ユニバース、2008年4月度決算、増収増益、105.8%!
ユニバースが6/2、2008年4月期の本決算を公表した。食品スーパーマーケット業界の決算は2月期、3月期が大半を占めるが、4月決算は上場食品スーパーマーケットの中ではユニバース1社のみである。その結果であるが、売上高941.71億円(105.8%)、 営業利益33.39億円(126.0%:売上対比3.54%)、経常利益34.29億円(129.9%:3.64%)、 当期純利益13.77億円(60.5%:1.46%)となり、営業、経常段階では増収増益の好決算であった。ただ、当期純利益が減益になったが、その主な要因はホテル事業の譲渡損3.59億円、スクラップ&ビルドによる2店舗の減損損失2.57億円、さらには昨年度がファルを吸収合併したことにより、繰越欠損金の引き継ぎにより、法人税が軽減されたことなどによる減益であり、来期からは正常にもどり、当期純利益も増益に転じる公算であるという。
また、自己資本比率については、56.0%(昨年47.4%、一昨年41.0%)と、上場により、資本金が大幅に充実し、自己資本が急激に改善したことによる。実際、昨年の資本金は1.00億円であったが、今期は15.22億円と約15倍となり、資本剰余金も昨年の15.01億円から29.24億円と約2倍となり、自己資本が大きく増加しており、上場により、より、強固な財務体質ができあがったといえよう。ユニバースは、通常の食品スーパーマーケットと比べ、当初から大型店志向を目指しており、自己資本の充実は安定成長を維持してゆくためには重要な経営課題のひとつであったが、今回の上場により、自己資本に関しては一段落といえよう。
ユニバースは現在、青森27店舗、岩手13店舗、そして、秋田1店舗と合計41店舗を展開しているが、その内、600坪以上の店舗が25店舗と大半をしめ、また、1店舗当たりの売上が20億円以上の店舗が同様に25店舗と大半を占めている。これは上場食品スーパーマーケットの中ではどちらもトップクラスであり、今後も、「2,000 ㎡(約600坪)を超えるスーパースーパーマーケット(大型スーパーマーケット)店舗を中心に、原則NSC(近隣型ショッピングセンター)ないしは複合店舗による出店を進め、一部単独出店も行う予定」であるという。
実際、ユニバースの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計を見てみると、231.78億円(昨年233.26億円)と総資産の62.65%であり、1店舗当たり5.65億円と通常の食品スーパーマーケットよりもやや大きな資産となっており、出店コストがかかり、自己資本の充実は安定成長にとっては優先度の高い経営課題であるといえよう。今期自己資本比率が56.0%となったことにより、約7%弱を負債に負う構造となり、自己資本の範囲内での出店余力が大きく改善したといえよう。その負債であるが、特に主要項目の長短借入金の状況を見ると、51.27億円(昨年73.38億円)と昨年より約20億円強削減されており、総資産に占める割合は13.85%となった。今期のような好決算が続けば、数年で借入金の返済が進み、無借金経営も視野に入りつつあるといえる状況となったといえよう。
さて、これを受けて、ユニバースの成長戦略であるが、今期は「商勢圏の深耕を図るために10 月に黒石富士見店(青森県)を、12 月に大野店(青森市)をそれぞれ新規出店」しており、また、「既存店の活性化を目指して、沖館店、筒井店、三内店の3店舗の改装を実施」しており、既存店も101.3%と堅調に推移している。また、来期についても、平成21 年4月に青森県に1店舗、岩手県に1店舗を新規出店する計画であるといい、自己資本+αで新規出店可能な無理のない堅実な成長戦略であるといえよう。
また、営業数字についても、特に、値上げ問題に関しては。「原油価格・原材料価格の高騰に伴うメーカーやお取引先からの値上げ要請に対しては、青森県におけるシェアーの高さを背景に粘り強い商談を続け、売れ筋商品の「この価格のままでご奉仕します」宣言を12 月期から断続的に継続するとともに、やむなく値上げを受け入れる場合でも地域で一番遅い値上げを目指すなど、お客様のご支持獲得に会社をあげて取り組んでまいりました」、という方針のもとに取り組んだという。その結果、売上総利益が26.4%(昨年26.2%)と、0.2ポイント改善しており、しかも、販売費及び一般管理費も22.9%(昨年23.2%)と0.3ポイント改善し、ダブルでの改善の結果、営業利益が3.5%(昨年3.0%)と0.5ポイント改善するという力強い結果となっており、理想的な収益改善のサイクルであるといえ、まさに、好決算であったといえよう。
さらに、ユニバースは現在ポイントカードも導入しているが、将来的には、「ポイントカードシステムの入替時期が迫っていることから、入替を機に新しい販促方法やCRM(顧客情報の管理・活用による顧客満足度の向上)について検討を進めてまいります」とのことで新たな方向も打ち出している。
このように、ユニバースの今期の決算は好調な決算であったといえ、上場メリットも活かした財務の改善も進み、今後、長期に堅実な成長を持続できる体制ができあがりつつあるといえよう。これに、近い将来、さらにM&A戦略が加われば、急成長を遂げることも十分に可能な経営環境が整いつつあるといえ、今後のユニバースの経営戦略、特に成長戦略には注目といえよう。
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