家計調査データ速報、2008年4月度、外食失速!
家計調査データの4月度が5/30、総務省統計局から公表された。家計調査データは、毎月公表されるが、公表が翌月の月末となるため、現在6月に入っているが、最新データは4月度のデータである。この4月度については、小麦関連、資源エネルギー関連の食料品の値上ラッシュが一段落した後の数字ということで注目の月である。値上げについては、引き続き、第2弾の値上げがはじまっているが、今後、家計にどのような影響がでるか予断を許さない厳しい状況が続いているといえよう。ただ、全体としては、外食を除く食品は1,949.90円(昨対99.7%)という微減という数字であり、大きな影響はなかったといえよう。ただ、個々の状況をみると影響を受けた項目もあり、特に、外食と調理食品(惣菜)が大きかったといえる。
本ブログでは家計調査データを食品スーパーマーケットの金額PI値(客単価)と連動させ、比較検討するために、1世帯当たり1ケ月のデータを1日当りに換算し、さらに、そのデータをそれぞれの項目を購入した世帯数の割合と購入した世帯のみの消費額に分け、家計の消費実態をより深く落と込んで集計している。数式では、1日当りの1世帯当たりの消費額=その項目の消費世帯数の割合×その項目のみの消費世帯数の1日当りの消費額となる。必要に応じて、より、深く消費実態を落とし込んでゆくつもりである。
さて、今月、この4月度の家計調査データの最大の特徴は外食と調理食品(惣菜)の数字が昨対で落ち込んだことであるといえよう。実際の数字は、外食は415.27円(昨対94.1%)、調理用品(惣菜)254.60 円(昨対93.3%)という数字であり、いずれも5%以上のダウンである。また、穀類217.70円(昨対103.3%)、肉類216.77円(106.4%)、油脂・調味料106.27円(昨対104.1%)、野菜・海藻288.30円(昨対100.4%)という状況であるので、外食から内食へと需要が移行しているといえそうである。ただ、生鮮の中でも、魚介類233.30円(昨対96.1%)、果物84.40円(昨対96.6%)とすべての生鮮が良いわけではなく、比較的価格が安い項目が良いといえ、消費者はしっかり商品を選別して家計を調整しているといえよう。
特に、肉類では牛肉54.70円(99.6%)、豚肉69.67円(108.1%)、鶏肉34.57円(113.6%)、合いびき肉6.23円(119.1%)と価格の高い牛よりも豚、豚よりも鶏と価格の安い項目の需要が高いのが特徴であり、最も高い伸び率の肉類は合いびき肉の119.1%である。合いびきに関しては中国餃子の問題もあり、値上げ問題と2重の影響により大きくプラスに転じたと思われるが、いずれにせよ、値頃感のあるお買い得の肉類へ需要が特に集中しているといえよう。また、加工肉も好調であり、ハム13.03円(105.4%)、ソーセージ20.90円(110.6%)、ベーコン6.97円(102.5%)と、いずれの項目もプラスであり、特に、ソーセージは2桁の伸びとなっているのが特徴である。
これに対し、外食であるが、やはり中国餃子問題の影響を受けた中華食10.60円(72.1%)が最も落ち込みが大きいが、学校給食19.07円(84.9%)、洋食40.00円(85.6%)、和食56.97円(93.1%)、中華そば 13.77円(93.7%)、飲酒代43.67円(93.4%)と厳しい状況である。プラスになったのは、他のめん類外食5.47円(124.2%)、喫茶代14.53円(103.6%)、ハンバーガー 10.30円(103.7%)の3部門であり、残りはすべて厳しい状況である。また、調理用品(惣菜)については、うなぎのかば焼き5.73円(61.4%)、ぎょうざ4.47円(70.9%)、やきとり4.77円(79.4%)、しゅうまい2.43円(90.1%)と中国関連が特に厳しい状況である。さらに、これに加え、すし(弁当)30.80円(91.7%)、弁当37.37円(96.7%)、おにぎり・その他10.60円(97.2%)と主食的な項目が厳しい状況である。逆に、コロッケ5.63円(107.0%)、サラダ 8.50円(102.8%)、ハンバーグ2.87円(102.4%)なおかず関連は好調であり、その中でもそうざい材料セット9.20円(116.9%)は2桁の伸びと絶好調である。
外食、内食はこのように明暗が分かれたといえるが、その原因となった値上げ関連について見てみると、小麦関連では、小麦粉2.13円(120.8%)、食パン26.43円(110.3%)と好調であり、カップめんは7.87円(96.7%)とやや落ちたが、即席めんは4.40円(115.8%)と大きく伸びている。さらに、スパゲッティ3.80円(112.9%)、中華めん12.30円(111.1%)、乾うどん・そば5.17円(108.4%)、生うどん・そば10.07円(105.2%)と好調な数字である。また、バター2.70円(150.0%)、チーズ9.67円(104.3%)、マーガリン2.53円(113.4%)、マヨネーズ・ドレッシング9.47円(108.8%)、しょう油6.17円(110.1%)、みそ8.07円(110.0%)、食用油9.03円(115.3%)とほぼ2桁の伸びとなっている。菓子についても、ビスケット9.40円(126.5%)、スナック菓子11.27円(108.3%)、アイスクリーム・シャーベット16.70円(107.5%)と好調である。ただ、酒類の焼ちゅうは、20.53円(106.9%)と好調であるが、ビールは39.13円(91.1%)と明暗が分かれた。
このように、4月度の家計調査データは、全体としてはほぼ横ばいの消費額であったが、その中身は大きく動いており、全体としては、値上げ問題がほぼ全体的にプラスに転じており、この数ケ月の状況を見る限り、値上げは食品スーパーマーケットにとっては、プラスに左右しているとえる。ただ、外食に加え、食品スーパーマーケットの中でも、調理用品(惣菜)関連は厳しいものがあり、内食に需要がシフトしはじめたといえそうである。その中でも価格の高い項目は厳しいものがあり、値頃感があり、栄養価の高いものがプラスに動いているといえよう。今後、しばらくは、値上げ問題が不安定な消費行動をもたらし、注意深くその動向を見る必要があろう。
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