カップめんと袋めんのPOS分析、値上げ後の状況!
値上げ問題が本格化するなか、その象徴的な商品ともいうべき、小麦製品であるカップめんと袋めんの約300店舗の食品スーパーマーケットのPOSデータを独自に入手したので、これをもとに値上げ問題が、食品スーパーマーケットにどのような影響を与えているかを見てみたい。今回のデータは2008年4月度と2007年4月度のPOSデータであり、値上げ前と値上げがほぼ浸透し、一段落した時期との比較ができるので、どのように消費状況に変化が表れ、今後、どのような消費状況になってゆくかをうらなう上で、貴重なPOSデータであるといえる。
まず、全体の概要であるが、カップめんは売上金額で93.2%、売上数量で79.2%、平均単価が117.7%という状況であり、117.7%と大幅な値上げとなっていることがわかる。この値上げと反比例する形で、数量が激減しており、79.2%と約20%ダウンとなっている。まさに、需要供給の法則そのままであり、価格と数量とがきれいに反比例している構造である。実は、今回、様々な商品で値上げ前と値上げ後の数値を比較しているが、ほぼ、このカップめんと同じ状況であり、価格と数量がきれいに反比例する傾向がみられる。ちなみに、家計調査データの2008年4月度を見ると、カップめんは96.7%であり、その内訳は7.87円(96.7%)、消費世帯のみの消費額18.94円(104.6%)、消費世帯の割合41.5%(92.5%)と、ほぼ、このPOSデータと一致しており、食品スーパーマーケットのカップめんの現状を反映しているといえよう。家計調査データでは、特に、消費世帯の割合が92.5%へ落ちているので、あきらかに、値上げにより、買い控えが起こっているといえ、カップめんでは値上げが明らかに、マイナス、特に大幅な数量減になっているといえよう。
次に、袋めんであるが、売上金額で113.2%、売上数量で91.8%、平均単価で123.3%という結果であり、カップめん同様、需要供給の法則が成り立ち、平均単価が上昇し、売上数量が減少しているが、カップめんほど売上数量が落ち込まず、売上金額は113.2%とプラスに転じている。消費傾向は同じでも、カップめんとは対照的な結果となった。これも家計調査データの2008年4月度で確認してみると、4.40円(115.8% )、消費世帯のみの消費額14.43円(113.3%)、消費世帯の割合30.5%(102.2%)と、すべての数字がプラスとなっており、特に、消費世帯の割合が102.2%と増加しているのが、カップめんと対照的な動きである。同じ、インスタントラーメンを食べるなら、お買い得感のある袋めんの方に消費者がシフトしているととれる傾向がみてとれるといえよう。
では、具体的に、それぞれの重点商品でその動きを見てみたい。カップめんのNo.1、No.2は昨年も今年も日清カップヌードル75g、日清カップヌードルシーフードヌードル74gであるが、これがどちらも大幅にダウンしており、販売金額で65.3%、65.3%、販売数量で49.0%、49.4%、平均単価で134.4%、131.5%と昨年の半分以下の売上数量となっており、販売金額では平均単価が130%以上上昇したので、65%までもどしているが、それでも実に厳しい数字である。ただ、ここまで厳しい数字でも、この2品は依然として、今年もNo.1、No.2であり、すごい商品力、ブランド力のある商品といえよう。
No.3はマルちゃん赤いきつねうどん96gであるが、販売金額では101.8%、販売数量で82.3%、平均単価で123.8%という状況であり、販売数量は大きく落ち込んだが、平均単価の上昇とほぼ同じ比率でとどまったため、販売金額ではぎりぎりプラスとなった。カップめんベスト10では、販売金額がプラスになったのはこの1品のみである。ベスト3以下では、No.4に新商品の日清スープヌードルカップ59gが入っており、カップめんは日清食品をはじめ、新商品がここへきて、数多く登場しており、既存商品の落ち込みを、新商品の投入でカバーしようとする戦略が強く打ち出されているといえよう。
これに対して、袋めんであるが、No.1は昨年同様、サッポロ一番みそラーメン5個パック500gであり、販売金額で136.0%、販売数量で100.1%、平均単価で135.8%という状況である。平均単価が135.8%と大幅に上昇しているが、販売数量は100%を超えており、結果、販売金額が大きく上昇しているのが特徴である。No.2も昨年同様、サッポロ一番塩ラーメン5個パック500gであるが、販売金額は137.7%、販売数量は103.2%、平均単価は133.5%であり、No.1のみそとほぼ同じ傾向である。No.3は昨年同様、日清チキンラーメン5食85g×5であり、販売金額は90.0%、販売数量は61.6%、平均単価は146.1%と、販売数量の落ち込みが大きく、販売金額をカバーできない状況であり、厳しい数値である。ただ、ベスト10を見ると、販売金額が昨年を下回ったのは、この商品を含めてわずか3品であり、大半の重点商品は昨年の数字を上回っている。
このように、同じ即席めんであるが、カップめんと袋めんでは明暗がわかれたといえ、消費者の選択が明らかに、袋めんを選んだといえる2008年4月度の結果であったといえよう。家計調査データの最新5月度見ると、カップめん8.00円(113.2%)、即席めん4.03円(120.2%)とカップめんが回復した数字となっているので、4月度が特にカップめんが落ち込んだ月であったともいえるが、カップめんの消費世帯の割合を見ると96.9%となっていることから、依然として厳しい消費環境が続いているといえよう。今後、カップめんと袋めんの動向は、食品スーパーマーケットにとって重要なカテゴリーであるだけに、新たなデータが入り次第、その状況を取り上げてゆきたい。
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