CPI(消費者物価指数)、2008年8月度、102.7%!
9/26、総務省統計局からCPI(消費者物価指数)、2008年8月度が公表された。CPIは平成17年度(2005年)を基準、100とした場合の現在の物価上昇率を示す指数であるが、参考数値として昨年同月比、前月比なども公表しており、現状の物価情勢を知る上では参考になる統計データである。この8月度の概況は次の3点である。(1) 総合指数は平成17年を100として102.7となり、前月比は0.3%の上昇。前年同月比は2.1%の上昇となった。 (2) 生鮮食品を除く総合指数は102.6となり、前月比は0.2%の上昇。前年同月比は2.4%の上昇となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.4となり、前月比は0.1%の上昇。前年同月と同水準となった。これを見ると、全体では102.7%であるが、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除くと99.4%と100%を切り、いかに、食品、エネルギーの物価上昇が大きいかを表しているといえよう。
実際、中分類で昨年同月比の状況を見てみると、寄与度(全体への影響度)が高い項目は生鮮品を除く食料0.89、光熱・水道(エネルギー関連)0.68、交通・通信0.66とこの3つの項目が突出しており、全体のCPIを押し上げているといえる。これに対し、生鮮食品は-0.13と全体を押し下げており、生鮮食品に関しては物価はむしろ下がっている状況である。また、住居0.04、家具・家事用品0.01、被服及び履物0.01と衣料、住関連はほぼ横ばいであり、物価上昇の状況は数字的には全くない状況である。現在のCPIの102.7%の上昇は資源、エネルギーの相場上昇にともなう、物価高という構図が鮮明であり、逆に、生鮮を除く食品とエネルギ―関連に限定した項目の価格上昇が突出し、全体の数字を押し上げている構図といえよう。
実際、家電関連のテレビ(薄型)は-22.9%、パソコン(デスクトップ型)-25.0%、パソコン(ノート型)-38.9%、カメラ-31.9%と大幅に価格が下がっており、明暗がはっきりした構図である。ちなみに、食料の中で極端に昨年同月比で価格が上昇した項目は、スパゲティ33.2%、チーズ27.0%、うなぎかば焼き25.1%、チョコレート25.0%、食用油21.5%、即席めん20.7%、マーガリン20.4%、食パン20.0%、小麦粉19.1%、ビスケット19.1%等である。またエネルギー項目では、プロパンガス10.8%、灯油54.7%、ガソリン26.4%である。
CPI(消費者物価指数)はこのように、全体の動向、中分類、主な項目がわかるだけでなく、ほぼ、家計調査データと同様な細目まで数字が調査され、公表されている。そこで、細目について、いくつか特徴的なものを見てみたい。まず、今回、昨年同月比でマイナスとなった生鮮食品であるが、どのような項目がマイナスとなったかを昨年同月比で見てみたい。まず、大分類で見ると、生鮮魚介105.0%、塩干魚介101.3%、肉類105.3%、野菜・海草-5.0%、果物-2.0%という状況であり、生鮮食品といっても、鮮魚、精肉はむしろ物価が上昇気味で推移しており、下がっているのは青果であることがわかる。
そこで、青果、野菜・海藻、果物の中で、何が特に物価が下がっているかを見てみると、キャベツ-35.8%、レタス-30.7%、なす-28.7%、ピーマン-17.3%、きゅうり-15.2%、ねぎ-14.2%、トマト-11.2%が10%以上下がった項目である。さらに、-5%まで見てみると、はくさい-8.8%、さといも-8.4%、れんこん-8.4%、かんしょ-7.5%、アスパラガス-7.2%、ブロッコリー-5.1%である。逆に、物価が上昇した野菜はばれいしょ9.1%、ごぼう10.1%、にんじん10.5%である。また、果物については、オレンジ-17.8%、り ん ごA-6.4%、ぶどうA-5.1%、もも-4.6%、ぶどうB-3.9%、なし-2.0%、キウイフルーツ-1.4%が下がった項目であり、逆に上がった項目はメロン3.0%、バナナ3.2%、レモン4.4%である。
また、この8月度、特徴的な動きを示している項目をいくつか見てみたい。小麦関連は大きく物価が上昇しているが、米関連は、うるち米-1.8%、国産米A-1.9%、国産米 B-2.0%、ブレンド米-1.5%、もち米-1.4%とすべての項目で下がっており、小麦とは対照的な動きである。また、大分類で飲料が-0.5%と下がっており、その要因となった項目を見ると、茶飲料が全項目下がり、緑茶-0.1%、紅茶-4.7%、茶飲料-1.4%である。さらに、コーヒー飲料-0.9%、果汁入り飲料 -2.7%、炭酸飲料-1.5%、ミネラルウォーター -7.6%、スポーツドリンク-2.2%と、のきなみ飲料関連は物価が下がっている状況である。
このように2008年8月度のCPI(消費者物価指数)は全体としては102.7%とここ最近高い水準で推移しているが、その中身は資源、エネルギー高による石油製品、食料品、特に生鮮食品を除く食料品、そして、エネルギーを直接消費する交通・通信の3部門に限定された物価高の状況であるといえる。逆に、衣料品、住関連等ではむしろCPIは横ばいか、大きく下がっている項目もあり、全面的な物価高という状況ではないことがわかる。明らかに、ここ数ケ月のCPIの上昇は石油相場、穀物相場等の大幅上昇による物価高と断定できるといえよう。ただこの相場がどうにも制御できないことが難点であり、当面、相場をにらみながらの展開が続くものと思われる。今後、世界的な金融不安は深刻さを増しつつあるので、当面、CPIの上昇基調は続くものといえよう。
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