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May 28, 2008

イオン、直取引を拡大、卸売業の動向がポイント!

   日経新聞、5/27の1面と12面にイオンの記事が掲載された。見出しを見ると、1面では、「イオン、直接仕入れ5倍、年5,000億円卸通さず、一部で値下げ」、2面では、「イオン、直接仕入れ拡大、グループの購買力テコに、卸の反発必至、規模と収益、直結狙う」という、少しセンセーショナルな見出しであるが、要はイオンが現状の直取引4%(約1,000億円)を3年後に15%(約5,000億円)に引き上げるという内容である。逆に見ると、現在95%以上が卸を通しており、3年後も85%は卸経由ということになり、依然として、直取引の比率は小さく、イオンにおいても卸の存在が、現在はもちろん、今後もいかに大きいかを示しているといえよう。

   一般的に、直取引になると商品原価が5%程度削減されるという。したがって、15%の売上構成比に5%の粗利率の改善が加わると、0.75%の粗利貢献度となる。これが大きいか、小さいかであるが、目標としては、1.0%からできれば2.0%の粗利改善は欲しいところであろう。そうすると、目標の直取引15%を前提とすると、1%の粗利改善をするためには商品原価を7%弱は欲しいところであるが、現在の店頭価格から工場出荷価格へ変えることができても、かなり厳しい数字といえよう。そうすると、直取引をさらに増やすということになるが、その場合は、商品原価が5%削減できることを前提とすると、20%で1%となるので、当然、次の直取引の目標が20%となろう。ダブルで改善できれば、約1.5%の原価引下げが可能となるので、イオンの狙いはこの辺にあるように思える。

   実際、イオンはこれまで、全国7エリアにRDC(リージョナルDC)を8つつくり、そこを拠点に約30ケ所の物流拠点を作り上げ、全国を網羅する体制を着々と築きあげており、そのための専門会社、イオングローバルSCM株式会社を昨年設立し、営業を開始している。当面の目標、直取引15%を実現するための環境は整ったといえ、それを受けての、この日経の記事といえよう。

   今回、イオンの3年後の直取引の目標が示されたが、実は、この数字を超える直取引をすでに実現しているグループがある。CGCグループである。CGGCグループは現在221社、3,327店舗が加盟し、売上総額は3兆8,479億円であり、イオンの食品関連約3兆円を上回る規模である。しかも、直近のCGCの本部取扱高は6,627億円であり、この中には直取引、CGCのPBも含まれていると思われるが、単純に比率を見ると17.2%と直取引が本部取扱ベースで15%を超えている現状である。その意味では、すでに先行事例があるといえ、今回のイオンの15%という数字は食品業界としては、実現可能性が高い数字といえよう。今後、このCGCグループとイオンが2大流通勢力となり、日本の中ではメーカー、卸を巻き込んで全面対決の様相を呈してきたといえよう。さらに、日本の全体を見渡すと、生協グループ、そして、各エリアごとの100店舗クラスの独立系の食品スーパーマーケットが勢力を拡大しており、日本の食品市場はこの4大グループが覇権を競いあう時代に突入したといえよう。

   さて、ここで、卸売業の状況をマクロに見てみたい。つい、最近、経済産業省から公表された商業統計の最新版、平成19年度を見ると、小売業の年間商品販売額は134兆5,716.75億円であるが、卸売業は何と410兆6,788.94億円と約3倍も大きい販売額である。これは、商品の流通がメーカー、卸、小売業という単純な流れではなく、メーカー、卸、卸、小売業やメーカー、卸、卸、卸、小売業など、2次卸、3次卸が複雑に絡んでいるためであると思われる。食品卸だけを見ても、75兆4,189.42億円であり、飲食料品小売業が40兆8,100.66億円であるので、食品流通でも約2倍の販売額であり、2次卸の比重が相当大きいといえよう。

   このような実態を見ると、イオンが15%を当面の目標とすることも頷ける話であり、イオンが取り組もうとしていることは、メーカーとの直取引というよりも、いかに卸を排除するかという問題とうつる。ただ、これだけ、圧倒的な卸の販売額の大きさを見ると、メーカーと小売業の問題よりも、卸の2次、3次段階の集約により、1次卸への集約化の方がマクロな流通構造から見ると先決のように思える。イオンに限らず、食品小売業は、直取引では15%から20%が当面の目標といえ、将来的には30%、50%を目指すことになると思うが、同時並行で、2次、3次卸を1次卸に集約してゆくことも物流改革のもうひとつのテーマともいえよう。

   このように、イオンが本格的にメーカーとの直取引に臨む体制を整え、3年後に15%の目標数値を掲げたが、この実現性は、すでにCGCが達成していることからも可能性は高いと思われるが、それでも粗利率への貢献度は1%以下と想定され、1%以上の効果を出すためには、店着価格から工場取引価格への切り替え、ないしは20%から30%の直取引へのいっそうの拡大が必要であろう。ただ、日本の流通構造は金額ベースで見る限り、卸が圧倒的な存在感をもっており、この面での流通構造全体の改革も重要なテーマであり、3年後、15%の直取引を達成した後の残り85%の卸との関係もイオンにとって大きな経営課題といえよう。

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