規出店が控えており、いよいよ年商5,000億円を突破することになるが、それを支えるイズミの財務構造を見てみると、自己資本比率が27.6%(昨年29.7%)と極めて低いのが気になるところである。イズミは「ゆめタウン」というSC業態が主力業態であるので、出店にかかわる資産は巨額なものがあり、土地、建物、差入敷金及び保証金の合計は2,501.69億円(昨年2,311.12億円)となり、総資産に占める割合は70.3%となる。したがって、自己資本比率27.6%ではカバーできず、負債に大きく依存する構造となっており、その主要項目である長短借入金等は1,644.72億円(昨年1,471.79億円)と総資産の46.25%となり、自己資本比率の27.6%を足すと73.8%となり、ちょうどバランスがとれる構造である。出店にかかわる資産の60%強を借入金等に依存する出店構造となっており、今後、安定的な成長路線を堅持するためには自己資本の充実が経営課題といえよう。ちなみに、イズミは現在72店舗であるので、1店舗当たりの出店にかかわる資産は34.74億円となり、食品スーパーマーケットとは全く異なり、巨額の資産を前提とした不動産ビジネスに近い小売ビジネスという構造である。

   このように今期のイズミの決算は増収増益の堅調な決算となり、特に、この2月に出店した地元では30年ぶりとなる「ゆめタウン広島」が全店の売上を牽引しており、成長路線に乗りつつあるといえる。ただ、既存店は依然としてやや厳しい状況にあり、自己資本比率も27.6%と低い状況であり、今後、安定成長路線に乗るためには、既存店の一層の活性化と自己資本比率の充実が経営課題といえる。今後、イズミがどのように既存店の活性化に取り組み、また、財務面に関しては、自己資本の充実にどのように踏み込むかに注目したい。

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May 01, 2008

CPI(消費者物価指数)、昨年対比101.2%、じわり上昇!

   総務庁統計局から、2008年3月度のCPI(消費者物価指数)が4/25公表された。CPIは平成17年度を基準とした物価の上昇率を示す指標であるが、昨年同月比、前月比も同時に公開されるため、物価の上昇を長期、中期、短期でつかむことができる。この3月度の特徴は以下の3点に集約される。(1) 総合指数は平成17 年を100 として101.0 となり、前月比は0.5%の上昇。前年同月比は1.2%の上昇となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は100.8 となり、前月比は0.4%の上昇。前年同月比は1.2%の上昇となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.1 となり,前月比は0.5%の上昇。前年同月比は0.1%の上昇となった。

   ポイントはこの3月度がどの数字を見ても、過去最高の指数となったことである。CPIは購入頻度別にも集計されているが、この中で、0.5回以上、すなわち、購入頻度が1ケ月に0.5回(2ケ月に1回)の商品、購入頻度の低い商品を除く、高い商品のみで見た場合は、この3月度が平成17年度比が102.1%、前年同月比101.7%と過去最高の数字となったことである。明らかにこの3月度はCPIが上昇しており、物価高の傾向が鮮明であるといえる。

   では、具体的にどの商品が特にCPIが上昇したかを、前年同月比で見てみると、食品では、スパゲティが26.6%(前月比11.5%)と、小麦の値上げが影響し、大幅に上昇している。ついで、チーズの22.6%(25.4%)であり、チーズに関しては前月比が大幅に上昇しており、まさに、この3月度から価格が跳ね上がった商品となった。この2品が20%以上CPIが跳ね上がった商品である。

   ついで、即席麺の17.9%(1.4%)と前年同月比は大きく上昇しているが、前月比はほぼ横ばいであり、即席麺はこの1月から値上げが起こっているため、継続して、高値で推移している状況といえよう。マヨネーズも同様に17.5%(4.3%)と大きく、食パンも10.0%(0.6%)であり、以上が20%以下、10%以上CPIが上昇した食品である。小麦を含む穀物関連が中心でのCPIの上昇といえよう。

   さらに、10%以下の商品についても見てみると、うなぎかば焼き9.5%(1.7%)、マーガリン9.5%(8.4%)、かつお節8.1%(1.8%)、カレールウ8.0%(1.2%)、食用油7.8%(0.2%)と、いずれも高いCPIの上昇である。特に、マーガリンが前月比も8.4%となり、この3月度からCPIが上昇している。

   以上が生鮮品を除く、食品関連の中でCPIがこの3月度大きく上昇した商品であるが、食品以外で、この3月度のCPIが大きく伸びた商品を見てみると、やはり、何といってもエネルギー関連である。特に、灯油が29.2%(0.1%)と依然として高値で推移しており、ついで、いま問題のガソリンが19.0%(0.6%)、プロパンガス7.9%(0.4%)と続く。いずれも先月比はわずかであり、高値安定という状況である。また、これに関連する形でタクシー代5.8%(0.0%)、航空運賃代4.8%(6.0%)と上昇しており、特に航空運賃代がこの3月から上昇しはじめている。

   これとは逆に、この3月度にCPIが下がった商品もあり、特に家電関係は大きく前年同月比を下げている状況である。パソコン(ノート型)が-38.7%(-7.2%)と約40%下がっているのを筆頭に、パソコン(デスクトップ型)も-20.6%(-2.7%)、テレビ薄型も-20.3%(-3.0%)と大きく下がっており、食品の値上げとは対照的な動きである。ただ、食品の中でも、中分類で見ると、生鮮の果物が-11.6%(-3.3%)と大きく価格が下がっており、食品でもすべてが値上げになったわけでなく、下がった商品群もある。これ以外にも、飲料が-0.5%(0.1%)、生鮮魚介類が-0.2%(1.9%)と前年同月比は価格が下がっている。

   また、さらに、細かく、小分類レベルで、生鮮品を除き、この3月度のCPIが下がった商品群を見てみると以下のようである。風味調味料-5.1%(0.6%)、野菜ジュース-3.9%(-1.2%)、納豆-3.5%(0.2%)、液体調味料-3.5%(-6.2%)、ミネラルウォーター-3.3%(0.3%)、国産米A-3.2%(-0.1%)、コーヒー豆-3.2%(-1.3%)、プリン-2.9%(1.2%)、もち米-2.1%(-0.6%)、ゼリー-2.1%(0.1%)、国産米B-2.0%(0.0%)、ぶどう酒(ワイン)-2.0%(-1.2%)であり、以上が2.0%以上CPIが下がった商品群である。飲料、米、デザート関係が多いのが特徴であり、納豆が大豆の高騰にもかかわらず、CPIが下がっているのが意外である。

   このように、3月に入り、第1弾の値上げが定着したといえ、小麦、とうもろこしなどの穀物関連の値上げ、石油関連のエネルギーの値上げが浸透しはじめたといえ、上がるべき商品は確実に10%から20%のぐらい上がっている実態が明らかになった。結果、全体のCPIがここ数年では、先月の2月度を超え、同年前月比が101.2%と過去最高の数字となった。ただ、一方で、家電関連、飲料、米関連はむしろ下がっている状況もあり、値上げは全体的な動きではなく、穀物、石油関連に集約されているのが現状であるといえる。今後、この4月から、小麦の第2弾の値上げに入るが、これが、CPIにどのような影響を与えるかが、読みにくい状況であり、5月下旬に公表される4月度のCPIに注目といえよう。

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