食品スーパーマーケット、第1四半期決算はじまる!
6月に入り、いよいよ、食品スーパーマーケットの第1四半期の決算の公表がはじまった。6/11、マックスバリュ中部の2009年1月期、6/16には、マックスバリュ西日本の2009年2月期の第1四半期の決算が公表された。どちらも増収増益の好決算であり、この決算は1月期決算の場合は2月、3月、4月、2月期決算の場合は、3月、4月、5月、そして、3月期決算の場合は4月、5月、6月となるため、まさに値上げ問題の影響がもろに反映される決算となり、先に公表された本決算以上に注目の決算といえよう。
まず、マックスバリュ中部であるが、営業収益276.83億円(104.0%)、営業利益3.01億円(219.5%:営業収益比1.08%)と昨年が大幅に減益であった分、今期は大幅な増益となった。ただ、営業収益比はわずかであり、高い数字ではない。経常利益は2.98億円(217.6%:営業収益比1.07%)、当期純利益は1.27億円(昨年は赤字:営業収益比0.45%)と全体としては増収増益ではあったが、昨年が厳しい決算であったため、伸び率としては好調な決算であったといえよう。また、マックスバリュ西日本であるが、営業収益497.43億円(109.3%)、営業利益15.75億円(123.6%:営業収益比3.16%)、営業利益17,00 億円(122.4%:営業収益比3.41%)、当期純利益9.67億円(125.2%:営業収益比1.94%)と大幅な増収増益と好調な決算であった。
いずれも昨年と比べ、好決算となっており、この数字を見る限り、値上げ問題は、この2社にとっては追い風となっているようである。ただ、ここへきて、さらに値上げが増える勢いであり、これ以上の値上げが続くと、食品スーパーマーケットにとっては厳しい数字になることもあり得る話であり、ここしばらくは消費動向を慎重に見極める必要があろう。
この問題を探る意味でも、まず、この2社のこの第1四半期決算時の粗利率と経費比率の状況を見てみたい。マックスバリュ中部の売上総利益であるが24.79%(昨年24.78%)とほぼ同比率の粗利率であった。今期、マックスバリュ中部は、PBブランドであるイオンのトップバリュを地域一番の価格にすべく積極的に取り組んだというが、この数字を見る限りでは粗利面へのインパクトはまだ顕著にはなっていないようである。これに不動産等の収入がのり、営業利益率は27.33%(昨年27.16%)となった。経費比率に関しては26.22%(昨年26.63%)であったので、差し引き、営業利益率が売上対比では1.11%(昨年0.52%)となった。これに対して、マックスバリュ西日本の売上総利益は24.3%(昨年23.9%)と0.4ポイント粗利率が改善している。今期、マックスバリュ西日本はマックスバリュ中部同様、イオンのトップバリュに積極的に取り組んでおり、昨年の売上構成比6.9%から8.6%へと、124.6%もの大幅な増加となっており、さらに、家計応援スペシャルの商品も7.5%から9.4%へと大きく伸びており、これだけの粗利改善へつながったといえよう。同じトップバリュへの積極的な取り組みであるが、粗利率へのインパクトに差が出た結果となった。
一般的にPBの売上構成比が10%近くなると、NBと5%の粗利差があれば、相乗積から0.5ポイントの粗利改善につながり、10%以上の差があれば1.0%の改善につながるので、PBの商品構成比を10%以上に高めることがPB戦略となるが、この数字を見る限りではマックスバリュ西日本ではPBの粗利改善効果が顕著になりはじめたといえよう。
マックスバリュ西日本はこの粗利改善に支えられ、不動産収入等を足した営業利益は26.4%(昨年25.9%)となり、販売費及び一般管理費が23.2%(23.1%)と0.1ポイント上昇したが、これをカバーし、営業利益が3.2%(2.9%)と好調な数字となった。特に、マックスバリュ西日本で、売上が伸びた商品群は酒類121.7%、畜産115.0%、パン・生菓子114.8%、日配食品110.3%とこれらの商品群が堅調な伸びを示した。
これに対して、今後の成長を占う自己資本比率の状況であるが、マックスバリュ中部は32.3%(昨年31.6%)、マックスバリュ西日本は47.0%(47.0%)となり、ほぼ昨年並みの数字であり、好調な決算結果が自己資本比率の充実には大きくは結びついていないようである。その中身を見てみると、マックスバリュ西日本は出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は278.50億円(昨年270.76億円)となり、総資産の68.10%(昨年67.0%)と負債に大きく依存する出店体制となっており、一層の自己資本の充実が課題といえよう。また、マックスバリュ西日本については、出店にかかわる資産は366.53億円(昨年315.85億円)となり、総資産に占める割合は58.7%(昨年54.1%)とマックスバリュ中部と比べると負債依存度は格段に低く、今後の成長余力が高いといえよう。
このように、いよいよ、食品スーパーマーケット業界の値上げ問題をもろに受けた決算結果の公表がはじまり、いち早く、結果を公開したマックスバリュ中部とマックスバリュ西日本の第1四半期決算を見たが、どちらも昨対では好決算となった。その中でも、マックスバリュ西日本は特に、PB、トップバリュの粗利改善効果が見られ、自己資本比率も高い数字であり、成長余力も高く、今期の動向には注目といえよう。今週、来週、そして、7月前半が各社の第1四半期決算発表のピークとなると思うが、本ブログでもしっかり、速報として取り上げてゆきたい。
まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1152人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在425人)
« 売上速報、食品スーパーマーケット2008年5月、106.0%! | Main | 日経MJで、第41回、小売業07年度ランキングを公表! »
« 売上速報、食品スーパーマーケット2008年5月、106.0%! | Main | 日経MJで、第41回、小売業07年度ランキングを公表! »
Comments