オーケー、2008年3月期決算、大幅増収増益!
注目のオーケーの2008年3月期決算が6/20公表された。売上高1,682.60億円(115.7%)、営業利益78.42億円(119.8%)、経常利益79.66億円(120.9%)、当期純利益46.48億円(119.3%)と2桁の増収増益の好決算であった。既存店の売上高も106.55%と好調な伸びを示しており、「高品質・Everyday Low Price」をスローガンとするオーケーの経営戦略が消費者から絶大な支持を獲得しているといえよう。これで、食品スーパーマーケット業界の2008年度2月、3月期の決算企業の公表は終了したといえるが、オーケーのこの決算数字は際立っており、値上げ問題が食品スーパーマーケットの最大の経営課題となった中で、頭ひとつ飛びぬけての独走態勢に入ったともいえる好調な決算結果であったといえよう。
ただ、オーケーはこの数字にも満足していないようで、経営目標を「借入無しで年率30%成長を達成する」というところにおいており、さらなる経営改善に取り組んでゆくという。特に、年率30%成長については、今期は115.7%であったが、2011年3月期に達成を目指すとの日付を入れており、3年後の決算での目標達成に向けて具体的なアクションに入っている。この高い目標、年率30%を達成するには、オーケーとしては、「既存店の客数10%増、言い換えれば熱烈なオーケーファンを毎年10%増やしてゆく、そして客数の増加率に負けない売上の伸びをつくり、これに新店の売上増を加えて、併せて30%成長を達成しようとするものです。」と言明しており、既存店の客数増と新店開発に主眼をおいていることがわかる。
オーケーの今期の売上は既存店は106.55%であったが、既存店客数前年比は2.2%増(前期は5.5%増)と伸び悩んでおり、逆算すると、客単価が104.2%と、客単価が伸びたことが既存店の数字を押し上げており、経営の意図と逆の結果となった。今後、既存店の客数を110%にまで伸ばせるかが課題といえよう。ただ、すでに、既存店の客数増については、今期2つの大きな施策を実施している。ひとつは、私ももっているが、会員カードによる来店頻度のアップであり、2006年の年末時点では約80万人の会員であったが、今期決算時には約120万人とほぼ1年で約40万人、150%の会員増であり、今後、この120万人のオーケー会員へのマーケティングを行うことで、既存店の客数増に大きく寄与するものと思われる。
そして、もうひとつは、今期、2007年7月30日付で、種類株227,400株(議決権がない)を1人100株を発行し、計2,274名のお客様に株主になってもらったことである。小売業では珍しい株式の発行であり、実際、昨年、この時期、店頭でオーケーの株を売っており、その結果が新たな株主、お客さまの増加に結びついたといえよう。今期、オーケーの資本金は前期の9.45億円から2.84億円増加し、12.29億円と増加しており、今後、このお客さま株主への配当もはじまるので、既存店の客数増に確実に結びつくことになろう。非上場の食品スーパーマーケットとしては、実にユニークな資本政策であり、同時に既存店の客数アップ政策であるといえよう。
一方、借入金なしという経営目標であるが、現在、オーケーは143.39億円(昨年149.54億円)と総資産の24.94%と多く、結果、自己資本比率は31.4%と低い状況である。ただ、今回、新たな資本の増加もあり、自己資本比率は2007年度(28.8%)、2006年度(23.9%)、2005年度(18.8%)、2004年度(15.9%)と年々改善されており、今後、このまま、高収益を続けて行けば、減少するものといえ、成長を重視するか、財務改善を優先するかそのバランスによるといえよう。今期、オーケーは川口店、新山下店、青物横丁店、南六郷店、一ツ家店、本厚木店の6店を新規出店しているが、その財務構造を見ると、出店にかかわる資産である建物、土地、敷金及び差入保証金の合計は332.17億円(昨年293.93億円)と約40億円増加しており、総資産に占める割合は57.64%となり、現在の自己資本比率31.14%ではまかなえない状況であり、借入に依存する新規出店構造といえる。したがって、借入0での高成長を目指すためには、極めて難しいかじ取りが必要といえ、当面は成長重視で徐々に財務を改善してゆくことが順当な経営戦略のように思える。
また、オーケーは本家ウォルマートがこれまで標榜してきたEveryday Low Price政策をさらに徹底した「高品質・Everyday Low Price」をスローガンに経営に取り組んでいるが、その政策をささえるのがEveryday Low Costである。今期も経費比率15.2%(昨年15.0%)という世界の小売業の中でもまれに見る経費比率の低さであるといえよう。これが、粗利率19.8%(昨年19.5%)の「高品質・Everyday Low Price」をささえ、結果、4.6%(昨年4.5%)の営業利益をたたき出しており、これがオーケーの競争力をたかめ、高収益を生み出している原泉といえよう。
このように、オーケーの2008年3月期の決算が大幅な増収増益の好決算となり、依然として高成長、高収益が持続しており、このまま、この経営体制が継続すれば、オーケーの経営の大目標である「借入無しで年率30%成長を達成する」ということが現実のものとなる可能性が見えてきたといえよう。本家、ウォルマートはEveryday Low PriceからSaving people money so they can live betterへ政策転換をはかったが、オーケーは、さらにEveryday Low Priceを徹底する方針とみえ、今後のオーケーの動向に注目である。
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