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June 08, 2008

勝間和代さん著、「利益の方程式」を読む!

   たまたま、新大阪の書店で手にとった本に興味を覚え、買ってしまった。勝間和代さんの書いた「勝間式、利益の方程式」(東洋経済新報社)である。この本を買う動機となったのはパラパラとページをめくっていたら、万能利益の方程式が目にとまり、利益を金額PI値(客単価)を用いて解説していたからである。本の中では金額PI値、客単価という言葉はいっさい出てこないが、数式の中心はまさに金額PI値(客単価)のことであり、本の中では「顧客当り単価」という言葉を用いている。はじめは平均単価のことかと思い、読み進めてみると、まぎれもなく金額PI値(客単価)のことであり、なぜかドキッとした。

   また、この利益の方程式を見て、さらにびっくりした。原価PI値、経費PI値を使い、最終的に利益PI値を算出していたことである。本の中では、利益=(顧客当り単価-顧客当りコスト-顧客当り原価)×顧客数という数式を使っているが、これはPI値で置き換えれば、利益高=(金額PI値-経費PI値-原価PI値)×客数、さらに、=(粗利PI値-経費PI値)×客数=利益PI値×客数となる。ただし、経費PI値はこの本の中では顧客獲得の経費に限定している点が少し違うが、要は利益PI値を3つに分解して、客数を含め、それぞれの各要素の改善のポイントを解説した本である。まさにPI値理論そのものといえ、金額PI値を中心に利益PI値にまで踏み込んだ、公認会計士の勝間さんらしい観点から、利益というものに真正面から取り組んだ本といえよう。

   ひとつ残念だったのは、顧客当りの単価=金額PI値(客単価)をPI値×平均単価と分解せずに、金額PI値と平均単価の関係に焦点を当てた解説に終始してしまっていた点である。最終目的が利益高にあるので、どうしても金額概念主体となり、数量概念が隠れてしまうのは仕方ないが、もったいない気がする。利益PI値も数量概念を入れれば、数量PI値×商品当たりの利益高となるので、顧客当り数量、すなわち、PI値から利益に迫ることもできると思うので、この角度から、迫ってみても利益改善はおもしろい展開ができると思う。

   ただ、この本の中で一貫して協調しているのは、顧客当り単価=金額PI値(客単価)の重要性であり、これを下げないことが利益を獲得する最大のポイントであると示しており、金額PI値アップは、売上を上げることが目的だけではなく、利益をあげる上にも最も重要で、根幹の指標であることを示した点には共感できた。

   実際、コンサルティングの現場で金額PI値(客単価)の重要性を説明すると、必ず、質問されることがある。金額PI値アップの重要性は理解できるが、それが利益改善につながるのかという質問である。通常、現場では、それに対して、粗利PI値、経費PI値の話をし、最後に、利益PI値の話をし、金額PI値-原価PI値=粗利PI値、利益PI値=粗利PI値-経費PI値と話し、利益改善は粗利PI値を引き上げ、経費PI値を引き下げることであり、さらに、粗利PI値は金額PI値を引き上げ、原価PI値を引き下げることであると解説し、結果、大本の、金額PI値が下がれば、全部下がり、上がれば、全体も良くなるという説明をしてきたが、この本のように、もっとシンプルに実践的に絞り込んだ方が分かりやすいのではと思った。その意味で、この本はまさに、この問題に真正面から答え、解説した本といえ、今後は参考にこの本をお読みくださいといえる、実にわかりやすい解説書である。

   また、このシンプルな数式で参考になったのが、コストを顧客獲得コストに絞り込んだ点と顧客数を固定数ではなく、普及論を応用して、ある段階では急激に変化する変動数ととらえていることである。特に、客数は通常のPI値では全体客数を使うため、食品スーパーマーケットでは固定数ととらえてしまう。ただ、CRMになると客数PI値が重要なキー概念となるため、商品によっては客数PI値が急激に変化するものもあり、まさに、変動数とした方が良いといえる。むしろ、客数をID数×ID客数PI値(来店頻度の逆数)とすると良いかもしれない。また、顧客当り獲得コストについても、食品スーパーマーケットの場合は、顧客当り人件費=人件費PI値の方が良いかもしれない。人件費PI値を算出することで、オペレーションとも連動し、人件費のコントロールがいかに利益を生み出すかに直結するからである。さらに、人件費PI値を((平均時給×人数)×時間)÷客数とし、=人員PI値×時給×時間とし、顧客一人当たりの人員を適正にした上で、時給と総労働時間の関係を考え、いかに人件費PI値をコントロールすれば、利益が出るかを考えれば良いように思う。

   このように、この本は実に示唆に富む本であり、利益に対して真正面から取り組み、極めてシンプルな数式で、その本質を解説しており、しかも、その根幹が金額PI値(客単価)にあることを示した内容である。PI値を勉強している人にとっては、やや物足りないところもあると思うが、金額PI値(客単価)と利益の関係を理解するには最適な良書のひとつといえよう。勝間さんの次の展開に期待したい。

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