食品商業最新号で、決算を特集!
食品商業最新、2008年7月号で食品スーパーマーケットの決算特集の記事が掲載された。本ブログでも速報で各社の決算を取り上げてきたが、ここであらためて、この決算特集をもとに食品スーパーマーケットの決算状況をみてみたい。今回、この食品商業に取り上げられた企業数はGMS、食品スーパーマーケットを含め、49社であり、この内、営業利益段階で見た場合、増収増益が28社、減収減益が10社であり、増収減益7社、減収増益4社であったという。全体としては、食品スーパーマーケット業界は、好調な決算であったといえよう。なお、この食品商業の決算特集の数字はすべて、単体ベースである。
まず、主要GMS、5社の状況であるが、営業利益段階で見ると、増収増益は西友の1社のみである。ただ、西友は当期純利益は大幅な赤字となる厳しい決算であった。他の4社はイオンが増収減益、イトーヨーカ堂、ダイエーが減収減益、ユニーが減収増益という決算であり、GMSは全体的として厳しい決算であった。特に、既存店は公表のない西友を除き、すべて、昨対を切っており、さらに、新店もイオンの23店を除き、各社数店舗と出店が思うようにできず、成長が伸び悩んでいる。
また、販売管理費を売上総利益で賄える収益構造の企業は1社もなく、すべて、不動産等の営業収入で営業利益をプラスにもっていっており、収益性の面でも厳しい状況にあるといえよう。高収益体質で定評のあるイトーヨーカ堂でさえ、販売管理費26.3%、売上総利益25.7%と差引きわずかではあるが、-0.6%となっており、営業収益1.8%を加え、営業利益を1.2%と黒字にもっていっている。したがって、ROA、ROEは、ダイエーのみ、マルエツ株の売却益が入るなど特別利益が計上されたため、ROEが19.9%と異常値となっているが、各社数%と厳しい状況である。
一方、貸借面では、イトーヨーカ堂の自己資本比率70.8%が突出しており、西友の7.9%を除くと、各社40%前後である。有利子負債もやはりイトーヨーカ堂の795.52億円が最も低く、イオン1,776.34億円、ダイエー1,328.11億円、ユニー2,251.89億円、西友2,947.27億円という状況である。各社、以前の状況と比べるとだいぶスリム化されてきているのがわかる。
次に、食品スーパーマーケット業界の決算状況であるが、まず、増収増益の企業であるが、イズミ、イオン九州、イオン北海道、サンエー、ライフコーポレーション、ヨークベニマル、マルエツ、アークス、オークワ、サミット、バロー、カスミ、マックスバリュ西日本、ヤオコー、いなげや、エコス、マックスバリュ東海、関西スーパーマーケット、ベルク、サンクスジャパン、アオキスーパー、東武ストア、オオゼキ、丸久、ハローズ、マルヨシセンター、丸和の27社である。逆に、減収減益となった企業は、フジ、天満屋ストア、東急ストア、タイヨー、相鉄ローゼン、マックスバリュ東北、北雄ラッキー、マルヤの8社である。また、売上高が2,000億円を超えている食品スーパーマーケットを見ると、イズミ3,793.29億円、平和堂3,387.10億円、イズミヤ3,295.05億円、フジ2,898.62億円、イオン九州2,267.00億円、ライフコーポレーション4,285.03億円、ヨークベニマル3,199.31億円、マルエツ3,142.26億円、東急ストア2,427.97億円、アークス2,414.55億円、オークワ2,402.51億円、サミット2,042.73億円、バロー2,000.88億円の13社である。
さらに、収益性について、営業利益を見てみたい。営業利益が5.0%を超える食品スーパーマーケットであるが、イズミ5.3%、サンエー6.9%、オオゼキ7.7%の3社のみである。営業利益3.0%以上は平和堂3.3%、天満屋ストア3.2%、ヨークベニマル3.5%、アークス3.4%、オークワ3.3%、バロー3.1%、マックスバリュ4.0%、ヤオコー3.8%、原信ナルスホールディングス3.3%、マックスバリュ東海4.5%、ベルク4.0%、アオキスーパー3.3%、東武ストア3.0%、ヤマザワ3.3%、丸久4.6%、ハローズ3.6%の16社であり、大半を占める。また、販売管理費が20%台を含め、20%を切る食品スーパーマーケットは、アークス19.2%、タイヨー19.0%、サンクスジャパン12.7%、アオキスーパー16.2%、オオゼキ18.2%、丸久19.7%、イズミ20.8%の7社である。さらに、営業総利益からこの販管費を引いた数字がプラスになった収益性の高い食品スーパーマーケットはイズミ0.6%、サンエー4.0%、ヨークベニマル0.3%、マルエツ0.2%、アークス3.4%、マックスバリュ西日本2.0%、タイヨー1.5%、原信ナルスホールディングス3.3%、マックスバリュ東海2.5%、ベルク0.0%、サンクスジャパン1.6%、アオキスーパー0.6%、東武ストア1.5%、オオゼキ6.6%、丸久2.2%、ハローズ1.2%、マルヨシセンター0.2%、丸和0.8%の18社である。
一方、貸借面を見てみると、自己資本比率が50%を超える食品スーパーマーケットはユーストア54.5%、サンエー67.6%、ヨークベニマル79.7%、アークス58.0%、オークワ61.2%、いなげや55.0%、タイヨー61.1%、マックスバリュ東海70.5%、ベルク51.1%、アオキスーパー61.6%、東武ストア65.7%、ヤマザワ65.3%、オオゼキ77.8%、マルヤ62.4%の14社である。
このように食品商業最新の2008年7月の決算特集を見てみたが、GMSと対照的に食品スーパーマーケットの好調さが浮きぼりになる決算であったといえよう。成長性、収益性、安定性、どの指標をとっても全体的に食品スーパーマーケットは好調な決算であったといえる。また、各地で有力な食品スーパーマーケットが高収益性と財務の安定性を基盤に売上を拡大している状況も鮮明であり、今後、これらトップ企業を中心に食品スーパーマーケット業界も集約がはじまり、群雄割拠の時代に入りつつあるといえよう。そろそろ、2月期決算企業の新年度の第1四半期決算が公表される時期になるが、本ブログでも今後、決算情報は最優先で取り上げてゆきたい。
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