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May 25, 2008

電子マネーnanacoの実情、意外に低い店舗シェア!

   日経MJ、5/23に電子マネーの記事が掲載された。電子マネーについては、本ブログでも昨年の7月に取り上げている。その時の内容は、「・・記事には、この3つのカードの一覧表が載っており、月間利用件数(万件)、発行枚数(万枚)、利用可能店舗数(店)の数字が比較されている。それによると月間利用件数ではnanacoが3,000万件、Edyが1,800万件、Suica/PASMOが1,747万件となり、nanacoがダブルスコアでトップとなった。・・」という状況であったが、今回は直近のこの4月度の集計が掲載された。それを見ると、月間利用件数は、nanacoは2,800万件、Edyが2,400万件、Suicaが2,074万件、PASMOが526万件、WAONが620万件、そして、ICOCAが66万件である。nanacoが若干減ってはいるが、やはりトップを走っている状況である。

   ただ、発行枚数がそれぞれかなり違うので、これを発行枚数当り、すなわち、PI値に換算してみると、nanacoは2,800万件÷576万枚=486.1%、Edyは2,400万件÷3,960万枚=60.6%、Suicaは2,074万件÷2,177万枚=95.2%、PASMOは526万件÷870万枚=60.4%、WAONは620万件÷422万枚=149.9%、そして、ICOCAが66万件÷368万枚=17.9%という状況である。この数字、PI値は月間であるので、平均月1回、すなわち、100%以上のPI値の電子マネーは、nanacoとWAONのみであり、その中でもnanacoがダントツで高い利用率であることがわかる。週1回以上の利用率であり、同じ、電子マネーでもこれだけ差があるのはびっくりである。ちなみに、前回、約1年前のPI値は、nanacoが789.5%、Edyは58.1%、Suica/PASMOは79.6%であったので、nanacoも若干下がっているところが気になるが、それでも依然として、高い利用率であるといえよう。

   また、記事には前回もそうだが、利用可能な店舗数も載っているので、ここから、セブンイレブン1店舗当たりの数字を計算してみると、576万枚÷1.92万店=300枚となり、セブンイレブンでは1店舗当たり300枚のnanacoが発行されていることになる。さらに、決済件数との関係を見てみると、1店舗当たり、2,800万件÷1.92万店であるので、1店舗当たり1,458件となり、1日当りは約50件となる。ということは、セブンイレブンでは、1日1店舗当たり50件のnanacoの使用率ということになる。セブンイレブンの客数を1日約1,000人とすれば、50÷1,000人で5%の利用率となる。1店舗当たり、約300枚のnanacoを発行して、1日、50人、約5%(20人に1人)がnanacoを使うという現況であると推測され、しかも、300人のnanacoの顧客が月約5回、週1回以上来店するという状況といえる。

   これを高いと見るか、低いとみるかであるが、食品スーパーマーケットのポイントカードと比較すると、圧倒的に低いといえよう。現在、nanacoは客数約1,000人/日のセブンイレブンを想定した場合、300枚、すなわち客数の30%であるが、1,000人/日クラスの客数の食品スーパーマーケットではポイントカードは少なくとも3,000枚から、5,000枚は発行されており、その利用率は80%から90%となるのが通常であり、セブンイレブンの1日、50人、約5%はポイントカードと比べると極端に低い数字であるといえる。ちなみに、WAONを同様に計算すると、1店舗当たり、422万枚÷2.5万店=約170枚であり、nanacoの半分強である。1店舗当たりの決済件数は620万件÷2.5万店=248件となり、nanacoの約20%弱となる。これは1ケ月の数字であるので、1日当り、10件弱となり、極めて低い数字といえ、客数1,000人/日で計算しても1%、食品スーパーマーケットの平均的な客数2,000人/日で計算すると0.5%となり、単純平均で見る限り、非常に厳しい数字の現実である。しかも、WAONの利用率、すなわち、PI値は149.9%であるので、月1.5回の使用であり、WAONのカードホルダーの使用率もかなり低い状況といえよう。

   これらの計算は単純平均で出しているので、実際、もっと頻度の高い店舗もあるとは思うが、それにしても、PI値トップのnanacoでも1店舗当たりの利用率はかなり低いといえ、しかも、前回の時よりもは発行枚数が増えたことにもよると思うが、各指標が下がっており、気になるところである。本来、電子マネーの目的は顧客の利便性をより追及し、結果、企業側としても、顧客の来店頻度を引き上げ、客数を増やし、売上アップにつなげたいという意図があるといえよう。また、顧客の購買履歴を分析し、マーケティング、マーチャンダイジングへつなげてゆきたいという意図もあるといえよう。ただ、この現実の数字を見ると、果たして、顧客は電子マネーを本当に便利だと思っているのか、何ともいえない微妙な数字といえよう。また、この利用率からそれなりのマーケティング、マーチャンダイジングの分析は当然可能であるが、より精度をあげ、現実的な仮説をつくる上にもあと10倍ぐらいのカードホルダー、利用割合が欲しいとところであろう。

   電子マネー元年といわれた昨年からほぼ1年が経過し、各社がカード発行枚数を競いあっている状況であるが、前回と数字を比較してみると、各指標が大きく伸びているとはいえず、むしろ、若干、カード1枚当たりの価値が下がっているようにもとれる数字といえよう。今後はカード枚数を増やすことよりも、顧客の数、使用頻度を引きあげる質の向上を改めて検討する時期に来たようにも感じる。少なくとも電子マネーが決済を独占することは、今後、こと小売業においては難しいと判断してよさそうである。

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