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July 16, 2008

キューピー2008年11月中間、増収減益、厳しい決算!

   7/10の日経新聞に「キューピー純利益12%減、5月中間、食用油の高騰響く」という記事が掲載された。実際、7/9に公表されたキューピーの2008年11月期の中間決算の数字を見てみると、売上高2,350.51億円(101.1%)、営業利益66.71億円(89.6%:売上対比2.83%)、経常利益66.79億円(89.9%:売上対比2.84%)、当期純利益31.13億円(87.99%:売上対比1.32%)という結果であり、増収とはなったが、その増加分はわずか1.1%であり、利益についてはすべての段階で減収となる厳しい決算であった。

   キューピーの事業構造は、食品事業と物流事業に大きく分かれ、今期中間決算時の売上はそれぞれ、食品事業1,880.91億円(売上構成比80.02%、昨対100.3%)、物流事業469.59億円(19.97%、104.3%)という状況であり、食品事業が厳しい状況であったことがわかる。その中でも、調味料・加工食品895.18億円(38.08%、100.8%)、健康機能85.33億円(3.63%、100.8%)、タマゴ433.93億円(18.46%、102.1%)、サラダ・惣菜466.45億円(19.84%、97.7%)という状況であり、主力のキューピーマヨネーズは調味料・加工食品に属し、全体の約40%を占めるが、やはり、売上は100.8%と伸び悩んでいることがわかる。

   キューピー自身も、「主要原料の購買面では、鶏卵価格は安定して推移したものの、食油価格は穀物価格の影響などから高騰を続け、・・」と解説しているように、食用油の価格の上昇の影響が大きかったという。実際、今回の決算数字の原価、粗利、経費の構造を見てみると、売上原価が昨年の76.0%から77.3%へと1.3ポイント上昇しており、仕入原価の上昇がみられる。結果、売上総利益は昨年の24.0%から22.7%へと下がったことが減益となった最大の要因といえよう。また、販売費及び一般管理費については、昨年の20.8%から19.9%へと0.9ポイント改善したが、差し引き、営業利益は3.2%から2.8%へと0.4ポイントさがっており、率では87.5%という減益となった。経費削減により、原価の上昇分を吸収できない状況といえ、予想以上に原価の上昇が経営を大きく圧迫しているといえよう。このような状況から、キューピーは、「マヨネーズおよびドレッシングの価格を8月1日出荷分から改定させていただくこととしております。・・」ということであり、価格に転嫁する以外に、利益を確保する方法がないという厳しい状況にあるといえよう。
 
   実際、食品スーパーマーケットのここ最近のPOSデータを見てみると、マヨネーズの価格は110%近く上昇しており、それと反比例する形で、PI値が激減しており、10%のダウンではとどまらず、15%近い落ち込みとなっており、結果、金額PI値は95%前後となる厳しい状況となっているのが実態である。これは、この5月度の家計調査データでも同様の傾向が出ており、マヨネーズは94.8%という状況である。その中身も消費世帯のみの消費額は100.8%と微増であるが、消費世帯の割合いが94.1%と落ち込んだことが大きく、昨年と比べ、マヨネーズを購入する世帯の割合が減っているのが特徴である。また、マヨネーズ以外でも調味料の中では、しょうゆ、ケチャップ、ソース、酢等が厳しい数字である。逆に、この時期伸びたものでは、食用油、マーガリン、みそ、食塩などであり、調味料の中でも明暗が分かれている。

   さらに、POSデータでマヨネーズの重点商品の動向を見ると、No.1のキューピーマヨネーズ500gは金額PI値80%、No.2のキューピーハーフ400gは金額PI値90%となっているのが実態である。No.3には味の素ピュアセレクトマヨネーズ400gが入っているが、これは、逆に金額PI値は105%ぐらいで伸びている。ただ、キューピーの中でも上位ランクに入るキューピーマヨネーズ350gは金額PI値が170%近い伸びを示しており、伸びた商品もあるが、No.1、No.2が値上げ後、金額PI値が下がりぎみであることは全体としては厳しい状況となろう。

   ちなみに、このキューピーの中間決算の記事が掲載された7/10のキューピーの株価であるが、959円(+6円、+0.62%)と若干であるが株価は上昇した。ただ、キューピーの株価はこの4月初めには1,100円を超える株価であったので、959円は、7/3につけた年初来最安値の920円までは下がっていないが、今期の中では低い水準であり、4月以降、株価はダウントレンドで推移しており、この決算でというよりも、投資家は、今期、少なくとも、当面はキューピーが厳しい経営となることを織り込んでいるようである。

   キューピー自身も今期予想に関しては、売上高4,780.00億円(102.1%)と売上は増収となる予想であるが、営業利益150.00億円(94.8%:売上対比3.13%)、経常利益148.00億円(93.5%:売上対比3.09%)、当期純利益77.00億円(105.1%:売上対比1.61%)と営業、経常段階では厳しい予想となっている。
 
   このように、マヨネーズメーカー、業界トップのキューピーの中間決算が公表されたが、その内容は増収減益となる、特に利益面が厳しい決算となった。その要因はまさに、値上げ問題をもろに受け、原価の高騰に経費の削減が追いつかない状況にあるといえる。値上げ問題は食品スーパーマーケットでは現段階では追い風になっているようであるが、メーカーはこのキューピーの決算数字を見る限り、厳しい向かい風となっているようである。今後、小売、メーカーの四半期決算が続々と公表されると思うが、値上げ問題がどのように経営に影響を与えているかという観点を入れながら、本ブログでは、小売、メーカー双方の決算速報をしっかり追ってゆきたい。

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