マルエツ、2009年第1四半期決算、大幅な増収増益!
マルエツが7/3、2009年第1四半期の決算を公表した。マルエツの復活をかけた年を迎えての決算であり、また、ここ最近の値上げ問題がどのように決算に影響を与えるかが注目された決算であった。その結果であるが、営業収益841.39億円(108.4%)、営業利益20.38億円(144.4%:営業収益比2.42%)、経常利益20.07億円(143.7%:営業収益比2.38%)、当期純利益22.55億円(170.0%:営業収益比2.68%)と大幅な増収増益となる好決算であった。通期予想についても、悲願の目標、営業利益80億円を目指す内容となっており、営業収益3,390.00億円(101.0%)、営業利益80.00億円(105.7%:営業収益比2.35%)、経常利益75.00億円(108.2%:営業収益比2.21%)、当期純利益62.00億円(131.6%:営業収益比1.82%)と増収増益の堅調な決算を予想している。
しかも、今期の自己資本比率は42.1%(昨年39.6%)と上昇しており、財務内容も改善がみられる。特に、負債面に関しては、「買掛金の増加があったが、有利子負債が前連結会計年度末に比べ41.21億円減少し、319.80億円となったこと等により、前連結時に比べ26.36億円減少し、749.18億円となり・・」、と着実に改善しているといえよう。今後、好調な決算が続けば、財務内容はさらに改善することが期待でき、安定的な出店を毎年行い、堅調な成長を維持できる強い財務基盤確立につながるといえよう。
その新規出店状況であるが、今期はマルエツ勝どき六丁目店(東京都)、ポロロッカ護国寺駅前店(東京都)、フーデックスプレス白金台プラチナ通り店(東京都)の3店舗を新設した。一方、マルエツ西葛西店(東京都)を閉め、結果、第1四半期末の店舗数は239店舗となった。その結果、マルエツの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は890.58億円(昨年855.89億円)であり、1店舗当たりに換算すると3.72億円であり、食品スーパーマーケットの中でも小型店が多いせいか、比較的小さな数字であるといえよう。ただ、総資産に占める比率を見ると、71.80%とまだまだ自己資本比率の42.1%ではまかなえない構造であり、特に負債の主要項目である長短借入金319.80億円、総資産の25.78%に依存する構造となっている。したがって、今後、好調な収益をもとに、どこまで借入金を返済し、自己資本比率を引き上げられるかが、マルエツの安定成長の鍵を握っているといえよう。
ただ、いずれにせよ、マルエツ、自ら、「新中期2ヵ年計画(キャロフィプラン)の達成に向け、初年度である当連結会計年度は、かつて確保していた営業利益80億円の水準を目標に「真の“復活”の年」と位置付け各施策に取り組みました」、というとおり、復活に大きくつながる好決算結果であったといえよう。
一方、気になる粗利、経費のバランスであるが、今期の売上に対する原価率は72.4%(昨年72.%)とほぼ横ばいであり、多くの商品で本格的な値上げが起こったにもかかわらず、全体としては、原価の上昇はみられず、結果、売上総利益は27.5%(昨年27.4%)と横ばいとなった。これに営業収入を加えた営業総利益は29.42%(昨年29.46%)とほぼ横ばいである。また、販売費及び一般管理費は26.8%(昨年27.5%)と0.7ポイントと大きく削減されており、これが、今決算で大きく改善された項目であるといえよう。したがって、結果、営業利益は2.54%(昨年1.91%)と大きく改善したことが大きかったといえよう。こう見ると、この第1四半期の高収益は特に、経費を大きく改善したことが原因といえる。
これを受けて、マルエツのここ最近の株価であるが、極めて好調な株価が続いている。マルエツの株価は昨年9月頃の500円前後から上昇に転じ、つい最近の4月頃まで一貫して上がり続け、900円を超えるまでになった。ほぼ、2倍の株価である。そして、その後、4月下旬になると株価が落ち込み、一時は700円まで下がった。しかし、6月に入ると株価は再び上昇に転じ、現在900円を超え、さらに上昇する気配が見られる。今後、この極めて好調な決算を受けて、株価がどのように動くかに注目といえよう。
また、今後のマルエツをうらなう、2008年5月度の直近の売上速報を見ると、107.8%であり、好調である。既存店も103.0%と好調であり、マルエツの好決算の要因は、この既存店の安定にもあるといえよう。ただ、少し、気になるのは、既存店の客数が100.7%、客単価が102.3%と客数が少し伸び悩んでいることである。
このように、いま注目の食品スーパーマーケット、マルエツの今期はじめての第1四半期決算が公表されたが、大幅な増収増益となり、特に利益が大きく改善しており、いよいよマルエツ復活といってよいくらいの好決算であったといえよう。しかも、自己資本比率も昨年に比べ、上昇に転じており、特に、長短借入金が削減されての自己資本の上昇であり、今後の安定的な成長路線を築くための財務基盤ができつつあるといえる。今後、この好調な決算が続けば、数年後には、売上、利益に加え、財務面でも健全な体制が整うといえ、今後のマルエツの動向には注目である。
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