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July 23, 2008

セブン&アイH、2009年2月期、第1四半期決算を見る!

   セブン&アイホールディグスが7/8に2009年2月期の第1四半期の決算を公表したが、イオン同様に厳しい決算となった。営業利益段階では、増収増益をかろうじて達成したが、当期純利益は減益となった。ただ、セグメント別に見ると、営業利益が増益になったのは金融関連事業のみであり、コンビニエンスストア事業を含む金融関連事業以外のすべての部門で営業減益となる厳しい決算であった。食品スーパーマーケット業界の第1四半期決算は好決算が続出しているが、GMSを主体とした総合小売業界の2大グループが厳しい決算となり、急激な資源エネルギー、原材料高にともなう消費環境の変化が小売業界の明暗を大きく分けている構造が鮮明になったといえよう。

   現在、イオンの6月度の売上速報が公表されているが、それを見ると、売上96.5%(客数97.8%、客単価98.7%)と客数、客単価ともにマイナスとなる厳しい数字となっている。商品部門では衣料品が89.9%、食品が99.6%、住居余暇が93.4%と比較的食品は堅調であるが、衣料品が特に厳しい状況となっている。これを業態別で見ると、GMSが94.8%、SMは111.2%であり、GMSが厳しい状況であり、SMの好調さと対象的な状況となっていることがわかる。6月度に入っても、GMS業界は依然として厳しい状況が続いているといえよう。

   さて、セブン&アイのまず全体の状況だが、営業収益1兆3,927.96億円(102.0%)、営業利益710.81億円(0.0%:営業収益比5.10%)、経常利益697.75億円(100.8%:営業収益比5.00%)、当期純利益330.65億円(-92.5%:営業収益比2.37%)という状況である。昨年の第1四半期は営業収益109.4%、営業利益106.3%、経常利益103.8%、当期純利益101.2%であったので、その違いは歴然としている。いかに、今期の経営が厳しい状況におかれているかがわかる。

   問題はその中身であるが、まず、セグメント別に営業収益と営業収入の状況を見てみると、セブン&アイホールディングスは事業構造を6つに分けて管理しており、営業収益の構成比で見ると、約40%のコンビニエンス事業、約40%弱のスーパーストア事業、約20%弱の百貨店事業、約2%のフードサービス事業、約2%の金融関連事業、その他である。したがって、コンビニエンス事業とスーパーストア事業で約80%となり、この2部門が柱となっており、全体へ与える影響が極めて大きい構造となっているのが特徴である。

   今期の第1四半期の事業別の営業収益の状況を見ると、コンビニエンス事業100.6%(前期104.4%)と伸び悩んでおり、スーパーストア事業も104.6%(前期119.4%)と伸び悩んでいる状況である。さらに、これ以外でも、百貨店事業99.0%(前期104.2%)、フードサービス事業93.7%(前期93.3%)といずれもマイナスとなり、営業収益が厳しい状況となった。ただ、金融関連事業は110.1%(前期118.6%)と伸び率は前期よりも下がったが、堅調な営業収益の伸びを示しており、好調であったが、構成比が約2%であり、全体への貢献度は相乗積で見ると0.2%であり、営業収益の構造をかえるほどのインパクトはなく、やはり、中核のコンビニエンスストア事業とスーパーストア事業の伸び悩みが大きく響いたといえよう。

   これに対して、営業利益の方であるが、コンビニエンスストア事業96.8%(前期98.9%)、スーパーストア事業96.6%(前期202.2%)といずれも減益となり、営業収益の構成比がこの2部門で約80%であるので、全体へのインパクトが大きかったといえよう。さらに、百貨店事業85.0%(前期80.0%)、フードサービス事業-3.58億円(前期-6.85億円)とこの2部門の収益は依然として極めて厳しい状況である。これに対し、金融関連事業は162.9%(前期79.0%)と急回復しており、営業収益の構成比では約2%であるが、営業利益の構成比では約10%弱と5倍の貢献度があり、この営業収益増により、全体の営業利益が100.0%と昨年と同じ数字となった構造である。したがって、小売業のみでは減益の状況であり、この第1四半期決算は極めて厳しい決算であったといえよう。

   このような厳しい状況を踏まえ、セブン&アイホールディングスは、通期の予想を営業収益5兆7,600.00億円(100.1%)、営業利益2,940.00億円(104.6%:営業収益比5.10%)、経常利益2,900.00億円104.2%:営業収益比5.03%)、当期純利益1,370.00億円(104.9%:営業収益比2.37%)と売上よりも利益重視の方針を打ち出しており、今後とも厳しい経営状況が続くとの見通しである。

   このようにイオンについで、セブン&アイホールディングの第1四半期決算が極めて厳しい結果となり、事業の中核であるコンビニエンス事業とスーパーストア事業の営業収益、営業利益ともに陰りが見られる。さらに、フードサービス事業は赤字からの脱却がすすまず、百貨店事業も中々軌道に乗らず、苦しい経営状況が続いているといえよう。好調な事業分野は金融関連事業のみといえる状況である。ただ、今回の第1四半期決算では明示されなかったが、ヨークベニマルを含む食品スーパーマーケット事業は前期の2月度の本決算時も唯一増収増益の好調な決算であった。現在、食品スーパーマーケット業界は全体的に好調な決算であることから、セブン&アイホールディングスとしても成長性、収益性の高い食品スーパーマーケット事業に本格的に取り組んでもよいのではと思う。次の中間決算時にどこまで、今回の厳しい決算数字が改善されるかに注目したい。

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