気になる一面、日経MJ、PB特集について
日経MJ、6/13、一面にPBの記事が掲載された。「製販同盟、小売主導、大手メーカー続々参入」、「セブンプレミアム、PBの衝撃」、「原料高・市場縮小…逆風、力関係変える」、「PB協力、NBの販促費」という見出しの全面特集である。記事の内容はセブン&アイが総力をあげて取り組んでいるPB、セブンプレミアムの解説記事である。特に、大手メーカーが続々とセブンイレミアムの商品開発に参画しはじめたことへの異変について解説した内容である。記事の中ではその象徴的な企業として、味の素の冷凍食品について取り上げているが、これまで味の素はPBに対応することはなかった企業であり、その味の素が主力商品のひとつであるエビシューマイがセブン&アイのPB、セブンプレミアムで販売されたことが、業界にとって大きな衝撃であったという。
実際、これまで、PBというとカテゴリーのNo.1、No.2メーカーは自社のNBとバッティングするため応じることはほとんどなかったのが実態である。そのため、PBは価格は安いが、品質がいまひとつという声が多く、PBそのものの店内シェアがいまひとつあがらないという期間が長く小売業にはつづいたといえる。イオンのトップバリュも初期の頃はなかなか消費者に浸透せず苦労した時期があるが、やっと、店内売上構成比が10%近い数字にまで伸びつつあるが、その背景にはPBに大手メーカーも応じるようになり、品質が向上したということがある。これに加え、ここ最近の原料、資源高の値上げが、NBの価格に転嫁されはじめ、PBとの間に価格差が生じ、PBが単に値頃感が増しただけでなく、明らかに誰もが安いと感じるところまで、価格差が開いたことにより、急激に、消費者がPB購入にシフトしはじめたことが大きいといえよう。
この日経PBの記事にもセブンプレミアム商品の一覧が掲載されているが、たとえば、カップラーメンの場合、製造メーカーはサンヨー食品であるが、価格は88円、NBのカップヌードルは日経MJでは128円と書いてあるが、私の周辺の食品スーパーマーケットでは138円で販売されており、その価格差は63.7%となり、30%以上の差となっている。これまで、PBとNBの価格差はせいぜい10%から20%が平均であったので、30%以上差がつくことはかなりの価格差であり、誰でも安いと感じる価格差といえる。ここまで価格差がつくとさすがのNBのブランド力をもってしても、対抗するのが厳しい状況といえ、これに、ここ最近では大手メーカーがPBに応じるようになり、品質での差も縮まってきており、PBを選択しない理由をみつける方が難しい状況といえよう。
その他の価格が掲載されているセブンプレミアムの商品を見てみると、スイスロール(ロールケーキ)、山崎パン、118円(138円)、85.5%、中濃ソース・とんかつソース、カゴメ、178円(198円)、89.8%、ごまドレッシング、キューピー(傘下のサラダメイト)、298円(398円)、74.8%、ピザトースト、日本ハム、288円(398円)、72.3%等であり、いずれも大手メーカーが対応しており、しかも、NBとの価格差は15%から30%近い差となっているのが実態といえる。
日経MJの記事の中では、味の素が主力商品のシューマイのPBに応じた背景として、冷食メーカの営業利益率が売上高比で1.5%から3.0%ぐらいと、飲料メーカーの5.0%前後と比べると大きな開きがあるという。その要因は、小売業が冷凍食品を目玉に使い、全品4割引きなどの特売を繰り返し、それがメーカーの利益を圧迫しているという。また、記事では言及されていなかったが、この1月に起こった中国冷凍餃子事件の影響も大きく、冷凍食品業界は売上が大きく落ち込み、厳しい経営状況に追い込まれているのが実情であり、味の素も例外とはいえいず、ここ最近は回復気味にあるとはいえ、依然として厳しい状況が続いているといえる。さらに、これに値上問題が拍車をかけており、これらがあいまって、今回、セブンプレミアムというPB商品の開発につながったといえよう。
記事の中ではこの5/9にセブン&アイがセブンプレミアム発売1周年を記念した優秀商品の表彰式が本社で開かれたという。その中で、今回、グランプリに輝いたのが、売れ行きが急伸したカップめんであったという。準グランプリが日本ハムと共同開発したピザトーストなどの軽食シリーズであるという。また、記事の中では、セブンプレミアムの開発リーダーのヨークベニマル社長の大高善興社長のコメントが掲載されているが、その中で、「こんなに簡単に消費者がNBからPBへ「ブランドスイッチ」が起きるのかと感じたメーカーは多いはず」と述べているが、まさに、この数ケ月はこの言葉が象徴的に表しているといえ、値上げ問題が消費者の購買行動を変え、PBへ急激にシフトしている状況にあるといえよう。
このように、今回の日経MJはセブンプレミアムについての特集記事であったが、食品スーパーマーケットのPB全体がこのような状況にあるといえ、この値上げ問題は消費構造をも変える大きなうねりとなりつつあり、小売業のPB戦略、メーカーのPB戦略を根底から変えつつあるといえよう。今後の食品スーパーマーケットはもちろん、メーカーのPB戦略には注目といえよう。
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