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July 01, 2008

家計調査データ、2008年5月度、1,969.10円(100.5%)!

   2008年5月度の家計調査データが6/27、総務庁統計局から公表された。値上げ問題真っただ中での消費環境がどのような状況であるかが問題となる月であり、注目の数字である。CPI(消費者物価指数)も同日公表され、本ブログでも取り上げたが、101.7%とここ数年間では最高の上昇率となった。物価がじわじわと上がり始めている様相が鮮明であり、これが実際の家計ではどのように消費状況に反映されているかが、今月の家計調査データのポイントである。その結果は1,969.10円(昨年1,895.64円:100.5%)とほぼ横ばいの結果であった。家計調査データは価格が一部のみの公表であるため、消費額が中心となる。そのため、数量と価格との関係がとらえにくいが、今回の100.5%は金額ベースでは横ばいであるが、価格が大きく上昇していることが予想され、おそらく、数量ベースでは下がっている可能性が高いといえよう。今月度は消費額としては何とか、100%ぎりぎりを維持しているが、今後、さらなる値上げも予想され、厳しい状況が続くものと予想される。

   まず大分類で今回の5月度の数字を見てみると、上昇した部門は肉類216.71円(107.7%)、油脂・調味料107.58円(106.1%)、酒類119.39円(106.1%)、菓子類213.13円(104.0%)の4部門であり、特に、肉類、油脂・調味料は内食志向が反映されたものといえよう。逆に、消費額が下がった部門であるが、飲料137.06円(93.4%)、果物84.84円(95.6%)、魚介類230.00円(95.9%)、調理食品251.10円(96.5%)であり、飲料、果物が最も消費額が下がった部門であり、ついで、肉類と対照的に魚介類が下がった。また、内食志向が強まっているせいか、出来合いで少し高くつく惣菜(調理食品)の消費額が下がっているのが特徴である。あきらかに、節約志向が鮮明といえ、今後、消費のキーワードは節約が強くクローズアップされてくるのではないかと思われる。

   そこで、次に、値上げ関連の項目を見てみると、小麦関連では、小麦粉は、1.84円(98.3%)とやや下がったものの、パン類では、パン79.19円(104.2%)、食パン26.13円(110.7%)と特に食パンが好調である。さらに、めん類では、スパゲッティ3.81円(124.2%)、中華めん13.32円(113.5%)、カップめん8.00円(113.2%)、即席めん4.03円(120.2%)といずれも高い消費額であり、この5月度も、小麦関連は全体として好調な消費額であるといよう。

   次に、バター、チーズなどの乳製品関連であるが、バター2.29円(126.8%)、チーズ9.71円(109.5%)と絶好調であり、さらに、粉ミルクも2.16円(108.1%)と好調であるが、牛乳46.55円(98.0%)、ヨーグルト22.48円(101.0%)と、これら主力の2項目は軟調な動きである。さらに、食用油9.03円(116.2%)、マーガリン2.55円(116.2%)、食塩1.81円(112.0%)、みそ7.84円(113.6%)、風味調味料5.06円(113.8%)など調味料関連も好調な動きのものが多いのが特徴である。さらに、酒関連では比較的価格の安い焼酎が20.97円(111.9%)と絶好調であり、ついで、ビール44.97円(106.5%)、発泡酒も18.32円(106.6%)と好調である。逆に、ウイスキー2.87円(88.1%)、ぶどう酒5.06円(94.6%)は厳しい状況であり、清酒も14.74円(92.9%)と伸び悩んでいるといえる。

   このように値上げ関連商品はほぼ値上げがプラスのなっている好調な項目が多いのが特徴であり、値上げ後も消費額の落ち込みはなく、金額ベースでは現段階では旺盛といえる。これに対し、ここへきて、消費額が大きく落ち込んだ項目を見てみたい。まず、大分類で最も消費額が落ち込んだ部門である飲料であるが、ココア・ココア飲料0.65円(83.3%)、ミネラルウォーター6.06円(84.3%)、緑茶22.42円(85.2%)が大きく、ついで、乳飲料2.87円(90.8%)、乳酸菌飲料9.39円(92.1%)、果実・野菜ジュース25.68円(94.3%)である。逆に、消費額が上昇した飲料は、コーヒー 12.81円(105.6%)、紅茶2.10円(103.2%)の2項目であった。

   その他の項目で消費額が下がったものを見てみると、いま話題になっているまぐろ15.71円(79.6%)、いか7.52円(90.7%)をはじめ、さしみ盛合わせ15.74円(90.5%)、たこ3.42円(86.9%)、あじ5.74円(88.6%)、いわし1.81円(93.3%)、かつお8.10円(94.4%)など、魚介類は全体的に厳しい状況である。また、調理食品(惣菜)では、あいかわらず、冷凍調理食品12.61円(81.5%)、うなぎのかば焼き6.68円(68.5%)、ぎょうざ4.84円(79.8%)、やきとり4.94円(87.9%)が、特に厳しい状況である。主食の弁当33.84円(101.2%)は堅調な動きであったが、すし(弁当)32.16円(94.2%)、おにぎり・その他10.03円(96.0%)は厳しい状況であり、調理食品は全体的に消費が厳しいといえよう。

   このように、この5月度の家計調査データを見ると、明らかに消費構造が大きく変化しているといえる。特に、この数ケ月、値上げ問題が家計を直撃しているが、意外に値上げ関連の項目の消費額は伸びているのが特徴であり、現段階では値上げによる消費額の落ち込みはなく、むしろプラスに働いていると状況といえよう。ただ、数量の方は伸び悩んでいることが予想され、今後、この好調な消費状況が維持されるかはわからず、注意深く見てゆく必要があろう。逆に、ここへきて気になるは飲料、調理食品(惣菜)の動きであり、この数ケ月同様な傾向といえ、値上げ問題が、この2部門にはマイナスとなっているように思える。この2部門についてももうしばらく様子を見る必要があるといえ、その意味で、今後、家計調査データはCPI(消費者物価指数)とともに、その動向をしっかり追ってゆく必要があろう。来月の動向にも注目である。

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