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July 21, 2008

日経ビジネス7/14でベイシアを特集!

   日経ビジネス7/14でベイシアが特集された。「知られざる安売り王、ベイシアの諦めない経営」というタイトルで18ページに渡る大特集である。非上場企業の食品スーパーマーケットをここまで本格的に取り上げるのはめずらしいといえよう。特に、P.34-35の「345円の差に宿る強さ」は衝撃的な内容であり、これひとつでベイシアの凄さを改めて認識できる内容となっている。最後のページではベイシア会長の土屋嘉雄氏へのインタビュー記事も掲載されており、久しぶりに読み応えのある、中身の濃い内容であった。

   今回の特集で最も衝撃的な内容の記事は先にもあげたP.34-35の「345円の差に宿る強さ」であるといえよう。浜松に出店したベイシアの浜松雄踏店と近隣で競合しているジャスコ浜松志都呂店で生活必需品約11品の商品を購入した時の合計金額の差をその購入レシートと商品の写真を示し、その違いを詳細に比べた内容の記事である。どちらも、自然、PBが中心となる商品となり、ベイシアはPBベイシア、ジャスコはPBトップバリュであり、価格はどちらも自信がある戦略商品である。記事では、1品1品を比べているが、その結果、11品中11品すべてベイシアが安く、その合計金額がベイシア923円、ジャスコ1,268円となり、結果、345円の差となった。

   代表的ないくつかを見てみると、カップめんベイシア68円、ジャスコ78円、絹ごし豆腐ベイシア35円、ジャスコ58円、食パン6枚切りベイシア98円、ジャスコ108円、焼きそばベイシア98円、ジャスコ138円・・等である。ジャスコのトップバリュもNBと比べれば破格の値段であり、20%から30%は安いといえるが、ベイシアはさらにそれをくぐる安さとなっている。しかも、ベイシアは原則、これらはEDLPであり、ちらしの時だけやすいとか、1週だけ安いとかいうことではなく、いつでも、この価格で売っているのであるから驚きである。

   ベイシアがなぜここまで、PBを安く売れるか、というよりも売るかについて、この特集では、P.35の商品開発のところで解説しているが、「儲からないPBを作る」ことにあるというのが答えのようだ。このページの特集内容のキャッチコピーは「全ては安さのために」とあるように、このPB戦略を中心とする商品戦略、出店戦略、調達、売場作り、物流、人材育成、すべてに渡って安さを追求しており、まさに、これが、ベイシアの経営哲学となって、確立されているといえる。特に、このPBについては、通常の食品スーパーマーケットでは、PBはどれもNBより、20%から30%は安く売ることは当然として、それ以上にNBよりも利益の高い商品を開発することが目的とされる。すなわち、PBは売上よりも利益が重視されるのが通常であり、少なくともNBよりも儲からないPBを作る企業はまずないといえるが、ベイシアは目玉となるPBは10%以下の粗利であるといい、PBを極めて戦略的に活用しているのが他社との大きな違いであり、それが、「345円の差に宿る強さ」となっているといえる。

   実際、ベイシアの今期の売上は2,499億8,147万円であり、現在92店舗であるので1店舗当たり27.17億円と通常の食品スーパーマーケットの2倍近い売上規模である。しかも、営業利益は93億6,777万円であるので、営業利益率は3.74%であり、食品スーパーマーケットとして、十分な利益を確保しており、これだけ目玉のPBを安く売っても、それをカバーする収益力があり、しかも、売上ボリュームが大きいことから、利益額も大きいといえる。まさに売れて儲かる仕組みができあがっているといえよう。

   ちなみに、P.30ではベイシアグループの主要企業の売上、営業利益が掲載されているが、それを見ると、カインズ3,234億4,196万円(184億2,398万円:5.69%)、ワークマン498億5,015万円(44億510万円:8.83%)、セーブオン590億6,814億円(11億8,127万円:1.99%)、ベイシア電器381億7,596万円(6億62万円:1.58%)等であり、すべての業態で売上だけでなく、収益性も高い経営構造が、特に主力のベイシア、カインズではできあがっているといえよう。

   ベイシア特集記事の最後は、ベイシア会長、土屋嘉雄氏へのインタビューであるが、実に示唆に富むキーワードが登場する。「在庫は氷水」、「安く売って倒産した会社はない」、「流通業界にもカンバン方式を」などである。インタビューの記事の中で、マクネア教授の小売りの輪の論文の話が出てきたが、私も大学時代にゼミで勉強したが、これが土屋会長の安売り哲学の原点となった論文であったとは、感慨深いものがある。ベイシアを見ていると、確かに安さを遇直なまでに追求しており、土屋会長の考え、安売り哲学が経営の隅々まで強く反映されているように感じる。

   このように、今回の日経ビジネスのベイシア特集は読み応えがあるだけでなく、内容も深く、改めて食品スーパーマーケットとは、小売業とは何かを原点に戻って考えさせてくれる特集記事であるといえよう。ちなみに、ベイシアは、ラテン語の「ベネ(よりよい)」とベイシア発祥の「いせや」を合わせてベイシアとなづけたという。いつまでも創業の原点いせやを忘れず、さらに発展させてゆくという意味であろう。今後、ベイシアが、この未曽有の値上げ環境の中で、どこまで安売りを徹底してゆくかに注目したい。

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