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June 12, 2008

PI値は3つある、そして、その関係は?

   ここへ来て、PI値を勉強される方が増えているのを感じる。小売業でも、メーカーでも卸でもよくPI値ということばを聞く機会が多い。そこで、今回はあらためてPI値の基本の基本をまとめてみたい。実は、PI値には3つの指標がある。そして、その3つは相互に関連しており、体系化されるが、意外に3つのPI値が混同されて活用されていることがあり、改めて3つのPI値について解説してみたい。先に結論をいえば、3つのPI値とは数量PI値、金額PI値、客数PI値であり、この3つは、金額PI値=客数PI値×セグメント客数における数量PI値×平均単価で関係づけられ、体系化される。

   原則、PI値とPIがつけば、すべて顧客1人当たりの数字のことであり、数量PI値は売上数量÷客数であり、金額PI値は売上金額÷客数であり、客数PI値はセグメント客数÷客数のことである。要は分母に何をもってくるかにより、PI値の中身が違うということである。このように、PI値には3つの指標があり、PI値といっても、どのPI値なのかにより、区別がつきにくく、PI値の頭に数量、金額、客数をつけて区別することにより、PI値の中身が明確になり、会話が成立することになる。PI値といった場合は何のPI値かをしっかり区別して、会話することがポイントであり、そうすることによって、マーチャンダイジングの本質に迫ることができる。

   では、この3つのPI値の関係はどうなっているかであるが、これも、よく目にするのが、この3つの指標をバラバラに活用し、ある時は数量PI値でみたり、ある時は金額PI値でみたり、ある時は客数PI値でみたりし、相互の関係を無視してマーチャンダイジングに踏み込んでしまう場合が多い。歴史的にいえば、数量PI値が一番はじめに登場し、次に金額PI値が生まれ、最後に、ごく最近、客数PI値が明らかになったといった流れである。ただ、ややこしいのは、POS分析初期の頃は、客数と数量が混同されて使われていたりし、意外に、最近、あきらかになった客数PI値が部分的に先に使われたりしていた場合もあり、いまでも初期の頃から客数PI値と数量PI値を一緒に活用されている企業もある。PI値も歴史的には様々な呼ばれ方があり、客数比率、支持率、顧客1人当たりの販売数量などがあり、この内、特に、支持率が客数PI値である場合もあり、支持率という言葉を用いている場合は要注意である。

   さて、その3つの関係であるが、PI値は客数で割って算出する指標であるので、原点は販売金額=販売数量×平均単価(売価)である。この双方を客数で割ったものがPI値であり、この数式は、(販売金額÷客数)=(販売数量×平均単価)÷客数となり、右辺を=(販売数量÷客数)×平均単価とすると、これが金額PI値=数量PI値×平均単価となり、基本である。すなわち、金額PI値はPI値と平均単価を掛けあわせて成り立っており、2次元の指標となる。したがって、金額PI値を引き上げるには、数量PI値を引き上げるか、平均単価を引き上げるかがポイントとなり、片方だけを引き上げも金額PI値があがるかどうかは保証されない。金額PI値は数量PI値と平均単価の微妙なバランスで決まる指標であることがわかる。

  次に、最近、頓(とみ)に注目が集まっている客数PI値であるが、これはID-POSが普及するようになって体系化されたごく最近の新しい指標である。というのは、客数PI値の分母、分子は様々な客数がくるため、そもそも客数が全体客数以外で自由に把握できないと算出不可能な指標であるからである。現在の通常のPOSシステムでも、ある程度のところまでは様々な客数をとることはできる。たとえば、青果を購入した客数(正確にはレシート枚数)とか、バナナを購入した客数、ある棚の商品を購入した客数、チラシ商品を購入した客数などである。ただ、女性の客数、男性の客数、年配の方の客数、子供の客数、さらには、リピート購入した客数、トライアルの客数等は通常のPOSレジでは把握が不可能であり、これはID-POS、たとえば、ポイントカードなどの何らかの顧客識別ができてはじめて把握できる客数である。

  このような様々な客数が把握できれば、数量PI値は販売数量÷客数なので、ここにたとえばバナナの客数がわかれば、バナナの客数÷全体客数という客数PI値が算出でき、数量PI値=客数PI値×バナナの客数の数量PI値と変形できる。ここで、バナナの客数の数量PI値を数量PPIと数量PI値と区別するためにPをひとつつけて表現することもあるが、要は客数がバナナの客数など、セグメントされた客数における数量PI値のことである。

  これをまとめると、金額PI値=数量PI値×平均単価=客数PI値×セグメントされた客数の数量PI値×平均単価となり、ここに3つのPI値の相互関係が明らかになる。金額PI値をあげるためには、客数PI値、セグメントされた客数の数量PI値、平均単価の相互の微妙なバランスをとることであることがわかる。金額PI値も客数PI値が入ることにより、2次元から、3次元の立方体で表現できるようになり、金額PI値が上がった場合は、この3つの要素のどれかが微妙な関係で動き、立方体の体積が必ず大きくなる。なお、金額PI値=数量PI値×平均単価も客数PI値が1の場合の特殊事例と考えれば、金額PI値は常に、=客数PI値×セグメントされた数量PI値×平均単価と表すこともできる。

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