家計消費状況調査、2008年4月度を見る!
6/3、総務庁統計局から2008年4月度の家計消費状況調査が公表された。この調査は、総務庁によれば、「個人消費の動向を的確に把握するため,購入頻度が少ない高額な商品・サービスや、近年増加が著しいIT関連の商品・サービスへの世帯における支出を安定的にとらえることなどを目的として、毎月実施している調査です。」ということであり、家計調査データでは十分に消費実態が把握しにくい項目の調査である。家計調査が約9,000世帯の調査であるのに対し、この家計消費実態調査は約30,000世帯への調査であり、家計調査よりも、分母が大きいのが特徴である。
具体的な項目は、通信・放送受信、家具等、衣類、自動車等関係、住宅関係、家電等、医療の7つの項目であり、詳細は約70にも及ぶ調査データである。キーワードは、購買頻度の低い高額商品であり、食品スーパーマーケットでは扱いがないか、極めて少ない商品がほとんどである。ただ、家計調査ではわりにくい消費実態を知る上には貴重な統計データといえよう。特に、ここ最近値上げ問題が浮上し、消費、特に高額商品にどのような影響を与えているかを知ることができる。
まず、この4月度の全体の数字であるが、377,570円(昨対98.2%)と若干、昨年より下がった傾向はあるが、ほぼ横ばいの消費状況といえよう。では、個々の項目で110%以上昨年より伸びた項目を大分類ごとに見てみると、通信・放送受信では、ケーブルテレビ受信料(受信料とインターネット接続料)718円(111.1%)、衛星デジタル放送視聴料231円(110.5%)が伸びている。通信・放送受信はこれ以外に、携帯電話、インターネットがあるが、これも110%までは伸びていないが、9,618円(103.3%)、1,638円(107.3%)とともに伸びており、通信・放送受信関連は消費は好調であった。ただ、固定電話使用料は3,092円(94.2%)と伸び悩んでおり、金額面で見ても、携帯電話の約1/3となり、電話は完全に携帯電話の時代に入ったといえよう。
次に、高額商品の典型といえる家具について見てみると、たんす243円(66.9%)、 ベッド300円(83.6%)、布団355円(68.1%)、机・いす(事務用・学習用)269円(94.7%)、食器戸棚180円(68.7%)、応接セット220円(84.6%)と厳しい状況である。唯一、楽器(部品を含む)のみ214円(110.3%)と好調な消費であったが、全体としては家具類は消費が昨年に比べ控えられた項目といえよう。
同様に、高額商品である家電であるが、これは項目により、明暗がわかれている。110%以上の消費が旺盛な項目を見てみると、移動電話機(携帯電話機,PHSの本体価格と加入料)440円(141.9%)と通信・放送受信とも連動し、好調であり、141.9%は消費全項目約70の中で最高の伸び率である。これ以外にも、 カー・ナビゲーション201円(133.1%)、ビデオカメラ147円(132.4%)、デジタル放送チューナー内蔵テレビ2,099円(129.2%)、デジタル放送用チューナー・アンテナ92円(126.0%)、インターネット接続機能付テレビゲーム機74円(115.6%)が110%以上の消費であった。逆に、ミシン56円(56.6%)、エアコンディショナ414円(69.7%)、ステレオセット62円(83.8%)などが厳しい状況であった。好調なデジタル関連でも、デジタル放送チューナー内蔵テレビ以外のテレビ93円(72.7%)、カメラ(使い捨てのカメラは除く)503円(81.4%)、ファクシミリ付固定電話機103円(83.1%)は、伸び悩んでおり、明暗が分かれたといえよう。
これ以外の項目で110%以上消費が伸びた項目を見てみると、衣料では、婦人用スーツ・ワンピース1,713円(110.3%)、自動車等関係では、自動車(新車)13,874円(112.8%)、その他では挙式・披露宴費用3,157円(117.8%)である。また、意外に伸びが高かったのが 仕送り金6,868円(110.5%)である。この仕送り金は地域差が大きく、トップは東北の11,178円、ついで北陸の10,044円となり、最も少ないのが近畿の5,095円、関東の5,453円であった。
これに対して、90%以下となった項目を見てみると、衣料では和服(男子用・婦人用)732円(57.5%)、自動車等関係では自動車(中古車)3,837円(69.0%)となり、新車とは対照的な消費傾向となった。住宅関係では、家屋に関する設備費・工事費・修理費(内装)4,198円(64.9%)、給排水関係工事費1,951円(75.0%)、宅地の地代505円(79.9%)という状況である。医療では、歯科診療代2,374円(83.6%)、出産入院料378円(70.9%)、 出産以外の入院料2,886円(85.7%)であった。その他では、自動車教習料306円(59.0%)、パック旅行費(国内)3,220円(73.6%)、パック旅行費(外国)2,743円(83.0%)と旅行関係は国内外ともに厳しい消費状況であったといえよう。また、先ほどの仕送りに対し、贈与金に関しては12,810円(87.9%)と厳しい状況であった。
このように、この4月度の家計調査データは把握が難しい頻度の低い高額商品の消費動向は全体として若干のマイナスであったが、約70項目の個々の状況を見ると、110%以上に大きく伸ばした項目や逆に90%以下の厳しい項目が混在しており、消費も項目により、明暗がはっきりわかれた結果となった。特に、このような中でもデジタル関連はインターネット関連を含め絶好調であり、値上げ環境の中でも消費を牽引しているといえよう。来月以降も、値上げ環境は厳しい状況が続くといえるが、今後もこの消費状況調査には注目してゆきたい。
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