日経MJでコンビニ特集、第29回、客数から客単価へ!
日経MJで2007年度コンビニ調査が公表された。「既存店の魅力競う」、「市場飽和し出店鈍化」という見出しが象徴するように、コンビニの成長が止まるという、コンビニの歴史において転換点となる年となった。この調査は全国のコンビニエンスストア80社を対象にしたアンケート調査であり、その内、有効回答のあった51社の様々なランキングを作成し、分析した記事である。その売上を昨年との比較が可能な49社で比較すると、7兆8,249億円となり、前年比101.3%であり、店舗数は44,542店で100.4%であったという。特に、店舗数の伸びは1978年度以来最も低い伸び率であるという。
実際、主要コンビニの売上高ランキングを見てみると、No.1セブンイレブン2兆5,743.06億円(101.6%、店舗数102.5%)、No.2ローソン1兆4,151.06億円(102.1%、店舗数100.3%)、No.3ファミリーマート1兆1,993.17億円(105.2%、店舗数103.1%)、No.4サークルKサンクス1兆527.37億円(98.5%、店舗数96.9%)、No.5ミニストップ3,055.56億円(105.6%、店舗数102.9%)、No.6デイリーヤマザキ2,151.60億円(94.9%、店舗数95.1%)、No.7 am/pm2,050.39億円(94.6%、店舗数86.8%)、No.8セイコーマート1,525.29億円(100.4%、店舗数101.9%)、No.9SHOP99 1,426.75億円(99.2%、店舗数107.3%)、そして、No.10スリーエフ1,180.30億円(101.2%、店舗数101.1%)という状況であり、以上がコンビニベスト10である。
これを見ると、1兆円以上の売上のコンビニ4社の内、最高の成長率はファミリーマートの105.2%であり、No.1のセブンイレブン、No.2のローソンともに101.6%、102.1%と低成長となっており、しかも、No.5以下のコンビニでは昨対を割る企業が多く、明らかに売上がコンビニ業界全体として伸び悩んでいる結果といえよう。特に地方のコンビニは厳しい状況であり、集計が可能であったエリアFC23社の数字を見ると、12社が昨対を割っており、厳しい状況である。さらに47都道府県の店舗の増加状況を見ると、ワースト1、2が神奈川-31店舗(99.0%)、東京-27店舗(99.6%)という状況であり、大都市でもコンビニの店舗数が減っている状況である。
一般的に小売業の売上は新店が決め手となるが、ここへきて、コンビニは新店が思うように出店できず、これが売上の伸びの鈍化につながるという結果である。その要因を、日経MJでは、「不採算店舗の閉鎖加速」、「地価上昇、出店にニの足」、「オーナー不足、法人契約で打開」、「出店抑制、守りの姿勢に」という見出しで、まとめている。実際、日本の人口約1億2,000万人をコンビニの数約45,000店舗で割れば、1店舗当たり2,666人となり、ほぼ飽和状態に近づきつつあるといえよう。したがって、今後のコンビニの売上アップのポイントは客数から客単価アップへと経営戦略の転換が必要といえる。
今回の日経MJの記事でも客単価アップへ取り組むコンビニの状況がまとまめられている。たとえば、「店員育成、ファミマ、移動研修車が活躍」、「資金、加盟店支援向け、ローソン30億円」、「品ぞろえ、セブン、高級独自商品を投入、PBを積極拡大」、「価格・商品政策、生鮮品充実に積極姿勢、店内調理増やす18社」、「電子マネー、導入23社、さらに拡大も」などである。ただ、コンビニの客単価を見ると、売上No1のセブンイレンブンが619円であり、昨年対比97.8%と下がっているのが現状である。PBの強化、電子マネーnanacoの導入により、本来客単価に変化が表れてもよいはずであるが、この数字を見る限り、客単価への影響は弱いといえよう。客数を見ても965人(昨対100.2%)と微増であり、既存店に至っては98.5%(昨対100.4%)とマイナスとなってしまった。コンビニという来店頻度が高く、客単価の低い業態においては客単価アップがいかに難しいテーマであるかがわかる。
ちなみに、セブンイレブン以外の主要なコンビニの客数、客単価、既存店の数字を見てみると、ローソン(客数812人(99.9%)、客単価586円(100.2%)、既存店99.2%(101.0%))、ファミリーマート(856人(103.0%)、551円(98.7%)、101.1%(100.1%))、サークルKサンクス(806人(99.4%)、586円(100.0%)、98.2%(101.5%))、ミニストップ(849人(102.0%)、548円(99.8%)、100.8%(102.7%))、am/pm(1061人(104.4%)、439円(98.9%)、99.4%(99.8%)という状況であり、客数にせよ、客単価にせよ、アップさせるのは極めて厳しい状況であることがわかる。
また、国内から海外へという動きも当然考えられるが、日経MJの海外展開の記事の内容を見ると、セブインイレブン、ファミリーマートの2社は積極的であり、昨隊108.9%、108.8%と高成長を続けているが、その他ミニストップ104.9%、ローソン98.6%と厳しい状況であり、限られた大手チェーン以外は海外展開は難しい状況である。
したがって、今後のコンビニの競争は出店競争、すなわち、客数アップ戦略から、既存店の活性化である客単価アップ戦略へと戦略が大きく転換せざるをなくなるといえよう。客単価=PI値×平均単価であり、PI値をひきあげる新たな商品群の導入、平均単価を引きあげる品揃えの見直しが急ピッチで改善されることになろう。今後のコンビニの既存店がどのように変身するか、各社の大胆な試みに期待したい。
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