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July 2008

July 31, 2008

カウボーイ、経営迷走、厳しい経営状況!

   北海道のカウボーイの経営が迷走している。現在、ジャスダックの管理ポスト割り当て株となっており、株価も、40円強で低迷しており、厳しい経営状況となっている。ここ最近の動きを見ても、5/26、希望退職者募集の結果に関するお知らせ、5/26、特別利益及び特別損失の発生並びに平成20 年9 月期通期及び中間期(連結・個別)業績予想の修正に関するお知らせ、5/28、特別損失の発生に関するお知らせ、5/29、当社の決算発表の時期について、6/11、取締役の辞任に関するお知らせ、6/16、特別損失の発生及びこれに伴う業績予想の修正並びに「平成20 年9 月期 中間決算短信」の一部修正について、6/27、平成20 年9 月期半期報告書提出遅延に関するお知らせ、7/25、当社、株式会社トライアルカンパニー及びゴールドマン・サックス証券株式会社との業務提携基本合意書の締結に関するお知らせ、7/25、新株予約権の取得及び消却に関するお知らせ、7/27、平成20年9月期半期報告書に対する監査意見不表明について、という一連のIRを見ても厳しい経営が続いていることがわかる。

    ジャスダックでは、カウボーイ株が7/1から整理ポストに割り当てられているが、その理由をジャスダックでは、「監理ポスト及び整理ポストに関する規則により、中間監査報告書(監査証明に相当する証明に係る中間監査報告書を含む。)を添付した半期報告書について、証券取引法第24条の5第1項に定める期間の最終日を超えてもなお内閣総理大臣等に提出していない場合において、当該最終日から起算して8日目の日までに提出できる見込みのない旨の開示を、当該最終日までに行っているとき)に該当するため。」としており、今回の中間決算の報告書の提出が期限内になされていないことが原因という。

   実際、今回の中間決算の報告書の内容は厳しい状況であるようで、7/27にはカウボーイの監査法人の新日本有限責任監査法人から監査意見の表明をしない旨の中間監査報告書が提出されており、監査が通らない状況となっている。まさに、NHKのドラマ、監査法人が現実に、いまカウボーイで起こっており、予断を許さない厳しい状況が続いている。

   今回の新日本有限責任監査法人が監査意見表明をしないという結論にいたった背景については、7/27にカウボーイが公表した、「平成20年9月期半期報告書に対する監査意見不表明について」に、その詳細が掲載されているが、そのポイントを整理すると以下のような状況といえよう。まず、この中間決算の状況は、多額の収益赤字を計上し、債務超過に陥ってるほか、借入金の返済条項の履行が困難な状況にあるとのことで、「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況」となっているという。

   具体的には、「671,546 千円の重要な営業損失、688,681 千円の重要な経常損失、2,053,020 千円の重要な中間純損失及び1,628,651 千円の重要なマイナスの営業キャッシュ・フローを計上」という財務状況であり、さらに567,386 千円の債務超過に陥っているという。この状況を打開すべく、カウボーイはトライアルカンパニーと業務提携を実施し、いくつかの基本合意がなされた。主なものは、既存店舗について、カウボーイが食肉・青果・鮮魚・惣菜部門へ特化し、不得意な酒、食品、日用雑貨をトライアルカンパニーが直営とし、運営してゆく。店名もTRIALを採用し、トライアルカンパニーのスーパーセンターのノウハウを全面的に導入する。そして、トライアルカンパニーのノウハウを入れ、24時間営業に順次切り替えてゆくというものである。このトライアルカンパニーとの業務提携により、「債務超過の解消につきましては、トライアルとの共闘型ビジネスモデルを確立し収益の改善による剰余金の蓄積、引当済保証債務の解消に取り組むことで債務超過からの脱却を図っていきます。」との方針が固まった。

   これに対して、監査法人である新日本有限責任監査法人からは、さらに厳しい要望があり、「当社(カウボーイ)の継続企業の前提として、基本合意先からの当社への財務上の支援の確約を含むサポートレターの提出、第三者との個別契約書提出、更には事業計画及び財務計画等の詳細な提出を依頼され、・・」という。カウボーイ側でもこれに可能な限り応じるよう努めたというが、7/27、新日本有限責任監査法人から、監査意見の表明をしない旨の意見区分を記載した独立監査人の中間監査報告書が提出されたという。

   その中で、「会社より提示された経営計画等の合理性に関する十分な心証を得られなかった。」とし、「このため、継続企業を前提として作成されている上記の中間連結財務諸表に対する意見表明のための合理的な基礎を得ることができなかった。」とのことで、今回の監査意見の表明をしないという結論にいたったという。

   今後、カウボーイはジャスダック証券取引所の株券上場廃止基準に該当する恐れがあるとのことで、厳しい、待ったなしの経営状況が続くことになる。本来であれば、トライアルカンパニーが支援することで、監査が承認されると予想していたと思われるが、それでも監査意見の表明をしない旨が監査法人からなされたことは、カウボーイの経営がそれだけ厳しい状況にあるということであり、現在、予断を許さない、まったなしの経営状況にあるといえよう。

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July 30, 2008

日経POS新製品ランキング2008年上半期公表!

   本ブログでは週1回、毎週金曜日に公表される日経MJ、新製品ランキングを解説しているが、今回は、そのまとめともいうべき、2008年上半期の新製品ランキングが、7/28に公表されたので、取り上げてみたい。上半期は、2008年1月から7月までのデータであり、週間との違いは、PI値まで公開されることと、酒類が付け加わることである。また、この上半期は値上関連の新製品が数多く登場しており、本来、定番での重点商品がリニューアルされて再登場するものも多くみられ、その意味で、定番の重点商品の数字を知る意味でも貴重なランキングデータといえよう。

   この数字を見る限り、月間での金額PI値の基準であるAランクは500円以上、Bランクは300円以上、Cランクは200円以上というランク基準が6ケ月間の平均金額PI値でも適用可能であり、この観点から、この上半期の新製品も評価してみたい。

   今回のランキングを見ると、金額PI値が1,000円を超える超Aランクの新製品が3品登場している。その他食品部門の新製品であり、いずれも値上げ関連商品である。通常は定番の最重点商品であるが、この値上げ問題により、たまたま新製品と見なされ、トップに躍り出たのが特徴である。逆に考えれば、定番での重点商品を確実に獲得するには金額PI値が1,000円は欲しいところである。新製品としては、500円で十分Aランクであるが、定番化し、その中で重点商品となるには1,000円を超えることが確実な数字であるといえよう。

   そのNo.1の新製品であるが、明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81 500g、金額PI値は何と1,675円という図抜けた数字である。No.2が同じく明治乳業、おいしい牛乳1000ml、金額PI値が1,291円であるので、いかに1,675円が高い金額PI値であるかがわかる。No.3は日本ミルクコミュニティ、メグミルク牛乳1000ml、金額PI値1,047円であり、この3品が、いずれも値上げ関連商品であるが、金額PI値1,000円を超えた超Aランクの新製品である。特にNo.1のブルガリアヨーグルトはPI値も10.98個(1.098%)とPI値1%を超える唯一の新製品であり、食品スーパーマーケット全商品10,000品の中でもわずか200品ぐらいしかない、全商品の中でも最重点商品であり、すごい数字である。

   その他食品にはこの3品以外にも、この上半期は値上げ関連商品のオンパレードであり、公表されたベスト10、全品、値投げ関連商品である。これについで、金額PI値の高い商品群は酒類である。No.1はアサヒビール、クリアアサヒ350ml×6缶、金額PI値900円という高い数字である。これについで、サッポロビール、ドラフトワン350ml×6缶、金額PI値633円、キリンビール、ZERO350ml×6缶、金額PI値618円と続く、いずれも第3のビールと発泡酒であり、残念ながらビールは1品もランキングに入らなかった。

   この2分野についで、得意な動きを示したのが飲料である。No.1には、日本コカ・コーラ、ふるふるシェイカーグレープ缶190mlが金額PI値759円で入る快挙である。No.2にもオレンジが金額PI値490円で入り、上半期の飲料はふるふるシーリーズが独占し、大ヒットであったといえよう。PI値も7.92個(0.79%)、5.03個(0.503%)と0.5%をクリーアしており、飲料としては高いPI値であり、特に、7.92個(0.79%)は今回のランキングの中でもNo.2のPI値となる快挙であり、実質、新製品ではNo.1といえよう。

   菓子類では意外にチョコレートのネスレコンフェクショナリー、キットカットミニ15枚が金額PI値310円でトップとなった。これ以外にもチョコレートが6品入っており、前半の冬場の高さもあるかと思うが、チョコレートの強さが改めて実証されたといえよう。No.2、No.3はカルビー、夏ポテトこだわりの浜御塩80g、金額PI値201円、紀州の南高梅75g、金額PI値189円が入った。

   これ以外では、日雑が化粧品と家庭用品に分かれ、上半期のランキングでは公表されているが、化粧品No.1はカネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョン45ml、金額PI値724円、No.2がマックスファクター、SK-Ⅱホワイトニングソースダームデフィニション美容液50ml、金額PI値594円と、この2品がAランンの500円を超えた。家庭用品では金額PI値は低かったが、No.1は旭化成ホームプロダクツ、サランラップ22cm×50m、金額PI値266円、No.2、No.3が花王、アタックバイオジェルつめかえ用900g、金額PI値221円、アタック1kg、金額PI値220円であった。

   このように、今回の上半期新製品売れ筋ランキングは、全体的には値上げ関連商品が新製品としては異常な金額PI値、1,000円を優に超え、全体を大きく牽引した形となった感があるが、値上げ関連以外の純粋な新製品も意外な動きをしているのが特徴といえよう。飲料のファンタふるふるの大ヒット、酒類のお買い得感のある第3のビール、発泡酒のヒットなどが注目すべき新製品といえよう。ただ、これら以外は、金額PI値も500円のAランクを超えるものはほとんどなく、全体としては上半期は低調な金額PI値であり、今後、下半期、どのような新製品が登場するか、期待したいところである。

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July 29, 2008

豊洲の3店舗を見る、セブンイレブン、意外な存在感!

   フードストアあおき東京豊洲店が改装したと聞き、なかなか立ち寄る機会がなかったが、偶然、近くでの仕事があり、久しぶりに立ち寄ってみた。前回はあまり時間がとれなかったが、今回は比較的時間がとれたので、豊洲駅から最も近い文化堂、セブンイレブン発祥の伝説の1号店、そして、あおきと3店舗を見比べてみた。それぞれが、それぞれなりの存在感をもっており、どの店舗も顧客が多く、繁盛していた。

   残念なのは文化堂が2階にあることである。1階がビバホーム、しかも、この都心立地にスーパービバホームタイプの大ホームセンターが占めたため、そのNSCのテナントして、2階に食品スーパーマーケットが押し上げたられたのであろうが、1階に文化堂があれば、もっとNSC自体が戦闘的な業態になったのではなかったかと残念であった。ただ、文化堂はその立地の不利をカバーする集客力と商品力が随所に見られ、見ごたえがあった。集客は半端ではなく、この日、7/28(月)は、ちらし立ち上げ3日目であったが、何と、このちらしは7/26(土)から8/1(金)までの1週間通しの表裏全面の日替わりちらしであり、しかも、タイトルは「爆発市」、まさに爆発したちらしである。その内容も、7/26、ポイント10倍、7/27、ポイント10倍、朝市、7/28、98円均市祭、7/29、ポイント10倍、7/30、パン3割引、7/31、冷凍食品5割引、8/1、98円均一と心配になるくらいありとあらゆる集客を毎日、1週間連続ではかっていることである。

   さすがに、この日、7/28の月曜日は土日の集客が多すぎたせいか、欠品が散見され、オペレーションがおっついていなかったが、土日はホームセンターの集客も最高であったと思われ、客数が読みにくかったのではなかったかと苦労がしのばれる。ただ、生鮮、惣菜は気合いが入った売場ができており、超鮮度訴求やきめ細かな説明POPが随所につけられており、顧客の来店頻度を引き上げ、しかも、付加価値の高い商品へ顧客を誘導する政策が重点カテゴリーで意識的にとられている売場が印象的であった。

   一方、フードストアあおき東京豊洲店であるが、文化堂から歩いていける距離ではあるが、幹線道路の反対のさらに幹線道路の反対という対角線上にあり、商圏としては重なっているようで、実際はすみ分けができているように感じた。特に、あおきは、ららぽーという大ショッピングセンターの中の食品スーパーマーケットであり、近隣からの来店客以上に、むしろ週末の圧倒的な集客がメインになっている業態といえよう。

   今回、改装後ということでもあり、前回オープン間際にいった時と比べどこが特に変わったのかを見てみたが、全体的に以前よりもゆったりした雰囲気になったように感じた。恐らくグロサリーの中通路が以前よりもゆったり取られ、そこでグロサリーの特設売場が大きくとられていたせいもあったかもしれない。ただ、オープン時にはあった豆腐の製造販売は撤去されており、そこにはメーカー品の豆腐が陳列され、対面からセルフにかわり、しかも、平台はそのままで壁面が壁になってしまったのにはびっくりした。

   また、ちらしも、以前よりも価格訴求が増え、表は「夏休みとっておき食品特価祭」のテーマのもとに、25日(金)から28日(月)の日替わりの中にグロサリーの限定特価が必ず入るなど、文化堂ほどではないが、集客を意識したちらしとなっている。ただ、裏面では「楽しく遊んで、美味しく食べる夏」というテーマで高品質な生鮮、ワイン、グロサリーを訴求しており、表と裏が対象的なちらしとなっているのが特徴であった。ちなみに、あおき得意の水産はあいかわらず、産地直送をうたい充実した鮮魚、塩干の売場であった。気になったのは、まぐろが本まぐろ等の高級マグロのみの売場づくりであったことである。文化堂がキハダまで置く低価格路線とは一線を画していたことである。全体的に文化堂はミドルから下限が中心であるが、あおきはミドルから上限の品揃が中心となっており、すみ分けがなされた品揃えとなっているように感じた。

   さて、最後に、セブンイレブン発祥の1号店であるが、文化堂のはす向かいにあり、さすが混でいた。ちょっとびっくりしたのは、カップ麺の品揃えは、このセブンイレンブンが文化堂よりも、あおきよりも充実していたことである。セブンイレブンはカップヌードルのBICをしっかり訴求し、新製品も充実していたのに対し、文化堂もあおきもBICが欠品していたか、品揃えになかったか、この日は売場に1品もなかったことである。また、新製品への取り組みも鈍く、売れ筋に絞りすぎ、セブンイレブンがことカップ麺の品揃えでは一番店となっていたことである。これ以外にもさすがにオペレーションがしっかりしており、各カテゴリーがきめ細かく品揃えされており、よく考えられ、意外な存在感を示していたことである。

   このように、今回、たまたま、時間がとれ、久しぶりにあおきを見て、同時に文化堂、セブンイレブンを見てみたが、競合というよりも、すみ分けるがうまくできあがっているように感じた。そして、それぞれが、あおき出店以来この約2年間で、自身の強みをより磨きあげたことにより、顧客からその強みがより評価され、顧客がどちらかの店舗を選ぶというよりも、双方を使い分けているような印象を受けた。店舗周辺を見渡すと、この地区は、建設途上の高層マンションが林立しており、商圏人口はまだまだ増えると思われる。数年後、もう数店舗食品スーパーマーケットが進出してもおかしくない状況であり、今後、これらの店舗がさらに、どのように変化に対応してゆくのかに注目したい。

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July 28, 2008

CPI(物価上昇率)、2008年6月度、詳細を見る!

   7/25、総務省統計局から2008年6月度のCPI(消費者物価指数)が公表された。日経新聞でも7/26の朝刊に掲載され、「消費者物価6月1.9%上昇、必需品値上がり景気に影」、「消費者心理に重し、工業製品は下落、二極化進む」という見出しの記事が掲載された。そこで、本ブログでは、特に、食品スーパーマーケットの商品に絞ってCPIの詳細を見てみたい。CPIは新聞等では値上がり、値下がりの代表的な商品しか掲載されないが、実際のデータは家計調査データと全く同じ項目で集計され、生鮮を含む食品スーパーマーケットのほぼ全商品群はもちろん、衣料、住居関連、サービス関連も細かく集計され、公表されているのが実情である。

   まず、生鮮食品を含む食品全体のCPIは104.0%(昨対103.6%)という状況であり、新聞等で公表されている生鮮食品を除く場合の昨対の101.9%と比べ、さらに上昇しているのが、この6月度の特徴である。その中身を大分類で見てみると、穀類105.2%(昨対107.7%)、魚介類104.8%(昨対102.7%)、肉類107.2%(昨対104.8%)、乳卵類102.5%(昨対105.5%)、野菜・海藻103.6%(昨対106.8%)、乾物・加工品類102.1%(昨対102.8%)、果物110.1%(昨対96.1%)、油脂・調味料103.7%(昨対104.9%)、菓子類106.7%(昨対106.4%)、調理食品104.7%(昨対103.6%)、飲料96.4%(昨対99.3%)、酒類99.9%(昨対101.8%)であり、また、外食は102.8%(昨対101.8%)という状況である。

   これを見ると、食品関連では飲料96.4%、酒類99.9%以外、すべての大分類でCPIが上昇しており、食品は生鮮食品を含め、ほぼ全面高という状況である。ちなみに、食品以外では、住居100.0%(昨対100.2%)、家具・家事用品95.9%(昨対99.6%)、被服及び履物103.6%(昨対100.5%)という状況であり、これを見てもCPIの上昇は食品が大きく牽引しているといえ、まさに食品の値上げ問題が物価全体へ大きな影響を与えはじめたといえよう。

   その食品について、さらに、踏み込んで、特にCPIが大きく上昇した項目を見てみると、ベスト5はすべて野菜、果物であり、さといも211.5%(昨対112.5%)、れんこん186.1%(昨対100.2%)、えだまめ 145.7%(昨対109.8%)、ぶどうA145.2%(昨対 106.7%)、かぼちゃ143.3%(昨対112.7%)であった。また、これについで、120%以上のCPIの項目を見てみると、レモン137.0%(昨対95.1%)、チーズ135.2%(昨対 127.3%)、ごぼう129.5%(昨対111.7%)、にんじん129.1%(昨対138.8%)、スパゲッティ128.8%(昨対133.2%)、ねぎ126.2%(昨対125.6%)、かんしょ125.7%(昨対98.7%)、はくさい124.0%(昨対108.6%)、チョコレート122.8%(昨対122.8%)、冷凍調理コロッケ121.6%(昨対107.1%)、うなぎかば焼き121.0%(昨対112.2%)という状況である。やはり、ここでも野菜を中心に生鮮食品が多いことがわかる。また、うなぎのかば焼きも中国産から国産に大きくシフトしており、CPIが大きく上昇し、昨対も110%以上の上昇率である。

   さらに、原料関連の値上げについて、小麦粉関連の状況を見てみると、食パン117.9%(昨対118.5%)、あんパン112.6%(昨対113.3%)、カレーパン114.7%(昨対112.7%)、ゆでうどん103.6%(昨対106.7%)、干しうどん105.6%(昨対107.3%)、スパゲッティ128.8%(昨対133.2%)、即席めん117.5%(昨対121.4%)、生中華めん107.5%(昨対 107.4%)、そして、小麦粉117.7%(昨対114.9%)という状況であり、軒並み、CPIはもちろん、昨対も大きく上昇していることがわかる。これに加え、酒類では焼ちゅう104.1%(昨対103.7%)、ビール99.9%(昨対99.7%)、発泡酒100.8%(昨対 100.9%)という状況であり、焼ちゅうのCPIは上昇気味であるが、ビール、発泡酒は昨対も含め、上昇がみられない状況であり、少し意外である。

   小麦以外の穀物、飼料関連では、乳製品の牛 乳(店頭売り)101.9%(昨対102.0%)、粉ミルク106.1%(昨対105.5%)、 ヨーグルト99.4%(昨対98.6%)、バター114.2%(昨対111.3%)、チーズ135.2%(昨対140.1%)、チーズ (輸入品)113.5%(昨対111.5%)、マーガリン113.3%(昨対111.0%)という状況であり、特にバター、チーズは大きな上昇であるといえよう。さらに、大豆関連の豆腐104.3%( 昨対103.8%)、油揚げ107.1%(昨対107.4%)、納豆94.0%(昨対94.3%)という状況であり、納豆は下がったが、豆腐、油揚げは上昇気味で推移している。

  また、菓子ではチョコレート122.8%(昨対122.3%)、落花生113.4%(昨対111.4%)、ビスケット111.2%(昨対99.4%)、キャンデー108.9%(昨対 110.1%)、ケーキ108.6%(昨対107.8%)、ようかん107.9%(昨対107.8%)、カステラ107.7%(昨対107.2%)、ポテトチップス106.6%(昨対107.3%)、シュークリーム105.5%(昨対03.5%)、せんべい(小麦粉)105.3%(昨対104.1%)という状況であり、菓子は満遍なくCPIが上昇しているといえよう。

   このように、この6月度は食品を中心に一段と値上げの影響が全体へ波及しており、CPIが先月と比べさらに上昇し、物価高の様相が鮮明になりつつあるといえよう。ただ、食品以外は全般的に安定しており、逆にCPIが下がる項目も多く、今回のCPIの上昇は原料、資源・エネルギー高の影響の高い食品に集中しているといえ、その意味では、原料、資源・エネルギー相場が落ち着けば安定することも考えられ、当面、相場動向を踏まえ、その関連商品の動向を注意深く見守る必要があろう。数日後には、家計調査データの6月度が公表されると思うが、この物価高がどのように家計に影響を与えているが注目といえよう。

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July 27, 2008

0レシートはいかに、行方不明、IDかレシートか?

   ID-POS分析に取り組んでいると思わぬことが起こる。特に、指標が通常のPOS分析の10倍ぐらいの数になるため、その指標の計算の根拠となるID、レシートがどれとどれを計算しているがわからなくなり、検算をしてみると、合わなかったり、あるレシートが抜けていたりすることが時々起る。たいがいの場合は、算出された数字に違和感を感じ、気づくが、時には、根拠となるID、レシート、その計算式が合っていても、何かおかしいと感じ、あらためて、考え方、すなわち、定義をかえなければならないこともある。その典型的なひとつが0レシートの問題である。
  
   0レシートは、通常、その商品の売上が発生しないため、捨てられてしまい、計算に組み込まれないことが多い。そのため、ID分析では矛盾をきたさないが、レシート分析になると0レシートが除外されるため、矛盾を起こすことがある。たとえば、あるカテゴリーのID-POS分析を行う時、カテゴリーの客数を算出する場合、IDからのアプローチの場合と、レシートからのアプローチの場合で、ID分析結果が違った数字となる場合がある。ID分析からアプローチすると、ある期間にそのカテゴリーを買ったIDをすべて抽出し、当然、そのIDのレシートもすべて抽出される。これを計算式に示せば、ID=ID客数PI値×客数となる。ID客数PI値は客数(レシート枚数)÷ID数、客数はレシート枚数のことである。そして、このレシートは、ある期間にIDが1回でも購入した場合、そのIDのレシートがすべて集計されるので、その期間に2回目に来店し、その商品を購入しなかったレシート、いわゆる0レシートも含まれることになる。

   すなわち、各IDはその期間に様々な購買行動をするが、その対象商品を購入することもあれば、購入しないこともあり、この購入しない、0レシートもそのIDの0回買ったという購買行動であり、これも含めて、ID客数PI値、レシート数÷IDを算出しないと、購入頻度が正確に算出できないといえる。0レシート除いたID客数PI値はIDの正確な購入頻度を表しているとはいえず、購入した時のみの購入頻度を表していることとなる。これはこれで、意味のある分析ではあるが、IDのトータルな分析としては、少し違和感のある分析である。

   IDを起点にしてレシートを収集すればこのことは避けられるが、これが、レシートを起点にしてレシートを収集すると変なことが起こる。すなわち、ある期間に分析対象の商品を購入したレシートのみを抽出し、ID-POS分析をかける場合である。この場合は当然、その期間のその商品の購入レシートのみとなるので、0レシートが除外され、その除外されたレシートからID分析を試みるため、その期間、IDが来店して、その商品を購入しなかったIDがふられた0レシートが行方不明となり、IDがふられた0レシート以外の購入実績のあるレシートのみでの分析となる。したがって、ID=ID客数PI値×客数がIDを起点にした場合と同じ数字にならず、ID数は同じであるが、客数、すなわちレシート数に違いが生じ、それがID客数PI値、すなわち、購入頻度の違いとなって表れてしまう。同じID数でありながらも、ID客数PI値、客数に違いが生じてしまうのである。

   要は、0レシートを客数、すなわち、レシート数に入れるか入れないかの違いであり、これが0レシートの問題である。本来、その商品の購入頻度といえば、ある期間にそのIDがその商品を購入した場合も、しない場合も含めてどのくらいの頻度でその商品を購入するかが自然な購入頻度といえ、購入しない時のレシートを引いてしまうと正確な購入頻度ではなく、購入した時の購入頻度という限定付になってしまい、ID-POS分析としては消費行動を正確に表しているとはいえない分析であるといえよう。

   これを避けるためには、まず、基本概念として、0レシート、すなわち0回購入も重要な顧客の購買行動であり、これも含めてID-POS分析を行うことが顧客の消費実態を正確に表すことであるとの共通認識が必要である。そして、このようなことが起こらないようにするには、分析手順をレシートから分析するのではなく、常にIDから分析することを第1とすることを徹底することである。まず、IDを抽出し、次に、そのレシートすべてを抽出すれば、0レシートが必然的に含まれるからである。これが逆になると、その商品の購入レシートのみが抽出され、その中のIDを抽出した場合、0レシートがどこかへ消えてしまうからである。

   このように0レシートはインドの0の発見ではないが、ID-POS分析にとっては重要な基礎概念であり、顧客の購買行動として0回も、0回買ったという認識し、特に、客数PI値には絶対に入れるべきレシートであるといえよう。おもしろいことに数量PI値、金額PI値は0の場合は存在しないが、客数PI値は0回の場合も存在し、重要な意味をもつので、ID-POS分析にとっては、客数PI値が命であるので、0レシートは必須のレシートである。なお、この0レシートがもたらす、ID-POS分析の意義については、稿をあらためて、本ブログで取り上げてみたい。

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July 26, 2008

日経MJ、新製品ランキング、7/25、低調だが、飲料ラッシュ!

   今週も日経MJ、新製品ランキングが7/25公表された。ここ最近、金額PI値は全体として低調な数字が続いおり、今週も低調な数字であるが、新製品としては飲料部門がラッシュといえる状況であり、日本コカ・コーラから5品、サントリーから2品と20品中7品が初登場でランキングに入った。値上げ関連商品が一段落したこともあり、飲料部門も純粋な飲料の新製品のランキングとなり、やっと正常にもどったといえよう。

   その飲料の新製品ランキングの状況であるが、No.1は今週初登場の日本コカ・コーラのファンタゼロレモン500mlペットボトルであり、金額PI値462円とAランクの500円(1人当り0.5円)にはわずかに届かなかったが、高い数字である。カバー率も70.4%と対象45チェーン、250店舗の大半を網羅するという勢いであり、今後、注目といえよう。この新製品はNo.4にも1.5Lが金額PI値291円で入っており、カバー率は57.2%とやや落ちるが、まさに夏の新製品といえ、今後どの辺で金額PI値が落ち着くか気になるところである。

   No.2には日本コ・コーラのふるふるシェイカーグレープ190ml、金額PI値362円が入った。先週62円のダウンが気になるが、依然として高い数字をキープしている。カバー率も飲料部門最高の88.8%である。No.3も日本コカ・コーラであり、ファンタグレープ手にピタ!ボトル1.5L、金額PI値305円である。これでベスト4すべてが日本コカ・コーラであり、これ以外にも今週は日本コカ・コーラが6品ランクインし、合計10品、半分を占めるという新製品ラッシュといえる状況である。

   また、サントリーもNo.5にラッキーサイダー500mlペットボトル、金額PI値278円、No.15に1.5L、金額PI値156円が入った。これ以外の今週初登場の新製品は、日本コカ・コーラの2Lシリーズが登場し、No.7にコカ・コーラ2L、金額PI値256円、No.14にコカ・コーラゼロ2Lが金額PI値178円で入った。どちらもカバー率が52.8%、51.2%と大半に導入されており、意外に多くのチェーンストアに入っているといえよう。節約志向が進む消費環境の中で、大容量はお買い得感があり、今後注目の新製品といえよう。

   今週はこの飲料部門については新製品ラッシュといえるが、全体としては金額PI値は低調であった。新製品の金額PI値の基準は500円を超えればAランク、300円でBランク、200円でCランクと見て良いが、今週500円を超えたAランクの新製品は花王、アタック1kg、金額PI値514円のみであった。Bランクの300円以上は5品、Cランクの200円以上は12品という状況であり、金額PI値から見ると、低調な新製品ランキングといえよう。

   新製品としては飲料についで初登場が多かった部門は菓子部門であり、7品登場している。まず、No.1にネスレコンフェクショナリー、キットカットミニすいか14枚、金額PI値150円、No.8に明治製菓、果汁グミデリシャス49g、金額PI値90円とこの時点で100円を切っており、初登場ではあるが、厳しい金額PI値である。No.9にはバンダイ、ポケモンキッズダイヤモンド&パール8ラムネ菓子1個1箱、金額PI値85円、No.14、No.15、No.18にロッテ商事マンゴーのカスタードケーキ6個、金額PI値79円、プラスXCUBU<ピンクグレープフルーツミント>10粒、金額PI値73円、パイの実<杏仁マンゴーのパイ>73g、金額PI値73円、そして、No.20に江崎グリコ、ビスコアソートパック32枚、金額PI値61円であった。菓子部門も、このように新製品ラッシュではあるが、金額PI値が極めて低い数字であり、この数字では今後、定番へ移行できるかどうか厳しい状況といえよう。

   これ以外では、夏本場の冷凍食品部門のアイスクリームであるが、No.1はロッテアイスのクーリッシュ<バニラ>140mlが金額PI値250円と唯一Cランクの金額PI値であった。冷凍食品はあいかわらず、新製品は厳しい状況にあり、唯一No.13に入った日清食品のスパ王ジューシーなナポリタン280gのみであり、あとは19品すべてアイスクリームという状況である。今週初登場は1品もないが、No.2に江崎グリコ<ホワイトサワー>80ml×2本、金額PI値155円、No.3にロッテアイス、ぎゅぎゅっとパイン&ピーチ110ml、金額PI値143円となり、以上がベスト3であった。

   最後に、その他食品であるが、No.1は敷島製パン、超熟ロール、6個入、金額PI値338円が入った。No.2には先週7位から躍進したグリコ乳業、Dororich200g、金額PI値275円、No.3には伊藤園、香り薫るむぎ茶ティーバック54袋入、金額PI値251円、No.4には日本水産、おさかなのソーセージ75g×4本、金額PI値224円が入った。以上が金額PI値200円を超えるCランクの新製品であった。

   このように、今週の新製品は金額PI値Aランクの500円を超える新製品がたった1品という低調な状況となった。ただ、飲料、菓子部門では金額PI値は伸び悩んでいるが、新製品はラッシュともいえる状況であり、今週初登場の新製品が飲料6品、菓子7品と数多く登場しており、今後注目といえよう。特に、飲料部門は最大手の日本コカ・コーラがファンタ関連の斬新な新製品や2Lのコカ・コーラなどをあいついで投入しており、今後、金額PI値がどの辺で落ち着くかが気になるところである。来週以降は金額PI値500円以上のAランクの大型新製品を期待したいところである。

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July 25, 2008

今年は読めない、うなぎ、丑の日はいかに?

   7/24は土用の丑、うなぎが年間で最も売れる日であるが、今年は実に読みにくい丑の日となったのではないかと思う。中国産食品問題に加え、直前にうなぎの偽装問題も起こり、消費者がどのような反応を示すかが読めず、品揃え、プライスラインの設定には苦労したのではないかと思う。実際、ここ最近の家計調査データの数字を見ても、うなぎのかば焼きは厳しい状況が続いている。現在最新データの直近の5月度は6.68円(68.5%)と厳しい数字であり、これをさらに分解し、うなぎのかば焼きのみの購入顧客の消費額と購入顧客の割合を見ると、45.92円(109.4%)、14.5%(62.7%)という数字であり、うなぎを購入した消費者の購入金額は上がっているが、購入する消費者の数そのものが昨年の62.7%と激減しており、明らかに、昨年と比べうなぎが敬遠されている数字である。

   少し、さかもどって、この状況を見てみると、4月度5.73円(61.4%)、49.38(117.8%)、11.6%(52.1%)、3月度4.77円(55.0%)、47.08円(114.1%)、10.1%(48.2%)、2月度 4.34円(63.0%)、46.62円(110.5%)、9.3%(57.0%)、1月度 4.03円(62.8%)、42.36円(98.8%)、9.5%(63.6%)という状況である。この半年、ほぼ同じ傾向であり、昨対で約60%で推移しており、しかも、その中身は、購入世帯の数が激減している状況である。明らかに、うなぎを買い控えており、丑の日だからといって昨年並みの数字を確保することは極めて難しい状況といえよう。

   さらに、昨年の7月度のうなぎのかば焼きの家計調査データを見てみると、うなぎのかば焼き30.00円(89.9%)、64.84円(101.9%)、46.3%(88.2%)という状況であり、昨年も90%と厳しい状況であり、しかも、その中身は購入世帯の数が10%以上減ったことである。参考にその前後の数字を見てみると、6月度 13.61円(115.9%)、48.17円(105.1%)、28.3%(110.3%)であり、6月度は順調な伸びであった。8月度は13.58円(87.2%)、55.09円(103.9%)、24.7%(83.9%)であるので、まさに、うなぎの消費額の減少は昨年の丑の日、7月からはじまったといえ、まるまる1年間、同様な傾向が続き、さらに、その数字がここへ来て落ちていることがわかる。

   単純に今年の数字を予測すると、丑の日だけは企画が当たれば成功することもあるかもしれないが、7月全体の数字は60%近い数字となることが予想され、昨年と同じような売り方では極めて厳しい状況となろう。

   そこで、たまたま、自宅に入ったサミットストアのちらしを見てみると、あきらかに平均単価アップ戦略に打って出ており、PI値が下がるのは織り込みづみの内容となっている。実際、先の家計調査データを見ても、ここ最近の状況はうなぎのかば焼きを購入する世帯は60%前後まで落ち込んでいるが、購入世帯の消費額は110%ぐらい伸びており、これは購入世帯が何度も購入し、数量が増えているのではなく、購入単価、すなわち平均単価が上がっていると推測される。なぜなら、うなぎのかば焼きはここ1年で中国産の安いうなぎが店頭での姿を減り、価格の高い国産が売場の中心となっているからである。客単価はPI値×平均単価であるが、うなぎのかば焼きは明らかにPI値ダウン、平均単価アップという状況であり、全体では客単価は下がっているが、購入顧客のみでは客単価があがっているからである。

   そのサミットストアのちらしを見てみると、表の半分を土用の丑の日特集としており、メインのうなぎは、立澤バイヤーおすすめの霧島湧水うなぎ長焼1尾1,280円である。そして、これを引き立てる形で、プライスラインが4つあり、下に3つ480円の中国産うなぎ長焼(大)1尾、780円の国内産うなぎ蒲焼(串なし)1切、1,480円の国内産うなぎ蒲焼(特大)1串、そして、上に1,580円の宮崎産やわらか新仔うなぎを配置した構成となっている。特に問題の中国産に関しては、「輸出、輸入時の政府による検査を含む5回の検査に合格したうなぎです」というキャッチフレーズがつけられており、安全性を強く打ち出しているのが特徴である。また、これに加え、土用丑の日の7/24のみ、店頭販売を実施し、1串1,500円の国内産うなぎ蒲焼(特大)をいかに売込み客数アップもはかるのちらしとなっている。

   さらに、関連商品として、土用しじみ、奈良漬の定番はもちろん、お惣菜のうな重、うなぎの握り寿司、うな丼&牛丼、豚どん、土用の餅、ビール、日本酒等も一緒にちらしで訴求されており、うなぎ関連商品も強く打ち出しているのが特徴である。

   このように、今年の土用丑の日は例年になく、極めてアゲインストの大風が吹く中でのうなぎの蒲焼を売り込む状況となったが、ポイントはサミットが今回打ち出したような平均単価をいかに引き上げるかであろう。そのためには、プライスラインをしっかり設定し、メインの商品の上下のプライスラインを確実に訴求することがポイントとなろう。その意味でサミットのちらしは理にかなった商品構成となっており、どのような結果となったか興味深いところである。今年は、この土用丑の日が象徴するように、前例のない消費状況の中に入ったといえ、このような時こそ、過去の事例にとらわれず、原理原則に立ち返って、顧客の消費動向をよく見て、大胆な仮説を打ち出すことが重要といえよう。7月度の家計調査データは8月末に公開となるが、今年の土用丑の日がどのような数字となっているか気になるところである。

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July 24, 2008

日経MJでコンビニ特集、第29回、客数から客単価へ!

   日経MJで2007年度コンビニ調査が公表された。「既存店の魅力競う」、「市場飽和し出店鈍化」という見出しが象徴するように、コンビニの成長が止まるという、コンビニの歴史において転換点となる年となった。この調査は全国のコンビニエンスストア80社を対象にしたアンケート調査であり、その内、有効回答のあった51社の様々なランキングを作成し、分析した記事である。その売上を昨年との比較が可能な49社で比較すると、7兆8,249億円となり、前年比101.3%であり、店舗数は44,542店で100.4%であったという。特に、店舗数の伸びは1978年度以来最も低い伸び率であるという。

   実際、主要コンビニの売上高ランキングを見てみると、No.1セブンイレブン2兆5,743.06億円(101.6%、店舗数102.5%)、No.2ローソン1兆4,151.06億円(102.1%、店舗数100.3%)、No.3ファミリーマート1兆1,993.17億円(105.2%、店舗数103.1%)、No.4サークルKサンクス1兆527.37億円(98.5%、店舗数96.9%)、No.5ミニストップ3,055.56億円(105.6%、店舗数102.9%)、No.6デイリーヤマザキ2,151.60億円(94.9%、店舗数95.1%)、No.7 am/pm2,050.39億円(94.6%、店舗数86.8%)、No.8セイコーマート1,525.29億円(100.4%、店舗数101.9%)、No.9SHOP99 1,426.75億円(99.2%、店舗数107.3%)、そして、No.10スリーエフ1,180.30億円(101.2%、店舗数101.1%)という状況であり、以上がコンビニベスト10である。

   これを見ると、1兆円以上の売上のコンビニ4社の内、最高の成長率はファミリーマートの105.2%であり、No.1のセブンイレブン、No.2のローソンともに101.6%、102.1%と低成長となっており、しかも、No.5以下のコンビニでは昨対を割る企業が多く、明らかに売上がコンビニ業界全体として伸び悩んでいる結果といえよう。特に地方のコンビニは厳しい状況であり、集計が可能であったエリアFC23社の数字を見ると、12社が昨対を割っており、厳しい状況である。さらに47都道府県の店舗の増加状況を見ると、ワースト1、2が神奈川-31店舗(99.0%)、東京-27店舗(99.6%)という状況であり、大都市でもコンビニの店舗数が減っている状況である。

   一般的に小売業の売上は新店が決め手となるが、ここへきて、コンビニは新店が思うように出店できず、これが売上の伸びの鈍化につながるという結果である。その要因を、日経MJでは、「不採算店舗の閉鎖加速」、「地価上昇、出店にニの足」、「オーナー不足、法人契約で打開」、「出店抑制、守りの姿勢に」という見出しで、まとめている。実際、日本の人口約1億2,000万人をコンビニの数約45,000店舗で割れば、1店舗当たり2,666人となり、ほぼ飽和状態に近づきつつあるといえよう。したがって、今後のコンビニの売上アップのポイントは客数から客単価アップへと経営戦略の転換が必要といえる。

   今回の日経MJの記事でも客単価アップへ取り組むコンビニの状況がまとまめられている。たとえば、「店員育成、ファミマ、移動研修車が活躍」、「資金、加盟店支援向け、ローソン30億円」、「品ぞろえ、セブン、高級独自商品を投入、PBを積極拡大」、「価格・商品政策、生鮮品充実に積極姿勢、店内調理増やす18社」、「電子マネー、導入23社、さらに拡大も」などである。ただ、コンビニの客単価を見ると、売上No1のセブンイレンブンが619円であり、昨年対比97.8%と下がっているのが現状である。PBの強化、電子マネーnanacoの導入により、本来客単価に変化が表れてもよいはずであるが、この数字を見る限り、客単価への影響は弱いといえよう。客数を見ても965人(昨対100.2%)と微増であり、既存店に至っては98.5%(昨対100.4%)とマイナスとなってしまった。コンビニという来店頻度が高く、客単価の低い業態においては客単価アップがいかに難しいテーマであるかがわかる。

   ちなみに、セブンイレブン以外の主要なコンビニの客数、客単価、既存店の数字を見てみると、ローソン(客数812人(99.9%)、客単価586円(100.2%)、既存店99.2%(101.0%))、ファミリーマート(856人(103.0%)、551円(98.7%)、101.1%(100.1%))、サークルKサンクス(806人(99.4%)、586円(100.0%)、98.2%(101.5%))、ミニストップ(849人(102.0%)、548円(99.8%)、100.8%(102.7%))、am/pm(1061人(104.4%)、439円(98.9%)、99.4%(99.8%)という状況であり、客数にせよ、客単価にせよ、アップさせるのは極めて厳しい状況であることがわかる。

   また、国内から海外へという動きも当然考えられるが、日経MJの海外展開の記事の内容を見ると、セブインイレブン、ファミリーマートの2社は積極的であり、昨隊108.9%、108.8%と高成長を続けているが、その他ミニストップ104.9%、ローソン98.6%と厳しい状況であり、限られた大手チェーン以外は海外展開は難しい状況である。

   したがって、今後のコンビニの競争は出店競争、すなわち、客数アップ戦略から、既存店の活性化である客単価アップ戦略へと戦略が大きく転換せざるをなくなるといえよう。客単価=PI値×平均単価であり、PI値をひきあげる新たな商品群の導入、平均単価を引きあげる品揃えの見直しが急ピッチで改善されることになろう。今後のコンビニの既存店がどのように変身するか、各社の大胆な試みに期待したい。

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July 23, 2008

セブン&アイH、2009年2月期、第1四半期決算を見る!

   セブン&アイホールディグスが7/8に2009年2月期の第1四半期の決算を公表したが、イオン同様に厳しい決算となった。営業利益段階では、増収増益をかろうじて達成したが、当期純利益は減益となった。ただ、セグメント別に見ると、営業利益が増益になったのは金融関連事業のみであり、コンビニエンスストア事業を含む金融関連事業以外のすべての部門で営業減益となる厳しい決算であった。食品スーパーマーケット業界の第1四半期決算は好決算が続出しているが、GMSを主体とした総合小売業界の2大グループが厳しい決算となり、急激な資源エネルギー、原材料高にともなう消費環境の変化が小売業界の明暗を大きく分けている構造が鮮明になったといえよう。

   現在、イオンの6月度の売上速報が公表されているが、それを見ると、売上96.5%(客数97.8%、客単価98.7%)と客数、客単価ともにマイナスとなる厳しい数字となっている。商品部門では衣料品が89.9%、食品が99.6%、住居余暇が93.4%と比較的食品は堅調であるが、衣料品が特に厳しい状況となっている。これを業態別で見ると、GMSが94.8%、SMは111.2%であり、GMSが厳しい状況であり、SMの好調さと対象的な状況となっていることがわかる。6月度に入っても、GMS業界は依然として厳しい状況が続いているといえよう。

   さて、セブン&アイのまず全体の状況だが、営業収益1兆3,927.96億円(102.0%)、営業利益710.81億円(0.0%:営業収益比5.10%)、経常利益697.75億円(100.8%:営業収益比5.00%)、当期純利益330.65億円(-92.5%:営業収益比2.37%)という状況である。昨年の第1四半期は営業収益109.4%、営業利益106.3%、経常利益103.8%、当期純利益101.2%であったので、その違いは歴然としている。いかに、今期の経営が厳しい状況におかれているかがわかる。

   問題はその中身であるが、まず、セグメント別に営業収益と営業収入の状況を見てみると、セブン&アイホールディングスは事業構造を6つに分けて管理しており、営業収益の構成比で見ると、約40%のコンビニエンス事業、約40%弱のスーパーストア事業、約20%弱の百貨店事業、約2%のフードサービス事業、約2%の金融関連事業、その他である。したがって、コンビニエンス事業とスーパーストア事業で約80%となり、この2部門が柱となっており、全体へ与える影響が極めて大きい構造となっているのが特徴である。

   今期の第1四半期の事業別の営業収益の状況を見ると、コンビニエンス事業100.6%(前期104.4%)と伸び悩んでおり、スーパーストア事業も104.6%(前期119.4%)と伸び悩んでいる状況である。さらに、これ以外でも、百貨店事業99.0%(前期104.2%)、フードサービス事業93.7%(前期93.3%)といずれもマイナスとなり、営業収益が厳しい状況となった。ただ、金融関連事業は110.1%(前期118.6%)と伸び率は前期よりも下がったが、堅調な営業収益の伸びを示しており、好調であったが、構成比が約2%であり、全体への貢献度は相乗積で見ると0.2%であり、営業収益の構造をかえるほどのインパクトはなく、やはり、中核のコンビニエンスストア事業とスーパーストア事業の伸び悩みが大きく響いたといえよう。

   これに対して、営業利益の方であるが、コンビニエンスストア事業96.8%(前期98.9%)、スーパーストア事業96.6%(前期202.2%)といずれも減益となり、営業収益の構成比がこの2部門で約80%であるので、全体へのインパクトが大きかったといえよう。さらに、百貨店事業85.0%(前期80.0%)、フードサービス事業-3.58億円(前期-6.85億円)とこの2部門の収益は依然として極めて厳しい状況である。これに対し、金融関連事業は162.9%(前期79.0%)と急回復しており、営業収益の構成比では約2%であるが、営業利益の構成比では約10%弱と5倍の貢献度があり、この営業収益増により、全体の営業利益が100.0%と昨年と同じ数字となった構造である。したがって、小売業のみでは減益の状況であり、この第1四半期決算は極めて厳しい決算であったといえよう。

   このような厳しい状況を踏まえ、セブン&アイホールディングスは、通期の予想を営業収益5兆7,600.00億円(100.1%)、営業利益2,940.00億円(104.6%:営業収益比5.10%)、経常利益2,900.00億円104.2%:営業収益比5.03%)、当期純利益1,370.00億円(104.9%:営業収益比2.37%)と売上よりも利益重視の方針を打ち出しており、今後とも厳しい経営状況が続くとの見通しである。

   このようにイオンについで、セブン&アイホールディングの第1四半期決算が極めて厳しい結果となり、事業の中核であるコンビニエンス事業とスーパーストア事業の営業収益、営業利益ともに陰りが見られる。さらに、フードサービス事業は赤字からの脱却がすすまず、百貨店事業も中々軌道に乗らず、苦しい経営状況が続いているといえよう。好調な事業分野は金融関連事業のみといえる状況である。ただ、今回の第1四半期決算では明示されなかったが、ヨークベニマルを含む食品スーパーマーケット事業は前期の2月度の本決算時も唯一増収増益の好調な決算であった。現在、食品スーパーマーケット業界は全体的に好調な決算であることから、セブン&アイホールディングスとしても成長性、収益性の高い食品スーパーマーケット事業に本格的に取り組んでもよいのではと思う。次の中間決算時にどこまで、今回の厳しい決算数字が改善されるかに注目したい。

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July 22, 2008

食品スーパーマーケット、売上速報6月度、値上げ傾向鮮明!

   食品スーパーマーケット、2008年6月度の売上速報を独自に集計してみた。GMSは除き、スーパーセンターを含めた上場約25社、約2,500店舗の売上速報である。この中には九九プラスの約850店舗が入っているが、それを抜いても1,500店舗を優に超え、食品スーパーマーケット業界の先行指標となる売上速報といえよう。この6月度の最大の特徴は平均単価まで公表している数社の数字であるが、ここ最近では最高の平均単価となったことである。しかも、売上は好調であり、これらの企業を含め、全体の売上も106.1%、既存店も100.8%と好調な売上であったことである。値上げ問題が、値上げ商品だけにとどまらず、食品スーパーマーケット全体へ影響を与えはじめたといえる動きである。

   このような中で、売上伸び率No.1となったのはマックスバリュ中部であり、126.5%と唯一120%を超えた。既存店も101.3%と堅調であり、好調な売上を維持し続けている。昨年の10月に吸収合併したマックスバリュ名古屋の数字がそのままオンされており、当面、この高い伸び率が維持されるものといえよう。ここへきて、マックスバリュ中部に限らず、M&Aが増えている。つい最近では、オークワがパレを、マックスバリュ東海がシーズンセレクトへM&Aを実施し、子会社化している。今後、食品スーパーマーケット業界ではいつどのような形でM&Aが起こっても不思議ではなく、今後、数年間に様々なM&Aが起こるものと予想される。

   No.2は大黒天物産であり、119.6%である。懸案の既存店も103.7%と好調に推移しており、平均単価が103.1%(既存店103.0%)と大きく上昇し、PI値は98.1%(既存店98.3%)と昨年を割ったが、客単価は101.1%(既存店101.3%)とプラスに転じ、客数の伸び117.0%(既存店101.7%)と相まって、全体、既存店ともに売上がプラスになった。今回の平均単価を公表している大半の食品スーパーマーケットはほぼこのような傾向であり、平均単価アップ、PI値ダウン、客単価アップ、客数増、そして、売上増という構造となっており、まさに、値上げ問題が直撃し、結果、数量減とはなったが、平均単価のダウンほどには下がらず、客単価がプラスになり、堅調な客数増に支えられ、売上がプラスと好調な売上となった。ただ、これ以上、値上げが継続すると、さらに平均単価が上がり、結果、PI値のダウンがそれ以上に大きくなれば客単価はダウンし、それが客数でカバーできず、売上ダウンということにもなりかねない。今後、どこまで値上げが続くかが今後の食品スーパーマーケットの売上の鍵を握っているといえよう。

   No.3はハローズであり、114.6%、既存店も102.2%と好調であった。No.4はマックスバリュ東海であり、111.4%(既存店102.3%)、そして、No.5はマックスバリュ西日本であり、110.1%(既存店103.0%)であった。以上が110%以上の売上が伸びた食品スーパーマーケットであるが、マックスバリュグループがベスト5に3社入る好調さである。ただ、マックスバリュ東北はNo.11の105.2%(既存店98.4%)、マックスバリュ北海道はNo.22の100.3%(既存店92.6%)とやや苦しい数字であり、西高東低という結果であった。

   ついで、105%以上の食品スーパーマーケットを見てみると、No.6カスミ108.4%、No.7マルエツ108.0%(既存店102.9%)、No.8ヤオコー107.9%(既存店101.4%)、No.9バロー107.4%(既存店100.2%)、No.10ユニバース105.3%(既存店102.0%)、No.11マックスバリュ東北105.2%(既存店98.4%)、そして、No.12 PLANT105.1%(既存店98.4%)という状況である。この中ではPLANTが2008年3月13 日に福島県に2店目となる「PLANT-4大熊店(福島県双葉郡大熊町)」をオープンさせ、また、2008 年7月2日、岡山県鏡野町に、「スーパーセンターPLANT-5鏡野店」と2店舗をオープンさせ、売上が急回復している。来月には7月開店の新店の売上もオンされるため、大幅な売上増となろう。ただ、既存店は98.4%と苦戦しており、今後、既存店の活性化が課題となろう。

    これに対し、この6月度、売上が厳しかった食品スーパーマーケットは、アークランドサカモトが95.3%(既存店97.1%)と唯一100%を切り、厳しい数字であった。ただ、それ以外の食品スーパーマーケットでも、伸び悩んでいる食品スーパーマーケットを見てみると、エコス100.2%(既存店96.9%)、マックスバリュ北海道100.3%(既存店92.6%)、ダイイチ100.8%(既存店101.8%)、トーホー101.6%(既存店99.8%)、オオゼキ101.9%(既存店101.9%)と、この5社が101%台の食品スーパーマーケットである。特に、気になるのはオオゼキであり、今期、第1四半期決算も増収増益と好調であり、自己資本比率も77.7%、無借金経営であるにも関わらず、1年以上新店がなく、既存店=全店の売上という構造が続いていることである。

   このように、この6月度の食品スーパーマーケットの売上は極めて好調に推移しているといえ、昨対で100%を下回る企業は1社のみであり、既存店も堅調に推移しているのが実情といえよう。ただ、その背景には値上げ問題がプラスに左右していることが数字からも読み取れ、今後、さらなる値上げが予想される中、この好調さを維持できるかどうかは予断をゆるさない状況といえ、今後の値上げ問題を注意深く見てゆく必要があろう。ここ数ケ月の売上がどのような推移となるかが、今期の食品スーパーマーケットの決算の鍵を握るといえよう。

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July 21, 2008

日経ビジネス7/14でベイシアを特集!

   日経ビジネス7/14でベイシアが特集された。「知られざる安売り王、ベイシアの諦めない経営」というタイトルで18ページに渡る大特集である。非上場企業の食品スーパーマーケットをここまで本格的に取り上げるのはめずらしいといえよう。特に、P.34-35の「345円の差に宿る強さ」は衝撃的な内容であり、これひとつでベイシアの凄さを改めて認識できる内容となっている。最後のページではベイシア会長の土屋嘉雄氏へのインタビュー記事も掲載されており、久しぶりに読み応えのある、中身の濃い内容であった。

   今回の特集で最も衝撃的な内容の記事は先にもあげたP.34-35の「345円の差に宿る強さ」であるといえよう。浜松に出店したベイシアの浜松雄踏店と近隣で競合しているジャスコ浜松志都呂店で生活必需品約11品の商品を購入した時の合計金額の差をその購入レシートと商品の写真を示し、その違いを詳細に比べた内容の記事である。どちらも、自然、PBが中心となる商品となり、ベイシアはPBベイシア、ジャスコはPBトップバリュであり、価格はどちらも自信がある戦略商品である。記事では、1品1品を比べているが、その結果、11品中11品すべてベイシアが安く、その合計金額がベイシア923円、ジャスコ1,268円となり、結果、345円の差となった。

   代表的ないくつかを見てみると、カップめんベイシア68円、ジャスコ78円、絹ごし豆腐ベイシア35円、ジャスコ58円、食パン6枚切りベイシア98円、ジャスコ108円、焼きそばベイシア98円、ジャスコ138円・・等である。ジャスコのトップバリュもNBと比べれば破格の値段であり、20%から30%は安いといえるが、ベイシアはさらにそれをくぐる安さとなっている。しかも、ベイシアは原則、これらはEDLPであり、ちらしの時だけやすいとか、1週だけ安いとかいうことではなく、いつでも、この価格で売っているのであるから驚きである。

   ベイシアがなぜここまで、PBを安く売れるか、というよりも売るかについて、この特集では、P.35の商品開発のところで解説しているが、「儲からないPBを作る」ことにあるというのが答えのようだ。このページの特集内容のキャッチコピーは「全ては安さのために」とあるように、このPB戦略を中心とする商品戦略、出店戦略、調達、売場作り、物流、人材育成、すべてに渡って安さを追求しており、まさに、これが、ベイシアの経営哲学となって、確立されているといえる。特に、このPBについては、通常の食品スーパーマーケットでは、PBはどれもNBより、20%から30%は安く売ることは当然として、それ以上にNBよりも利益の高い商品を開発することが目的とされる。すなわち、PBは売上よりも利益が重視されるのが通常であり、少なくともNBよりも儲からないPBを作る企業はまずないといえるが、ベイシアは目玉となるPBは10%以下の粗利であるといい、PBを極めて戦略的に活用しているのが他社との大きな違いであり、それが、「345円の差に宿る強さ」となっているといえる。

   実際、ベイシアの今期の売上は2,499億8,147万円であり、現在92店舗であるので1店舗当たり27.17億円と通常の食品スーパーマーケットの2倍近い売上規模である。しかも、営業利益は93億6,777万円であるので、営業利益率は3.74%であり、食品スーパーマーケットとして、十分な利益を確保しており、これだけ目玉のPBを安く売っても、それをカバーする収益力があり、しかも、売上ボリュームが大きいことから、利益額も大きいといえる。まさに売れて儲かる仕組みができあがっているといえよう。

   ちなみに、P.30ではベイシアグループの主要企業の売上、営業利益が掲載されているが、それを見ると、カインズ3,234億4,196万円(184億2,398万円:5.69%)、ワークマン498億5,015万円(44億510万円:8.83%)、セーブオン590億6,814億円(11億8,127万円:1.99%)、ベイシア電器381億7,596万円(6億62万円:1.58%)等であり、すべての業態で売上だけでなく、収益性も高い経営構造が、特に主力のベイシア、カインズではできあがっているといえよう。

   ベイシア特集記事の最後は、ベイシア会長、土屋嘉雄氏へのインタビューであるが、実に示唆に富むキーワードが登場する。「在庫は氷水」、「安く売って倒産した会社はない」、「流通業界にもカンバン方式を」などである。インタビューの記事の中で、マクネア教授の小売りの輪の論文の話が出てきたが、私も大学時代にゼミで勉強したが、これが土屋会長の安売り哲学の原点となった論文であったとは、感慨深いものがある。ベイシアを見ていると、確かに安さを遇直なまでに追求しており、土屋会長の考え、安売り哲学が経営の隅々まで強く反映されているように感じる。

   このように、今回の日経ビジネスのベイシア特集は読み応えがあるだけでなく、内容も深く、改めて食品スーパーマーケットとは、小売業とは何かを原点に戻って考えさせてくれる特集記事であるといえよう。ちなみに、ベイシアは、ラテン語の「ベネ(よりよい)」とベイシア発祥の「いせや」を合わせてベイシアとなづけたという。いつまでも創業の原点いせやを忘れず、さらに発展させてゆくという意味であろう。今後、ベイシアが、この未曽有の値上げ環境の中で、どこまで安売りを徹底してゆくかに注目したい。

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July 20, 2008

金額PI値かID金額PI値か、それが問題!

   いよいよ、私のクライアントでもID-POS分析がはじまりつつある。食品スーパーマーケットで数社が取組はじめ、メーカーでも数社が検討に入った。まだまだ、はじまったばかりであり、今後、どのように展開してくのか、楽しみである。そこで、ここでは、ID-POS分析をはじめるにあたって、一番はじめに問題となる金額PI値とID金額PI値の違いとその関係に絞って、実践面も踏まえて解説をしてみたい。

   まず、金額PI値であるが、これは売上金額÷レシート枚数のことである。厳密にいえば、金額PI値は2つあり、全来店顧客を前提にしたレシート枚数とポイントカードなどのIDのみの顧客のレシート枚数を分母にした金額PI値がある。ID数が来店顧客と一致すればこの2つは同じ金額PI値となるが、実際はポイントカードの使用比率は70%から80%、低い場合には50%から60%となるため、まず、一致することはなく、2つの金額PI値が存在することになるが、ここでは、IDのレシートを分母とした金額PI値について取り上げる。したがって、この金額PI値はIDに絞ったレシート枚数を分母とした金額PI値のことである。

   次に、ID金額PI値であるが、これは、売上金額÷ID数のことである。金額PI値との違いは分母がレシート枚数であるか、ID数であるかの違いであり、分母はIDの売上金額であり、同じ数字となる。したがって、どちらも、1人当たりの売上金額といえるが、金額PI値はレシート1枚当たりの売上金額であるのに対し、ID金額PI値はID1人当りの売上金額となる。

   通常、POS分析というと、レシート1枚当りに換算した金額PI値を使用し、この金額PI値を1円でも高めることがマーチャンダイジングの目的となる。そして、そのために様々な仮説をつくり、アクションを起こし、検証し、次の仮説につなげてゆくというPDCAサイクルを繰り返し、金額PI値アップを目指してゆく。ところが、ID-POS分析の場合は、IDを前提したID金額PI値を使用し、ID当たりの売上金額をいかに高めてゆくかが目的となる。金額PI値の場合はIDが把握できないため、すぐに、商品個々の分析に入り、商品からのアプローチしかできないが、ところが、ID金額PI値の場合は、IDが把握できるために、すぐには商品にいかず、IDに直接働きかけることが可能となり、顧客へのアプローチが可能となる。商品個々に落とした場合も同様に、その商品の購入顧客へ直接働きかけることが可能となる。これが金額PI値とID金額PI値の決定的な違いであり、見方を変えれば、IDが把握できるのであれば、ID金額PI値を算出し、直接顧客IDに働きかけるアプローチをすべきといえよう。

   さて、ここからが、今回のブログのテーマであるが、では、この金額PI値とID金額PI値とはどのような関係となっているかである。以前もブログで何回か取り上げているように、この2つは、客数PI値で媒介される。客数PI値にも2つあり、IDを分母とするID客数PI値とレシート枚数を分母とする客数PI値とがあるが、ここでは、ID客数PI値を使い、この2つの金額PI値を結びつけてみると、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値となる。これがID-POSにおける基本公式である。ここで、ID客数PI値とはレシート枚数÷ID数のことであり、一般には購入頻度といっている指標である。ある期間にある顧客が何回購入したかを表す指標であり、ID-POS分析では実に重要な指標のひとつである。

   したがって、ID-POS分析の最も重要な基本公式はID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値といってよく、これが金額PI値とID金額PI値の違いであり、関係であるといえる。この式の意味することは、ID金額PI値を引きあげるには、ID客数PI値を引き上げるか、金額PI値を引き上げるか、ないしは双方を引き上げるかの3択問題となるということである。実はここが重要なポイントであって、これまで、通常のPOS分析で取り組んできた金額PI値アップは、通常のPOS分析では目的であったが、ID-POS分析では手段となってしまうということであり、目的はID金額PI値を引きあげることにあるということである。

   これは頭を柔らかくしないと、理解できないことであり、たとえば、金額PI値を落としても、ID客数PI値(購入頻度)をそれ以上に引き上げてしまえば、ID金額PI値は高くなるということであり、むしろ、現実にはこのようなことがいくらでもあるということである。金額PI値しか把握できなかった時代は金額PI値を下げることは許されないことであったが、ID-POS分析がきで、ID金額PI値が算出可能となった段階では金額PI値を引きあがることは望ましいが、それ以上にID客数PI値を引き上げることが、さらに重要な課題となり、金額PI値だけでなく、ID客数PI値とのバランスをとったマーチャンダイジング政策をIDレベルでつくってゆくことが課題となるということである。

   ID-POS分析はまだはじまったばかりであるが、スタートの時点で、まず、理解しなければならならい基本の基本となる公式は、このID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値であり、この基本公式からID-POS分析ははじまるといってよい、極めて重要な公式であり、概念である。

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July 19, 2008

日経MJ、新製品ランキング、7/18、新製品低調!

   今週も恒例の新製品ランキングが日経MJから7/18、公表された。今週は全般的に低調な新製品ランキングとなった。新製品を評価するポイントは金額PI値であるが、500円を超えるAランクの新製品が全部で2品しかなかった。また、300円のBランクを超える新製品が5品、200円を超えるCランクの新製品が11品であり、特にAランクの新製品が少ない週となった。しかも、Aランクの2品は値上げ関連の新製品といえ、ひとつは、今週No.1となった飲料部門の日本ミルクコミュニティ、毎日骨太3つのチカラ1000ml、金額PI値644円、そして、もうひとつは、家庭用品部門の花王、アタック1kg、金額PI値550円である。この2品のみが今週金額PI値500円のAランクとなったが、どちらも値上げ関連の新製品であり、実質、新製品で金額PI値500円を超えるAランクは0といえる。

   先週まで値上げ関連でない新製品でAランクであった飲料部門の日本コカ・コーラ、ファンタふるふるシェイカーグレープ190mlは424円(先週比-121円)となり、Bランクとなった。ただ、飲料部門では依然として、No.2であり、高い金額PI値を維持している。今後、どの辺で落ち着くか、もうしばらく様子を見る必要があろう。それ以前に発売された同じファンタのふるふるシェイカーオレンジ190mlは金額PI値303円のBランクでNo.4となった。ふるふるシリーズは以前として、高い金額PI値といえ、今後注目といえよう。No.3もファンタであり、グレープ手にピタ!ボトル1.5L、金額PI値306円であり、今週はファンタ関連が飲料部門のトップを独占したといえる。日本コカ・コーラはこれ以外にもあいついでアクエリアス、ファンタ等の新製品、リニューアル商品を出しており、飲料部門20品の内、7品を占める新製品ラッシュである。

   金額PI値は高くはないが、今週は菓子部門がおもいしろい動きをしている。今週初登場のまさに新製品が5品登場した。No.1にカルビー、じゃがりこシーフード58g、金額PI値217円が入った。先週までトップの同じくカルビー夏ポテトはNo.4となり、金額PI値は134円であった。初登場の新製品2品目はNo.3に入った森永製菓、キョロちゃんケーキ(ミルク)6個、金額PI値134円、3品目は同じく、No.8に入った森永製菓、キョロちゃんクッキー(ミルククリーム)12枚、金額PI値105円、4品目はNo.16に入ったエースベーカリー、厚切りバウムクーヘン9個、金額PI値61円、そして、5品目がNo.18に入った東ハト、メガポテコペッパーソルト味118g、金額PI値60円である。今週は全部門の中でもこの菓子が最も新製品の多い部門となった。

   これ以外の部門はほぼ先週同様の順位であり、今週は初登場の新製品も少なかったが、その中でも比較的金額PI値の高い新製品が多かった部門は、その他食品部門であり、No.1に日本ミルクコミュニティ、牧場の朝ヨーグルト生乳仕立て80g×3、金額PI値460円であった。No.2には敷島製パン、超熟ロール6個入、金額PI値366円が入った。この2品は先週と同じ順位であり、金額PI値300円以上のBランクの新製品である。No.3には先週No.7から急浮上した花王、エコナクッキングオイル小サイズ付き600g+250g、金額PI値277円が入った。ただ、カバー率が26.4%と対象45チェーン250店舗の中ではわずかなシェアであり、今後、カバー率が増加した時に、どこまで金額PI値を維持できるかが課題といえよう。以下、金額PI値200円以上のCランクの新製品をピックアップして見ると、No.4には敷製パン、スナックパンチョコ8本入り、金額PI値251円、No.5に伊藤園、香り薫るむぎ茶ティーバック54袋入り、金額PI値249円、No.6に日本水産、おさかなのソーセージ75g×4本、金額PI値235円、No.7にグリコ乳業、Dororich200g、金額PI値227円、そして、No.8に森永乳業、北海道バター200g、金額PI値205円が入った。

   冷凍食品部門ではNo.1にハーゲンダッツジャパン、ドルチェミルフィーユ106ml、金額PI値192円が入ったが、トップでも金額PI値が192円とCランクを割っており、厳しい数字である。また、冷凍食品ではNo.13に入った日清食品、スパ王ジューシーなナポリタン280g、金額PI値72円と全20品の内1品のみであり、依然として、冷凍食品の不振が続いているといえよう。No.2、No.3にはロッテアイスのクーリッシュ<バニラ>140ml、金額PI値174円、ぎゅぎゅっとオレンジ&グレープ110ml、金額PI値159円が入った。

   そして、最後に家庭用品部門であるが、ここへ来て花王が新製品ラッシュとなっており、先に上げたNo.1のアタック1kgを含め、全10品中6品を占め、値上げ関連を中心に新製品が矢次ばやである。No.2、No.3ともに花王であり、トイレクイックルつめかえ用ジャンボパック20枚、金額PI値269円、メリーズパンツのびのびWalker Lサイズ42枚、金額PI値257円となるなど花王の新製品が絶好調である。

   このように、今週は新製品の金額PI値が低調となり、なおかつ、今週初登場の新製品が菓子以外は低調であり、全体として、新製品が低調な週であったといえよう。値上げ問題はとりあえず一段落したようであるが、これから第2弾の値上げが続々と控えており、今後も値上げ関連を含めた新製品が続々と登場してくるものと予想され、当面、新製品の動向には注目といえよう。

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July 18, 2008

オオゼキ、2009年2月期第1四半期、好調な決算!

   オオゼキの2009年2月期の第1四半期の決算が7/8公表された。結果は、売上高167.09億円(101.5%)、営業利益13.73億円(107.8%:売上対比8.21%)、経常利益13.96億円(107.9%:売上対比8.35%)、当期純利益8.17億円(106.3%:売上対比4.88%)と増収増益の好決算であった。ただ、売上高が101.5%と伸び悩んでおり、今期、新規出店がないために、既存店のみの数字となったためである。その既存店であるが、客数99.5%、販売点数98.1%、一品単価103.3、客単価102.0%という状況であり、客数ダウン、客単価アップであり、客単価の中でもPI値ダウン、平均単価アップとなり、平均単価のアップにささえられた売上アップであったといえる。

   ここ最近、あらゆる商品で値上げが起こっており、ほとんどの値上げ商品のケースでは金額PI値アップ、PI値ダウン、平均単価アップという構造となり、数量ベースでは確実にダウンしているが、平均単価のアップほどダウンがなく、結果、金額PI値がアップするという傾向が強い。今期のオオゼキの決算内容は、まさに、全体として、この傾向が出た構図となっており、食品スーパーマーケットにこのような形で値上げ問題が影響を与え始めたといえよう。

   一般的に金額PI値が上がるケースは、PI値と平均単価双方アップ、PI値のみアップ(平均単価がダウンするが、PI値のアップよりも低い幅)、平均単価のみアップ(PI値がダウンするが、平均単価のアップほどダウンしない)の3パターンある。今回のオオゼキのケースはこの3番目に当るケースであり、実際、多くの食品スーパーマーケットでも現在見られるケースである。この場合の注意点は、平均単価とPI値のバランス次第では、いつ金額PI値がダウンするかわからない不安定な状況にあるといえ、少し、平均単価に変化があると、たちまち、PI値が予想以上に下がり、金額PI値ダウンになりかねないということである。実際、現在、値上げ関連商品を見ても、まちまちであり、平均単価の値上げ幅によっては、PI値が予想以上に落ち、金額PI値がダウンしている商品も出始めている。したがって、今後、もう一段の値上げがあると、食品スーパーマーケットの大半の既存店の売上がダウンすることも十分に考えられる。今回のオオゼキの売上はその微妙なバランスの中での増収、101.5%であったといえよう。

   実際、オオゼキは、通期予想を売上高655.16億円(100.8%)、営業利益50.90億円(101.9%:売上対比7.76%)、経常利益51.84億円(102.0%:売上対比7.91%)、当期純利益30.67億円(103.9:売上対比4.68%)と慎重に見ており、今回の好調な状況が今期いっぱい続くかは現段階では予想が難しい状況といえよう。

   オオゼキの今期、特に、利益面が好調であった要因を原価、経費面から見てみたい。今期は原価が75.09%となり、昨年の75.63%と比べ0.5ポイント下がっている。これだけ値上げ問題が本格している中、原価を下げており、結果、売上総利益は24.89%と昨年の24.36%と比べ0.5ポイント改善しており、これがまず、利益の確保にとって大きな要因であったといえよう。ただ、今後、値上げが一段と激しさを増すと、この仕入原価が上昇する可能性も高く、今後の値上げ動向を注意深く見守る必要があろう。また、これに不動産収入等が加わり、オオゼキの今期の最終粗利である営業総利益は25.93%(昨年25.46%)と0.5ポイントの粗利が改善された。

   一方、販売費及び一般管理費は、17.71%となり、食品スーパーマーケット業界では屈指の経費比率である。昨年が17.72%であるので、ほぼ昨年と同じ比率であり、経費の上昇は見られなかった。したがって、営業利益は8.21%(昨年7.73%)と約0.5ポイント改善し、大幅な営業利益の改善につながった。

   首都圏という高コストの立地で食品スーパーマーケットを展開し、ディスカント業態ではなく、経費比率を17.71%で抑えることは驚異的なことであるが、その最大の要因はオオゼキの驚異的な集客力にあり、その結果、業界屈指の坪効率日本一の約1,200万円を維持していることにあるといえよう。これが食品スーパーマーケット最大の経費、人件費を相殺し、経費率を引き下げ、高収益をもたらしているといえる。今期もオオゼキの集客の源泉となる青果と食品の構成比が青果21.9%(昨年21.5%)、食品18.3%(昨年18.1%)と伸ばしており、さらに、内食回帰の象徴的な商品である精肉も12.4%(昨年12.2%)と伸ばしており、オオゼキのマーチャンダイジング力は増しているといえよう。

   この好調な決算により、自己資本比率77.7%(昨年76.2%)と限界に近いところまで上昇し、借入金0の無借金経営となり、自己資金で成長可能な安定的な堅固な財務状況ともなった。ただ、ひとつ、気になることは、新規出店である。ここ最近、オオゼキの新規出店がストップしており、通期予想でも新規出店が想定されていないところを見ると、今期も新規出店が難しい状況のようである。財務的には全く問題ない状況であり、オオゼキがいつ成長戦略、場合によってはM&Aに踏み切るかに注目したい。

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July 17, 2008

ウォルマート売上速報、2008年6月度、絶好調!

   ウォルマートの2008年6月度の売上速報が7/10公表された。6月度は5/31から7/4までの5週間の売上速報であり、累計では22週となるが、数字に異変が起きている。先月度とくらべ、また新規に入り、急激な売上増となっていることである。特に、柱のスーパーセンターの売上が絶好調であり、全体の売上を大きく牽引した形である。ウォルマートは売上の集計をウォルマート部門、サムズクラブ部門、そして、海外部門の3つに分けているが、この内、スーパーセンターが中核となるウォルマート部門の6月度の売上が110.1%となる2桁の伸びである。22週累計が107.1%であるので、6月は際立った伸びとなったといえよう。アメリカのサブプライムローンの問題、ガソリン価格の高騰、資源高、食料高がウォルマートに追い風となったようである。

   サムズクラブ部門もウォルマート部門ほどではないが、同様に好調な売上の伸びであり、108.9%と22週累計の107.1%を上回る伸びである。ただ、サムズクラブ部門はガソリン等のエネルギー関連の貢献が極めて大きく、この6月度の貢献度を見ても3.7%もあり、昨年の0.7%と比べると、ガソリン等のエネルギー関連の貢献度が極めて大きいことがわかる。アメリカの消費者が安いガソリンをもとめて、サムズクラブに殺到し、しかも、そこで、超お買い得な商品をしっかり、まとめ買いしているという構図である。

   また、これまで絶好調であった海外部門も依然として、116.9%と高い伸びを続けている。ただ、22週累計では118.0%であるので、やや伸びが鈍化したが、それでも116.9%は高成長といえる。金額面でも98.82億ドル(約1兆500億円)と全体が399.39億ドル(約4兆2,700億円)であるので、売上構成比は24.74%とほぼ1/4となり、海外部門はウォルマートにとって重要な成長部門であり、すでに、スーパーセンターに次ぐ第2の柱となったといえよう。今後、インド、ロシアでの展開も予定されており、この急成長は当面勢いが継続するものといえよう。

   その海外部門の中で、特にこの6月度、好調な地域はイギリス、ブラジル、そして、中国であるという。残念ながら、ここ最近、日本という言葉が全くでてこないが、今月も日本には全く言及がなかった。イギリスではアズダが打ち出している低価格路線が受け入れられ、好調な数字であるという。また、ブラジルではハイパーマーケット、キャッシュアンドキャリーが好調であるという。そして、中国では、5/12の地震により、まだ、1店舗が閉鎖したままであるというが、それ以外は全体的に売上は好調であるという。今後も、この3つの地区がウォルマートの海外部門を牽引してゆくことになろう。

   この好調な売上に関して、ウォルマート自身は「All six merchandise units (grocery, entertainment, health and wellness, apparel, home and hardlines) achieved comparable store sales increases・・」というようにすべての部門で既存店が好調な数字であったという。その既存店の動きであるが、ウォルマート部門は106.1%、昨年は101.6%の伸びであったので、大幅な伸びである。22週累計が103.2%であるので、この月が急激に数字が伸びたことがわかる。同様にサムズクラブ部門も既存店が伸びており、108.3%とウォルマート部門以上に伸びている。しかも、22週累計も106.1%であり、やはり、この6月度が特に高い伸びであることがわかる。その結果、ウォルマート部門、サムズクラブ部門の合計の既存店は106.4%となり、極めて高い既存店の売上の伸びといえよう。

   ウォルマートについては、7/11の日経新聞に、「米ウォルマート、青果調達、国内にシフト、燃料高騰、輸送費削減狙う」という記事が掲載された。これによれば、現在、ウォルマートの取り扱う生鮮食品が生産地から消費者の口に入るまでの平均距離は2,400キロであるという。今後、商品ごとに距離を自動計測できるフードマイルズカルキュレーターを導入し、仕入担当者の意思決定の参考にするという。実際、過去2年で契約農家は50%増えているといい、今後、経費削減にもつながり、日本でいうところの地産地消ともなり、売上、利益に貢献してゆくことになろう。

   また、その横の記事で、「店舗ロゴすっきり、ウォルマート、イメージを刷新、清潔感アピール」という内容が載っているが、これまでの、Everyday Low Price政策が店舗のロゴから消え、Save Money. Live better.のスローガンが掲げられたロゴとなったということである。つい最近、実施された株主総会でも取り上げられたが、今後のウォルマートの基本政策でもあり、いよいよ、新たなウォルマートのスローガンが確定したといえよう。時代は安さから、節約、生活がアメリカではキーワードとなったという象徴的な出来事である。

   このように、この6月度のウォルマートの売上速報は絶好調であり、ここへきて、アメリカの消費者がウォルマートでの買い物を確実に増やし始めたことを示しているといえよう。当面、ガソリン価格は下がる気配がなく、原料の値上がりも続いており、物価は上昇気味で推移しており、ウォルマートの存在感がアメリカでは一層重くなった事を示しているといえる。来月以降、ウォルマートの数字がどのように変化してゆくか注意深く見守ってゆきたい。

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July 16, 2008

キューピー2008年11月中間、増収減益、厳しい決算!

   7/10の日経新聞に「キューピー純利益12%減、5月中間、食用油の高騰響く」という記事が掲載された。実際、7/9に公表されたキューピーの2008年11月期の中間決算の数字を見てみると、売上高2,350.51億円(101.1%)、営業利益66.71億円(89.6%:売上対比2.83%)、経常利益66.79億円(89.9%:売上対比2.84%)、当期純利益31.13億円(87.99%:売上対比1.32%)という結果であり、増収とはなったが、その増加分はわずか1.1%であり、利益についてはすべての段階で減収となる厳しい決算であった。

   キューピーの事業構造は、食品事業と物流事業に大きく分かれ、今期中間決算時の売上はそれぞれ、食品事業1,880.91億円(売上構成比80.02%、昨対100.3%)、物流事業469.59億円(19.97%、104.3%)という状況であり、食品事業が厳しい状況であったことがわかる。その中でも、調味料・加工食品895.18億円(38.08%、100.8%)、健康機能85.33億円(3.63%、100.8%)、タマゴ433.93億円(18.46%、102.1%)、サラダ・惣菜466.45億円(19.84%、97.7%)という状況であり、主力のキューピーマヨネーズは調味料・加工食品に属し、全体の約40%を占めるが、やはり、売上は100.8%と伸び悩んでいることがわかる。

   キューピー自身も、「主要原料の購買面では、鶏卵価格は安定して推移したものの、食油価格は穀物価格の影響などから高騰を続け、・・」と解説しているように、食用油の価格の上昇の影響が大きかったという。実際、今回の決算数字の原価、粗利、経費の構造を見てみると、売上原価が昨年の76.0%から77.3%へと1.3ポイント上昇しており、仕入原価の上昇がみられる。結果、売上総利益は昨年の24.0%から22.7%へと下がったことが減益となった最大の要因といえよう。また、販売費及び一般管理費については、昨年の20.8%から19.9%へと0.9ポイント改善したが、差し引き、営業利益は3.2%から2.8%へと0.4ポイントさがっており、率では87.5%という減益となった。経費削減により、原価の上昇分を吸収できない状況といえ、予想以上に原価の上昇が経営を大きく圧迫しているといえよう。このような状況から、キューピーは、「マヨネーズおよびドレッシングの価格を8月1日出荷分から改定させていただくこととしております。・・」ということであり、価格に転嫁する以外に、利益を確保する方法がないという厳しい状況にあるといえよう。
 
   実際、食品スーパーマーケットのここ最近のPOSデータを見てみると、マヨネーズの価格は110%近く上昇しており、それと反比例する形で、PI値が激減しており、10%のダウンではとどまらず、15%近い落ち込みとなっており、結果、金額PI値は95%前後となる厳しい状況となっているのが実態である。これは、この5月度の家計調査データでも同様の傾向が出ており、マヨネーズは94.8%という状況である。その中身も消費世帯のみの消費額は100.8%と微増であるが、消費世帯の割合いが94.1%と落ち込んだことが大きく、昨年と比べ、マヨネーズを購入する世帯の割合が減っているのが特徴である。また、マヨネーズ以外でも調味料の中では、しょうゆ、ケチャップ、ソース、酢等が厳しい数字である。逆に、この時期伸びたものでは、食用油、マーガリン、みそ、食塩などであり、調味料の中でも明暗が分かれている。

   さらに、POSデータでマヨネーズの重点商品の動向を見ると、No.1のキューピーマヨネーズ500gは金額PI値80%、No.2のキューピーハーフ400gは金額PI値90%となっているのが実態である。No.3には味の素ピュアセレクトマヨネーズ400gが入っているが、これは、逆に金額PI値は105%ぐらいで伸びている。ただ、キューピーの中でも上位ランクに入るキューピーマヨネーズ350gは金額PI値が170%近い伸びを示しており、伸びた商品もあるが、No.1、No.2が値上げ後、金額PI値が下がりぎみであることは全体としては厳しい状況となろう。

   ちなみに、このキューピーの中間決算の記事が掲載された7/10のキューピーの株価であるが、959円(+6円、+0.62%)と若干であるが株価は上昇した。ただ、キューピーの株価はこの4月初めには1,100円を超える株価であったので、959円は、7/3につけた年初来最安値の920円までは下がっていないが、今期の中では低い水準であり、4月以降、株価はダウントレンドで推移しており、この決算でというよりも、投資家は、今期、少なくとも、当面はキューピーが厳しい経営となることを織り込んでいるようである。

   キューピー自身も今期予想に関しては、売上高4,780.00億円(102.1%)と売上は増収となる予想であるが、営業利益150.00億円(94.8%:売上対比3.13%)、経常利益148.00億円(93.5%:売上対比3.09%)、当期純利益77.00億円(105.1%:売上対比1.61%)と営業、経常段階では厳しい予想となっている。
 
   このように、マヨネーズメーカー、業界トップのキューピーの中間決算が公表されたが、その内容は増収減益となる、特に利益面が厳しい決算となった。その要因はまさに、値上げ問題をもろに受け、原価の高騰に経費の削減が追いつかない状況にあるといえる。値上げ問題は食品スーパーマーケットでは現段階では追い風になっているようであるが、メーカーはこのキューピーの決算数字を見る限り、厳しい向かい風となっているようである。今後、小売、メーカーの四半期決算が続々と公表されると思うが、値上げ問題がどのように経営に影響を与えているかという観点を入れながら、本ブログでは、小売、メーカー双方の決算速報をしっかり追ってゆきたい。

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July 15, 2008

大黒天物産、2008年5月度決算、大幅増収増益!

   大黒天物産が7/10、2008年5月期の決算を公表した。大黒天物産は食品スーパーマーケットでは珍しい決算月であり、6/1から5/31までの5月期決算である。その数字であるが、売上高643.99億円(122.6%)、営業利益27.60億円(114.6%:売上対比4.28%)、経常利益27.15億円(112.8%:売上対比4.21%)、当期純利益14.09億円(113.1%:売上対比2.18%)となり、増収増益の好決算であった。特に、売上が122.6%と食品スーパーマーケット業界屈指の急成長を遂げたが、その背景にはここ数年の新規出店ラッシュがあり、今期も7店舗の新規出店を果たしている。2007年11月、ラ・ムー明石南店、2007年11月、ラ・ムー米子西店、2007年9月、ディオ松江東店、2007年8月、ラ・ムー津山店、2007年7月、ラ・ムー松山西店、2007年6月ラ・ムー八幡店、2007年6月ラ・ムー此花店である。この新規出店が大黒天物産の急成長を支えているといえよう。

   来期についても、今期とほぼ同じ6店舗の新規出店を予定しているが、出店が下期にづれ込むため、通期予想は、売上高673.00億円(104.5%)、営業利益29.00億円(105.0%:売上対比4.30%)、経常利益28.55億円(105.1%:売上対比4.24%)、当期純利益14.80億円(105.0%:売上対比2.19%)と堅調な数字予想である。この結果、メガディスカウントランド、ラ・ムー27店舗、スーパーディスカウントストア、ディオ26店舗、生鮮市場ハッピィ2店舗、バリュー100、1店舗の計56店舗となる予定である。

   この好調な決算の要因をここ最近の大黒天物産の売上速報で見てみると、6月度119.6%(既存店103.7%)、5月度120.1%(既存店102.2%)、4月度117.2%(既存店97.9%)、3月度117.0%(既存店97.6%)、2月度119.8%(既存店98.8%)、1月度121.6%(既存店97.3%)と5月以降既存店もプラスに転じており、新店効果だけでなく、既存店もここへ来てプラスに転じつつある。特に、6月度の既存店は客数101.7%、客単価101.3%とバランスのよい成長となっており、さらに、客単価の中身はPI値100.0%、平均単価103.0%と値上げの影響により、平均単価が上昇気味で推移しているが、PI値が横ばいとなっており、結果、客単価が上昇している。ディスカウントスーパーを主体とする大黒天物産にとって、この値上げ問題が追い風になりつつあるといえよう。

   大黒天物産のこの決算時の原価、粗利、経費の状況を見てみると、売上原価は昨年の76.7%から76.9%へと0.2ポイント上昇しており、やはり、値上げ問題が仕入に影響しているといえよう。その結果、売上総利益は昨年の23.3%から23.1%へと同様に0.2ポイント下がった。また、販売費及び一般管理費については、昨年の18.7%から18.8%へとわずかであるが、0.1ポイント上昇しており、結果、営業利益は昨年の4.6%から4.3%へと0.3ポイント下がり、率では93.4%となった。ただ、売上が122.6%伸びたので、営業利益のダウンをカバーし、114.6%と大幅な増益となった。今期はこのように原価の上昇がそのまま利益の減少に直結した形となったが、先に見たように、5月以降既存店が伸びはじめており、このまま既存店が安定成長してゆけば、固定費が相対的に削減され、結果、経費が削減され、今期は利益の回復も見込めるといえよう。次の第1四半期決算がどのように数字が変化するか注目といえよう。

   これを受けて、大黒天物産のここ最近の株価であるが、大黒天物産は昨年から今年にかけて、自社株買いを盛んに実施している。直近の自社株買いからさかもどってみると、6/1から6/30(37,000株)、5/2から5/31(34,400株)、4/1から4/30(35,700株)、3/1から3/31(33,500株)、2/1から2/25(25,500株)、1/18から1/31(23,700株)、12/1から12/31(5,500株)、11/1から11/30(26,900株)、10/1から10/31(42,400株)、9/5から9/30(44,000株)という状況である。実際、この決算でも、自己資本の自己株式が昨年は0円であったが、今期は-2.00億円となっており、約2億円の自己株式が購入されている。これにより、株価も5月下旬までは右上がりに上昇し、5/21には年初来最高値の885円まで上昇した。ただ、その後、株価は反転し、下がりはじめ、650円近辺まで下がった。その後、6月中旬以降は再び株価をもどし、800円前後まで戻しているが、横ばいの状況である。7/10にこの好調な本決算が公表されたが、7/11の株価は、736円(+6円、+0.82%)であった。

   一方、大黒天物産の自己資本比率であるが、48.1%(昨年46.5%)とやや上昇しているが、一昨年は60.4%と高い数字であったので、この数年の怒涛の新規出店が自己資本比率をやや引き下げている状況といえよう。ただ、自己資本比率48.1%は今期上場食品スーパーマーケット約50社の中では17番目に当り、上位の数字である。

   このように大黒天物産の2008年5月期の決算が公表されたが、大幅な増収増益となる好決算であり、特に、5月以降は既存店の売上もプラスに転じており、この値上げ問題が追い風となっている状況といえよう。大黒天物産の通期の予想を見ると小幅の増収増益予想であるが、この好調な状況が続けば、さらに増収、そして増益となることも予想され、今期も好決算が期待できそうである。ただ、消費環境は予断をゆるさない状況が続いているので、当面、注意深く経営状況を見てゆく必要があろう。大黒天物産の7月以降の売上、特に既存店の進捗状況に注目したい。

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July 14, 2008

イオン、2009年2月期決算、増収大幅減益!

   注目のイオンの2009年2月期の第1四半期(2月21日から5月20日まで)の決算が7/8公表された。営業収益1兆2,792.15億円(104.1%)、営業利益226.49億円(79.8%:営業収益比1.77%) 、経常利益234.50億円(77.3%:営業収益比1.83%)、当期純利益-92.71億円と増収大幅減益となる厳しい決算となった。特に、当期純利益は赤字となる決算であり、GMSを主体とする総合小売業の不振を象徴する決算となった。当期純利益が赤字に転落した理由について、イオンは、「未回収商品券について、将来の回収見込額を特別損失として20 億20 百万円、また、税効果会計基準の変更に伴う法人税等調整額156 億40 百万円を計上したこと等もあり、92 億71 百万円の損失となりました・・」と説明しており、商品券の計上方法の変更と税務上の問題であるとしているが、営業利益、経常利益ともに大幅に減益となり、全体的に収益力が急速に落ちており、今回の減益は一時的な問題ではなく、構造的な問題であるといえよう。

   その最大の要因は、総合小売業にあるといえ、特に、既存店売上高伸び率が100.6%とぎりぎりの数字であり、その中身を見ると、衣料97.3%、食品102.5%、住居余暇98.8%と衣料品と住居余暇、特に、衣料品が厳しい数字となっている。これに対して、SCのイオンモールは、既存ショッピングセンターの増床・リニューアル、サービス力向上による競争力強化に努めた結果、増収増益となったという。また、中国・アジア事業も好調であり、営業収益は108.5%、営業利益は132.0%となったという。イオンが中国シフトの戦略を積極化させるのもうなずける好調さである。食品スーパーマーケットに関しては、マックスバリュ西日本、マックスバリュ九州は増収増益となったが、マックスバリュ北海道、マックスバリュ東北等が減益となり、全体では増収減益であったという。

   この厳しい状況はイオンの単体の直近の5月度の売上速報を見ると、より鮮明である。5月度は全体で95.1%と昨年を割り込んでおり、客数97.4%、客単価97.6%とどちらも厳しい状況である。特に、衣料品が86.9%(既存店89.9%)と最も売上が落ち込んでおり、ついで、住居余暇91.6%(既存店94.9%)、そして、食品が最も売上に貢献しているが、99.3%(既存店99.7%)という状況である。さらに、これをGMSとSMで分けて見ると、GMS 93.4%(既存店96.2%)、SM 112.5%(既存店101.2%)という状況である。売上不振はGMSにあり、しかも、その中でも衣料が厳しい状況におかれていることが鮮明である。

   衣料品とは対照的にSMは好調であり、食品が堅調な売上となっているが、その要因のひとつはイオンがここ最近最も力を入れているPB、トップバリュにあろう。今期はトップバリュの売上高は、132.2%、795 億円となったといい、販路もダイエーにも広がり、今後は、CFSでも導入がはじまるという。トップバリュはこの値上げ問題が深刻になる中で、重要な商品政策となりつつあり、さらに、売上が増加するのではないかと予想される。ちなみに、この795億円は総合小売業の営業収益1兆343.50億円で単純計算すると7.68%となる。また、単純に年間計算すると3,180億円であり、2011年までの中期的な目標である7,500億円を実現するには、2倍強の数字が必要であり、構成比も約15%前後が必要となる。その意味で、今期は中期目標の約半分を達成する状況といえるが、目標を達成するためには今後毎年150%近い伸びが必要といえ、PB、トップバリュの強化が一層進むのではないかと予想される。

   ここで、イオンの営業利益が79.8%に落ち込んだ要因を粗利、経費の面から見てみたい。イオンの今期の売上原価は71.9%となり、昨年の71.1%と比べ、上昇気味である。したがって、売上総利益(商品売買の粗利)は28.1%となり、昨年の28.9%と比べ0.8ポイント下がっている。トップバリュの積極導入、物流の改善、IT化等により、食品、衣料等では収益の改善がはかられつつあるというが、イオン全体への改善にはまだまだ結びついてこないようである。これに不動産収入等の営業収益がのり、営業総利益は39.2%となったが、昨年の40.0%と比べ、0.8ポイントダウンした。一方、販売費及び一般管理費は37.3%となり、昨年の37.4%よりは若干改善したが、ほぼ横ばいであった。結果、営業利益が1.9%となり、昨年の2.5%と比べダウンし、営業収益104.1%でカバーできず、大幅な減益となった。原価の上昇による粗利の落ち込みが、営業利益の大幅ダウンにつながった結果といえよう。

   イオンは今期、自己資本比率も23.0%と昨年の24.1%よりもダウンしており、本来であれば、増収増益、できれば大幅増益を達成し、自己資本を充実させ、安定成長を目指したいところであったが、この厳しい状況を見ると、まずは、不振のGMSの衣料部門を見直し、GMS全体の抜本的な改革に踏み切ることが急務となったといえよう。イオン自身もこの決算の中で、「イオン株式会社を中心に、イオン中期経営計画の重要施策であるGMS改革に着手しました。」と宣言しているが、この改革が今回の決算を見る限り、数字には反映されているとはいえない。イオンが次の中間決算までに、どのような改革が具体的になされ、実際の決算数字がどのように変化するかに注目したい。

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July 13, 2008

食品スーパーマーケット株価速報7/11、ヤオコー注目!

   食品スーパーマーケットの第1四半期決算の公表がはじまったが、同時に、各小売業、メーカーの第1四半期決算の公表もはじまり、これまでの状況を見ると食品スーパーマーケットの好決算がきわだっているのが特徴である。7/11の日経新聞でも、「節約志向、小売り明暗、3-5月業績、J・フロント28%減益、ライフやローソンは最高益」という記事が掲載されたが、その中でも食品スーパーマーケットの決算の好調さが、コンビニと並んで鮮明である。GMS、百貨店、外食は厳しい決算となっているのが、ここ最近の状況といえる。このような中で食品スーパーマーケットの株価も大きく動き始めており、今週の注目の株を見てみたい。

   今週は、先週同様何といってもヤオコーであろう。5日、25日、13週、26週、いずれの移動平均乖離率をみてもすべてプラスで動いており、しかも、26週の長期トレンドを見ると、全上場小売業の中でも、No.7、食品スーパーマーケットではNo.1となった。実際の数字は、3,800円(1.60%、14.76%、20.29%、26.03%)という状況であり、7/11現在、3800円(-30円、-0.78%)とやや下がった感があるが、チャートは4月以降きれいな右上がりのトレンドであり、しかも、6月後半以降は急激に右上がりとなっている。前日の7/10には上場来最高値となる4,000 円となるなど、ここ最近のヤオコーの株価は加熱気味であり、逆に心配でもある。

   ヤオコーについで、食品スーパーマーケットNo.2はCFSであり、700円(1.44% 7.52%、15.89%、23.45%)とすべてのトレンドでプラスとなっている。実際、チャートを見ると、4月以降ほぼ右上がりの動きであり、イオンとの問題が決着したことが大きかったといえよう。ただ、5日および25日移動平均乖離率が1.44%、7.52%とやや低めであり、最近は700円前後で横ばいとなっている状況である。No.3はイオン北海道であり、350円 (1.44%、0.57%、2.04%、17.05%)とすべてのトレンドでプラスであるが、短期、中期トレンドの伸びがなく、ここ最近は350円前後で横ばいが続いている。No.4はサンエーであり、3,740円(3.48%、3.05%、5.61%、16.83%)とすべてのトレンドでプラスである。実際のチャートはトレンドとしては右上がりではあるが、上げ下げが激しく、螺旋状に上昇している株価の動きである。そして、No.5はマルエツであり、960円(2.56%、8.96% 、14.28%、14.55%)とすべてのトレンドでプラスであり、チャートを見ると、V字チャートとなっており、5月下旬まではダウントレンドであったが、その後、株価は反転、きれいな右上がりのトレンドとなっており、7/11には963円と年初来最高値となった。

   以上がベスト5の25日移動平均乖離率の高い食品スーパーマーケットであるが、この中でもヤオコーとマルエツがチャートを見る限り、ここ最近右上がりの明らかなトレンドであり、注目株といえよう。上記、ベスト5に加え、もういくつか、25日移動平均乖離率の高い食品スーパーマーケットを見てみたい。No.6はカスミであり、664円 (-0.89%、-1.19%、3.26%、12.54%)、No.7はオークワ、1584円(4.41%、3.52%、5.45%、12.26%)、No.8は大黒天物産、736円 (-0.80%、0.40%、-1.60%、11.17%)、No.9はアークス、1,518円(-0.32%、5.48%、5.85%、11.04%)、そして、No.10は丸久、989円 (-1.59%、 6.34%、13.94%、10.62%)である。以上がベスト10の食品スーパーマーケットである。

   これに対し、26週移動平均乖離率が低い食品スーパーマーケットを見てみると、Olympicであり、545円(1.30%、-1.08%、- 6.83%、-9.01%)、実際、チャートを見ると、4月中旬以降、右下がりの厳しいトレンドとなっている。ただ、この数日大量の買いが入っており、上昇しており、今後の動向に注目である。ついで、ヤマナカであり、951円(0、0、-2.56%、-7.22%)とチャートでは、ほとんど株価の動きがなく、厳しい状況である。これ以外では、バロー986円(0.20%、-1.30%、-8.10%、-7.15%)、マルヤ176円(-1.67%、1.14%、0.00%、-3.82%)、平和堂1629円(0、0、-1.20%、-3.68%)等と続く。

   以上が長期トレンド、26週移動平均乖離率でのベスト、ワーストであるが、もうひとつ、ここ最近の短期トレンド、5日移動平均乖離率でベスト10になった食品スーパーマーケットを見てみたい。No.1はオークワ1,584円(4.41%)、No.2は北雄ラッキー476円 (4.15%)、No.3はサンエー3,740円(3.48%)、No.4はハローズ657円(3.13%)、No.5はマックスバリュ西日本1,440円(2.85%)、No.6はマルエツ960円(2.56%)、No.7はヤオコー3,800円(1.60%)、No.8はマックスバリュ東海1,583円(1.60%)、No.9はオオゼキ3,150円(1.54%)、そして、No.10はCFS700円(1.44%)である。

   このように、ここへ来て食品スーパーマーケットの株価が大きく動きはじめており、特に、この第1四半期決算が好調な食品スーパーマーケットは特に株価が上昇に転じている。特に、長期トレンドである26週移動平均乖離率でも短期トレンドの5日移動平均乖離率でもベストグループに入ったヤオコーとマルエツは投資家が熱い視線を送っている株価といえ、今後の動向に注目といえよう。また、今後、公開される第1四半期決算の動向次第ではさらに業績のよい食品スーパーマーケットの株価が大きく動くことが予想され、今後、食品スーパーマーケットの株価から目が離せない状況が続きそうである。

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July 12, 2008

日経MJ、新製品ランキング、7/11、飲料好調!

   日経MJ、新製品ランキングが7/11、公表された。今週も飲料の新製品が好調に推移している。先週まで、値上げ関連商品であった明治乳業のおいしい牛乳が新製品規定の初登場後13週を経過したため、ランキングからはずれたために、今週のNo.1は日本コミュニティ、毎日骨太3つのチカラ1000mlであり、金額PI値571円(1人当たり0.571円)であった。この新製品も値上げ関連商品であるので、実質No.1は、今週No.2の日本コカ・コーラ、ファンタふるふるシェイカーグレープ190mlであり、金額PI値545円といえよう。先週比が88円マイナスになっていることが気になるが、それでも、金額PI値Aクラスの500円を超えており、消費者からの高い支持が継続している。カバー率も86.8%と対象45チェーン、250店舗をほぼ網羅しており、今後、有望な新製品といえよう。

   No.3にも日本コカ・コーラ、ファンタふるふるシェイカーオレンジ190mlが金額PI値345円で入っており、このシリーズは確実にヒット商品の地位を確立しつつあるといえよう。特に、このオレンジは4/19初登場の新製品であり、3ケ月目に入っても345円、先週比-20円は消費者からの高い支持があるといえ、しかもカバー率も88.8%である。今後、このふるふるシリーズの動向からは目が離せない状況が続きそうである。

   日本コカ・コーラはこの2品以外にも、No.4にファンタグレープ手にピタ!ボトル1.5L、金額PI値322円が入り、No.7にアクエリアスゼロ500mlペットボトル、金額PI値175円、No.8にファンタオレンジ手にピタ!ボトル1.5L、金額PI値158円、そして、No.14にも紅茶花伝ロイヤルミルクティー470ml、金額PI値125円と合計7品がランクインするなど、ここへ来て、新製品ラッシュである。また、飲料部門では、今週初登場の新製品として、No.12にアサヒ飲料、ぶどうを搾った三ツ矢サイダー500mlペットボトル、金額PI値126円、No.16にも三ツ矢サイダー1.5L、金額PI値118円が登場するなど、今週は飲料が熱い戦いを繰り広げている。

   飲料についで、今週注目は、その他食品である。No.3までは、先週とほぼ同様の動きとなり、No.1は日本ミルクコミュニティ、牧場の朝ヨーグルト牛乳仕立て80g×3、金額PI値515円、No.2、No.3は敷島製パン、超熟ロール6個入り、金額PI値354円、スナックチョコ8本入り、金額PI値268円であるが、No.4以下が動きが急である。そのNo.4には、先週9位から日本水産、おさかなのソーセージ75g×4本が金額PI値256円で入った。No.5にも先週6位からワンランクあがり、伊藤園、香り薫るむぎ茶ティーバック54袋入、金額PI値234円、No.6に先週15位から急浮上の森永乳業、北海道バター200gが金額PI値229円で入った。さらに、No.7に今週初登場の花王、エコナクッキングオイル小サイズ付600g+250gが金額PI値210円で入るなど、4位以下はアクティブな動きとなっている。

   これ以外の部門では、ほぼ先週同様の状況であり、大きな変化はないが、冷凍食品ではあいかわらず、アイスクリームが上位を占めている。冷凍食品ではNo.8の日清食品、スパ王ジューシーなナポリタン280gが金額PI値85円で入り、これ以外ではすべてスパ王シリーズが3品入るのみであり、冷凍食品の新製品は苦戦が続いている。No.1は森永乳業、エスキモーピノマンゴー10ml×6粒、金額PI値156円であり、No.2はロッテアイス、クーリッシュ<バニラ>140ml、金額PI値141円、No.3はハーゲンダッツジャパン、ドルチェミルフィーユ106ml、金額PI値136円が入り、これ以外も上位はほぼ先週同様の動きである。唯一、No.9に初登場のロッテアイスぎゅぎゅっとパイン&ピーチ110mlが金額PI値78円で入ったのが新しい動きといえよう。

   菓子もほぼ先週同様の動きであり、しかも、金額PI値で200円のCランクを超える新製品はNo.1となったカルビー、夏ポテトこだわりの浜御塩80g、金額PI値212円のみであり、これ以外の19品はすべて、200円以下となった。ただ、意外なのはチョコレート関連が強いことである。No.2に明治製菓、きのこたけのこ袋12袋、金額PI値185円、No.4にパイの実パーティパック205g、金額PI値159円、No.5に明治製菓、アーモンドチョコ袋201g、金額PI値135円、No.6にネスレコンフェクショナリー、キットカットミニ星に願いをダブルベリー14枚、金額PI値133円、No.7に明治製菓、たけのこの里、金額PI値97円と上位にチョコレート関連が登場しており、注目といえよう。最後に、家庭用品であるが、この部門も大きな変動はなく、No.1は花王、アタック1kg、金額PI値601円であり、No.2はカネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョン(医薬部外品)45ml、金額PI値560円でこの2品がAランクの新製品であった。

   このように今週の日経MJ、新製品週間ランキングは、飲料に注目といえ、ここへ来て、値上げ関連商品ではない、新製品が続々と登場しており、しかも、金額PI値も高い新製品が多く、今後、注目といえよう。また、意外だったのは菓子部門のチョコレート関連の新製品が根強い支持があることであり、夏のチョコレートも金額PI値アップのポイントといえ、あえて、強化したい商品群であるといえ、この一連の新製品にも注目である。来週以降も飲料、菓子等、新製品の動きをしっかり追ってゆきたい。

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July 11, 2008

神戸物産、Aプライスの動向、外食は?

   食品スーパーマーケットの2009年度第1四半期の決算が次々に公表されつつあるが、ここで、外食に強い、業務スーパーのここ最近の状況を見てみたい。これまで公表された食品スーパーマーケットの決算状況を見ると、概ね好調な決算が多く、特に、消費者の内食回帰と節約志向が鮮明に表れた数字となっているのが特徴である。これに対し、業務スーパーはどのような状況にあるのかを、神戸物産とトーホーAプライスを中心に、直近の決算数字をもとに見てみたい。

   まず、神戸物産であるが、6/13に、2008年10月期の中間決算を公表している。この中間決算期間は11/1から4/30までの6ケ月間であり、ちょうど、本格的な値上げがはじまった時期と一致しており、その影響が強く反映される決算であるといえる。ただ、神戸物産は中国からの輸入商品の割合が大きく、1月末に起こった中国冷凍餃子事件の影響をもろに受けており、値上げ問題だけでなく、ダブルでの業績への影響があるので、値上げ問題のみの影響としてみることは難しいといえる。したがって、今回の数字は中国冷凍餃子事件の影響を考慮して、この中間決算を見る必要があるといえよう。

   その中間決算の概要であるが、売上高477.47億円(99.2%)、営業利益3.20億円(47.8%:売上対比0.67%)、経常利益1.18億円(12.9%:売上対比0.24%)、当期純利益0.92億円(11.7%:売上対比0.19%)と減収減益、特に、利益面が大幅な減益となる厳しい決算であった。この時期の月次の売上の推移を見ると、11月99.6 %(既存店92.2%)、12月101.3%(94.00%)、1月101.6%(94.1%)、2月95.0%(87.2%)、3月92.3%(86.0%)、4月100.7%(95.0%)という推移であり、特に既存店の数字が厳しい状況で推移しているのがわかる。

   神戸物産の通期の予想も、売上高1,042.50億円(109.5%)、営業利益6.50億円(42.4%売上対比0.62%)、経常利益5.00億円(31.3%:売上対比0.47%)、当期純利益3.00億円(30.9%:売上対比0.28%)と増収ではあるが、大幅な減益となる決算予想であり、今期、業績の回復は難しい状況といえよう。

   これに対し、トーホーAプライスの動向であるが、トーホーは事業部が大きく3つに分かれており、ディストリビュータ事業部、A-プライス事業部、食品スーパー事業部である。この内、ディストリービュータ事業部は外食への卸売業務であり、A-プライス事業部が中小の外食の会員性業務スーパーである。まず、今期はじめての、2009年1月期の第1四半期決算、2/1から4/30を見てみると、全体では売上高421.83億円(105.1%)、営業利益7.92億円(116.4%:1.87%)、経常利益6.59億円(86.8%:売上対比1.56%)、当期純利益3.28億円(84.7%:0.77%)と経常利益、当期純利益が下がったが、営業段階では増収増益となる好調な決算であった。

   そこで、Aプライスのみに絞り、その売上を見てみると81.61億円(97.9%)と昨対を割っており、全体が105.1%となったのは、ディストリビュータ事業部の108.2%、食品スーパー事業部の102.9%の貢献が大きく、Aプライスは厳しい売上の推移であった。ディストリービュータ事業部は特に、前期に取得した子会社の売上貢献が大きかったという。そこで、さらにAプライスのここ最近の売上の推移を見てみると、11月98.4%(既存店97.8%)、12月100.7%(100.6%)、1月95.8%(95.4%)、2月97.2%(98.3%)、3月97.2%(98.5%)、4月99.3%(101.4%)、そして、直近の5月は97.8%(99.9%)という状況であり、ここ最近は売上が伸び悩んでいるといえよう。ちなみに、同時期の食品スーパーの売上の推移を見てみると、11月99.1%(100.44%)、12月101.3%(99.8%)、1月101.2%(100.1%)、2月106.5%(106.3%)、3月99.4%(99.2%)、4月103.0%(102.8%)、そして、5月101.2%(99.1%)という推移であり、堅調な売上を維持しており、対照的な売上の推移である。

   これを踏まえて、ここ最近の神戸物産とトーホーの株価の推移を見てみると、神戸物産は昨年12月は1,700円前後の株価であったが、中国冷凍餃子事件があった1月末には1,200円前後まで株価が急落し、3月に入り、一時900円前後まで株価が下がった。その後、4月に入り、1,100円前後まで戻したが、ここ最近は1,000円前後で株価は横ばいという状況である。一方、トーホーの株価は12月は380円前後で推移していたが、その後、株価は下がりはじめ1月末には330円前後まで下がった。その後、株価は横ばいを続けたが、2月末に急落、一時は300円を割り込んだが、3月に入り、株価は上昇に転じ、現在340円前後で推移している。株価を見る限り、神戸物産もトーホーも投資家からは厳しい評価であるといえよう。

   このように、食品スーパーマーケット業界の中でも業務筋に特化した食品スーパーマーケットである業務スーパーとAプライスの動向を売上げを中心に見てみたが、特に、今年に入り、中国冷凍餃子事件、値上げ問題とダブルでの影響が鮮明に出ているといえ、食品スーパーマーケットとは対照的な動きとなりつつあるといえよう。中国冷凍餃子事件の方は一段落しつつあるといえるが、値上げ問題はまだまだこれからといえ、外食が急激に業績が冷え込んできた現在、業務スーパーは当面、厳しい状況が続きそうである。

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July 10, 2008

カップめんと袋めんのPOS分析、値上げ後の状況!

   値上げ問題が本格化するなか、その象徴的な商品ともいうべき、小麦製品であるカップめんと袋めんの約300店舗の食品スーパーマーケットのPOSデータを独自に入手したので、これをもとに値上げ問題が、食品スーパーマーケットにどのような影響を与えているかを見てみたい。今回のデータは2008年4月度と2007年4月度のPOSデータであり、値上げ前と値上げがほぼ浸透し、一段落した時期との比較ができるので、どのように消費状況に変化が表れ、今後、どのような消費状況になってゆくかをうらなう上で、貴重なPOSデータであるといえる。

   まず、全体の概要であるが、カップめんは売上金額で93.2%、売上数量で79.2%、平均単価が117.7%という状況であり、117.7%と大幅な値上げとなっていることがわかる。この値上げと反比例する形で、数量が激減しており、79.2%と約20%ダウンとなっている。まさに、需要供給の法則そのままであり、価格と数量とがきれいに反比例している構造である。実は、今回、様々な商品で値上げ前と値上げ後の数値を比較しているが、ほぼ、このカップめんと同じ状況であり、価格と数量がきれいに反比例する傾向がみられる。ちなみに、家計調査データの2008年4月度を見ると、カップめんは96.7%であり、その内訳は7.87円(96.7%)、消費世帯のみの消費額18.94円(104.6%)、消費世帯の割合41.5%(92.5%)と、ほぼ、このPOSデータと一致しており、食品スーパーマーケットのカップめんの現状を反映しているといえよう。家計調査データでは、特に、消費世帯の割合が92.5%へ落ちているので、あきらかに、値上げにより、買い控えが起こっているといえ、カップめんでは値上げが明らかに、マイナス、特に大幅な数量減になっているといえよう。

   次に、袋めんであるが、売上金額で113.2%、売上数量で91.8%、平均単価で123.3%という結果であり、カップめん同様、需要供給の法則が成り立ち、平均単価が上昇し、売上数量が減少しているが、カップめんほど売上数量が落ち込まず、売上金額は113.2%とプラスに転じている。消費傾向は同じでも、カップめんとは対照的な結果となった。これも家計調査データの2008年4月度で確認してみると、4.40円(115.8% )、消費世帯のみの消費額14.43円(113.3%)、消費世帯の割合30.5%(102.2%)と、すべての数字がプラスとなっており、特に、消費世帯の割合が102.2%と増加しているのが、カップめんと対照的な動きである。同じ、インスタントラーメンを食べるなら、お買い得感のある袋めんの方に消費者がシフトしているととれる傾向がみてとれるといえよう。

   では、具体的に、それぞれの重点商品でその動きを見てみたい。カップめんのNo.1、No.2は昨年も今年も日清カップヌードル75g、日清カップヌードルシーフードヌードル74gであるが、これがどちらも大幅にダウンしており、販売金額で65.3%、65.3%、販売数量で49.0%、49.4%、平均単価で134.4%、131.5%と昨年の半分以下の売上数量となっており、販売金額では平均単価が130%以上上昇したので、65%までもどしているが、それでも実に厳しい数字である。ただ、ここまで厳しい数字でも、この2品は依然として、今年もNo.1、No.2であり、すごい商品力、ブランド力のある商品といえよう。

   No.3はマルちゃん赤いきつねうどん96gであるが、販売金額では101.8%、販売数量で82.3%、平均単価で123.8%という状況であり、販売数量は大きく落ち込んだが、平均単価の上昇とほぼ同じ比率でとどまったため、販売金額ではぎりぎりプラスとなった。カップめんベスト10では、販売金額がプラスになったのはこの1品のみである。ベスト3以下では、No.4に新商品の日清スープヌードルカップ59gが入っており、カップめんは日清食品をはじめ、新商品がここへきて、数多く登場しており、既存商品の落ち込みを、新商品の投入でカバーしようとする戦略が強く打ち出されているといえよう。

   これに対して、袋めんであるが、No.1は昨年同様、サッポロ一番みそラーメン5個パック500gであり、販売金額で136.0%、販売数量で100.1%、平均単価で135.8%という状況である。平均単価が135.8%と大幅に上昇しているが、販売数量は100%を超えており、結果、販売金額が大きく上昇しているのが特徴である。No.2も昨年同様、サッポロ一番塩ラーメン5個パック500gであるが、販売金額は137.7%、販売数量は103.2%、平均単価は133.5%であり、No.1のみそとほぼ同じ傾向である。No.3は昨年同様、日清チキンラーメン5食85g×5であり、販売金額は90.0%、販売数量は61.6%、平均単価は146.1%と、販売数量の落ち込みが大きく、販売金額をカバーできない状況であり、厳しい数値である。ただ、ベスト10を見ると、販売金額が昨年を下回ったのは、この商品を含めてわずか3品であり、大半の重点商品は昨年の数字を上回っている。

   このように、同じ即席めんであるが、カップめんと袋めんでは明暗がわかれたといえ、消費者の選択が明らかに、袋めんを選んだといえる2008年4月度の結果であったといえよう。家計調査データの最新5月度見ると、カップめん8.00円(113.2%)、即席めん4.03円(120.2%)とカップめんが回復した数字となっているので、4月度が特にカップめんが落ち込んだ月であったともいえるが、カップめんの消費世帯の割合を見ると96.9%となっていることから、依然として厳しい消費環境が続いているといえよう。今後、カップめんと袋めんの動向は、食品スーパーマーケットにとって重要なカテゴリーであるだけに、新たなデータが入り次第、その状況を取り上げてゆきたい。

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July 09, 2008

ハローズ、2009年2月期第1四半期、大幅増収増益!

   広島のハローズが6/27、2009年2月期の決算を公表した。売上高149.99億円(109.8%)、営業利益5.33億円(142.8%:売上対比3.55%)、経常利益5.29億円(143.5%:売上対比3.52%)、当期純利益2.99億円(149.3%:売上対比1.99%)と大幅な増収増益となる好決算となった。この第1四半期は3月、4月、5月の決算数字であるので、まさに値上げ問題の影響が反映される決算であり、注目された決算であるが、ハローズのこの数字は大幅な増収増益であり、値上げ問題がプラスに左右していることが鮮明となったといえよう。また、通期見通しは、売上高630.00億円(110.2%)、営業利益21.10億円(103.2%:売上対比3.34%)、経常利益20.70億円(102.3%:売上対比3.28%)、当期純利益11.60億円(102.0%:売上対比1.84%)と堅調な増収増益予想である。

   まず、この好調な決算となった要因を粗利、経費の関係で見てみると、今期の売上原価が昨年の77.2%から76.8%へと0.4ポイント下がっており、この値上げラッシュの中で原価を引き下げているのが大きな特徴である。結果、売上総利益が昨年の22.8%から23.2%へと0.4ポイント上昇しており、この原価改善がまず好決算をもたらした大きな要因であるといえよう。特に、今期、ハローズは、今年1/1に続低価格そのまんま宣言を出し、重点商品100品の価格を据え置き、4/1には低価格そのまんま宣言を6月まで延長し、さらに、7/1、低価格そのまんま宣言を8月まで延長と、再三にわたって、低価格路線を打ち出しており、厳しいメーカーとの価格交渉に臨んだものと推測される。さらに、ここ数年、ハローズが最も力を入れてきた政策のひとつ、PB戦略がここへきて加速し、昨年はPB構成比が6.1%であった数字が6.8%へと111.4%伸び、PBの強化が粗利改善につながったといえよう。

   また、今期のハローズの商品構成比を見ると、生鮮食品の中で精肉の構成比が昨年の11.1%から11.6%へと上昇しており、結果、生鮮全体の構成比も40.3%から40.6%へと上がった。さらに、日配の構成比も昨年の21.9%から22.2%へと上昇しており、どちらも粗利率が高い部門であることから、相乗積(粗利構成比)が上昇していると推測され、これも粗利率を引き上げた要因といえよう。いま、食品スーパーマーケットではこの値上げ問題の影響で消費の内食回帰が起こっており、このハローズのように、生鮮の精肉、日配の数字が改善されつつあり、これらが粗利率の改善につながっているといえる。今後、値上げが浸透すれば、さらに、この傾向は高まる可能性が高いといえよう。

   ハローズの売上総利益の好調さに加え、営業収入も2.3%から2.6%へと増加しており、結果、営業総利益は昨年の25.1%から25.8%へと0.7ポイント上昇した。これに加え、今期は販売費及び一般管理費が昨年の22.4%から22.2%へと0.2ポイント改善されており、結果、営業利益が2.7%から3.6%へと0.9ポイントと大幅に営業利益が上昇したことが、ハローズの好決算をもたらした要因といえる。原価を改善し、粗利率を引上げ、不動産収入等の営業収入を増加させ、さらに、経費まで削減し、ダブルでの改善が今回の好決算をもたらした要因といえよう。

   ただ、少し気になるのは自己資本比率が34.8%と昨年の40.3%から大きく低下したことである。その要因を見ると、決済日が昨年と異なり、未決済金が31.11億円発生したためであることがわかる。そのため、昨年と比べ、買掛金が30.98億円から63.87億円と約30億円増加しており、これとバランスを取る形で、現金及び預金が13.82億円から44.46億円と約30億円増加している。これにより、負債が増加し、自己資本比率が下がったことによるといえよう。したがって、この約30億円を引いて単純計算した場合は、ほぼ昨年並みの約40%となるので、実際には自己資本比率は下がっているとはいえず、ほぼ昨年に近い数字である。今後、この好調な決算をもとに、いかに自己資本比率を高めてゆくかが課題といえよう。

   これを受けて、ハローズの株価であるが、昨年の本決算が公表された4月中旬以降は好調な株価が続いていた。600円前後の株価が5月下旬になると750円強まで、ほぼ右上がりの上昇であった。ところが、6月に入り、株価は一転、下がりはじめ、この第1四半期の決算が公表された6月下旬までほぼ右下がりの株価となり、ほぼ650円近辺まで下がった。この決算が公表された6/27以降も、この好決算を受けても株価は安定せず、現在、650円を割り込み、7/7現在635円と厳しい株価となっている。投資家は今回のハローズの好決算を買いとは判断しなかったようである。

   このようにハローズの第1四半期の決算は大幅な増収増益の好決算となった。しかも、その中身は、原価が改善し、粗利が上昇する一方で、経費も削減されるというダブルで営業利益を押し上げ、これに、売上の伸びも加わり、昨年と比べ大きく数字が好転した決算となった。ただ、この好決算が、意外に株価に反映されず、逆に、株価は下がり気味で推移しており、この好決算が公表された6/27以降も株価は低迷している状況が続いている。今回の決算数字を見る限り、次の中間決算も期待がもてる決算となると思われるが、ハローズの株価が今後、どのように推移するか気になるところである。

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July 08, 2008

トライアルカンパニーの2008年3月期の決算を見る!

トライアルカンパニーの現状を見る!(20080319)

   トライアルカンパニーが前年にひき続き、2008年3月期の決算を公表した。以前、本ブログでもトライアルカンパニーの決算については触れたが、この時の決算結果を踏まえて、今回のトライアルカンパニーの決算数字がどのように変化したかについてみてみたい。まず、売上高であるが、1,504.00億円(115.6%)と高成長を続けている。ここ最近の店舗数の推移は2002年9月期15店舗、2003年9月期25店舗、2004年9月期31店舗、2005年3月期38店舗、2006年3月期51店舗、そして、昨年2007年3月期59店舗であり、現在82店舗であるので、今期は特に店舗数が大きく増加し、急成長であったといえる。

   実際、ここ最近の新規出店に関しても、宮城県に名取店(06/18)、千葉県に八千代店(05/14)、佐賀県にみやき店(04/09)、東京都に八王子店(03/19)、福岡県筑後地区に甘木店(03/19)、福岡県福岡地区に舞鶴二丁目店(02/20)、長崎県に大村店(02/20)、福岡県福岡地区に片縄東店(02/06) と出店ラッシュともいえ、さらに新店開発が進んでおり、驚異的な成長であるといえよう。年商も今期1,500億円を超えたが、これは食品スーパーマーケット上場企業約50社と比較すると、今期の決算では12番目に当り、売上規模もトップクラス入りといえる。

   一方、粗利率、経費比率、営業利益については、商品売買から得られる売上総利益が16.19%(昨年15.53%)と昨年と比べ0.66ポイントと大幅に改善しており、これに不動産収入等が加わった営業総利益は16.87%(昨年16.14% )と同様に0.73ポイントと大きく改善している。したがって、原価が下がっており、値上げ問題が反映した決算ではあったが、原価が上昇することなく、むしろ、下がり、これが粗利の改善に大きくつながったといえよう。ついで、販売費及び一般管理費であるが、15.15%(昨年14.86%)とやや上昇しているが、15.15%は極めて低い数字であり、今期の上場食品スーパーマーケットと比較すると、No.1がアオキスーパーの16.2%であるので、驚異的な数字といえよう。オーケーも今期15.2%であるので、食品スーパーマーケット業界では最も低い経費比率であるといえる。したがって、差し引き、営業利益率は1.72%(昨年1.28%)となり、0.44ポイント改善し、金額比では155.6%と大幅な増収増益の好決算となった。また、経常利益1.70%(昨年1.29%)と0.41ポイント改善し、金額比では152.1%、当期純利益も0.84%(昨年0.64%)と0.2ポイント改善し、金額比では151.3%と大幅な改善であり、営業段階だけでなく、すべての段階で大幅な増益となる好決算であった。

   この好決算を受けて、財務面の状況であるが、自己資本比率は5.93%(昨年4.16%)と1.77ポイント改善しているが、これは食品スーパーマーケット上場企業と比較すると極めて低い数字であり、最下位となる。当然、負債が約94%となるが、その中でも社債を含む長短借入金の合計が189.30億円(昨年91.86億円)と97.44億円と大幅に増えており、総資産に占める割合は41.58%である。ちなみに、急成長の結果、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金及び保証金の合計は、189.55億円(昨年117.03億円)と72.52億円増加しており、総資産に占める割合は41.63%である。これを全82店舗で割ると2.31億円である。

   2.31億円は通常の食品スーパーマーケットと比べると、極めてローコストの出店にかかわる資産であるが、それでも72.52億円の増加は経営には大きな圧迫となっているといえよう。現状の自己資本比率がわずか5.93%であるので、当然、負債が全面的に新規出店を支える構造となっており、ちょうど、長短借入金を自己資本に加えると、総資産の47.51%となり、出店にかかわる資産41.63%と比べ、バランスがとれる状況となる。したがって、現在のトライアルカンパーの急成長を支えている新規出店構造は大きく負債、特に借入に依存した成長戦略となっており、財務的には不安定な成長戦略であるといえ、どこかで、財務改善、特に、自己資本の思い切った改善が必要な状況といえよう。

   これ以外でもトライアルカンパニーは食品以外の衣料、ホームセンター関連の商品も扱っているので、買掛金も161.44億円(昨年180.27億円)と多額であり、総資産の35.46%となる。さらに、資産面の商品も112.47億円(昨年94.33億円)とこれも多額な金額となり、総資産に占める割合は24.70%と通常の食品スーパーマーケットの4から5倍の金額となり、ホームセンターとほぼ同じ在庫である。したがって、通常の食品スーパーマーケットよりも、出店にかかる資産がさらに大きくなり、その面からも財務の改善は急務といえよう。

   このように、トライアルカンパニーはここ数年、特に、今期は急成長を遂げ、年商1,500億円を達成し、利益面でも大幅な増益となったが、残念ながら、現段階では自己資本比率が5.93%と脆弱であり、負債、特に借入に依存する成長戦略となっており、これが今後とも安定的に成長戦略が継続できるかどうかは厳しい状況であるといえよう。今後、増収増益の好決算をどう財務改善につなげられるかが、当面の最優先の経営課題といえよう。トライアルカンパニーが今後、財務基盤をどのように見直してゆくかに注目したい。

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July 07, 2008

マルエツ、2009年第1四半期決算、大幅な増収増益!

   マルエツが7/3、2009年第1四半期の決算を公表した。マルエツの復活をかけた年を迎えての決算であり、また、ここ最近の値上げ問題がどのように決算に影響を与えるかが注目された決算であった。その結果であるが、営業収益841.39億円(108.4%)、営業利益20.38億円(144.4%:営業収益比2.42%)、経常利益20.07億円(143.7%:営業収益比2.38%)、当期純利益22.55億円(170.0%:営業収益比2.68%)と大幅な増収増益となる好決算であった。通期予想についても、悲願の目標、営業利益80億円を目指す内容となっており、営業収益3,390.00億円(101.0%)、営業利益80.00億円(105.7%:営業収益比2.35%)、経常利益75.00億円(108.2%:営業収益比2.21%)、当期純利益62.00億円(131.6%:営業収益比1.82%)と増収増益の堅調な決算を予想している。

   しかも、今期の自己資本比率は42.1%(昨年39.6%)と上昇しており、財務内容も改善がみられる。特に、負債面に関しては、「買掛金の増加があったが、有利子負債が前連結会計年度末に比べ41.21億円減少し、319.80億円となったこと等により、前連結時に比べ26.36億円減少し、749.18億円となり・・」、と着実に改善しているといえよう。今後、好調な決算が続けば、財務内容はさらに改善することが期待でき、安定的な出店を毎年行い、堅調な成長を維持できる強い財務基盤確立につながるといえよう。

   その新規出店状況であるが、今期はマルエツ勝どき六丁目店(東京都)、ポロロッカ護国寺駅前店(東京都)、フーデックスプレス白金台プラチナ通り店(東京都)の3店舗を新設した。一方、マルエツ西葛西店(東京都)を閉め、結果、第1四半期末の店舗数は239店舗となった。その結果、マルエツの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は890.58億円(昨年855.89億円)であり、1店舗当たりに換算すると3.72億円であり、食品スーパーマーケットの中でも小型店が多いせいか、比較的小さな数字であるといえよう。ただ、総資産に占める比率を見ると、71.80%とまだまだ自己資本比率の42.1%ではまかなえない構造であり、特に負債の主要項目である長短借入金319.80億円、総資産の25.78%に依存する構造となっている。したがって、今後、好調な収益をもとに、どこまで借入金を返済し、自己資本比率を引き上げられるかが、マルエツの安定成長の鍵を握っているといえよう。

   ただ、いずれにせよ、マルエツ、自ら、「新中期2ヵ年計画(キャロフィプラン)の達成に向け、初年度である当連結会計年度は、かつて確保していた営業利益80億円の水準を目標に「真の“復活”の年」と位置付け各施策に取り組みました」、というとおり、復活に大きくつながる好決算結果であったといえよう。

   一方、気になる粗利、経費のバランスであるが、今期の売上に対する原価率は72.4%(昨年72.%)とほぼ横ばいであり、多くの商品で本格的な値上げが起こったにもかかわらず、全体としては、原価の上昇はみられず、結果、売上総利益は27.5%(昨年27.4%)と横ばいとなった。これに営業収入を加えた営業総利益は29.42%(昨年29.46%)とほぼ横ばいである。また、販売費及び一般管理費は26.8%(昨年27.5%)と0.7ポイントと大きく削減されており、これが、今決算で大きく改善された項目であるといえよう。したがって、結果、営業利益は2.54%(昨年1.91%)と大きく改善したことが大きかったといえよう。こう見ると、この第1四半期の高収益は特に、経費を大きく改善したことが原因といえる。

   これを受けて、マルエツのここ最近の株価であるが、極めて好調な株価が続いている。マルエツの株価は昨年9月頃の500円前後から上昇に転じ、つい最近の4月頃まで一貫して上がり続け、900円を超えるまでになった。ほぼ、2倍の株価である。そして、その後、4月下旬になると株価が落ち込み、一時は700円まで下がった。しかし、6月に入ると株価は再び上昇に転じ、現在900円を超え、さらに上昇する気配が見られる。今後、この極めて好調な決算を受けて、株価がどのように動くかに注目といえよう。

   また、今後のマルエツをうらなう、2008年5月度の直近の売上速報を見ると、107.8%であり、好調である。既存店も103.0%と好調であり、マルエツの好決算の要因は、この既存店の安定にもあるといえよう。ただ、少し、気になるのは、既存店の客数が100.7%、客単価が102.3%と客数が少し伸び悩んでいることである。

   このように、いま注目の食品スーパーマーケット、マルエツの今期はじめての第1四半期決算が公表されたが、大幅な増収増益となり、特に利益が大きく改善しており、いよいよマルエツ復活といってよいくらいの好決算であったといえよう。しかも、自己資本比率も昨年に比べ、上昇に転じており、特に、長短借入金が削減されての自己資本の上昇であり、今後の安定的な成長路線を築くための財務基盤ができつつあるといえる。今後、この好調な決算が続けば、数年後には、売上、利益に加え、財務面でも健全な体制が整うといえ、今後のマルエツの動向には注目である。

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July 06, 2008

食品スーパーマーケット株価情報、7/4、動き急!

   食品スーパーマーケット業界の2009年度、第1四半期の決算の公表が始まったが、今回の決算は、値上げ問題の影響がどの程度業績に影響を与えるかが問われる決算となっており、その意味で、株価にもダイレクトに反映される重要な決算といえよう。そこで、この時点で現在の食品スーパーマーケットの株価がどのような状況であるかを見てみたい。まず、株価の短期、中期、長期的な傾向を示す5日、25日、13週、26週移動平均乖離率をもとに見てみたい。

   特に、25週に注目してみると、10%以上、上昇傾向にある食品スーパーマーケットが7社ある。CFS704円(-1.54%、11.64%、18.04%、25.89%)、ヤオコー3,550円(5.78%、11.91%、15.22%、18.96%)、イオン北海道345円(-0.57%、-1.14%、1.47%、16.55%)、  大黒天物産762円(0.39%、5.10%、2.83%、15.45%)、丸久1,009円(0%、0%、17.87%、12.86%)、カスミ659円(-1.49%、-2.51%、3.94%、12.45%)、マルエツ925円(1.20%、8.69%、10.64%、11.58%)である。この内、ヤオコー、大黒天物産、マルエツの3社はすべてのトレンドがプラスとなっており、いま最も投資家から注目度が高い3社といえよう。

   実際、ヤオコーのチャートを見ると、4月以降きれいに右上がりのトレンドとなっており、2,700円前後の株価が7/4現在3,550円(+270円、+8.23%)となり、約1,000円近い株価の上昇であり、加熱ぎみである。特に、7/4はここ数ケ月では異常な売買高となり、6万株の大商いとなった。ヤオコーへの投資家の注目がここ最近顕著であるといえよう。ヤオコーの発行済株式数は約2,000万株であるので、6万株は0.3%となり、大量買い付けとはいえないが、大商いであるといえ、今後の株価の動向に注目といえよう。

   大黒天物産については、短期トレンドは少し低い数字であるが、長期トレンドでは15.45%と大きく上昇しており、実際のチャートでも、4月から5月中旬までは500円前後の株価が右上がりに急角度で上昇し、一時は850円を超えた。ただ、その後は株価が失速し、6月前半には650円前後まで下がった。そして、株価は再び持ち直し、7/4現在762円 +5円、+0.66%)である。そして、マルエツであるが、この数ケ月、激しい株価の動きを示している。4月頃は940円前後の株価であったが、その後、株価が下がりはじめ、5月中旬頃には一時700円近くまで株価が下がった。しかし、その後、反転、一転して株価は上昇に転じ、右上がりの上昇トレンドに乗り、7/4現在、925円(+5円、+0.54%)となり、7/3に公表された第1四半期決算も絶好調であり、今後の株価が注目といえよう。

   これに対し、株価が長期トレンドでマイナスになった食品スーパーマーケットを見てみたい。特に26週移動平均が5%以上マイナスになった食品スーパーマーケットは5社である。Olympic530円(-2.03%、-5.01%、-10.62%、-11.81%)、バロー981円(-0.20%、-3.91%、-8.65%、-8.57%)、ヤマナカ950円(0%、-1.45%、-2.96%、-7.94%)、マックスバリュ東北725円(-2.29%、-1.89%、0.13%、-5.35%)、マルヨシセンター320円(0%、0%、-4.58%、-5.16%)であるが、この中で、10%以上26週移動平均がマイナスとなったOlympicのチャートを見てみると、4月までは株価は乱高下し、680円前後まで株価が上昇していたが、5月に入ると、右下がりに株価は急降下し、7/4現在530円(-5円、-0.93%)という厳しい状況である。バローも5月中旬までは株価は乱高下しながらも上昇しており、一時は1,200円を超える株価となったが、その後、一転、5月中旬になると株価が下がり始め、7/4現在、981円 (+2円、+0.20%)と厳しい株価が続いている。

   また、ここ最近の株価が長期ではなく、短期、すなわち5日移動平均乖離率が上昇している食品スーパーマーケットを見てみると、ヤオコー3,550円(5.78%、 11.91%、15.22%、18.96%)、ベルク1,089円(5.31%、4.01%、8.57%、0%)、タイヨー 1,190円(5.12%、6.82%、8.28%、6.25%)、エコス720円(3.29%、3.29%、2.41%、1.83%)、ライフコーポレーション1,594円(3.17%、4.86%、3.91%、4.25%)の5社が3%以上上昇した。

   さらに、1%まで水準を下げてみると、イズミ1,690円(2.36%、-0.17%、-0.87%、5.29%)、関西スーパー789円(2.33%、4.08%、3.81%、4.50%)、ヤマザワ1,487円(2.26%、3.91%、1.36%、2.05%)、アークス1,448円(2.11%、1.61%、2.40%、6.47%)、マルヤ180円(1.69%、2.85%、2.85%、-2.70%)、オオゼキ 3,050円(1.32%、2.17%、5.60%、6.30%)、マルエツ925円(1.20%、8.69%、10.64%、11.58%)、相鉄ローゼン448円(1.12%、0.90%、0.22%、1.12%)、ドミー 550円(1.10%、4.36%、7.00%、-0.72%)、東武ストア371円(1.08%、1.64%、1.64%、1.92%)の10社である。

   このように、ここへ来て、本決算が終了し、新年度の第1四半期決算の公表がはじまりつつある現在、食品スーパーマーケットの株価がアクティブに動き始めたといえる。特に、値上げ問題真っただ中の消費環境の中での食品スーパーマーケットの業績が問われる決算となっており、すでに好調な決算が公開されたマルエツ等の動きが良いのが特徴である。来週以降、第1四半期決算が続々と公開されてくると思うが、それに伴い株価が大きく変動する可能性が高く、ここしばらくは食品スーパーマーケットの株価に注目といえよう。

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July 05, 2008

日経MJ、新製品ランキング7/4、飲料、その他に注目!

   恒例の日経MJ、新製品週間ランキングが7/4公表された。今週の注目は飲料とその他食品であり、新製品が続々と登場していると同時に、金額PI値も高水準で推移している。一般的に新製品に限らず、金額PI値は500円(1人当り0.5円)を超えれば、Aランクといえ、300円でBランク、200円でCランクと判断できる。特に金額PI値Aランクを超えることは新製品では至難の業であり、仮に、この水準を数ケ月持続する新製品が登場した時には要注意といえる。ここ最近は新製品といっても、値上げに伴うリニュール商品が多く、特に、飲料、その他では値上げ関連の新製品が目立つが、今週はその値上げ関連でない新製品が飲料、その他の部門で存在感を増しており、注目である。

   まず、飲料であるが、日本コカ・コーラがここ最近絶好調である。No.3に入ったファンタふるふるシェイカーグレープ190mlが金額PI値633円と先週比は281円ダウンであるが、Aランクの水準を維持し続けており、今後、どの辺で落ち着くかが注目である。この新製品は先行販売しているNo.6のファンタふるふるシェイカーオレンジ190mlが4/19初登場で金額PI値365円を維持し、Bランクを保っており、依然として高水準であり、このままBランク以上を保てるか、来週以降も注意深く見守ってゆきたい。これ以外でも、日本コカ・コーラは、No.10のファンタグレープ手にピタ!ボトル1.5L、金額PI値206円、No.11にアクエリアスゼロ2L、金額PI値174円と4品が上位ランクに登場しており、ここ最近ではアクティブな新製品ラッシュといえよう。

   飲料ではこれ以外でも、値上げ関連商品も含め、今週は金額PI値の高い新製品が目白押しである。金額PI値Cクラスの200円を超える新製品が全部で10品となり、しかもNo.1は明治乳業、おいしい牛乳1000ml、金額PI値1,253円と超Aランクである。明治乳業の牛乳シリーズはNo.2にもおいしい牛乳スーパーESL1,000ml、金額PI値739円、さらに、No.5においしい牛乳500ml紙パック、金額PI値451円、No.17に贅沢しぼりミルク1000ml、金額PI値145円、No.18に北海道十勝牛乳1000ml、金額PI値140円、さらには、No.20においしい牛乳200ml、金額PI値133円とランクインし、値上げ関連商品の強さを改めて認識する結果となった。


   もうひとつ、今月の注目カテゴリーは、その他食品であるが、こちらも、金額PI値200円以上の新製品が9品と飲料につぐ高い数字である。No.1は日本ミルクコミュニティ、牧場の朝のヨーグルト生乳仕立て80g×3、金額PI値451円と高い数字である。No.2は敷島製パン、超熟ロール6個入り、金額PI値388円、No.4にもスナックチョコパン8本入り、金額PI値225円が入り、ここ数週間安定した数字を維持している。No.3、No.4には今週初登場の日清食品、カップヌードル辛口レッドペッパー70g、金額PI値286円、どん兵衛辛口担担うどん104g、金額PI値245円が入った。日清食品はこれ以外にも、No.13に焼きそばU.F.O.辛口ソースカレー127g、金額PI値172円、No.19にもチキンラーメンどんぶり辛口スパイシーチリ85g、金額PI値140円と全部で4品ランキング入りしている。主力のカップヌードルの値上げの影響による落ち込みを新製品でカバーしようという戦略であろうが、この数ケ月間、積極的な新製品ラッシュといえよう。

   また、菓子部門も今回はベスト4がすべてカルビーとなる異常事態となり、これ以外にもカルビーは、2品ランキングに入り、全部で6品とここへ来て、積極的に新製品を投入している。No.1は夏ポテトこだわりの浜御塩80g、金額PI値237円、No.2は夏ポテト紀州の南高梅、金額PI値210円、No.3がエビリッチ50g、金額PI値202円、そして、No.4がかっぱえびせん味紀行塩にんにく60g、金額PI値181円となった。

   これ以外の部門では、冷凍食品部門が今週はアイス以外に冷凍食品が3品入ったが、いずれも日清食品のスパ王であり、依然として、冷凍食品の新製品が極端に低い状況が続いているといえよう。ただ、No.1は初登場の森永乳業、エスキモーピノマンゴー10ml×6粒、金額PI値132円であり、まだカバー率が47.4%と低いが、今後の動向に注目である。家庭用品部門では、No.1に花王のアタック1kgが先週2位から急激に数字を引きあげている。先週比の金額PI値が222円と価格訴求なしで大幅に増加し、金額PI値は491円となっており、今後の動向に注目である。その他の順位は先週とほとんど変動がないが、No.9にユニー・チャーム、マミーポコパンツサニーミッキーL32枚が先週114位から急浮上している。平均単価を見ると、860円から,今週は826円と価格が下がっており、何か特別な販促がかかったといえよう。

   このように今週の日経MJ、新製品週間ランキングは飲料が値上げ商品、新製品入り乱れての、全体的に金額PI値の高い新製品が集結しており、これから夏本番となる中、注目の部門であるといえよう。また、その他食品部門も同様な構図であり、飲料同様、今後の動向が気にあるところである。来週以降もこの2分野については、特に、値上げ関連ではない新製品の動向に注目したい。

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July 04, 2008

2008年度決算、業界各誌、食品スーパーマーケットは?

   食品スーパーマーケット関連の業界誌、7月号があいついで、決算特集となった。Chain Store Age7/01号では、「特集377社の上場小売業、決算ランキング2008」、販売革新7月号では、「総力特集、格差拡大!決算解析08、主要8分野+専門店+通販、上場279社の全容」、そして、食品商業7月号では、「食品スーパー52社の浮沈が丸わかり、ビジュアルガイド、‘07年度決算大解剖」というタイトルでの決算特集である。すにで、本ブログでも、食品スーパーマーケットについてはほぼ全部の速報を取り上げたが、改めて、この業界主要3誌の決算特集をもとに、特に、食品スーパーマーケットに絞って、今期決算の特徴をみてみたい。

   今期決算の最大の特徴は、食品スーパーマーケット業界は小売業界全体の中でも増収増益企業が多く、GMSとは対照的な好調な決算であったことである。営業収益で連結で105%以上伸びた食品スーパーマーケットは、バロー3,180.26億円(110.4%)、ハローズ585.64億円(109.8%)、丸和397.23億円(109.0%)、マックスバリュ東海1,161.61億円(108.8%)、ベルク942.37億円(108.4%)、ヤオコー2,022.52億円(107.4%)、カスミ2,028.29億円(107.3%)、マツヤ339.32億円(107.3%)、原信ナルスホールディングス1,115.37億円(106.9%)、マックスバリュ西日本1,959.37億円(106.8%)、丸久676.69億円(106.4%)、ユニバース941.71億円(105.8%)、ヨークベニマル3,301.44億円(105.2%)、アークス2,414.55億円(105.1%)、ライフコーポレーション4,396.06億円(105.0%)、サンエー1,276.23億円(105.0%)と16社となり、その好調さを裏付けている。

   同様に増益となった食品スーパーマーケットを連結の営業利益110%以上で見てみると、エコス6.99億円(219.1%)、丸和6.67億円(205.2%)、マルエツ75.70億円(129.1%)、ユニバース33.39億円(126.0%)、ライフコーポレーション104.37億円(116.9%)、ベルク40.86億円(115.7%)、カスミ61.31億円(115.5%)、バロー104.91億円(113.0%)、マルヨシセンター5.47億円(112.8%)、ヤオコー78.14億円(112.1%)、マックスバリュ西日本76.70億円(111.8%)、オークワ78.47億円(110.8%)、アークス81.33億円(110.7%)、関西スーパーマーケット23.23億円(110.7%)、丸久34.50億円(110.4%)、ユーストア23.09億円(110.3%)とやはり16社であり、これらの企業が食品スーパーマーケットの好調な決算を支えているといえよう。

   ついで、食品スーパーマーケットにとって重要な指標、経費比率の低い企業、20%以下の企業を見てみると、アオキスーパー16.2%、マルミヤストア18.0%、オオゼキ18.2%、マルキョウ18.3%、タイヨー19.0%、アークス19.2%、丸久19.7%の7社である。逆に、経費比率の高い食品スーパーマーケットを27.0%以上で見てみると、いなげや29.5%、東急ストア29.1%、マルヤ29.0%、エコス28.1%、カスミ27.9%、相鉄ローゼン27.0%の6社である。

   これに対して、食品スーパーマーケットの財務バランスを示す自己資本比率50%以上の企業を見てみると、ヨークベニマル79.7%、オオゼキ77.8%、マックスバリュ東海70.5%、サンエー67.6%、東武ストア65.3%、マルヤ62.4%、ヤマザワ62.4%、オークワ58.9%、アオキスーパー58.8%、マルキョウ58.7%、タイヨー 58.6%、アークス58.0%、いなげや56.2%、ユニバース56.0%、ユーストア54.5%、ベルク51.8%の16社である。逆に、自己資本比率が30%を割る食品スーパーマーケットは丸和11.7%、エコス13.9%、マルヨシセンター14.2%、マックスバリュ東北14.9%、ドミー20.4%、北雄ラッキー21.2%、マツヤ21.9%、ライフコーポレーション23.8%、丸久24.0%、東急ストア25.9%、相鉄ローゼン26.2%の11社であった。自己資本比率は今後の成長余力と密接にからむ指標であり、安定成長を目指すには、50.0%は欲しいところである。

    また、株価と密接に絡む指標をいくつか見てみると、時価総額で500億円を超える食品スーパーマーケットはマルエツ1,038.89億円、ライフコーポレーション801.23億円、オークワ694.39億円、サンエー634.84億円、ヤオコー632.22億円、アークス589.08億円、バロー544.52億円の7社である。PBR(株価純資産)2.0倍以上の食品スーパーマーケットは、丸久2.8、ヤオコー2.2、マルエツ2.1、マックスバリュ東北2.1、ライフコーポレーション2.1、ドミー2.0の6社であり、逆に、0.6倍以下の食品スーパーマーケットはマルキョウ0.2、マルミヤストア 0.4、マルヤ0.4、スーパー大栄0.5、ユニバース0.6、ヤマザワ0.6、ジョイス0.6、タイヨー0.6の8社である。さらに、ROA10.0%以上の食品スーパーマーケットは、オオゼキ17.1%、マックスバリュ西日本13.2%、サンエー12.8%、アオキスーパー12.4%、ヤオコー12.0%、マックスバリュ東海 10.5%の6社である。

   このように、2008年度の本決算は食品スーパーマーケット業界は好調な決算となり、小売業界の中でも安定した成長と利益を確保したといえる。ちょうど、第4四半期に値上げ問題が本格化し、値上げがプラスに働いたこともあり、その追い風も吹いたといえるが、全体的に好調な決算であった。現在、この好調な決算を受けて、2009年度の第1四半期決算が公表されつつあるが、今期も好調な状況が続くかどうかが、この決算数字に表れるといえよう。しばらくは、食品スーパーマーケットの動向から目が離せない状況が続きそうである。

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July 03, 2008

アイスクリーム、日経MJでバイヤー調査、ヒット分析!

   日経MJ、6/30にアイスクリームのバイヤー調査ヒット分析が掲載された。これからまさに旬を迎える商品であり、なかなか興味深い調査内容である。現在、食品スーパーマーケットでのアイスクリームの売上は好調であり、直近の家計調査データ、5月度で比較しても、アイスクリーム・シャーベットは22.23円(昨年対比105.7%)と伸びている。特に、今回の対象商品はアイスクリームの最重点商品15品へのバイヤー調査であり、すぐに、売場へ活用できる内容でもある。見出しは、「グリコ、“巨人”の強さ」、「選ばれる「ジャイアント」」、「イメージはハーゲンダッツ」、「味や広告・宣伝7割超」であり、グリコのジャイアントコーンとハーゲンダッツが1位、2位となった結果であった。

   まず、ブランド採点であるが、今回対象商品は全部で15品である。栄えあるバイヤーからNo.1の評価をもらったのは江崎グリコ、ジャイアントコーンであり、419点であった。満点が110人のバイヤーが5段階で最高5点の評価であるので、550点であるので、比率を計算すると76点となる数字である。ただ、今回は、No.2のハーゲンダッツジャパンのハーゲンダッツが416点、No.3の森永乳業のピノが410点、No.4の森永乳業のチョコモナカジャンボが403点と拮抗しており、断トツの商品が不在という状況であった。特に、No.1のジャイアントコーンとNo.2のハーゲンダッツはそれぞれ、評価項目が分かれており、対照的な商品であることがわかる。

   評価項目は全部で13項目であり、総合No.1のジャイアントコーンがトップ評価をもらったのはリピート購入率81%、ネーミング68%、消費者キャンペーン23%の3つのみであり、それ以外はトップクラスの評価が多いが、トップ評価にはなっておらず、各項目の評価が分散したのが、アイスクリームの特徴である。No.2のハーゲンダッツはブランド力92%、味・食感87%、テレビCMなどの広告・宣伝66%、ターゲット設定66%、パッケージ64%、POPなどの店頭販促物37%と6項目でトップとなり、その他の項目の評価も高く、No.1のジャイアントコーンとの差はわずか3点という僅差であった。評価が低かった項目は利益率8%、容量・ボリューム28%の2項目であった。

   No.3のピノは残念ながらトップ評価はなかったが、全体的にトップクラスの評価となっており、バランスのよいアイスクリームといえよう。No.4のチョコモナカジャンボは容量・ボリュームで78%というトップ評価である。あとの項目では、ロッテアイスの爽が利益率で32%、消費者キャンペーン、イベントで23%と、この2項目でトップ評価であり、井村屋製菓のあずきバーは商品価値と価格のバランスで46%とトップ評価、そして、江崎グリコのカロリーコントロールアイスは全評価は253点で15番となったが、商品コンセプトでは77%とトップ評価であった。

   上記以外では残念ながらトップ評価はひとつもなかったが、全体評価でNo.5となった明治乳業のエッセルスーパーカップ392点、No.6、江崎グリコのパピコ375点、No.9、ロッテアイスのクーリッシュ344点、No.10、森永乳業のPARM(パルム)335点、No.11、クラシエフーズのヨーロピアンシュガーコーン315点、No.12、森永乳業のMOW(モウ)309点、No.13、明治乳業のうずまきソフト308点、No.14、ロッテアイスのぎゅぎゅっと269点と続く。

   一方、メーカー採点であるが、これも混戦であり、No.1はロッテアイス381点、トップ評価は新商品の開発力71%、商品情報(改廃、売れ筋)の早さ・量48%、売場での販促策の提案・店舗応援46%である。No.2は江崎グリコ376点、トップ項目は商品構成(ラインアップ)64%、営業担当者52%、No.3はハーゲンダッツジャパン368点、トップ項目は市場作り・活性化への貢献67%、ブランド育成力78%、企業イメージ84%、No.4は森永乳業364点、トップ項目は取引条件(仕入れ価格など)37%、商品供給体制46%、そして、No.5は明治乳業347点、トップ項目は森永乳業と同率37%の取引条件(仕入れ価格など)であった。以下、No.6は森永製菓308点、No.7は井村屋製菓279点、No.9はクラシエフーズ216点である。

   最後に、仕入を決定する判断基準であるが、味・食感89%、テレビCMなどの広告・宣伝が75%と2大判断基準であり、ついで、ブランド力61%、リピート購入率60%と続く。これ以外で取引条件(仕入れ価格など)、容量・ボリューム、商品コンセプト、新商品の開発力、利益率、パッケージの純である。やはり、アイスクリームは味・食感が強い仕入基準であることがあらためて明確になったといえよう。

    このように、いま、売上が伸び、今期期待の持てる商品群のひとつであるアイスクリームの日経MJのバイヤー調査の実態を見てみたが、ここには平均単価は載っていないが、ちょうど、No.1のジャイアントコーンとNo.2のハーゲンダッツは低価格、高PI値と高価格低PI値と対照的な商品であり、アイスクリームの活性化はまさに、この両極端な傾向を占めす商品群を同時に強化することがポイントであることが浮かび上がったといえよう。売り場づくりもこの2つを同時訴求するような工夫をすると、今期最高のアイスクリームの数字がとれるのではないかと思う。今期、アイスクリームの動向には注目である。

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July 02, 2008

平和堂、2009年2月期、第1四半期、厳しい決算!

   平和堂の2009年2月期の第1四半期の決算が6/24に公表された。第1四半期は3月から5月までの3ケ月間であり、ちょうど、値上げ問題が真っ盛りの中でのはじめての注目の決算であった。結果は、営業収益1,007.40億円(99.6%)、営業利益25.60億円(88.2%:営業収益比2.54%)、経常利益24.66億円(87.8%:営業収益比2.44%)、当期純利益7.91億円(58.3%:営業収益比0.78%)と減収減益となり、平和堂にとっては厳しい決算となった。特に当期純利益が58.3%となるなど、売上面よりも、利益面での減益幅が大きい決算となった。

   今期の平和堂の特に利益面の状況を見てみると、売上原価は70.9%(昨年70.9%)と値上環境の中、原価が上昇したわけではない。したがって、売上総利益(粗利)は29.1%(昨年29.1%)と昨年と全く同じ比率の粗利率を確保した。営業収入に関しては、平和堂はフレンドマート(食品スーパーマーケット)、GMS、アルプラザ(SC)があるが、特にアルプラザ(SC)の売上構成比が65%強と高く、ここから上がるテナント収入等が大きい。今期も7.6%(昨年7.5%)と0.1ポイント上昇しており、結果、営業総利益は36.7%(昨年36.6%)と0.1ポイント改善しており、いわゆる総粗利率は好調であった。ところが、販売費及び一般管理費が34.0%(昨年33.5%)と0.5ポイントと上昇し、結果、営業利益が2.7%(昨年3.1%)と減少し、営業収益も99.6%と伸び悩み、結果、減益となった。特に、売上高については、「衣料品や輸入品などの高額商品及び、携帯電話販売不振の他、堅田店建て替えによる閉鎖影響などもあり、・・」、前年を下回る結果となったという。また、当期純利益がさらに減益となったのは、減損損失として特別損益を8.03億円(昨年1.02億円)計上したためである。

   ただ、今回、同時に公表された、2009年度通期の見通しは、通期予想、営業収益4,300.00億円(102.1%)、営業利益154.00億円(112.9%:営業収益比3.58%)、経常利益151.00億円(108.2%:営業収益比3.51%)、当期純利益78.00億円(123.8%:営業収益比1.81%)と増収増益となる公算であり、今後、第2四半期、第3四半期、そして、第4四半期で挽回してゆくという。

   これを受けて、平和堂の株価であるが、好決算であった本決算後の3月、4月は順調に株価が上昇し、5月中旬には一時1,850円近辺まであがった。ただ、その後はやや株価が軟調となり、ゆるやかに下がりはじめ、1,700円前後で推移していたが、この第1四半期決算が公表された6/24の翌日、6/25には1,600円近辺まで下がり、その後、やや戻し、現在、1,650円前後で推移しており、この第1四半期の状況を投資家は敏感に反応したといえよう。

   一方、平和堂の自己資本比率であるが、34.7%(昨年34.1%)と食品スーパーマーケットよりもGMS、SCが主体であるため、通常の食品スーパーマーケットと比べると低めではあるが、昨年よりはやや上昇している。ただ、今後、安定的に成長を持続してゆくには、さらなる自己資本の充実が課題といえよう。平和堂の出店にかかる資産を見ると、建物及び構築物、土地、差入敷金及び保証金の合計1,971.78億円(昨年1,980.92億円)、となり総資産の70.65%となる。これを全店舗数102店舗で割ると、19.33億円となり、通常の食品スーパーマーケットと比べると巨額な出店にかかわる資産となる。当然自己資本ではまかうことが難しく、借入に依存する構造となるが、今期の長短借入金の合計775.59億円(昨年783.81億円)であり、総資産の27.79%である。これに自己資本比率34.7%を足すと62.49%となり、ほぼバランスとなるが、今後、安定成長を持続するには、さらなる自己資本の充実が経営課題といえよう。その意味でも、今後、増益をどう確保してゆくかが当面の課題となった。

   ちょうど、6/30、日経MJで平和堂の夏原平和社長のインタビュー記事が掲載されたが、これを見ると、今後の平和堂の経営戦略が垣間見える。また、ここ最近のPB戦略、業界再編についても興味深い記事が掲載されているので、そのポイントを見てみたい。まず、消費者の価格志向についての見解であるが、現在、平和堂は、節約、内食志向への対応としての「くらし応援価格」による価格据置政策の継続、調理用品、台所消耗品の品揃え、販売強化を推進しているが、その中で、この6/1から価格据置商品を1,000品目に増やしたという。この内、1割は利益を削り、残りは滋賀県No.1のシェアの強みを生かし、メーカーからの協力が得られているという。PB戦略に関しては、ニチリウの強化は進めるが、原材料価格が上がる中で、利益が出せるかどうか疑問との見方を示し、実際、PB比率も加工食品で10%弱とのことである。したがって、全体では5%と強と推定され、相乗積もまだ低い状況であり、PBの粗利改善効果にはつながっていないようである。また、今後の業界再編については、平和堂もいいところがあれば、買う意欲はあるが、積極的にM&Aに動く状況ではないという見解のようである。

   このように、平和堂の第1四半期決算が減収減益という厳しい結果となったが、その中身は、値上げ環境の中での原価上昇による影響ではなく、経費の上昇と減損損失の計上によるものであり、消費環境の影響ではないといえよう。むしろ、価格据置きやPB強化により、原価が安定し、粗利はしっかりとれている状況であり、今後、計画どおり新店が展開されてくれば、売上が増加し、粗利高も増加する可能性は高いといえ、次の第2四半期(中間決算)の数字がどのように動くかが今期の決算を決める重要な数字となろう。平和堂の次回決算で、数字がどこまで改善されるかに注目したい。

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July 01, 2008

家計調査データ、2008年5月度、1,969.10円(100.5%)!

   2008年5月度の家計調査データが6/27、総務庁統計局から公表された。値上げ問題真っただ中での消費環境がどのような状況であるかが問題となる月であり、注目の数字である。CPI(消費者物価指数)も同日公表され、本ブログでも取り上げたが、101.7%とここ数年間では最高の上昇率となった。物価がじわじわと上がり始めている様相が鮮明であり、これが実際の家計ではどのように消費状況に反映されているかが、今月の家計調査データのポイントである。その結果は1,969.10円(昨年1,895.64円:100.5%)とほぼ横ばいの結果であった。家計調査データは価格が一部のみの公表であるため、消費額が中心となる。そのため、数量と価格との関係がとらえにくいが、今回の100.5%は金額ベースでは横ばいであるが、価格が大きく上昇していることが予想され、おそらく、数量ベースでは下がっている可能性が高いといえよう。今月度は消費額としては何とか、100%ぎりぎりを維持しているが、今後、さらなる値上げも予想され、厳しい状況が続くものと予想される。

   まず大分類で今回の5月度の数字を見てみると、上昇した部門は肉類216.71円(107.7%)、油脂・調味料107.58円(106.1%)、酒類119.39円(106.1%)、菓子類213.13円(104.0%)の4部門であり、特に、肉類、油脂・調味料は内食志向が反映されたものといえよう。逆に、消費額が下がった部門であるが、飲料137.06円(93.4%)、果物84.84円(95.6%)、魚介類230.00円(95.9%)、調理食品251.10円(96.5%)であり、飲料、果物が最も消費額が下がった部門であり、ついで、肉類と対照的に魚介類が下がった。また、内食志向が強まっているせいか、出来合いで少し高くつく惣菜(調理食品)の消費額が下がっているのが特徴である。あきらかに、節約志向が鮮明といえ、今後、消費のキーワードは節約が強くクローズアップされてくるのではないかと思われる。

   そこで、次に、値上げ関連の項目を見てみると、小麦関連では、小麦粉は、1.84円(98.3%)とやや下がったものの、パン類では、パン79.19円(104.2%)、食パン26.13円(110.7%)と特に食パンが好調である。さらに、めん類では、スパゲッティ3.81円(124.2%)、中華めん13.32円(113.5%)、カップめん8.00円(113.2%)、即席めん4.03円(120.2%)といずれも高い消費額であり、この5月度も、小麦関連は全体として好調な消費額であるといよう。

   次に、バター、チーズなどの乳製品関連であるが、バター2.29円(126.8%)、チーズ9.71円(109.5%)と絶好調であり、さらに、粉ミルクも2.16円(108.1%)と好調であるが、牛乳46.55円(98.0%)、ヨーグルト22.48円(101.0%)と、これら主力の2項目は軟調な動きである。さらに、食用油9.03円(116.2%)、マーガリン2.55円(116.2%)、食塩1.81円(112.0%)、みそ7.84円(113.6%)、風味調味料5.06円(113.8%)など調味料関連も好調な動きのものが多いのが特徴である。さらに、酒関連では比較的価格の安い焼酎が20.97円(111.9%)と絶好調であり、ついで、ビール44.97円(106.5%)、発泡酒も18.32円(106.6%)と好調である。逆に、ウイスキー2.87円(88.1%)、ぶどう酒5.06円(94.6%)は厳しい状況であり、清酒も14.74円(92.9%)と伸び悩んでいるといえる。

   このように値上げ関連商品はほぼ値上げがプラスのなっている好調な項目が多いのが特徴であり、値上げ後も消費額の落ち込みはなく、金額ベースでは現段階では旺盛といえる。これに対し、ここへきて、消費額が大きく落ち込んだ項目を見てみたい。まず、大分類で最も消費額が落ち込んだ部門である飲料であるが、ココア・ココア飲料0.65円(83.3%)、ミネラルウォーター6.06円(84.3%)、緑茶22.42円(85.2%)が大きく、ついで、乳飲料2.87円(90.8%)、乳酸菌飲料9.39円(92.1%)、果実・野菜ジュース25.68円(94.3%)である。逆に、消費額が上昇した飲料は、コーヒー 12.81円(105.6%)、紅茶2.10円(103.2%)の2項目であった。

   その他の項目で消費額が下がったものを見てみると、いま話題になっているまぐろ15.71円(79.6%)、いか7.52円(90.7%)をはじめ、さしみ盛合わせ15.74円(90.5%)、たこ3.42円(86.9%)、あじ5.74円(88.6%)、いわし1.81円(93.3%)、かつお8.10円(94.4%)など、魚介類は全体的に厳しい状況である。また、調理食品(惣菜)では、あいかわらず、冷凍調理食品12.61円(81.5%)、うなぎのかば焼き6.68円(68.5%)、ぎょうざ4.84円(79.8%)、やきとり4.94円(87.9%)が、特に厳しい状況である。主食の弁当33.84円(101.2%)は堅調な動きであったが、すし(弁当)32.16円(94.2%)、おにぎり・その他10.03円(96.0%)は厳しい状況であり、調理食品は全体的に消費が厳しいといえよう。

   このように、この5月度の家計調査データを見ると、明らかに消費構造が大きく変化しているといえる。特に、この数ケ月、値上げ問題が家計を直撃しているが、意外に値上げ関連の項目の消費額は伸びているのが特徴であり、現段階では値上げによる消費額の落ち込みはなく、むしろプラスに働いていると状況といえよう。ただ、数量の方は伸び悩んでいることが予想され、今後、この好調な消費状況が維持されるかはわからず、注意深く見てゆく必要があろう。逆に、ここへきて気になるは飲料、調理食品(惣菜)の動きであり、この数ケ月同様な傾向といえ、値上げ問題が、この2部門にはマイナスとなっているように思える。この2部門についてももうしばらく様子を見る必要があるといえ、その意味で、今後、家計調査データはCPI(消費者物価指数)とともに、その動向をしっかり追ってゆく必要があろう。来月の動向にも注目である。

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