« August 2008 | Main | October 2008 »

September 2008

September 30, 2008

CPI(消費者物価指数)、2008年8月度、102.7%!

   9/26、総務省統計局からCPI(消費者物価指数)、2008年8月度が公表された。CPIは平成17年度(2005年)を基準、100とした場合の現在の物価上昇率を示す指数であるが、参考数値として昨年同月比、前月比なども公表しており、現状の物価情勢を知る上では参考になる統計データである。この8月度の概況は次の3点である。(1) 総合指数は平成17年を100として102.7となり、前月比は0.3%の上昇。前年同月比は2.1%の上昇となった。 (2) 生鮮食品を除く総合指数は102.6となり、前月比は0.2%の上昇。前年同月比は2.4%の上昇となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.4となり、前月比は0.1%の上昇。前年同月と同水準となった。これを見ると、全体では102.7%であるが、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除くと99.4%と100%を切り、いかに、食品、エネルギーの物価上昇が大きいかを表しているといえよう。

   実際、中分類で昨年同月比の状況を見てみると、寄与度(全体への影響度)が高い項目は生鮮品を除く食料0.89、光熱・水道(エネルギー関連)0.68、交通・通信0.66とこの3つの項目が突出しており、全体のCPIを押し上げているといえる。これに対し、生鮮食品は-0.13と全体を押し下げており、生鮮食品に関しては物価はむしろ下がっている状況である。また、住居0.04、家具・家事用品0.01、被服及び履物0.01と衣料、住関連はほぼ横ばいであり、物価上昇の状況は数字的には全くない状況である。現在のCPIの102.7%の上昇は資源、エネルギーの相場上昇にともなう、物価高という構図が鮮明であり、逆に、生鮮を除く食品とエネルギ―関連に限定した項目の価格上昇が突出し、全体の数字を押し上げている構図といえよう。

   実際、家電関連のテレビ(薄型)は-22.9%、パソコン(デスクトップ型)-25.0%、パソコン(ノート型)-38.9%、カメラ-31.9%と大幅に価格が下がっており、明暗がはっきりした構図である。ちなみに、食料の中で極端に昨年同月比で価格が上昇した項目は、スパゲティ33.2%、チーズ27.0%、うなぎかば焼き25.1%、チョコレート25.0%、食用油21.5%、即席めん20.7%、マーガリン20.4%、食パン20.0%、小麦粉19.1%、ビスケット19.1%等である。またエネルギー項目では、プロパンガス10.8%、灯油54.7%、ガソリン26.4%である。

   CPI(消費者物価指数)はこのように、全体の動向、中分類、主な項目がわかるだけでなく、ほぼ、家計調査データと同様な細目まで数字が調査され、公表されている。そこで、細目について、いくつか特徴的なものを見てみたい。まず、今回、昨年同月比でマイナスとなった生鮮食品であるが、どのような項目がマイナスとなったかを昨年同月比で見てみたい。まず、大分類で見ると、生鮮魚介105.0%、塩干魚介101.3%、肉類105.3%、野菜・海草-5.0%、果物-2.0%という状況であり、生鮮食品といっても、鮮魚、精肉はむしろ物価が上昇気味で推移しており、下がっているのは青果であることがわかる。

   そこで、青果、野菜・海藻、果物の中で、何が特に物価が下がっているかを見てみると、キャベツ-35.8%、レタス-30.7%、なす-28.7%、ピーマン-17.3%、きゅうり-15.2%、ねぎ-14.2%、トマト-11.2%が10%以上下がった項目である。さらに、-5%まで見てみると、はくさい-8.8%、さといも-8.4%、れんこん-8.4%、かんしょ-7.5%、アスパラガス-7.2%、ブロッコリー-5.1%である。逆に、物価が上昇した野菜はばれいしょ9.1%、ごぼう10.1%、にんじん10.5%である。また、果物については、オレンジ-17.8%、り ん ごA-6.4%、ぶどうA-5.1%、もも-4.6%、ぶどうB-3.9%、なし-2.0%、キウイフルーツ-1.4%が下がった項目であり、逆に上がった項目はメロン3.0%、バナナ3.2%、レモン4.4%である。

   また、この8月度、特徴的な動きを示している項目をいくつか見てみたい。小麦関連は大きく物価が上昇しているが、米関連は、うるち米-1.8%、国産米A-1.9%、国産米 B-2.0%、ブレンド米-1.5%、もち米-1.4%とすべての項目で下がっており、小麦とは対照的な動きである。また、大分類で飲料が-0.5%と下がっており、その要因となった項目を見ると、茶飲料が全項目下がり、緑茶-0.1%、紅茶-4.7%、茶飲料-1.4%である。さらに、コーヒー飲料-0.9%、果汁入り飲料 -2.7%、炭酸飲料-1.5%、ミネラルウォーター -7.6%、スポーツドリンク-2.2%と、のきなみ飲料関連は物価が下がっている状況である。

   このように2008年8月度のCPI(消費者物価指数)は全体としては102.7%とここ最近高い水準で推移しているが、その中身は資源、エネルギー高による石油製品、食料品、特に生鮮食品を除く食料品、そして、エネルギーを直接消費する交通・通信の3部門に限定された物価高の状況であるといえる。逆に、衣料品、住関連等ではむしろCPIは横ばいか、大きく下がっている項目もあり、全面的な物価高という状況ではないことがわかる。明らかに、ここ数ケ月のCPIの上昇は石油相場、穀物相場等の大幅上昇による物価高と断定できるといえよう。ただこの相場がどうにも制御できないことが難点であり、当面、相場をにらみながらの展開が続くものと思われる。今後、世界的な金融不安は深刻さを増しつつあるので、当面、CPIの上昇基調は続くものといえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1235人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 29, 2008

ピーコックストア新店、2号店、上池袋店を見る!

   9/27、ピーコックストア2号店、上池袋店がグランドオープンに先駆けて、特別内覧会を開催した。9/27、9/28の2日間の限定オープンであり、9/29がグランドオープンとなる。たまたま自宅の近く、自転車で約10分ぐらいであり、ちらしにも入っていたので、夕方寄ってみた。ちなみに、9/27のちらし商品は全農紅白たまご10コ入100円、森永ビヒダスヨーグルト500g118円、金目鯛1尾980円、モロッコ産真だこ100g168円、富山JAこしひかり5kg1,780円、牛肉20%OFF、茨木産アールスメロン1コ780円等である。

   店内に入ってびっくりしたのは、入り口正面が天ぷら、フライ、左が寿司・弁当、右がサラダとデリから始まったことである。デリからはじまるレイアウトはここ最近オープンした大丸ピーコックの都心型食品スーパーマーケットの新店で採用されている。昨年3月にオープンした大丸ピーコック三田伊皿子店(東京都港区)、同3月の大丸ピーコック東池袋店(東京都豊島区)、同じく3月の大丸ピーコック芝浦アイランド店(東京都港区)はいずれも都心型食品スーパーマーケットであり、デリからはじまるレイアウトを採用している。特に、大丸ピーコック東池袋店は、競合するほど近くはないが、同じ池袋商圏であり、比較的似た商圏構造でもあり、ここで積み重ねたノウハウを活かしてのデリ強化型のレイアウトを採用したのではないかと思われる。

   それ以上にびっくりしたのは、以前から都心型食品スーパーマーケットの最強レイアウトを目指して、私自身も研究し、各クライアントで実践してきたが、ほぼ、私の研究成果どおりの戦略的なレイアウトができあがっていた点である。店内に入って数歩あるいた瞬間にイメージがピタッと一致した。あとで、レイアウト図を見てみたが、都心型食品スーパーマーケットとしては、戦略的にはよく練られたレイアウトであり、今後、POSデータ、特に、ピーコックストアはポイントカードを積極的に進めているので、ID-POS分析を活用し、レイアウト、商品構成を顧客のニーズに合わせて改善してゆけば、数年で商圏内の強い支持を獲得できるのではないかと思った。ただ、ひとつ気になったのは、和、洋において、常に洋をメインにし、和をサブにしていたことである。PI値から見れば、和の方が圧倒的に重要な商品であり、もっと、和を重視しても良かったのはないかと感じた。

   少し、店内を買い物したつもりで、店頭のデリから歩いてみると、デリの次のコーナーが、野菜である。平台と壁面での展開となり、さらに歩を進めると果物の平台となる。通常は果物、野菜となる順番が逆転し、野菜、果物となっているところがオリジナルであろうか。そして、鮮魚やはり、平台、壁面は刺身であり、そして、つき当り正面は塩干となる。そして、精肉、やはり、平台と壁面での展開である。精肉の平台は1台であるが、その後ろに2台平台があり、ここはグロサリーの特売コーナーとなる。どちらかというと縦長のレイアウトであるので、グロサリーのエンドが十分に活用できないので、この平台ができたものと思われる。そして、角に折れると、レジまで平台が6台並び、ここに壁面と平台で日配、パン、酒が並び、壁面と反対側に平台をはさんで冷凍食品の平台が並ぶ。内側はグロサリーゾーンであり、デリの近くは菓子ゾーン、生鮮の近くには食品、雑貨ゾーンとなっているレイアウトである。

   さて、今回のピーコックストアであるが、これまでは大丸ピーコックというブランドで出店していたが、今後は、J.フロントリテイリンググループとなり、松坂屋ストアとも合併したことにより、店舗のブランドは4つとなった。大丸ピーコック、松坂屋ストア、ピーコックストア、エクセピーコックである。今回見た店舗はこのピーコックストアにあたり、このタイプは昨年9月にオープンした洋光台店(神奈川県横浜市)につぐ2号店ということになる。エクセルピーコックは高級コンビニタイプの高感度ショップであり、現在4店舗である。松坂屋ストアは9店舗、その他86店舗が大丸ピーコックであり、全部で101店舗、このピーコックストア上池袋店がちょうど101店舗目の食品スーパーマーケットとなる。また、これを地域別で見ると、首都圏55店舗、関西地区31店舗、中部地区8店舗、百貨店事業部7店舗と合計101店舗となり、年商は1,330億円である。参考までにこの第1四半期の売上、営業利益であるが、大丸ピーコック261.71億円(3.80億円:売上対比1.45%)、松坂屋ストア51.80億円(0.22億円:売上対比0.42%)、その他である。

   このように、今回、たまたま、自宅近くにピーコックストア上池袋店がオープンし、グランドオープン前に見る機会があったが、以前、約1年半前に本ブログでも、取り上げた、大丸ピーコック東池袋店の時の店舗よりも、都心型食品スーパーマーケットとしての完成度が増したといえ、今後、新生J.フロントリテイリンググループの食品スーパーマーケット部門として、都心部をどのように開拓してゆくのか楽しみである。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1235人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 28, 2008

食品スーパーマーケット、今週の株価、厳しい状況!

   いよいよ、アメリカのサブプラムローンに端を発した金融危機が大詰めを迎えようとしている。アメリカ政府が本格的に公的資金約75兆円を投入し、不良債権を買い取る方向で話が進んでいるが、選択肢としては、かつて、日本が金融危機の時、実施したように、資本注入の方が現実的のように思える。要はバランスシートの左か右下かという話であるが、左の場合は不良資産の査定がサブプライムローンの場合は複雑な金融商品となっており、評価が難しく、政府が買い取った場合も、マイナス分の損失は特別損失として残り、資本が激減する恐れがあるからである。どのような決着になるか、そして、それがどのような事態になるか予断を許さない状況であるといえよう。このような中で、日本の食品スーパーマーケットの株価が今週どのような状況であったかを見てみたい。

   5日移動平均乖離率の状況であるが、今週最も下がったのはアークランドサカモトである。9/26現在、979円(-18円、-1.80%)となり、(5日移動平均乖離率-7.02%、25日-11.64%、13週-13.59%、26週-12.82%)という状況であり、小売業全体約400社で見ても10番目となった。実際、チャートを見ても9月前半は1,150円前後であったが、中旬以降株価は急降下しており、9/25にはとうとう1,000円を割り込み997円となり、そして、9/27、979円とさらに株価を下げた。9/19に減収増益の決算を公表しているので、この減収が投資家から嫌疑されたようであり、来週以降、どの辺で株価が落ちつくかが気になるところである。

   No.2はCFSであり、9/26現在、642円(-59円、-8.41%)と大きく下がり、(-6.95%、-2.13%、-4.46%、2.39%)という状況である。チャートを見ると、9/18から異変が起きており、この日、通常1万株前後の商いが一気に5万株以上の大商いとなり、前日比100円アップの728円と急上昇した。ただ、その後、今度は株価がじりじりと下がりはじめ、9/26突然大きく下がり、642円で引けた。このところ激しい商いが続いており、不安定な株価が続いている。No.3は平和堂である。9/26現在では1,490円(+13円、+0.88%)、と上昇しているが、前日の9/25、1,477円(-149円、-9.16%)と大きく落ち込み、(-5.75%、-9.47%、-9.20%、- 9.42%)と移動平均乖離率がすべての段階でマイナスとなる厳しい状況となった。チャート自体はここ数ケ月1,650円前後で推移していたので、この数日の急激な下落が株価全体を押し下げた格好となった。その最大の要因は9/24に公表された中間決算予想が減収減益となる厳しい予想であったことが大きかったといえよう。今後、しばらくは、下落傾向が続く可能性が高いといえ、どこで株価が落ちつくかが読みにくい状況といえよう。

   これについで、ベスト10まで、5日移動平均乖離率の大きい食品スーパーマーケットを見てみると、No.4ヤマザワ1,386円 (-5.65%、-6.60%、-5.77%、-5.58%)、No.5原信ナルスホールディングス1,028円(-4.99%、-4.01%、-5.25%、-5.68%)、No.6東武ストア355円(-4.31%、-5.83%、-6.08%、-4.31%)、No.7ダイイチ629円(-4.26%、-7.22%、-7.50%、-7.22%)、No.8マルエツ707円(-3.94%、-19.65%、-22.39%、-19.10%)、No.9ジョイス470円(-3.92%、-3.32%、-2.92%、-4.12%)、そして、No.10フジ1,679円(-3.89%、-1.81%、-5.78%、-5.99%)である。この中でも、特にマルエツの株価が大きく下がっており、8月までは株価は上昇しつづけ、一時は1,000円を超えていたが、9月に入り、株価は急落、ほぼ、右下がりに大きく下げ、9/26現在707円(-23円、-3.15%)となり、どこで落ち着くかが見えない状況である。マルエツの決算内容は良いだけに、業績とは無関係に株価が急落している状況である。

   これに対して、今週株価を大きく上げた食品スーパーマーケットを5日移動平均乖離率で見てみると、No.1は北雄ラッキーであり、9/26現在450円(+8円、+1.80%)となり、移動平均乖離率も(5.63%、3.44%、1.12%、2.04%)すべての段階でプラスで推移している。ただ、チャートを見ると、商いはあまり成立しておらず、ほぼここ数ケ月450円前後で推移しているのが実態である。No.2は大黒天物産であり、9/26現在、1,275円(+73円、+6.07%)と好調であり、移動平均乖離率も(5.45%、8.51%、25.24%、45.71%)とすべての段階でプラスであり、しかも、段階を追うにしたがって加速度が増している。実際、チャートを見ても、この数ケ月間ほぼ右上がりの直線で上昇しており、現在、食品スーパーマーケットの中でも最も注目の株価といえよう。No.3はマルキョウであり、移動平均乖離率は(2.39%、-0.53%、-3.81%、-5.77%)と5日のみプラスであり、実際、チャートを見ても、8月から株価は下がっており、この数日、株価が急騰したことが5日移動平均乖離率を引きあげた原因であるといえよう。

   このように、今週の食品スーパーマーケットの株価も先週同様、厳しい株価であるといえ、特に、ここ数日、株価が急落した食品スーパーマーケットが多いのが特徴である。来週からは、2009年2月度決算の食品スーパーマーケットの決算短信が公表される予定であり、株価が大きく動く時期である。これに、アメリカのサブプライムローンショックも加わるので、しばらくは先が読みにくい状況が続くといえよう。当面、今後の食品スーパーマーケットの株価の動向には注目といえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1232人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 27, 2008

日経MJ、新製品週間ランキング9/26、化粧品好調!

   9/26、恒例の日経MJ新製品週間ランキングが公表された。今週金額PI値No.1となったのは家庭用品部門の化粧品、マックスファクター、SK-Ⅱサインズリンクルセラム30gが初登場で金額PI値Aランクの561円となり、全新製品の中でトップとなった。ただし、カバー率は14.4%であり、対象45チェーン、250店舗の中ではわずか36店舗と、限られた店舗での数字である。化粧品は一般的に食品スーパーマーケットでは限られた店舗での販売となることが多い。それは、このSK-Ⅱでもそうだが、平均単価が12,966円と高額になるため、PI値が逆算すると561円÷1000人÷12,966円=0.004%となり、平均的な食品スーパーマーケットの1日当たりの客数2,000人では0.004%×2,000人=0.08個となり、約2週間に1個という数しか売れないことによる。したがって、この客数では、在庫過剰となり、少なくとも客数が1日当たり5,000人、できれば10,000人は欲しいところである。このような食品スーパーマーケットは限られてくるため、GMSタイプ、SCタイプの食品スーパーマーケットとなり、カバー率が落ちる傾向となる。

   家庭用品部門No.2も花王、ソフィーナボーテリンクル美容液25ml、初登場で金額PI値はBランクとなったが、419円となり、化粧品が上位を独占した。この商品も平均単価は4,553円と高額であり、カバー率は24.8%とやはり低い数字である。ちなみに、PI値を逆算すると0.009%とSK-Ⅱの2倍強あるが、それでも通常の食品スーパーマーケットで定番化するのは難しいPI値である。No.3は先週No.1であったP&Gのボールド1kgであり、金額PI値350円であった。ちなみに、平均単価は254円であるので、PI値を逆算すると0.13%であり、客数1日当たり2,000人で2.7個となり、十分に食品スーパーマーケットの定番としておけるPI値である。今週は家庭用品はベスト10の内、6品化粧品が入り、しかも、上位を独占し、なおかつ、No.1のSK-Ⅱは全新製品でトップという数字であり、化粧品が強い新製品週間ランキングとなった。

   今週、もうひとつ新たな動きがあったのはその他食品である。No.1に日清食品、カップヌードルシーフードカレー82gが初登場で金額PI値525円となる快挙である。カバー率も62.4%とまずまずであり、先週No.1のミツカン、金のつぶあらっ便利!超やわらか納豆とろっ豆45g×3個の金額PI値519円を抜いてトップとなった。先週比-220円となったことが大きく、それでも519円はAランクの数字であり、高い金額PI値である。No.3は同じく、ミツカン、金のつぶあらっ便利!におわなっとう45g×3個、金額PI値460円であり、先週比128円ダウンとAランクからBランクへ落ちたが、それでも高い金額PI値である。その他食品はこれ以外にはさほど大きな変動はないが、No.1にシーフードカレーが初登場No.1となったことが大きな動きであり、来週以降、どの辺で金額PI値が落ちつくか気になるところである。

   そして、先先週ぐらいから注目の菓子部門であるが、明治製菓のガルボチップスは先週4位から8位となり、金額PI値153円、先週比74円マイナスとまだ落ち着かない数字であり、もう数週間落ち着くまでにかかりそうである。やはり、広末のCM効果により、一旦はトップ、金額PI値も500円のAランクを超えたが、リピート購買に入るにしたがって、落ち着いた数字になりつつあり、金額PI値を維持する難しさが改めて明確になったといえよう。菓子部門のランキングに残る20位の金額PI値は115円であるので、今後、ガルボチップスがどこで落ち着くかが課題といえよう。今週の菓子部門No.1は、先週同様、ロッテ商事、プチブッセ<テイスティバニラ>8個、金額PI値477円であり、先週比51円マイナスである。カバー率は82.0%という高さであり、菓子部門としては、高い金額PI値であるといえよう。No.2もロッテ商事、チョコパイパーティパック9個、金額PI値270円であり、先週比26円と伸びており、注目である。ただ、No.1の金額PI値477円とはかなり差があり、今後、どこまで金額PI値を伸ばせるかが注目といえよう。

   これ以外の部門、飲料部門、冷凍食品部門であるが、飲料はここ数週間の新製品ラッシュが一段落し、今週はNo.2に入ったキリンビバレッジ、午後の紅茶スペシャル茶葉2倍ミルクティー460ml、金額PI値329円、1品のみであった。No.1は先週同様、日本コカ・コーラ、ファンタふるふるシェイカーが入ったが、金額PI値は先週比190円マイナスと大きく落ち込み、344円であった。今後、どこで金額PI値が落ちつくかが気になるところである。一方、冷凍食品部門では、上位には大きな変動がなかったが、No.5に先週25位から日本水産、たこ焼き22個440gが金額PI値144円で入るなど、アイスクリームから冷凍食品の新製品が上位をしめはじめ、今後、冷凍食品には注目といえよう。

   このように、今週の日経MJ新製品週間ランキングは化粧品がいきなり、全新製品No.1の金額PI値となったり、これまで好調であった飲料部門が低調になるなど、これまでとは少し、様相を呈しており、夏も終わり、いよいよ、秋になり、新製品の動向に変化が生じ始めたといえよう。今後、秋、そして、冬に近づき、どのような新製品が登場してくるか、来週以降も新製品ランキングに注目したい。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1232人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 26, 2008

丸和、2008年1月期中間決算、厳しい決算!

   9/24、九州、福岡の食品スーパーマーケットチェーン、丸和が2008年1月期の中間決算を公表した。売上高197.12億円(102.5%)、営業利益(-1.33億円)、経常利益(-3.01億円)、当期純利益(-1.47億円)と増収減益、赤字となる厳しい決算となった。丸和はこの4月に石原商事が連結子会社となったため、この中間期にはその売上、利益、資産、負債等が連結となり、前期中間決算とは財務構造が大きく変わっているが、今期の赤字決算となった背景には、この石原商事の連結よりも、外食産業の影響が大きかったといえる。

   丸和は食品スーパーマーケット事業以外にも外食産業、AE(アカウント・エグゼクティブ)事業、TR(トレーディング)事業等を行っているが、それぞれの売上構成比は食品スーパーマーケット事業92.8%、外食事業5.2%、AE、TR事業1.9%という状況であり、圧倒的に食品スーパーマーケットが事業の中核を占めている。ところが、この中間期の営業利益は、食品スーパーマーケット事業0.21億円(売上対比0.11%)、外食事業-1.60億円、AE、TR事業0.18億円(4.63%)となり、外食事業が赤字となり、その赤字分を食品スーパーマーケット事業、AE、TR事業でカバーできず、営業利益が赤字となってしまった。昨年中間でも外食事業は0.79億円の赤字ではあったが、この時は食品スーパーマーケット事業が3.32億円の黒字でカバーできていたが、今期は食品スーパーマーケット事業も厳しい決算となったため、外食事業の赤字がカバーできなかったことが、赤字決算となった要因といえよう。したがって、外食事業が依然として赤字経営であることもあるが、食品スーパーマーケット事業の収益が急激に落ち込んだことも、この厳しい中間決算の主な要因といえよう。

   そこで、食品スーパーマーケット事業の経営状況を見てみると、この中間期は石原商事を連結したことが売上、利益はもちろん、資産、負債、純資産にも様々な影響が出ていることがわかる。まず、売上面であるが、これまで丸和は46店舗であったが、石原商事の連結により、13店舗増え、59店舗体制になった。これが、この中間期102.5%と増収となった主な要因であり、連結による増収効果があったことがわかる。一方、経費であるが、昨年は23.5%であったが、今期は25.4%へと1.9ポイント増えており、売上増加分以上に固定費の圧縮が進まず、経費の大幅増となった。さらに、原価が76.0%から76.2%へと上昇し、0.2ポイントの粗利への圧迫が起こり、それに営業収入が昨年の1.0%から0.9%となり、0.1ポイントの減収となったことが加わり、結果、営業利益が赤字となった。石原産業の連結による経費増に加え、原価上昇、営業収入の減少も経営への圧迫となったといえよう。

   これに対し、資産、負債面であるが、石原商事を連結したことにより、前期本決算と比較し、資産面では68.43億円増加し、総資産が283.54億円となり、負債面でも69.87億円増加し、259.78億円となった。また、純資産面では赤字分が累積損にさらに加わり、1.44億円の減少となり、23.76億円となった。この結果、自己資本比率は11.0%からわずか8.4%となり、厳しい財務状況になったといえよう。今後、石原商事分の非継続物件の売却により、資産、負債の改善を図るというが、それ以上に、営業利益を黒字に改善し、累積損をいかに削減するかが急務といえよう。

   丸和の自己資本比率8.4%の中身を見てみると、負債面では長短借入金の合計が118.81億円と総資産の41.9%となり、借入金が大きく経営を圧迫している状況である。また、今回の石原商事の連結により長短の更生債権が47.48億円あり、これが総資産の16.7%ある。今後、いかに早く、この部分を圧縮するかが急務であろう。一方、資産面であるが、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金保証金の合計は229.59億円となり、総資産の80.9%と大半を占め、自己資本比率の8.4%は、その1/10という状況であり、完全に出店バランスが崩れている状況である。ちなみに、全59店舗で割ると3.89億円であるので、食品スーパーマーケットとしては極端に高い出店にかかわる資産ではないが、今後、いかに圧縮してゆくかが急務といえよう。

   ちなみに、丸和の株価であるが、この中間決算が公表された9/24は商いが成立せず、9/16の125円のままである。翌、9/25も商いが成立せず、9/25現在125円である。この125円は上場来最安値の株価であり、厳しい市場からの評価といえよう。丸和の株価はもともと、売買高が少なく、商いが成立しづらい状況が続いており、今年はじめには200円前後で推移していたが、本決算公表後、一時140円前後まで下がり、その後、4月以降は170円前後で推移していた。これが9月に入り、株価が急落、この中間決算前の9/16には125を付け、その後、商いが成立しない状況が続いている。

   このように、丸和の中間決算が9/24公表されたが、4月の石原商事の連結が経費、負債、資産面に大きな影響を与えており、経営を圧迫している状況といえよう。これに、経営環境の厳しい外食の不振が加わり、今後、経営の抜本的な見直しが急務といえよう。丸和の現在の親会社は41.2%の株式を保有する広島のユアーズであるが、今後、ユアーズがどのような経営判断を下すかに注目である。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1232人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 25, 2008

コンビニ売上速報、2008年8月度、既存店105.3%!

   8/22、日本フラインチャイズチェーン協会(JFA)から、2008年8月度のコンビニの売上速報が公表された。この売上は協会加盟の正会員11社、エーエム・ピーエム・ジャパン、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの売上集計であり、総店舗数は41,645店舗(昨対101.5%)であり、日本のコンビニの大半を網羅しているといえよう。その売上であるが、全体では7,342.52億円(昨対107.5%)、既存店では6,784.79億円(105.3%)となり、特に、既存店、約40,000店舗での数字であり、高い伸び率である。

   ただ、7月度までの数字を見ると、7月114.0%(既存店111.7%)、6月106.4%(既存店104.2%)、5月105.8%(既存店103.7%)、4月102.0%(既存店99.8%)、3月101.5%(既存店99.4%)という状況であり、7月から比べるとだいぶ落ち着いた数字であり、6月度に近い数字である。ちょうど、7月にはtaspoカード対応成人識別たばこ自動販売機の第3次エリア、関東地方・沖縄県(1都8県)が稼動開始し、結果、全国47都道府県のたばこ自動販売機が「成人識別たばこ自動販売機」になったこともあり、さらに、これに猛暑も加わったため異常値となったが、8月度はtaspoも猛暑も落ち着いたため、数字が安定したといえよう。ただ、それでも、小売業で既存店が約40,000店舗平均で105%を超えるのは極めて高い伸び率といえ、コンビニは現在、大きな追い風が吹いているといえよう。

   今回、コンビニの売上が伸びた要因を客数と客単価、そして、部門別売上の関係から見てみたい。まず、客数であるが、全体では1億2,229.67人(昨対105.6%)、既存店で1億1,405.16人(昨対103.7%)という伸びであり、客単価は全体では600.4円(昨対101.8%)、既存店は594.9円(昨対101.5%)であるので、客数が大きく伸びての売上アップであることがわかる。したがって、これまでよりも、新規顧客と既存顧客の来店頻度がアップしたと推測できる。では、その要因となった商品と商品別の売上を見てみると、日配食品(構成比34.8%、昨対101.9%)、加工食品(構成比30.5%、昨対98.1%)、非食品(構成比31.2%、昨対127.7%)、サービス(構成比3.5%、昨対101.3%)、合計(構成比100.0%、昨対107.5%)という状況であり、非食品が牽引し、それが、全体の売上を押し上げたことが分かる。

   非食品とは、雑誌、書籍、新聞、衣料品、袋物類、文房具、ブラシ、玩具、雑貨、たばこ、ペットフード、乾電池、テープ、CD、電球・蛍光灯、電卓、燃料、人形、サングラス、履物、園芸用品、ゲームソフト、花火、洗剤、化粧品、医薬品、医薬部外品栄養ドリンク、陶磁器・ガラス器、金物、紙製品、フィルム、切手、はがき、収入印紙、装身具等であり、まさに、この中のたばこがtaspo効果により大きかったと推測される。たばこの購入場所の需給バランスが崩れたことがコンビニ全体の売上構造を超える結果となったといえ、taspoの効果をまざまざと見せつけた結果であるといえよう。

   ちなみに、これをコンビニ1店舗分に換算してみると、既存店の店舗数が約40,000店舗、客数が約1億1,400万人であるので、1店舗当たり1日に換算すると約900人である。客単価が約600円であるので、1日の売上は約54万円である。したがって、現状のコンビニ像は1日約900人のお客さまが来店し、約600円のお買いものをしていただき、結果、約54万円の売上があがるというビジネスであるといえる。これが昨年から約105%伸びた数字であるので、客数で約40人強、売上で約3万円弱増加したというのが、taspo効果といえよう。結果、日本中のたばこの自動販売機の売上が大きく落ち込んだことになり、コンビニの競合は実はコンビニよりもたばこの自動販売機であったともいえる結果が出たということにもなる。ということは、飲料の自動販売機もコンビニにとっては競合であるという推測もなりたち、自動販売機とコンビニは競合関係であることが、今回のtaspoによって、浮かびあがったともいえる。

   これを受けて、8/22後の初の営業日、8/24のコンビニ各社の株価であるが、ファミリーマート4,080円(+500円、+13.96%)、ローソン4,750円(+410 円、+9.44%)、サークルKサンクス1,691円(+49円、+2.98%)と主要3社の株は上昇に転じており、特に、ファミリーマートは10%を優に超える急上昇であり、加熱気味である。チャートを見ても、8月以降株価が下がっていただけに、ここへきて、急反発であり、今後、注目といえよう。また、ローソンについても、8月以降、同様に下がっていたところでの急反発であり、ローソンについても今後の株価は注目といえよう。

   このように、コンビニ業界は先先月、6月度ぐらいからtaspoの効果が鮮明になり、先月、7月度が猛暑も加わり、110%を超えるピークとなった。そして、懸念された8月度であったが、6月度よりも上昇幅は大きく既存店で105%を超えており、今後、この105%が基準となって、今後の売上がどの辺で落ち着くかが課題となるが、3か月好調がつづき、ピーク後の反動も軽微であることから、このまま好調さを維持する可能性が高くなったといえよう。すでに、半期がすぎたが、今期のコンビニは好調な決算が期待できそうである。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1232人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 24, 2008

食品スーパーマーケット、中間決算報告はじまる!

   食品スーパーマーケット業界の中間決算の発表がはじまった。食品スーパーマーケットの決算は大半が2月度決算であるが、数社1月度決算の企業があり、その1月度決算の食品スーパーマーケットの中間決算の公開が先週ぐらいからはじまった。2月度決算の食品スーパーマーケットは来月中旬以降がピークとなる予定である。さて、1月度の決算企業であるが、今回公表があった食品スーパーマーケットはマックスバリュ中部とマックスバリュ北海道である。この2社は食品スーパーマーケットの中でもめずらしい1月度決算であり、先週、食品スーパーマーケット業界の先陣を切っての中間決算の公表であった。

   その結果であるが、マックスバリュ中部は、営業収益564.80億円(103.3%)、営業利益7.36億円(200.2%:営業収益比1.30%)、経常利益8.05億円(218.4%:営業収益比1.42%)、当期純利益1.59億円(昨年赤字)と増収増益の決算となったが、利益率は1%台と伸び悩んでいる。一方、マックスバリュ北海道は、決算期変更のため昨年と比較できないが、営業収益373.83億円、営業利益-0.98億円、経常利益-0.66億円、当期純利益3.73億円(営業収益比0.99%)と当期純利益は黒字となったが、営業利益、経常利益は赤字となる厳しい決算となった。なお、通期に関しては、マックスバリュ中部は、営業収益1,120.00億円、営業利益17.50億円(営業収益比1.56%)、経常利益17.50億円(営業収益比1.56%)、当期純利益4.00億円(営業収益比0.35%)の増収増益予想である。一方、マックスバリュ北海道に関しても、営業収益800.00億円(154.3%)、営業利益8.00億円(171.6%:営業収益比1.00%)、経常利益8.10億円(159.0%:営業収益比1.01%)、当期純利益7.00億円(411.9%:営業収益比0.87%)と利益率は1%と低いが、増収増益の予想である。
   
   また、両食品スーパーマーケットの自己資本比率を見ると、マックスバリュ中部は31.1%(昨年30.6%)、マックスバリュ北海道は25.4%(30.6%)と、どちらも、食品スーパーマーケットとしては低い数字であり、借入に依存せざるをえない出店構造となっている。特に、マックスバリュ北海道が昨年と比べ、自己資本比率が急激に悪化しており、この4月に吸収合併したジョイが財務的には現段階では影響を与えており、この状況を改善する意味でも、M&A効果をいかにプラスにもってゆくかが当面の経営課題といえよう。M&Aは売上を拡大する意味では大きな効果を生むが、財務状況が思わしくない企業を買収した場合は、自己資本比率が下がり、次の成長戦略に支障をきたす場合があり、いかに財務面への影響を最小にとどめるかが課題であるといえよう。
   
   さて、ここで、この中間決算時において、この2社が値上げ問題の影響が決算数字にどのように表れているかを見てみたい。まず、マックスバリュ中部であるが、原価、粗利、経費、そして、営業利益の状況であるが、原価は75.1%(昨年75.2%)と0.1ポイント改善している。この値上げ攻勢の中、0.1ポイントの原価改善は仕入努力、PBの強化等の結果といえよう。結果、粗利は24.9%(昨年24.8%)と0.1ポイント改善し、さらに、不動産、物流収入等が0.1ポイント増え、営業総利益は27.4%(昨年27.2%)と0.2ポイントの改善となった。一方、経費であるが、26.1%(昨年26.5%)と、さらに0.4ポイント改善し、結果、粗利と経費、ダブルでの改善となり、営業利益が1.3%(昨年0.7%)と0.4ポイントの改善となり、増益となる好決算となった。マックスバリュ中部に関しては、昨年と比べ、この値上げ環境の中、原価を引き下げ、さらに、経費も引き下げ、結果ダブルでの改善となり、営業利益を押しあげる好決算となった。
   
   これに対して、マックスバリュ北海道であるが、原価は76.1%(昨年76.6%)と0.5ポイントと大幅に原価を改善しており、マックスバリュ中部以上に原価の改善が大きく進んだ。結果、粗利は23.9%(昨年23.4%)と0.5ポイント改善したが、不動産収入、物流収入等が0.3ポイント下がったため、営業総利益は25.7%(昨年25.5%)と0.2ポイントの改善にとどまってしまった。一方、経費であるが、26.0%(昨年24.5%)と1.5ポイントと大幅に上昇し、結果、営業利益は-0.3%(昨年1.0%)と営業赤字に転落した。原価は改善できたが、残念ながら、経費が大幅に上昇したため、営業利益のバランスが崩れてしまい、赤字転落となってしまったといえよう。ただ、北海道の競争は一層厳しさを増しており、最近ではトライアルカンパニーがカウボーイと業務提携し、北海道1号店の出店を果たすなど、低粗利競争は一層進むものといえよう。したがって、よりローコスト経営、すなわち、経費削減が大きな課題といえ、今後、マックスバリュ北海道はいかにローコスト経営の経営改革に踏みきれるかが課題となろう。
   
   このように、マックスバリュ中部とマックスバリュ北海道の中間決算を見てみたが、この値上げ環境の中でも両食品スーパーマーケットとも原価の改善がなされており、粗利率の向上が見られる。特にマックスバリュ中部は経費の改善も進み、結果、営業利益が増益となったが、マックスバリュ北海道は逆に、経費が大幅に増加し、赤字に転落してしまった。まさに、経費比率で経営の明暗が分かれたといえ、今期、この不透明感の経営環境の中では原価改善はもちろんであるが、いかに、経費削減、ローコスト経営に徹することができるかが、両食品スーパーマーケットを見る限り、利益の明暗を分けるポイントであるように思える。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1228人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 23, 2008

現場のためのID-POS活用のポイント!

   食品スーパーマーケット業界のID-POSの時代が真近に迫ってきたように感じる。来月から、私のクライアント、数店舗の食品スーパーマーケットチェーンであるが、ID-POSの運用がはじまる。これまでもポイントカードは導入していたが、そのデータをマーチャンダイジングに活用することができない状況であったが、今回、システムを一新して、ポイントカードのIDデータとPOSデータとのリンクが可能となり、ID-POS分析が可能となった。いま、そのシステムの最終調整に入っているが、恐らく、この10月からはID-POS分析が可能となろう。

   POS分析とID-POS分析では何が決定的に違うかであるが、最大の違いはレシート1枚1枚にIDが振られることである。この1点がPOS分析とID-POS分析の決定的な違いであり、これによって分析の幅が広がり、これまで見えなかった世界が見えるようになり、新たなマーチャンダイジングの政策が企画立案できるようになることである。当然PI値分析もこれまでの金額PI値=PI値×平均単価から、この金額PI値そのものをより深く分析することができるようになる。金額PI値はそもそも、レシート1枚当たりの売上金額である。金額PI値=売上金額÷客数であり、この客数がPOS分析ではレシート枚数であるので、金額PI値=売上金額÷客数(=レシート枚数)となるので、金額PI値はレシート1枚当たりの売上金額ということになる。

   では、この金額PI値にIDがつくとどうなるかであるが、レシート1枚1枚にIDが振られるので、これまで、あるIDのレシートがある期間に2枚、3枚あってもこれを区別することができなかったため、金額PI値を掘り下げることは、ID、顧客視点という観点からはできなかった。ただ、商品視点という観点からであれば、金額PI値を掘り下げることはできたが、そこまで掘り下げているPOS分析は皆無に近い状況であったのが実情である。実は、商品視点から金額PI値を掘り下げるのも、顧客視点、すなわち、ID視点から金額PI値を掘り下げるのも、理論的には全く同じであり、POS分析から、金額PI値を掘り下げる仕組みがもっと実用化されてもよかったと思うのだが、現実は、単純な金額PI値止まりであるのが実状である。恐らく、今後もこの商品視点からの金額PI値の掘り下げはなかなか進まず、一気に、顧客視点、すなわち、ID視点からの金額PI値の掘り下げが先行し、これが、商品視点を包み込んでしまうのではないかと思う。実際、今回、私のクライアントで起こっている現実はまさにこの方向である。

   そこで、この顧客視点、すなわち、ID視点からの金額PI値の掘り下げのポイントであるが、結論からいえば、金額PI値とIDの関係を導くことにあり、数式ではID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値となる。この数式がID-POS時代の新たなマーチャンダイジング方程式の基本となる。ここで、ID客数PI値は、ID数÷客数(レシート枚数)であり、ID金額PI値は売上金額÷ID数である。したがって、これまでの金額PI値の研究成果が無駄になるわけではなく、むしろ、ID客数PI値によって、ID-POS分析に組み込まれることになる。
   
   この数式の重要性は、これまで、マーチャンダイジングは金額PI値を引きあげることが重要なテーマであった。そして、そのためには、金額PI値=PI値×平均単価であるので、PI値を引き上げるか、平均単価を引き上げるか、あるいは双方を引き上げるかが重要な課題であった。これが、ID金額PI値では、それにもうひとつの指標、ID客数PI値をひきあげることが、さらに、マーチャンダイジングにとって重要であるということを示していることである。数式からもわかるように、金額PI値だけがあがっても、ID客数PI値が下がってしまったら、ID金額PI値は落ちる場合があるからである。あるいは、逆に、金額PI値が下がっても、ID客数PI値が上がれば、ID金額PI値はあがるということであり、必ずしも金額PI値のアップだけにこだわる必要はなく、場合によっては金額PI値を落として、ID客数PI値を引き上げる戦略的なマーチャンダイジングもありということなる。
   
   ここで重要なことは、ID客数PI値であり、この指標がID-POS分析の最重要指標であるということである。したがって、ID-POS分析にあたっては、まず、IDを把握し、そのIDのレシートが何枚であるかを、正確に把握することが最重要課題であり、それが把握できたならば、そのIDのレシート枚数を増やす、すなわち、来店頻度を引きあげることに全力を傾け、その後、そのレシート当りのPI値(購入点数)と平均単価(購入単価)を引き上げる金額PI値アップへ取り組むということがポイントとなることである。
   
   したがって、現場がID-POS分析ができるようになったならば、まず、取り組むべきは、自分の担当する商品のID数とそのレシート枚数の把握であり、それを把握したら、各IDのレシート枚数をいかに増やすか、すなわち、ID客数PI値(来店頻度)を引きあげるかを必死で考え、その次に、これまでどおり、金額PI値=PI値×平均単価にそって金額PI値アップに取り組むことがポイントとなる。また、ID金額PI値が上がってきたら、IDそのものも増やすことも、現場の課題である。これまでは客数を増やすことがなかなかイメージできなかったが、自分の管理する商品のIDを増やすことは誰でも可能であり、結果、これが、店舗全体の来店頻度アップにつながり、客数アップにつながってゆく。ID-POSはその意味で、金額PI値を包み込み、新たに、客数をも増やす戦略的なマーチャンダイジングが可能になる分析とえいよう。来月以降のこの食品スーパーマーケットでの取り組みが楽しみである。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1228人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 22, 2008

売上速報8月度、食品スーパーマーケット、104.7%!

   食品スーパーマーケットの2008年8月度の売上速報を集計した。現在、食品スーパーマーケットの上場企業は約50社強であるが、その中で、毎月、売上を公表しているのは約20社強である。店舗数では、九九プラスの約850店舗を含め2,500店舗を優に超えるので、食品スーパーマーケットの先行指標としては十分な数字といえよう。その売上であるが、ここ最近、食品スーパーマーケットの売上は好調に推移しており、今年に入り、1月から7月まで106%前後で推移していたが、8月度は104.7%となり、やや伸び率が下がったのが気になるところだが、依然として好調な売上を維持しているといえよう。食品スーパーマーケットは現在、値上げ問題により、内食回帰が鮮明であり、追い風が吹いているといえ、売上に関しては当面、好調さが続くものと予想される。

   このような状況の中で、No.1となったのはマックスバリュ中部である。120.4%という高い伸び率であり、昨年10/1に吸収合併したマックスバリュ名古屋の売上がオンされてから、売上は好調である。ただ、既存店が99.2%と昨対を割っており、特に、客数が99.1%と客単価の100.2%と比べ下がっているのが気になるところである。マックスバリュグループは中部に加え、西日本、東海も好調であり、マックスバリュ西日本がNo.3、109.3%、マックスバリュ東海がNo.4、108.6%と上位を独占している。ただ、東北、北海道は苦戦しており、マックスバリュ東北はNo.14、102.1%、マックスバリュ北海道はNo.23、96.7%と昨対を割ってしまった。マックスバリュグループは西高東低の状況といえ、明暗が分かれた結果となった。

   No.2は大黒天物産であり、115.3%である。大黒天物産はここ最近、新規出店を抑制しており、今年に入っては、まだディオ玉島店(8月)のみであり、昨年の12店舗に比べると大きく新規出店を抑えているといえよう。ただ、その分、既存店の活性化には力を入れており、店舗のリニューアルに加え、毎月100品以上のNBを値下げするなど、価格訴求にも力を入れている。その結果、既存店は106.1%と絶好調であり、今回集計食品スーパーマーケット約20社強でダントツのトップである。食品スーパーマーケットで既存店が105%を超えることはまれであり、大黒天物産はここへきて明らかに好調といえよう。これを受けて、株価も絶好調であり、食品スーパーマーケットの中では、このリーマンショックの中でも株価は持ち直しつつあり、ここ数ケ月の推移は右上がりのきれいな上昇カーブで推移している。今後の大黒天物産には注目といえよう。

   No.5はPLANTである。108.5%と7月と5月の新規出店が数字を押し上げており、売上は好調であった。ただ、既存店は96.1%と厳しい状況であり、特に、既存店の客数が95.2%と伸び悩んでいる。同じスーパーセンタータイプのアークランドサカモトも98.2%とNo.22と苦戦しており、既存店も92.0%と厳しい状況である。ここへきて、食品スーパーマーケットは好調さが続いているが、スーパーセンタータイプは食品以外の数字が厳しいようで、特に既存店の活性化が課題といえよう。
 
   これ以外の主な食品スーパーマーケットとしては、No.6ハローズ108.4%(既存店99.9%)、No.7マルエツ106.9%(既存店101.9%)、No.8バロー106.3%(既存店99.2%)、No.9ヤオコー105.7%(既存店101.6%)、No.10ダイイチ105.7%(既存店99.8%)、No.11九九プラス105.1%(既存店101.7%)と、以上が105%以上の食品スーパーマーケットである。少し気になるのはいずれも既存店が伸び悩んでおり、新規出店により、売上を押し上げている点である。内食回帰の状況からすれば、もっと既存店が伸びても良いと思うが、この8月度はやや既存店が伸び悩んでいる状況といえよう。
 
   また、売上は105%を下回った中で、気になる食品スーパーマーケットをいくつか見てみると、まず、オオゼキであるが、102.6%(既存店102.6%)と相変わらず、新規出店がない状況が続いており、既存店のみとなっている。同様に、スーパーバリューも102.1%(既存店102.1%)と、既存店のみの数字である。ヤマザワもここへ来て伸び悩んでおり、100.9%(既存店99.5%)と厳しい数字である。さらに、ユニバースも101.9%(既存店98.9%)と伸び悩んでいる。こう見ると、先に見たマックスバリュ東北、北海道を含め、全体的に東北、北海道地区の食品スーパーマーケットが伸び悩んでいる傾向が出ているようである。
 
   このように、この8月度の食品スーパーマーケットの売上速報を見ると、これまでの7月までの好調さにやや陰りが見え始めたようであり、特に、東北・北海道地区での売上の伸び悩みが見られるようである。値上げ問題は若干落ちつきつつあるとはいえ、秋の小幅値上げがまだ控えており、今年いっぱいは値上げ基調が続くものといえよう。したがって、内食回帰はほぼ定着し、食品スーパーマーケットとしては追い風の中での商売となるので、売上はしっかり確保したいところである。ただ、ここへ来て、リーマンショックに象徴される金融恐慌の動きが消費への不透明感を増しており、ここ数ケ月は消費へどのような影響がでるか読めない状況といえいえよう。当面、消費動向をしっかり見つめながら、消費状況に応じた的確なマーチャンダイジングの対応が必要といえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1228人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 21, 2008

食品スーパーマーケット今週の株価、リーマンショック?

    アメリカのサブプライムローンに端を発する金融パニックの余震が続いている。今週はアメリカ第4位の証券会社、150年の歴史をもつリーマン・ブラザーズが倒産においこまれるという事態になり、これが契機となり、世界中の株式相場が暴落という事態になった。その後、保険会社AIGにも同様の問題がおこり、アメリカ政府は、リーマン・ブラザーズの対応とは一転、公的資金を投入しての救済に踏み切った。そして、次は、アメリカ第2位のモルガンではという疑心暗鬼の中、依然として、アメリカの金融情勢は不透明さを増す一方である。このような中、今週、9/19の日本の食品スーパーマーケットの株価はどのような動きを示したのかを見てみたい。

   まず、このリーマン・ブラザーズショック以降、株価を大きく下げた食品スーパーマーケットを5日移動平均乖離率(短期)の指標をもとに見てみたい。食品スーパーマーケット業界No.1の下げ率となったのは、マルエツである。9/19の終値は754円(-37円、-4.67%)となり、5日、25日、13週、26週の移動平均乖離率は(-9.26%、-17.23%、 -18.39%、-14.51%)となり、すべての段階でマイナスとなる大幅な下落となった。上場小売業約400社の中でも4位となる下げ率であり、これまで大きく上昇していただけに、下げ幅も大きかった。実際、チャートを見てみると、今週の株価は9/16(902円)、9/17(818円)、9/18(791円)、そして、9/19(754円)と、まさに、リーマン・ブラザーズショックをもろに受けた急激な下げとなった。

   マルエツについで、下げ幅がNo.2となった食品スーパーマーケットはアークスである。9/19現在1,316円(-60円、-4.36%)となり、移動平均は-8.80%、-11.26%、-10.59%、-8.03%とすべての段階でマイナスであり、全小売業の中でも5位となる大きな落ち込みである。チャートを見ると、9/16以降、株価は急降下しており、9/16(1,489円)、9/17(1,485円)、9/18(1,376円)、9/19(1,316円)という状況である。9/16前の株価、9/12が1,549円であったので、わずか数日で200円強のダウンとなる下げである。

   この2社についでNo.3の下げ幅となったのが、ヤオコーである。小売業全体では19位と、マルエツ、アークスに比べ、下げ幅は小さいが、移動平均を見ると、-4.84%、-6.07%、-5.78%、2.26%であり、26週ではプラスとなっているが、5日の短期ではマイナスである。実際チャートを見てもこの週は下がってはいるが、ここまでの下げは、この数カ月の間に数度あり、9/19の3,340円 (-150円、-4.29%)の3,300円台は、ここ数ケ月間のほぼ平均に近い数字である。5日移動平均の下げ幅は大きかったが、ショックはマルエツ、アークスよりも小さいといえよう。

   以下、これについで、5日移動平均での下げの大きかった食品スーパーマーケットを見てみると、サンエー(-2.52%、2.84%、-1.58%、-0.43%)、バロー(-2.19%、-9.50%、-11.58%、-16.96%)、PLANT(-2.09%、-5.72%、-9.67%、-11.67%)、マックスバリュ東北(-2.04%、-6.03%、-7.71%、-7.07%)、マックスバリュ東海(-1.77%、-8.96%、-12.21%、-12.67%)ユニバース(-1.68%、-5.05%、-9.03%、-8.20%)、ベルク(-1.23%、-6.61%、-9.09%、-5.23%)などであり、以上がベスト10である。

   この中で、気になるのがバローである。バローは9/19の終値が847円(+12円、 +1.43%)と上昇に転じているが、前日の9/18の835円は上場来最安値を更新しており、各段階の移動平均を見てもわかるように株価が加速度を増して急落しているのがわかる。実際、チャートを見てみると6月頃は1,000円を超えていた株価がほぼ右下がりの傾向で下落しており、特に、8月中旬以降は大きく株価を下げており、今後の動向が気になるところである。

   これに対して、このリーマン・ブラザーズショクの中で株価が上昇した食品スーパーマーケットであるが、ドミーが筆頭である。ただ、9/19現在の株価は634円(前日比なし)となったが、リーマン・ブラザーズショック期間は取引が成立せず、値がつかなかった。ただ、移動平均の推移は(14.44%、36.34%、19.62%、20.53%)とすべてプラスであり、特に5日、25日は大きくプラスとなっており、今後の株価が気になるところである。

   ついで、CFS(7.08%、10.07%、5.02%、13.96%)、イズミ(6.46%、3.80%、-0.25%、-3.06%)、大黒天物産(6.21%、2.34%、20.77%、39.15%)、フジ(4.54%、4.24%、0.27% 、0.44%)と続く。この中で大黒天物産は9/16はやや株価を下げたが、その後、株価は上昇しはじめ、9/19現在、1,180円(+34円、+2.96%)とプラスで推移している。今後の株価に注目である。

   このように、この1週間はリーマン・ブラザーズショックをもろに受けた1週間であったが、全体としては、株価は下落基調であり、食品スーパーマーケット業界では特にマルエツ、アークスが大きな影響であったといえよう。ただ、その中でも、大黒天物産のようにすぐに上昇に転じた株価もあり、明暗が分かれる形となった。今後、まだ、アメリカの金融情勢は安定していない状況が続いており、来週以降も、食品スーパーマーケットの株価は大きな影響を受ける可能性が高く、当面、株価動向には食品スーパーマーケット業界はもちろん、全体としても注目といえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1228人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 20, 2008

日経MJ新製品ランキング、9/19、金のつぶトップ!

   ここ最近、金額PI値Aランク500円を超える新製品が増え始めた。今週も4品Aランクの新製品が登場し、No.1となったのは、その他食品部門のミツカン、金のつぶあらっ便利!超やわらか納豆とろっ豆45g×3個、金額PI値739円であった。先週比365円高という異常値であり、カバー率も全対象45チェーン、250店舗の大半をカバーする78.8%での数字であり、高い数字である。初登場が8/31であるので、すでに、3週間目となって、まだ伸び続けており、今後、期待がもてる新製品といえよう。ちょうど、同じ時期(8/24初登場)、広末のCM効果で金額PI値500のAクラスとなった明治製菓のガルボチップスは今週の金額PI値は227円となり、先週比253円の大幅ダウンとなった。

   通常はこのように、はじめの2週ぐらいまではCM効果などにより、金額PI値500円のAランクを優に超えることもあるが、その後、3週、4週と時間とともに、急激に金額PI値がダウンし、なかなかAランクの500円の金額PI値を維持することは難しいのが実態である。もう一品、飲料部門の先週No.1であった8/29初登場の日本コカ・コーラ、ファンタふるふるシェイカーレモン190mlは先週比284円マイナスとなる534円であった。ただ、金額PI値はAランクぎりぎりを維持しており、ランキングは飲料部門ではNo.1であり、来週以降、どの辺で落ち着くかが気になるところである。この2つの事例のように、金額PI値500円はCM等により、一時的には超えることは可能ではあるが、そこから、Aランクを維持し続けることは至難の業であり、その意味で、今週の金のつぶは今後が期待できる大型商品の可能性を秘めているといえよう。

   この、その他食品部門では、同じミツカンの金のつぶあらっ便利!におあなっとう45g×3個が金額PI値588円のAランクでNo.2に入っており、しかも先週比167円であり、金のつぶシリーズは両方とも期待できる新製品といえよう。おもしろいことに、先週はこの新製品がNo.1であったので、先週のNo.1とNo.2が入れ替わっており、No.1の先週比365円はすごい数値であり、来週以降、再逆転があるのか興味深いところである。その他食品部門では、No.14に先週135位からNo.14へと急浮上したタカノフーズ、ふんわり40g×3も納豆であり、金額PI値155円とCランクの200円を切ってはいるが、先週比115円と大きく伸びており、ここへきて、納豆がおもしろい動きを示しているといえよう。

   また、金額PI値Aランクの500円を超える新製品が今週はもう一品あり、菓子部門のロッテ商事、プチブッセ<テイスティバニラ>8個が今週初登場、金額PI値528円であった。菓子部門の500円は極めて高いランキングであり、No.2が金額PI値244円の同じくロッテ商事のチョコパイパーティパック9個であるので、いかに高い数字かがわかる。ただ、ガルボチップスの事例もあり、来週、再来週ともう数週間みないと金額PI値Aランクを維持できるかどうか見守る必要があろう。先週はもう一品、金額PI値Aクラスの500円を超える新製品があった。花王、アタック1kgであるが、残念ながら、初登場から規定の13週を超えたので、今週から新製品ランキングをはずれることとなった。変わって、家庭用品部門No.1となったのは、P&G、ボールド1kgであり、先週3位からの上昇である。ただ、金額PI値は先週比74円アップではあるが、360円であり、Bランクである。

   以上、金額PI値500円のAクラスを超える新製品であるが、やっと、新製品ランキングでも、金額PI値Aランクの500円を超えるものがではじめ、全体としてアクティブなランキングになってきたといえよう。

   今週は、この新製品以外にも、Aランクではないが、興味深い動きをしている新製品をいくつか見てみたい。その筆頭が冷凍食品部門である。冷凍食品部門は金額PI値自体はあまり大きなものはないが、今週はNo.1のハーゲンダッツジャパン、ミニカップメープルクッキー120ml、金額PI値298円から、No.2ロッテアイス、爽<赤ぶどうヨーグルト味>190ml、金額PI値160円、No.3日本水産、大きな大きな焼きおにぎり6個480g、金額PI値159円、さらに、No.8の日本製粉、オーマイプレミアム海老とあさり味わい塩スパゲテッィ280g、金額PI値114円まですべての8品が先週比の数字を伸ばしており、好調な部門である。また、その他食品部門もNo.8、No.9の新製品以外、全20品の内、18品が先週比をクリアーしており、この部門も絶好調といえよう。その他の部門は残念ながら、約半分は先週比がクリアーできていないところをみても、新製品が先週をクリアーすることはいかに難しいかがわかる。

   このように、今週の新製品週間ランキングは金額PI値500円を超えるAランクの新製品が4品登場し、全体としても、その他食品部門、冷凍食品部門等、部門全体で好調な動きとなる部門も出てきており、新製品が全体としてアクティブに動き始めたといえよう。今後、各部門で秋の新製品が数多く登場してくることも予想され、新製品週間ランキングの来週以降も注目といえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1224人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 19, 2008

事故米、コンビニ、食品スーパーマーケットの惣菜直撃?

   9/18、中日新聞が報じたところによれば、「コンビニにも汚染米 シノブフーズ、赤飯おにぎりに(2008年9月18日 夕刊)」という見出しのもと、次のような記事が掲載された。「汚染された事故米の転売問題で、大阪市の食品加工会社「シノブフーズ」の名古屋工場(愛知県弥富市)に米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)と接着剤製造会社「浅井」(名古屋市)のもち米約6800キロがブレンドされた形で主食用に転売されていたことが、農林水産省と愛知県の調査で分かった、・・」とのことで、いよいよ、事故枚の問題が、コンビニ、食品スーパーマーケットの惣菜へ波及しはじめたといえよう。今回のシノブフーズのケースは、特に、三笠フーズからの混入だけでなく、浅井からの混入という両ルートからの混入であり、これは初めてのケースであるという。さらに、中日新聞によれば、「もち米は同工場で赤飯のおにぎりに調理され、東海3県などに出荷された。東海農政局と愛知県が15日に同工場に立ち入り調査を実施。販売先は広域に及ぶとみられ、追跡調査を続けている。・・」とのことである。

   これについて、シノブフーズは、少し長いが、誤解を避けるために、そのまま引用すると、「この度の三笠フーズをめぐる「事故米」に関して、弊社と致しまして、仕入先への照会を通じ、当該「事故米」混入の事実は全く無いことを当初確認しておりましたが、その後の農林水産省の追跡調査により、弊社名古屋工場の仕入先である株式会社京山が納入した「もち米」の一部に、「事故米」が混入した恐れがあるとの指摘を農林水産省農政局から受けたことが判明致しました。株式会社京山の説明によれば、平成20 年2 月13 日から平成20 年8 月5 日までの間に弊社に納入した「もち米」の一部に「事故米」が混入した疑いがあるとのことで、それらは、本年2 月~8月の間、弊社名古屋工場で製造販売致しました「赤飯」および「おこわ」の一部商品に使用されており、当該商品はすべて8 月上旬までに完売しております。なお、株式会社京山との「もち米」取引は既に中止しており、現在弊社名古屋工場で使用しております「もち米」についても、保健所の調査で「問題ない」旨のご確認をいただいております。また、お客様からの健康異常についての情報は、これまでのところ届いておりません。この度は、皆様には、多大なご迷惑とご心配をお掛け致しましたこと、心よりお詫び申し上げますとともに、今後の再発防止に向け、仕入先の厳選と管理体制の更なる強化に取り組んで参る所存でありますので、何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。」と、コメントしている。

   ここで、今回の事故米における最新状況を見ておきたい。これに関しては、食品スーパーマーケット最新情報のブログでも「PI研究所」の中に「PI研:資料集」というコーナーを作ったので、そちらで詳細はご確認ください。ここでは、その中の、農林水産省の公表資料をもとに最新状況を見てみたい。

   まず、9/16に、「事故米穀の不正規流通に関する調査結果の中間報告についてお知らせします。・・」と題し、中間報告資料一式、大臣談話、談話のポイントが公表された。9/12には「非食用の事故米穀の全国一斉点検を実施中ですが、三笠フーズ株式会社(本社:大阪市北区梅田1丁目1番3-B200号)による事故米穀の流通経路に関して、現時点で判明したことについて、公表します。・・」とのコメントとともに、三笠フーズ(株)による事故米穀の流通経路が公表された。そして、その前日、9/11には、「農林水産省は、非食用の事故米穀の全国一斉点検を実施中ですが、三笠フーズ株式会社(本社:大阪市北区梅田1丁目1番3-B200号)、株式会社浅井(本社:愛知県名古屋市瑞穂区弥富通一丁目2番地の1)及び太田産業株式会社(本社:愛知県宝飯郡小坂井町大字小坂井字欠山94の1)による事故米穀の流通経路に関して、現時点で判明したことについて、公表します。・・」とのコメントとともに、三笠フーズ(株)による事故米穀の流通経路[訂正後]、(株)浅井による事故米穀の流通経路、太田産業(株)による事故米穀の流通経路[訂正後]が公表された。

   特に、9/16の中間報告書では375社(9/18に12社訂正)の関係企業名がすべて公表されており、さらに、三笠フーズによる不正規流通の概要、メタミドホス等の分析結果、浅井による事故米穀の流通経路、太田産業による事故米穀の流通経路、島田化学工業による事故米穀の流通経路が中間段階として、公表された。また農林水産大臣コメントでは、9/12から、本省に、「事故米穀不正規流通対策特別チーム」を編成したこと、9/11時点で、横流しを行った三笠フーズについては、不正競争防止法違反で刑事告発をし、その他の企業に対しても検討しているとこと、今後、直ちに流通ルートを特定できる米トレーサビリティーシステムや消費者が自ら商品を選択できる米関連商品の原料米原産地表示システムを確立していきたいとの考えであること、そして、農林水産省の責任については、第三者委員会を立ち上げ、その検証結果を踏まえて関係職員の処分を厳正に行うとのことである。

   このように、この事故米の問題は、現時点では、三笠フーズルートを中心に進められ、その全貌が判明しつつあるが、9/18の時点でも、シノブフーズの問題が発覚するなど、新事実が次から次に明らかになりつつあり、全容解明には相当の時間がかかりそうである。ただ、今回のシノブフーズの件で、食品スーパーマーケット、コンビニにおいてもこの問題が安心安全を脅かす重要な問題に発展することが必至となったといえ、今後、米関連グロサリーだけでなく、生鮮、特に、惣菜の全商品の再点検が必須となったといえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1224人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 18, 2008

勝間本、決算書の暗号を解け、おもしろい!

   勝間和代さんの「決算書の暗号を解け!」(ランダムハウス講談社)を読んだ。222ページの本であるが、1日で読み終えた。会計の実務書としては実に分かりやすく、これを手引きに、実際の決算書を電卓を使いながら見てゆけば、まさに決算書の暗号を読み解けるのではないかと感じた。特に、第4章以下では実際の決算短信をもとに、アナリストの目線、会計士の目線、投資家の目線の3つの角度から、わかりやすく解説しており、しかも、事例に使われた決算短信が日本全国にSC、GMS、スーパーセンター、食品スーパーマーケット、コンビニ、専門店を展開する大手流通業のものだけに、改めて再認識するところが多々あった。勝間さんが公認会計士であり、アナリストであり、経営者でもあることから、決算書の解説本としては、この3つの視点がバランスよくブレンドされ、ほどよい味わいになったのが、わかりやすさ、読みやすさを引き立てたのではないかと思う。

   この本の目次だが、第1章、会計利益を信じてはいけない!、第2章、財務諸表はこう読み解く、第3章、インチキ利益を見抜くための下準備、第4章、アナリストの目線で全体のイメージをつかむ、第5章、会計士目線で財務諸表を読みこなす、第6章、投資家目線で判断する、という6章立ての内容である。はじめの3章が基本であり、後半3章が応用となっており、流通業界の方で、会計の基礎知識がある方であれば、いきなり、第4章の102ぺージから読み、そのあとで、前半3章を確認しても良いと思う。ちなみに、この流通業大手の決算短信事例は良い例として取り上げられているのではなく、どうも無理に利益をひねり出しているではないかという怪しい事例として取り上げられており、流通業、特に小売業の決算書を見る上において、注意すべき点をB/S、P/L、キャッシュフロー計算書からあぶりだしており、参考になる。また、取り上げたのは2007年2月期のものだが、その検証事例として、2008年2月期の決算短信を掲げているが、見事?に減益決算となり、株価は大きく下落したが、これについて、予想できたことであり、驚くことはないと、市場の方が前年の決算分析ができてなかったのではないかと解説している。

   この本で前半部分で特に参考になったのは、会計発生高 (Accounting accruals:アクルーアルズ)についての解説である。私も勉強不足ではじめて見る指標であり、数式は会計発生高=(当期純利益+特別損失-特別利益)-営業キャッシュフローであり、会計の利益と現金(キャッシュ)の利益との比較をし、利益の質を現金(キャッシュ)との比較で判断するというのがポイントである。会計発生高が大きい場合は現金(キャッシュ)よりも、会計の利益が大きくなるので、現金化されていない会計上の利益があると判断し、怪しいとみる。逆に、マイナスになれば、会計上の利益計上は現金化がしっかりなされていると判断し、利益の質は良いと見るという見方である。ちなみに、この本の中で、同じ利益の質を見抜く、指標として取り上げられていたのはROAである。ROAは経常利益÷総資産であり、このROAが、経常利益が上がっているのに、下がっていたら怪しいとみた方が良いという。都合の悪いものを資産に入れ、資産を無理にふくらませている可能性があるということで、ROAも利益の質を見る上において重要な指標であると解説している。

   さて、この本の流通業関係の方にとっての醍醐味ともいうべき、後半の実際の大手流通業の決算短信を使っての解説だが、まさに本の題名通り、この決算書の暗号を次々と解読してゆく。一番初めに目がいった箇所はキャッシュフロー計算書である。営業キャッシュフローが1,416.44億円であるのに対し、投資活動キャッシュフローが3,642.48億円とバランスを欠いている点だ。ここからQ1:どんな投資をしたか?という疑問になり、これが最終的に正しかったか否かという問題に発展し、結論としては、高い買い物をしたほどには買収の効果は出ていない。今後の展開を見守る必要あり!となってゆく。このQ1以外にも、Q2:ROAはなぜ下がったか?、Q3:売上高か営業利益のどちらかに無理があるのでは?、Q4:営業キャッシュフローはなぜ営業利益ほど伸びていないのか?、Q5:成長性の低い業界でどうやって8.8%もの売上増を達成するのか?、Q6:特別損失を出すようなことをする(している)のではないか?、Q7:買収が増収増益の主な要因なのか?、Q8:買収は正しい判断だったのか?という8つの疑問が提示され、これが推理小説を読むように解明されてゆくという内容になっている。

   このように、この本は読み始めた当初は、さらさらと読んでいたのだが、会計発生高のところにきて、立ち止まってじっくり考え、なるほどと思い、前半を読み終えた。後半は事例解説であるので、後日にしようかとパラパラめくっていたら、大手流通業の事例であることがわかり、しかも、この決算書の暗号解読が始まったので一気に読んでしまった。なかなか練られたストーリーになっており、決算書の本としては異色の本といえよう。久しぶりにおもしろい決算書の本に出会えた。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1224人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在505人)

September 17, 2008

日経MJ、9/15でジャガイモ系スナックを特集!

   日経MJ、9/15でジャガイモ系スナックの特集が組まれた。「07年は2.2%の伸び、容量多彩、適量増やす、風味には各社の色」、「小量タイプが牽引、カルビー、場所選ばずカリカリ、湖池屋、ベーシックな味貫く」という見出しの特集である。記事の中では日経POS分析からベスト15のランキング表も掲載されており、ジャガイモ系スナックの現状を知る上で貴重なデータである。これ以外にも、ジャガイモ系スナックの月別推移、主力メーカー、カルビー、湖池屋、ヤマザキナビスコの月別推移などのグラフも掲載されており、ジャガイモ系スナックの好調さが鮮明である。

   データを見ると、ここ数年、横ばいで推移していたジャガイモ系スナックの金額PI値であったが、昨年後半ぐらいから数字が上昇しはじめ、今年に入ってからはずっと好調さが続いている。ちょうど、期をいつにして、値上げ問題が浮上した時期であり、様々な食品が値上げ基調の中、ジャガイモ系スナックは絶好調であるといえよう。記事の中では、各社が商品開発を強化し、「様々な容量の商品が登場し、売れるようになったことが一因だ・・、」、「カルビーも小袋タイプが好調、・・」、「カルビーによると、つり下げタイプの商品の売れ行きの伸びはさらに大きい。・・」、「湖池屋も食シーンに適した容量の提案が功を奏している。・・」という理由をあげている。ただ、フレーバー展開に関しては、意見が分かれ、カルビーはフレーバーを増やしたことが売上に貢献したとしているのに対し、湖池屋は、「短期間にフレーバー展開すると完成度の低いものができてしまい、結果として消費者が離れていく。・・」という見解であるという。

   ちなみに、これを別の角度、家計調査データの数字を見てみると、スナックの金額PI値の推移は以下のようである。2008年7月(10.13円、110.6%)、6月(10.77円、119.6%)、5月(10.65円、109.6%)、4月(11.27円、108.3%)、3月(11.58円、114.7%)、2月(10.93円、120.1%)、1月(9.52円、109.7%)と絶好調であり、昨年も2007年12月(10.97円、112.6%)11月(9.73円、102.8%)、10月(9.32円、105.1%)、9月(9.00円、100.0%)、8月(9.26円、101.4%)、7月(9.16円、100.0%)であるので、明らかに12月頃から2桁の伸びといえ、上昇が始まったといえよう。また、菓子全体の動向を見てみると、2007年7月(99.7%)、8月(100.5%)、9月(104.0%)、10月(97.2%)、11月(100.3%)、12月(100.6%)、そして、2008年1月(102.4%)、2月(105.3%)、3月(102.6%)、4月(102.6%)、5月(104.0%)、6月(103.6%)、7月(104.2%)という推移であり、菓子全体も今年に入って好調な推移である。

   記事の中では日経POSにもとづく、8月度の金額PI値ランキング、べスト15が掲載されているが、No.1はカルビー、じゃがりこサラダ60g、金額PI値361円(1人当り、0.361円)であり、平均単価116円である。カバー率は何と100%である。これをPI値に逆算してみると、0.361円÷116円=0.31%であり、平均的な食品スーパーマーケットでは客数が2,000人/日であるので、0.31%×2,000人=6個であり、1日6個がトップである。これが高いか低いかであるが、一般的に金額PI値では200円を超えればCランク、300を超えればBランク、そして、500円を超えればAランクといえるので、Bランクの水準であるといえよう。No.2はカルビーポテトチップスうすしお味160g、金額PI値205円であり、Cランクである。意外なことに、BICパックがNo.2となった。そして、No.3が同じく、カルビー、ポテトチップスうすしお味65G、金額PI値180円であり、うすしおのレギュラーサイズである。No.2、No.3は、うすしおのBICとレギュラーとなり、うすしおという定番中の定番の強さが改めて浮き彫りになったといえよう。

   No.4、No.5はカルビーのポテトチップスコンソメパンチの160g、65gであり、金額PI値は152円、150円である。そして、No.6はカルビー、堅あげポテトうすしお味70g、金額PI値145円であり、何と、カルビーがベスト6を独占である。しかも、うすしおとコンソメパンチという定番中の定番といえ、ジャガイモ系スナックの伸びは、定番がしっかり支えた結果といえよう。

   No.7はヤマザキナビスコ、チップスターS(うすしお味)115g、金額PI値142円、No.8は湖池屋ポテトチップスのり塩65g、金額PI値138円、No.9はヤマザキナビスコ、チップスターS(うすしお味)50g、金額PI値133円、そして、No.10は森永製菓、おっとっと<うすしお味>56g、金額PI値130円である。No.7以下No.10はすべてカルビー以外であり、バラエティに富んだ商品となった。

   このように、ジャガイモ系スナックは昨年暮れころから絶好調で推移しており、家計調査データでみると、スナック菓子だけでなく、菓子全体の数字も好調に推移しており、値上げ環境の厳しい消費状況にもかかわらず、菓子、特にスナックは好調に推移しているのが実態である。また、意外に、定番中の定番の商品がしっかり上位を占めており、新商品を含めて、品揃えは多岐にわたるが、重点商品をしっかり売りこんでゆくことがポイントであることが改めて確認できたといえよう。食品スーパーマーケットとしては、再度、この好調なジャガイモ系スナックをしっかり売りこんでゆきたいところである。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 16, 2008

明治ホールディングス誕生、食品スーパーへの影響!

   9/11、明治製菓、明治乳業から、「明治製菓株式会社と明治乳業株式会社との共同持株会社設立(株式移転)による経営統合に関するお知らせ」が同時に公表された。来年、2009年4月1日を期して、株式移転により明治ホールディングス株式会社を設立するという。2008年3月期決算の単純年商合計で1兆1,116.99億円、営業利益289.87億円(売上対比2.60%)と1兆円を超える食品メーカーの誕生となる。食品業界の上場企業ではキリンホールディングス、アサヒビール、味の素につぐ4社目となり、いよいよ、日本の食品業界も1兆円の時代への突入といえよう。

   今回、両社が経営統合することにより、どんなメリットがあるかであるが、明治製菓、明治乳業は、5つその意義を強調している。(1) 統合された新生「明治」ブランドの価値向上及び既存事業の強化、(2) 新たな需要の創造による事業成長機会の拡大、(3) マーケティング力強化による競争力向上、(4) 業務効率化とコストシナジー、(5) 事業基盤・財務基盤の優位性強化である。この中で、食品スーパーマーケットと密接にかかわってくる項目は(1)、(2)、(3)であるが、特に、(1)において、「乳幼児から高齢者までのあらゆる世代のお客様に幅広い商品ラインアップを提供し、毎日の食シーンにおいて最も身近で愛されるブランドとして進化」という項目があり、年齢、世代に焦点を当てた商品開発がなされ、それに対応する食品スーパーマーケットの販売戦略がこれまで以上に問われることになろう。

   食品スーパーマーケットでは現在商品主体の売場管理となっており、統合後の明治ホールディングスの商品は明治乳業の要冷蔵の牛乳、ヨーグルト、デザート、チーズ、バター等と明治製菓の常温のチョコレート、スナック等に大きく分かれる。この2つの商品群は食品スーパーマーケットの売場では正反対の場所に配置されており、牛乳、ヨーグルト等は主動線上の外周にあるのに対し、チョコレート、スナック等はゴンドラ、内周に配置されており、しかも、食品スーパーマーケット側の商品管理者は全く別な組織、日配部門とグロサリー部門に属しており、管理体系が違う構造になっている。

   したがって、明治ホールディングス側は双方の商品群を統合し、一元管理ができる体制ができあがるが、食品スーパーマーケット側はこれら商品群の管理は別々の管理となっており、ここに販売戦略上のギャップが生じることとなる。食品スーパーマーケット側としては、今後もこれまでの商品管理体制にこだわり、別々の対応をし続けるのか、それとも、これを機会に新たな商品管理体系の構築を模索するかが問われることとなろう。

   今回の統合メリットの(3)ではさらに、「両社のマーケティング部門のノウハウ活用による効果的な広告・宣伝や横断的なキャンペーン等の展開」、「 営業部門の協働による企画提案力、店頭フォロー力の向上」という項目もあげられており、明治ホールディングスとしては、食品スーパーマーケット側の商品管理に合わせるというよりも、より、商品の原点にさかもどり、顧客に起点をいたマーケティング戦略を両社の蓄積されたノウハウをもとに次々に打ち出してくる方針といえよう。

   では、このようなメーカー側の新たな動向に対応するには食品スーパーマーケット側としては今後、どのような対応が必要であるかを考えてみたい。まずは、当然であるが、規模の拡大は避けて通れないであろう。明治ホールディングスをはじめ、メーカーが1兆円の時代に入り、しかも、多岐に渡る商品カテゴリーの統合が急激に進むことになることから、食品スーパーマーケット側としても、1兆円企業の構築は必至となろう。現在、日本の食品スーパーマーケットは3,000億円から4,000億円台がトップクラスであるので、これらの食品スーパーマーケットが中核となり、M&Aを推し進める必要があろう。

   次に、食品スーパーマーケットとしての商品管理体制を再構築する必要があろう。現在の食品スーパーマーケットは商品部がその中核組織であり、商品群ごとに売上管理が行われ、その延長で各店舗の商品管理がなされているのが実態である。今回の明治ホールディングスの誕生はこの商品管理体系がこれまでの管理体系から、より総合化の方向へ向かっているといえる。今回のケースでいれば、日配と菓子部門の統合であり、この2つを統合する管理体系は現在の食品スーパーマーケットにはない新たな管理体系であり、今後、食品スーパーマーケットとしては、既存の商品体系を自由に改廃、整理統合できるフレキシブルな商品管理体制を構築する必要があろう。

   そして、もうひとつは、情報管理体制の整備である。これは今回、「乳幼児から高齢者までのあらゆる世代のお客様に幅広い商品ラインアップを提供し、・・」といように、商品分類からの商品提供ではなく、顧客分類による商品提供がメインになってゆくことを意味しており、食品スーパーマーケットとしても、顧客に立脚した商品分類、商品管理体系を構築する必要が求められるということである。そして、そのためには、商品管理によるPOSから、顧客ID管理によるID-POSへの移行が必須となり、顧客IDを起点とするマーチャンダイジングの仕組みづくりが大きな課題となろう。

   このように、今回の明治ホールディングスという1兆円の食品メーカーの誕生は、食品メーカーへの影響はもちろん、食品スーパーマーケットへも大きな変革をもたらすことは必至といえ、食品流通業界全体への構造改革につながってゆくものといえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 15, 2008

リーマン・ブラザーズ秒読み、経営危機!

   リーマン・ブラザーズのニューヨーク証券取引所の株価が下げ止まらない状況である。9/12現在3.65ドルとなり、それまでの数日の動きを見ると、9/11(4.22ドル)、9/10(7.25ドル)、9/9(7.79ドル)、9/8(14.15ドル)、9/5(16.2ドル)であるので、9/10以降、急落した。しかも、売買高が9/12(3億713万株)、9/11(4億7,263万株)、9/10(2億5,653万株)、9/9(3億8,351万株)、9/8(1億1,140万株)、9/5(4,332万株)という状況であり、通常は数千万株の商いが、ここ数日は10倍となり、加熱、沸騰している状況である。

   リーマン・ブラザーズの株価は昨年前半は80ドル前後で取引されており、株価が下げ始めたのは昨年後半からである。ただ、この時も60ドル前後での取り引きであり、これが今年2月頃まで続いていた。ところが、その後、株価は下がり始め、6月に公表された第2四半期の決算が28億ドル(約3,000億円)の赤字となると、株価が急落しはじめ、7月には20ドル台まで下がった。その後も株価は下げ止まらず、8月に入ると20ドルを割り込み、9月に入り15ドル台となった。そして、9/10に第3四半期の決算が本来9/18公表の予定を前倒しして発表され、赤字幅がさらに増え、39億ドル(約4,000億円強)となると、株価は急落、大商いとなった。

   まさに、アメリカの金融が大揺れに揺れている状況といえよう。9/15(日本時間9/16)、リーマン・ブラザーズの経営のゆくえが決まると思われるが、売却(全部、一部)か救済か、それとも破綻か、予断を許さないまったなしの秒読みの状況が続いている。9/14の日経でも、「リーマン問題、官民緊急会合」、「米当局、公的救済に慎重」、「ベアーなどとは一線、過度な財政負担回避狙う」という記事が掲載され、週末をまたいで、官民の緊急会議が開催されている様子を伝えている。

   日経新聞でも触れているが、つい先日も、ベアーについては買い手となったJPモルガンにFRBが特別融資の形で最大290億ドル(約3兆1,030億円)の損失補填契約を結んで買収が実現した。同じく、経営危機に陥った住宅公社2社については、米政府が合計2,000億ドル(約21兆4,000億円)の優先株購入枠を設定し、住宅ローン担保証券を買い取ることを決め、破綻を免れた。ただ、今回のリーマン・ブラザーズの件に関しては、米政府が慎重になっており、救済に動くかどうか微妙な状況であるといえ、まさに、9/15(日本時間9/16)の結論待ちとなった。
 
   ちなみに、9/12の日経で、米政府の救済が決まった住宅公社2社、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)についての記事が掲載され、その中で日本の主な金融機関の投資状況を一覧表で説明しているが、これを見ると、アメリカの金融と日本の金融との密接な関係がわかる。投資額の多い順に見てみると、農林中金約5兆3,000億円、日本生命約2兆9,000億円、三菱UFJ約2兆8,500億円、第一生命約1兆3,000億円をはじめ、日本のトップクラスの銀行、保険会社が多額の投資をしていることがわかる。
 
   リーマン・ブラザーズとはここまで日本の金融機関と深い関係はないようだが、リーマン・ブラザーズが経営破綻をすれば、それをきっかけにアメリカの金融恐慌に発展する可能性を秘めているといえ、単にアメリカの一投資銀行の問題を超えて、アメリカ、そして、日本、さらには、世界の金融不安へと波及する可能性は高いといえ、9/15(日本時間9/16)に公表されるであろうリーマン・ブラザーズのアメリカ官民の対策会議がどのような結論になるか予断をゆるさない状況といえよう。
 
   さて、ここから日本の食品スーパーマーケットとしては何を読み取るべきかであるが、最も重要なシグナルは出店戦略の見直しであろう。日本の食品スーパーマーケット業界は、いよいよ、100店舗から200店舗のチェーンストアの時代に入ろうとしており、そのための戦略が新規出店戦略とM&Aである。M&Aの場合は株式交換による場合が今後は主流となると思われるので、時価総額をいかに高めるかが急務である。一方、新規出店に関しては、直近の財務諸表を見ても、総資産の20%から30%近い金額を金融機関から借入れての出店構造となっている。借入に依存しない新規出店が可能な食品スーパーマーケットはヨークベニマル0%、オオゼキ0%、マックスバリュ西日本1.0%、マックスバリュ東海1.0%、アオキスーパー1.1%等、わずか数社である。したがって、金融機関から返済を迫られた場合には、新規出店が難しくなる経営状況といえる。
 
   このように、リーマン・ブラザーズの経営危機が秒読みの段階に入った現在、どのような結論が出ても、当面、アメリカの金融情勢は不安定な状況が続くといえ、これが日本の金融機関に波及し、ひいては食品スーパーマーケットの財務戦略、特に今後、最も重要な経営戦略である新規出店戦略へ影響がでることが懸念される状況である。その意味で、食品スーパーマーケット業界としては、借入に依存しない強固な財務体質の構築と、M&Aに備えた時価総額を高める経営が当面の課題となろう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 14, 2008

食品スーパーマーケット、今週の株価、大黒天No.1!

   食品スーパーマーケットの株価に注目が集まりつつある。9/12、今週の食品スーパーマーケットの株価を見ると、上場小売業約400社の中で、中長期的な株価のトレンドである26週移動平均乖離率でNo.1となったのは、大黒天物産であった。30.77%であり、No.2のセブン&アイホールディングスとのM&Aで話題になったアインファーマシーズの29.25%を抜いてトップとなった。ただ、5日、25日の短期トレンドはマイナスであり、特に、9/12は1,075円 (-125円、-10.41%)となり、大きく下落し、今後の動向が気になるところである。そこで、チャートを見てみると、下落したのは、まさに、この9/12が大きいが、26週移動平均が30.77%と示すように、7月以降、きれいな右片上がりの株価となっている。それまで700円前後の株価が8月には1,000円を超えるまでに急上場し、数字が示すとおりの中長期的には、上昇トレンドの株価である。今回の-10.41%が来週以降、どう動くかに注目といえよう。

   これについで、九九プラスが食品スーパーマーケットではNo.2、小売業界全体でも5位に入る26週移動平均である。短期から中長期までの5日、25日、13週、26週は6.68%、0.24%、7.56%、22.71%という推移で、すべての段階でプラスで動いている。ただ、九九プラスは、7/16から、8/23までローソンのTOBが1株75,000円で実施されたので、約1ケ月強、株価は75,000円の高値が維持され、26週の移動平均を押し上げたといえよう。その後の株価であるが、一時、60,000円まで下がったが、9月に入ると、上昇に転じ、9/12は69,900円(+4,400円、+6.71%)となり、現在、株価は上向きである。

   No.3はOlympic(1.46%、6.96%、16.52%、14.97%)であり、すべての段階でプラス、しかも、段階を追うごとに加速度を増している。実際、チャートを見ると、7月下旬までは500円強の株価であったが、その後、株価はきれいな右片上がりの急上昇を続け、9/12の株価は691円(+5円、+0.72%)となった。年初来最高値は1/4の701円であるので、来週はこの年初来高値を更新するのではないかと思われる上昇傾向が続いている。

   そして、No.4はヤオコー(1.10%、3.20%、4.11%、13.20%)、No.5はマックスバリュー西日本(0.68%、-2.71%、1.59%、8.50%)、No.6はライフコーポレーション(0.94%、2.70%、5.36%、8.50%)、No.7は丸久(-1.01%、0.20%、0.61%、8.40%)と続いてゆくが、この中で、Olympicとほぼ同じ傾向を示しているのがライフコーポレーションである。すべての段階がプラスであり、しかも段階を追うにしたがって、加速度が増してゆく。実際、チャートを見ても、1日1日の動きは激しく上下しているが、6月以降3ケ月以上右片上がりで推移しており、上昇傾向が鮮明である。9/12も1,710円(+10円、+0.58%)と上昇しており、前日の9/11には、一時1,755円の年初来最高値を付けており、今後の株価の推移が注目される。ライフコーポレーション以外のヤオコー、マックスバリュ西日本、丸久も26週移動平均はプラスではあるが、実際のチャートを見ると、株価は右片上がりに推移しておらず、上げ下げを繰り返しながらの、ゆるやかな上昇となっている。

   以下、No.8はアークス(2.37%、3.89%、4.80%、8.24%)、No.9オークワ(-0.12%、-2.35%、0.24%、6.27%)、No.10関西スーパーマーケット(0.60%、1.35%、3.25%、6.04%)、No.11CFS(-1.06%、0.77%、-3.13%、5.35%)、No.12サンエー(3.77%、7.81%、2.74%、5.06%)と続くが、この中で、明確な右片あがりの株価を示しているのは関西スーパーマーケットである。すべての段階でプラスであり、しかも、段階を追うごとに加速度が増しており、実際チャートを見ても、きれいに右片あがりである。関西スーパーマーケットの株価は6月前半は750円前後の株価であったが、その後、株価が上昇に転じ、7/7には一時的に年初来最高値となる830円をつけた。ただその日は805円で引け、その後、800円前後でしばらく推移していたが、8月下旬から再び上昇に転じ、9/12現在、825円 (+5円、+0.60%)である。来週以降、株価がどう推移するか注目である。

   一方、26週移動平均乖離率が今週マイナスになった食品スーパーマーケットを見てみると、スーパーバリュー(3.40%、-5.11%、-17.57%、-21.40%)、マルヤ(-1.31%、 -6.25%、-10.17%、- 12.79%)、バロー(-0.54%、-5.10%、-6.18%、-11.21%)、イオン九州(-1.42%、-6.49%、-12.19%、-11.18%)、イズミ(-2.46%、-4.75%、 -8.10%、-10.03%)である。この中では、特にスーパーバリュー、バロー、イズミの株価が右下がりで推移し、厳しい株価が続いている。

   このように、今週の食品スーパーマーケットの株価は比較的好調に推移しており、26週移動平均乖離率の中長期トレンド見た場合、小売業上場約400社の中でもトップクラスを占めており、特に、大黒天物産はNo.1となる株価の上昇率となった。小売業界は値上傾向が定着し、消費環境が厳しさを増しているが、食品スーパーマーケットはその中でも消費者の内食回帰により、追い風が吹いているともいえ、好調な業績の企業が多いのが投資家から好感されたのではないかと思われる。ここしばらくは、食品スーパーマーケットの株価に注目といえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 13, 2008

日経MJ、新製品週間ランキング、9/12、ふるふる異常値!

   ここ最近、日経MJ、新製品週間ランキングがアクティブに動き始めた。先週CMの広末効果を見せつけた全新製品No.1の明治製菓のガルボチップスは、金額PI値54円ダウンの480円で3位に後退した。ただ、下げ幅はわずかであり、依然として高い金額PI値を維持している。これに代わってNo.1となったのは、日本コカ・コーラのファンタふるふるシェイカーレモン190mlであり、金額PI値はAランクの500円を優に超え、818円となった。先週が75位の新製品であり、金額PI値も789円アップという爆発的な数字となった。No.3は花王、アタック1kg、金額PI値579円であり、6/16初登場の新製品であり、そろそろ規定の13週となり、ランキングからはずれるが、先週比71円とまだ上昇しており、値上げ関連商品として、1.1kgからの置き換えが成功したといえよう。

   今週は、この3品以外に、金額PI値はやや下がるが、ミツカンの金のつぶあらっ便利!におわなっとう45g×3が金額PI値421円でその他食品トップ、全体でもNo.4となった。No.2にも、同じくミツカンの金のつぶあらっ便利!超やわらか納豆とろっ豆45g×3個が金額PI値374円で入った。いずれも初登場の新製品であり、日配としては高いカバー率であり、62.8%、72.0%と全45チェーン、250店舗の大半をカバーする数字であり、快挙である。これも、先週のガルボチップス同様、CMの効果が表れているといえ、タレとカバーを工夫し、納豆を食べやすくした効果が消費者に受け入れ始めているのではないかと想定される。

   今週はこのように、上位の新製品がアクティブに動きはじめ、やっと本来の新製品ランキングにもどりつつあるといえよう。この上位の新製品の動き以外にも今週はアクティブな動きがある。まず、飲料部門であるが、全20品の新製品ランキング中、半分の10品を日本コカ・コーラが占め、しかも、先にあげたNo.1のふるふるシェイカレモンをはじめベスト3が日本コカ・コーラの新製品となり、さらにベスト10の内、7品を日本コカ・コーラが占めた。ただ、金額PI値はNo.2となったファンタグレープ手にピタ!ボトル1.5Lの254円、No.3となった爽健美茶五穀500mlペットボトル、242円等、Cランクであり、さほど高い数字ではない。それにしても、ここ数ケ月、日本コカ・コーラは新製品ラッシュといえ、飲料業界を力強くひっぱっているのが印象的である。

   飲料部門についで、冷凍食品がアクティブな動きである。先週ぐらいからアイスクームの独占が弱まり、冷凍食品部門が上位に入りはじめたが、今週も全20品中9品を占めた。特に、No.6に先週10位から日本水産、大きな大きな焼きおにぎり6個480g、金額PI値108円、No.7に先週47位からマルハニチロ食品、あけぼの2種メンチカツ6個入144gが金額PI値97円で入るなど、上位に浮上しはじめたのが特徴である。実際、食品スーパーマーケットでは冷凍食品がこの1月の中国餃子事件以来、プラスに転じはじめており、やっと冷凍食品がもとにもどりつつあるといえる。冷凍食品以外のアイスクリームでも今週はNo.1に初登場のハーゲンダッツジャパン、ミニカップメープルクッキー120mlが金額PI値222円で入った。先週1位のハーゲンダッツジャパンのクリスピーサンド抹茶黒みつ66mlはNo.3となり、金額PI値139円だった。No.2はロッテアイスの爽<赤ぶどうヨーグルト味>190ml、金額PI値141円であり、金額PI値では冷凍食品よりもアイスクリームの方が高い数字であるが、冷凍食品もここへきて、徐々に数字を伸ばしており、今後、冷凍食品部門も注目といえよう。

   そして、菓子部門でも、その他食品のにおわなっとう同様、CM効果が見られ、No.1ではないが、No.3、No.4に、初登場のカルビーのア・ラ・ポテトじゃがバター味80gと、うすしお味80gが金額PI値287円、264円で入った。カバー率も初登場としては、82.4%、83.2%と高い数字である。ちなみに菓子部門のNo.2は先週同様、ロッテ商事、チョコパイパーティパック9個、金額PI値360円である。また、その他食品部門では、ここへきて練製品が好調であり、No.4に紀文食品、さつま揚(巾着)6枚150g、金額PI値240円、No.6に先週69位から急上昇した一正蒲鉾、サラダスティック70g、金額PI値219円、No.9に紀文食品、はんぺん大判110g、金額PI値154円が入り、ベスト10に3品入った。

   このように今週の日経MJ、新製品週間ランキングは先週の明治製菓、ガルボチップスのCMの広末効果同様、ミツカンのにおわなっとう、カルビーのア・ラ・ポテトがCM効果によるランキング上位への登場となり、あらためて、新製品のCM効果の大きさを確認するランキングとなったといえよう。また、ここ数週間、日本コカ・コーラの新製品ラッシュが続いており、今週は特に、飲料部門の上位を独占し、全20品中半分の10品を占めるなど、異常事態となっている。とくに、No.1となったふるふるシェイカーレモンはこの夏ヒットしたふるふるシリーズのオレンジ、グレープにつぐレモン版であり、シリーズ化への早い対応である。来週もこれら新製品の動向に注目といえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 12, 2008

ヨークベニマル、この1年の新規出店戦略を見る!

   9/26、ヨークベニマルの154店舗目となる新店、ヨークベニマル片平店が福島県郡山市にオープンする。NSC(近隣型ショッピングセンター)での出店であり、ツルハドラッグ、ダイソー、コインランドリー等が同時出店する。この店舗の出店により、店舗数は福島県ではちょうど60店舗目とる。これに宮城県40店舗、山形県13店舗、栃木県19店舗、茨城県22店舗が加わり、東北から北関東へのドミナント展開が充実し、今後、ヨークマートを統合することにより、200店舗を超え、関東までの広域の一大食品スーパーマーケットチェーンが近い将来誕生することになる。いよいよ、食品スーパーマーケットも100店舗から200店舗を超え、ドミナントも1都道府県内から5都道府県以上の広域展開の時代に入るといえる。

   ヨークベニマルの9/26にオープンする片平店であるが、店舗面積は521坪、駐車場283台、年商は15億円というヨークベニマルとしてはやや小さい規模での出店であるが、商圏人口は2km圏内で約35,000人で、世帯数は約9,900世帯、世帯人数は3.5人というので、食品スーパーマーケットとしてはぴったりの商圏といえよう。店舗はヨークベニマル70店舗となるバリアフリー新法の認定を受け、身障者へも行き届いた配慮がなされ、また、環境対策としても、店内照明の一部や酒類・アイスクリームのケースに、消費電力が少なく寿命が長いLED(発光ダイオード)照明を設置するという。商品戦略でも、各売場でバラ販売や1人前、食べきりサイズの品揃えを充実させる他、焼くだけ・揚げるだけで食べられる簡便商品や調理済み商品の品揃えも強化するという。

   ヨークベニマルは、この2月度のセブン&アイホールディングスの中でも唯一増収増益となった企業であり、食品スーパーマーケット業界の中でも抜群の財務内容である。出店戦略も借入なしでの新規出店が安定的にできる強固な財務基盤を誇っている。実際、この2月期の決算内容を見ると、借入金0、自己資本比率79.7%と超健全な内容である。現在のヨークベニマルの出店にかかわる主な資産である土地、建物、長期差入保証金の合計は735.10億円であるので、これを全154店舗で割ると4.77億円となる。したがって、当期純利益が91.50億円であるので、単純計算で、借入なしで、限界20店舗近く新規出店が可能な財務基盤といえよう。

   実際、この片平店はこの1年の新規出店では7店舗目となる店舗であり、少なく見つもっても、毎年、10店舗は借入なしでの安定的な新規出店が十分に可能である。今後、ヨークマートを吸収し、200店舗体制になった場合は、M&Aを含め、毎年20店舗以上の新店戦略が十分に可能な財務基盤を備えており、数年以内に、日本No.1の食品スーパーマーケットチェーンストアとなることが確実といえよう。

   さて、この1年のヨークベニマルの新店であるが、9/26予定のヨークベニマル片平店(福島県郡山市)、8/1ヨークベニマル東根店(山形県東根市)、4/25ヨークベニマル福島泉店(福島県福島市泉)、3/7ヨークベニマル鹿沼睦町店(栃木県鹿沼市)、2/1メガステージ須賀川南店(福島県須賀川市)、昨年10/26ヨークベニマル涌谷店(宮城県遠田郡涌谷町)、そして、昨年9/28ヨークベニマル足利大月店(栃木県足利市)と7店舗の新規出店である。出店地域も東北5店舗、北関東2店舗とバランスよく出店しており、この地域でのドミナトをより強めているといえよう。

   その店舗規模と年商であるが、ヨークベニマル片平店(521坪、15億円)、ヨークベニマル東根店(1,122坪、25億円)、ヨークベニマル福島泉店(606坪、16億円)、ヨークベニマル鹿沼睦町店(655坪、18億円)、メガステージ須賀川南店(689億円、18億円)、ヨークベニマル涌谷店(638坪、18億円)、そして、ヨークベニマル足利大月店(780坪、22億円)である。また、この7店舗の内、6店舗がNSC(近隣型ショッピングセンター)での店舗であり、NSCがヨークベニマルの戦略業態となったといえよう。

   ちなみに、これらの各店舗の商圏人口を見ると、ヨークベニマル片平店(2Km圏内の人口は約35,000人で、世帯数は約9,900世帯、世帯人数は3.5人)、ヨークベニマル東根店(車で5分圏内の人口は約25,000人、世帯数は約7,300世帯、世帯人数は約3.4人)、ヨークベニマル福島泉店(2Km圏内の人口は51,800人で、世帯数は20,100世帯、世帯人数は2.6人)、ヨークベニマル鹿沼睦町店(車で10分圏内の人口は66,601人、世帯数は22,881人、世帯人数は2.9人)、メガステージ須賀川南店(3km圏内の人口は34,997人で、世帯数は11,848世帯、世帯人数は2.9人)、ヨークベニマル涌谷店(3Km圏内の人口は16,144人で、世帯数は5,054世帯、世帯人数は3.2人)、そして、ヨークベニマル足利大月店(3Km圏内の人口は56,934人で世帯数は20,585世帯、世帯人数は約2.7人)である。
   
   今後、セブン&アイホールディングスは食品スーパーマーケットを成長の柱と位置づけ、ヨークベニマルを核にグループ内の食品スーパーマーケットを統合し、新規出店、M&Aにより、関東、東北を基盤に広域の食品スーパーマーケットチェーンの構築に入ることになる。今回、見たように、この1年のヨークベニマルの出店戦略はNSCを出店の柱にすえ、約700坪、年商約20億円という食品スーパーマーケットとしてはフルラインの商品を展開する上において、理想的な規模と年商での出店でなる。今後、数年は食品スーパーマーケットの経営統合に少し、時間を要すると思われるが、その後は、急激なM&Aを含めた出店攻勢にでるものと思われる。ヨークベニマルの今後の動向に注目である。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 11, 2008

ユニバース、2009年4月期、第1四半期決算、原価上昇!

   ユニバースが8/28、2009年4月期の第1四半期の決算を公表した。ユニバースは食品スーパーマーケットの中では珍しい決算月である4月を採用している。食品スーパーマーケットの上場企業は約60社あるが、その約65%は2月決算であり、ついで3月決算が約15%あり、この2つで合計約80%となる。これ以外に1月、4月、5月、9月、12月とあるが、4月決算企業はユニバース1社である。さて、その結果であるが、売上高231.94億円(102.0%)、営業利益7.78億円(84.2%)、経常利益8.25億円(89.2%)、当期純利益4.87億円(107.4%)と、当期純利益段階では増益となったが、営業利益・経常利益段階では減益となる厳しい決算であった。

   営業利益が減益となった要因を原価、粗利、経費の面から見てみると、原価は75.3%(昨年73.2%)と2.1ポイント上場しており、この5月、6月、7月の3ケ月の第1四半期決算であるだけに値上げ問題が大きく影響しているようである。したがって、売上総利益、いわゆる粗利は、24.7%(昨年26.8%)と厳しい結果となった。この原価の上昇は今後、ユニバースに限らず、食品スーパーマーケット全体にかかわる経営への最大の圧迫要因といえ、対策としては、経費削減はもちろんのことであるが、やはり、売価に転嫁させざるをえない状況といえよう。したがって、今後、食品スーパーマーケット業界は率から高の時代に入ることになり、いかに売上規模を拡大するかが経営の死活問題となろう。これ以上、値上げ問題が加速すると、自然、M&Aによる規模の拡大が必至となり、この秋から来年にかけては日本各地でM&Aの動きが表面化するのではないかと予想される。

   ユニバースも、この7月にマルエス主婦の店から弘前市の3店舗の営業を譲受け、このうち2店舗を8月に改装オープンしており、青森でも数店舗の食品スーパーマーケットへのM&Aが起こり始めたといえよう。以前、2006年4月にもユニバースは岩手のファルをM&Aしており、ユニバース自身はM&Aのノウハウをすでに持っており、今後、地元青森はもちろん、岩手、そして、秋田において、いつM&Aが起こっても不思議ではない状況であり、逆に、これ以上原価が上昇すれば、M&Aによる規模の拡大は避けて通れない経営戦略となろう。

   さて、ユニバースの経費比率であるが、21.3%(昨年22.6%)と1.3ポイント削減しており、原価上場分の2.1ポイントまでは削減することができなかったが、1.3ポイントと昨対94.2%と5%以上経費を削減している。ユニバース自身も、「人的効率の改善に向けては、VTRを用いた作業分析による作業の無駄の排除および時間外勤務の削減を推進した結果、人的効率の指標の一つである人時売上高に改善がみられたほか、人件費総額も当初計画の範囲内に抑えることができ、・・」と決算短信でコメントしている。いわゆるレイバースケジュール管理による生産性の改善に注力しているとのことで、実際、今期の役員報酬及び従業員給与・賞与を見ると、8.1%(昨年8.5%)と0.4ポイント下がっており、効果があったといえよう。

   ただ、食品スーパーマーケットの経費は人件費が経費の40から50%近い数字であり、その他は数%と、人件費が突出しており、人件費以外に大きく経費削減効果がある項目は少なく、ここに焦点が行きがちになる。ところが、ここが逆に売上増と直接関係ある重要な項目でもあり、ここの削減は限界があるといえ、食品スーパーマーケットとしては、経費削減で原価増を補うだけではなく、やはり、売価への転嫁、そして、率から高、規模の拡大が避けて通れない経営課題といえよう。

   したがって、営業利益であるが、3.4%(昨年4.1%)と1ポイント営業利益が下がり、減益となった。この厳しい状況は今後どのように動くかであるが、ユニバース自身は2009年4月期の通期予想を売上高962.15億円(102 .2%)、営業利益32.17億円(96.3%)、経常利益32.89億円(95.9%)、当期純利益17.91億円(130.0%)としている。この第1四半期同様、売上は増収、利益は当期純利益段階では増益であるが、営業、経常段階では減益としており、今期は、第1四半期よりは回復するが、やはり厳しい決算となる予想である。

   ちなみに、この数ケ月間のユニバースの売上の推移であるが4月99.2%(既存店96.1%)、5月105.3%(102.0%)、6月108.1%( 104.8%)、7月104.1%(100.8%)、 8月101.9%(98.9%)という状況であり、5月、6月は好調であったが、7月からやや下がりはじめ、8月は既存店が昨対を割り込む状況となり、売上にも陰りがみえはじめており、今後の推移が読みにくい状況である。

   このように、ユニバースの2009年4月期の第1四半期決算が公表されたが、予想以上に厳しい決算であるといえ、値上げ問題による原価の上昇が粗利を引き下げ、それが経費の削減ではカバーできない状況にあるといえ、経営のバランスがあまりよくない状況であるといえよう。今後、一層の経費の削減に加え、売価への転嫁は避けらない状況といえ、さらに原価の上昇が進めば、思い切った経営規模の拡大、M&Aに踏み切らざるをえない状況となろう。今後、ユニバースがどのような経営戦略を打ち出すか注目したい。
 
まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 10, 2008

ウォルマート売上速報、2008年8月度、108.7%!

   ウォルマートが2008年8月度の売上速報を9/4公表した。8月度は8/2(土)から8/29(金)の4週間であり、累計ではちょうど30週間となる。ウォルマートを含め、アメリカの小売業は週間での管理が基本であり、ウォルマートは土曜始まり、金曜終りが1週間の売上管理の期間となっている。年間を4週、4週、5週の13週の四半期に分け、中間は13週、13週の26週、年間を26週、26週の52週に分けて管理してゆくことになる。したがって、30週は26週+4週=30週となり、ちょうど後半スタートのはじめの月が今月、8月度となる。全体の売上は108.7%と堅調な数字であるが、30週累計が109.5%であるので、やや、8月度は売上が伸び悩んだといえよう。

   ウォルマートは売上を3つの部門に分けて管理しており、主力業態のスーパーセンター、ディスカウントストアを中心としたウォルマート部門、業務筋向け会員スーパーのサムズクラブ部門、そして、カナダ、南米、イギリス、アジアのウォルマートの海外部門である。この8月度、やや数字を落とした要因をこの3部門の状況から見てみると、ウォルマート部門が107.0%(30週累計107.0%)、サムズクラブ部門が108.7%(30週累計107.4%)、海外部門113.3%(30週累計117.2%)であるので、海外部門の落ち込みが全体へ響いたといえよう。したがって、国内部門は依然として好調に推移しているといえ、既存店合計では103.5%(30週累計103.7%)という数字で推移している。

   ウォルマートの海外部門はこの8月度76.14億ドル(約8,150億円)であり、ウォルマート全体の売上が306.67億ドル(約3兆2,800億円)であるので24.8%となり、約1/4を占め、インパクトは大きい。したがって、海外部門の落ち込みは、即、ウォルマート全体へ響くといえる規模となっており、ウォルマートにとって、海外戦略は重要な位置を占めているといえよう。ちなみに、昨年は67.21億ドル(約7,200億円)であり、全体に占める割合が23.8%であるので、売上金額で約1,000億円、構成比で1.0ポイント上昇しており、海外部門の重要性が大きな比重を占めているといえよう。

   その海外部門の動向であるが、イギリスのアズダは好調に推移したが、為替相場がポンドに対してドル高となり、ドルベースの売上では数字が伸び悩んだという。海外戦略の場合、為替相場が売上に影響するため、このようなことが起こることもあり、考慮する必要があろう。南米ではブラジルのハイパーマーケット、スーパーマーケット、キャッシュ&キャリーが好調であったという。カナダは横ばいであり、中国ではオリンピックで客数はやや減ったが、客単価は伸びたという。日本の西友は依然として厳しい数字がつづいているという。

   これに対し、国内は依然として好調さが続いており、既存店合計で103.5%(30週累計103.7%)という状況であるが、その中身は、ウォルマート部門が102.8%(30週累計103.1%)であり、サムズクラブ部門が107.5%(30週累計106.4%)であり、特に、サムズクラブ部門の伸びが大きい。また、この売上の中にはガソリン等のエネルギー関連の数字が含まれているが、その影響はウォルマート部門では0.0%と影響はないが、サムズクラブ部門が3.3%(30週累計3.1%)と大きなインパクトがあり、サムズクラブ部門の好調さはこのガソリン等のエネルギーによる底上げが大きいといえる。
 
  これを受けてウォルマートの株価であるが、9/7現在、62.00ドル(+1.26ドル、+2.07%)という状況であり、株価水準は過去5年間で最高水準で推移している。ウォルマートの株価は2004年前半に60ドル台に達したが、その後株価は下落し、2005年には50ドルを割り込み、2008年まで約3年間45ドルから50ドルの間を推移していた。ところが、2008年に入ると株価は上昇に転じ、5月までほぼ右上がりに上昇を続け、60ドル近辺にまで迫った。その後、6月、7月、8月と60ドル近辺で推移し、9月に入ると、60ドルを超えはじめ、株価は好調に推移している状況である。ウォルマートは上場以来最高の株価水準は1999年12月31日の70.25ドルであるので、まさに最高値を狙う勢いが今期はあり、今後のウォルマートの株価には注目といえよう。昨年は一時40ドル近辺にまで株価が急落した状況を考えると、今期の株価は60ドルを超え、まだ上昇しそうな勢いがあり、投資家はウォルマートを買いと判断しているといえよう。

   このように、2008年8月期のウォルマートの売上速報は海外部門にやや陰りがみられるものの、国内部門は堅調な数字で推移しており、好調な売上であるといえよう。アメリカではサブプライムローンの問題に加え、日本同様、資源エネルギー高が家計消費に影響を与え、小売業は厳しい環境にあるといえるが、ウォルマートが今期掲げたスローガン、Saving People Money So They Can Live Betterがまさに消費者の支持を得、これが売上に反映されているといえよう。ひところの、EDLP(Everyday Low Price)政策による価格重視の政策から、生活重視、すなわち、節約により、より良い生活をという政策がウォルマート全体に浸透しはじめたものといえよう。今月でちょうど、中間の26週を超え、後半はじめの月、30週目となったウォルマートであるが、今期も堅実な成長を維持できるのではないかと予想される。今後のウォルマートの動向に注目といえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 09, 2008

食品商業でPB特集、2008年8月度、巻頭!

   先月号の食品商業8月号でPBの特集記事が組まれた。「NB値上げで追い風、PBの潮目が変わる、主要流通グループのMDパワー総検証」と題し、31ページにわたる内容である。特に、トップバリュ、セブンプレミアム、CGC、くらしモアの4大PBブランドを取り上げての記事であり、現状の食品スーパーマーケットにおけるPBの状況をわかりやすくまとめている。その中でも、トップ記事のイオントップバリュの朝長哲社長へのインタビュー記事、店頭調査&分析と題し、ジャスコ入間店、イトーヨーカドー木場店、西友東陽町店、マミーマート坂戸入西店、ライフ深川猿江店、コープ高階店の主要PB、食パン、ポークウィンナー、ヨーグルト、納豆、マーガリン、マヨネーズ、しょうゆ、冷凍うどん、緑茶、缶チューハイ、ポテトチップス、ボディソープ、柔軟剤の実地調査記事はPBの現状を知る上で参考になる。そこで、これらの記事をもとに、食品スーパーマーケットのPBの現状、そして、今後を考えてみたい。

   まず、今回、食品商業8月号で取り上げた4大PBの規模であるが、トップバリュは約5,000品目、2,700億円、セブンプレミアム380品目、800億円、CGC約1,500品目2,181億円、くらしモア約950品目540億円という状況である。この中で、トップバリュは、2010年には7,500億円(277.7%)、セブンプレミアムも2010年には3,200億円(400.0%)と大幅増の販売計画を立てており、記事の中のインタビューではどちらも、目標達成に自信を示しているのが印象的である。ちなみに、現状の1SKU当たりの売上を単純に計算してみると、トップバリュ0.54億円(14.7万円/日)、セブンプレミアム2.10億円(57.5万円/日)、CGC 1.45億円(39.7万円/日)、くらしモア0.56億円(15.3万円/日)となり、2極化しており、セブンプレミアム、CGCは販売ボリュームが大きく、トップバリュ、くらしモアは規模の割には品揃えが多く、販売ボリュームが小さいことがわかる。

   日本の食品スーパーマーケットではまだ自社製造工場をもってPBを作っているケースは日配、惣菜などの一部を除き、ほとんどなく、メーカーに生産委託をしているのが現状といえる。したがって、生産委託に値するボリュームが必要といえ、最低1億円は欲しいところであろう。トップバリュについても、記事の中では20億円から50億円の商品が50ぐらい出てきているとのことで、トップバリュ専用工場のような場合もあるという。今後、品目を増やす一方、商品ボリュームをいかに引きあがるかがトップバリュ、くらしモアではこの数字を見る限り、課題となろう。

   ちなみに、食品スーパーマーケットで1億円の売上を上げるには、年商2,000億円クラスでは、ちょうど客数が年間1億人近くとなるので、金額PI値1円が必要となる。これをCGCで換算してみると、現在CGCの加盟企業の店舗数は約3,000店舗であるので、客数を2,000人/日で換算すると、年間約20億人となるので、金額PI値は0.05円となる。3,000店舗のボリュームがいかに大きいかがわかる。金額PI値1円ではトップ商品しかPB化ができないが、金額PI値0.05円となれば、各カテゴリーのベスト5ぐらいまで可能であり、CGCの約3,000店舗はいかにPB開発にとって魅力的かがわかる。

   食品商業8月号にもどるが、この記事の中に詳細な店頭調査結果が掲載されているが、これを見ると、トップバリュのフェイシングが異常値となっていることが気になる。たとえば、マヨネーズはPB30フェースに対し、NB3フェース、しょうゆPB11フェースに対し、NB2フェース、食パンPB20フェースに対し、NB14フェースなどであるのに対し、イトーヨーカドーは食パンPB3フェースに対し、NB6フェース、マミーマート(CGC)は食パンのPB8フェースに対し、NB4フェース、しょうゆPB6フェースに対し、NB6フェース、マヨネーズPB5フェースに対しNB5フェースという状況である。本来PBはNBの対抗ブランドであり、NBとの比較購買の中で顧客の支持を獲得し、カテゴリー全体の数字を引きあげてゆくことが役割であるといえよう。イオンのPBのフェースを見る限り、PBがNBを逆転し、むしろNBが比較購買商品となっており、カテゴリーの全体の数字への影響、ひいては顧客の支持に影響がでないか気になるところである。

   PBは現在、NBのあいつぐ値上げにより、家計が節約志向を強め、追い風が吹いている。今回、食品商業で取り上げた主要PB以外でも、各有力食品スーパーマーケットが次々とPB戦略を強化しており、食品スーパーマーケットの中でのシェアを確実に引きあげている。ここ最近、PBの売上構成比が10%を超える店舗が続出しており、今後、数年で15%から20%近くまでは引きあがる勢いである。ただ、それでも、残り80%から85%はNBであり、NBは当面圧倒的な存在価値を持ち続けることに変わりないのが実態といえよう。その意味で、PBはNBとの併売ではじめて、顧客からの支持を獲得し、カテゴリー全体、ひいては店舗全体の顧客の支持を獲得するという商品であるといえる。PBに追い風が吹いているいま、PBとNBとのバランスをどうとっていくかが今後とも食品スーパーマーケットにとっては、重要なテーマであろう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在500人)

September 08, 2008

家計消費状況調査、2008年7月度、家具、家電大幅減!

   9/2、総務省統計局から、2008年7月度の家計消費状況調査が公表された。この調査は家計調査データを補う意味で、2002年度から実施されているもので、家計調査データでは把握しにくいIT関連の消費や購入頻度が少ない高額商品・サービスなどへの消費の実態を調査することが目的である。全国約30,000世帯の調査となるので、家計調査データの約8,000世帯を大きく上回る規模であり、信頼度は高いといえよう。どのように購入頻度の低い項目を選定しているかというと、家計調査の結果から1購入頻度当たり支出金額が3万円以上を基準とし、その中から、購入頻度が年間1世帯当たり1回未満の品目と年間消費支出に占める割合が0.01%以上の品目について選定している。したがって、大部分は高額商品から選定されることになる。

   現在、消費状況は値上げ真っ最中であり、家計の内食回帰、節約志向が強まる中でこの購入頻度の少ない消費実態がどのような状況であるか、その実態を見てみたい。まず、昨年7月度と比べ、消費額が30%以上ダウンした厳しい項目であるが、和服(男子用、婦人用)638円(-50.3%)、楽器(部品を含む)192円(-52.9%)、自動車以外の原動機付輸送機器400円(-46.9%)、応接セット205円(-46.8%)、机・いす(事務用、学習用)122円(-39.0%)、パソコン用周辺機器・ソフト166円(-36.9%)、パック旅行費(外国) 2,553円(-36.1%)、カメラ(使い捨てのカメラは除く)359円(-34.4%)、ベット180円(-34.1%)、自動車教習料620円(-33.8%)、ステレオセット52円(-30.7%)、葬儀・法事費用2,695円(-30.6%)である。

   これを分類別でみると、家具類では、楽器(部品を含む)192円(-52.9%)、応接セット205円(-46.8%)、机・いす(事務用、学習用)122円(-39.0%)、ベット180円(-34.1%)の4品目となる。家電等では、パソコン用周辺機器・ソフト166円(-36.9%)、カメラ(使い捨てのカメラは除く)359円(-34.4%)、ステレオセット52円(-30.7%)の3品となり、特にこの2部門の消費の減少が大きい。さらに、この2部門について、-10%まで見てみると、家具類では、たんす139円(-27.2%)、食器戸棚147円(-26.1%)、布団362円(-19.0%)となり、家具類の調査対象全7品目すべてが-10%以上、最大-50%を超える落ち込みであり、家具類は買い控えが大きく、大幅な消費減となった項目である。

   また、家電等では、パソコン-1,103円(-20.4%)、ビデオカメラ136円(-18.6%)、ミシン88円(-18.6%)、ファクシミリ付固定電話機90円(-13.5%)の4品であり、合計7品である。家電等の調査項目は全部で17品であるので約4割が10%以上のマイナスであり、やはり厳しい状況である。特に、パソコンについては、先に公表された7月度のCPI(消費者物価指数)でもパソコン(デスクトップ型) -22.3%、パソコン(ノート型)-42.8%、パソコン用プリンタ-7.1%という状況であり、消費の減退が裏づけているといえよう。

   一方、逆に、消費が伸びた項目を120%以上で見てみると、インターネット接続機能付テレビゲーム機61円(+ 56.4%)、航空運賃1,582円(+43.2%)、デジタル放送用チューナー・アンテナ108円(+38.5%)、移動電話機(携帯電話機、PHSの本体価格と加入料) 445円(+30.9%)、デジタル放送チューナー内蔵テレビ2,933 円(+27.5%)、家屋に関する設備費・工事費・修理費(外装) 5,899 円(+27.3%)、衛星デジタル放送視聴料222円(+26.1%)、ビデオデッキ(DVDレコーダー・プレーヤーなどを含む)495円(+21.0%)の8品であり、20%以上ダウンした12品と比べ少ないといえ、購入頻度が少ない高額商品の消費が明らかに減退しているといえよう。

   また、家計消費状況調査は、IT関連の消費調査についても実施しているが、その項目だけを抜き出して見てみると、移動電話(携帯電話・PHS)使用料9,586円(+0.3%)、 固定電話使用料3,031円(-7.5%)、インターネット接続料(プロバイダー料と通信料)1,690円(+12.9%)、インターネット接続料(プロバイダー料) 130円(+1.6%)、ケーブルテレビ受信料(受信料とインターネット接続料)686円(+7.5%)、ケーブルテレビ受信料(受信料)487円(+5.9%)、衛星デジタル放送視聴料222円(+26.1%)という状況であり、さすがに固定電話はマイナスではあるが、携帯、インターネットは大きな伸びではないが堅調な数字であるといえよう。

   このように2008年7月度の家計消費状況調査が家計調査データに引き続き公表されたが、全体として見ると、IT関連の消費は比較的堅調ではあるが、購入頻度の低い、高額商品の消費は大きく減退気味であるといえ、家計の節約志向が浮かび上がった結果といえよう。特に、家具類、家電等ではその傾向が鮮明である。家計調査データでは値上げした商品に関しても食品は比較的堅調である傾向がでていたが、この家計消費状況調査では、全体的に厳しい傾向であったことから、家計の節約志向は今回取り上げた購入頻度の低い商品等から強まりつつあるといえよう。今後、家計調査データ、CPI(消費者物価指数)に加え、この家計消費消状況調査も注意深く見て行く必要があろう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在498人)

September 07, 2008

カウボーイ、整理ポスト一部解除、依然として厳しい経営!

   カウボーイの株価が9/5現在、27円(-1円、-3.57%)と下げ止まらない状況である。カウボーイは現在、ジャスダックに上場しているが、7/1より、中間決算書を期限内に提出できなかったとの理由で監理ポスト割当株となった。その後、監査法人より「意見の表明をしない」旨が記載された中間監査報告書を提出した旨の開示がなされ、7/27から監理ポスト割当理由が追加された。そして、7/31に、中間決算書が北海道財務局に提出されたため、監理ポスト入り理由が一部解除されたが、依然として、9/5現在、監理ポスト割当銘柄として継続中である。

   その間のカウボーイの株価の動きを見てみると、6月前半は120円前後で推移していたが、その後、株価は右下がりに下がりはじめ、6月下旬には80円前後まで株価は下がった。その後、7/1に入り、監理ポスト株となると、株価が急落、7/1(57円)となり、7/2(53円)、7/3(52円)と株価は下がり、7/14には40円まで株価が下がった。ただ、その後、株価は反転し、一時は80円前後まで株価は戻ったが、7/27監理ポスト割当理由が追加されると、株価はまた下がり始め、7/28(53円)、7/29(47円)、7/30(42円)となり、7/31には、監理ポスト入り理由が一部解除されたが、7/31(45円)、8/1(42円)、8/4(41円)と株価は下げ止まらず、8/21の23円まで下げ続けた。その後、8/22、8/25、8/26と大量の商いが発生し、株価はやや上昇し、30円前後まで戻したが、その後、9/5現在まで、30円前後で推移しており、依然として厳しい株価が続いている。

   8/22から8/26までの大量の商いは通常が40から50万株の商いであるが、8/25、その約10倍の約450万株の商いが発生しており、明らかに異常値である。恐らく、8/27にカウボーイとトライアルカンパニーとの業務提携が締結されたことを見越しての買いのように思える。ただ、その後、株価は上昇しておらず、監理ポスト入りが継続している状況では株価の上昇は難しいものがあるといえよう。今後、カウボーイの株が監理ポスト入りを解除され、トライアルカンパニーとの業務提携の効果が明確になれば、株価は上昇する可能性はあるといえるが、状況がいつ変化するか読みにくのが現状である。

   そのトライアルカンパニーとの業務提携の内容であるが、大きく4項目となっている。その4項目は、(1)店舗運営に関する相互協力(ノウハウの提供)、(2)商品供給・仕入れに関する相互協力、(3)トライアルからの役職員派遣及び相互人材交流、(4)当社及びトライアルの提携強化に向けた取組みである。この内、(4)では、①トライアルカンパニーは平成20 年8 月29 日に合同会社月光より発行済株式6,900,000株を取得する、という細目があり、これにより、トライアルカンパニーがカウボーイの31.24%の株式を所有することになり、筆頭株主となり、カウボーイの親会社となる。なお、合同会社月光は、ゴールマン・サックス・グループのグループ会社であり、トライアルカンパニーへの株式譲渡後4.05%の持株比率となり、ゴールドマンサックスグループも同様に4.05%の持株比率となる。

   カウボーイはこのように紆余曲折を経ながら、今後はトライアルカンパニーの子会社として、経営再建に入る体制となったが、8/29に新日本有限責任監査法人が監査人を正式に降り、その後の後任が9/5現在決まっていないため、依然として、決算書の監査人からの承認がなされず、監理ポスト銘柄からの解除は難しい状況が続いている。

   そのカウボーイの最新の決算短信、2008年9月期、第3四半期決算の状況であるが、8/22に公表されたが、売上高212.98億円(64.8%)、営業利益-8.23億円、経常利益-8.41億円、当期純利益-22.14億円と、減収大幅な赤字決算となった。また、この第3四半期決算の純資産合計は-7.29億円の債務超過となっており、自己資本比率は-41.8%という状況である。ただ、長短借入金の合計はわずか5億円であり、借入金が経営を圧迫しているわけではなく、営業利益の-8.23億円と減損損失、投資有価証券評価損、貸倒引当金繰入額等の合計21.38億円の特別損失が大きかった。また、カウボーイの通期予想についても、売上高250.00億円(58.0%)、営業利益-8.6億円、経常利益-8.8億円、当期純利益-22.56億円と、この第3四半期決算よりもさらに厳しい数字が予想されており、経営状況はかなり厳しい状況で推移するものといえよう。

   このようにカウボーイの株価が7/1以降、ジャスダックの監理ポスト銘柄となり、7/31に一部内容が解除されたが、株価は依然として厳しい状況が続いている。また、この第3四半期決算も8/22に公表されたが、減収減益、大幅な赤字決算となり、しかも、自己資本比率は-41.8%の債務超過となる厳しい経営状況となった。8/27には起死回生の挽回策としてトライアルカンパニーと業務提携を締結したが、その後も株価には変化がみられなかった。肝心の監理ポスト銘柄から脱するための新たな監査法人の選任も9/5現在、なされておらず、経営そのものの監査体制が確立できない状況が続いている。今後、トライアルカンパニーが筆頭株主となり、親会社として、カウボーイの経営を全面的に支援してゆくことになるが、現状の経営状況はかなり厳しいものがあり、今後、カウボーイの経営は予断を許さない状況が続くといえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1218人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在498人)

September 06, 2008

日経MJ、新製品週間ランキング、9/5、広末効果抜群!

   「広末君だいたい君は、・・」、「カルボチップス、チョコであります。」、「何だこれ!そんなザクザクするチョコがあるか、・・」、「えー、えーどうせ私はざっくりしてますよ。」、「そうじゃなくて、ザクザクしないよ、チョコは、・・」、「あー、これチョコじゃないのかも、・・」。「チョコだねー、・・」、「ちょこだね。」というCM、金額PI値534円、今週の新製品週間ランキング初登場No.1となった。菓子部門で金額PI値500円のAクラスをこえるのは珍しいといえ、広末効果がいかに大きいかが実証された結果といえよう。カバー率も84.4%であり、対象45チェーン、250店舗の大半に導入されての数字であり、びっくりである。来週以降、どの辺で数字が落ち着くか注目の新製品といえよう。
 
   今週も先週同様、新製品が、この明治製菓、ガルボチップス70gをはじめ、数多く登場している。菓子で6品、飲料で5品、冷凍食品で9品、その他食品で0品、家庭用品で1品と合計21品が初登場でランクインしており、新製品ラッシュといえる様相を呈している。ただ、金額PI値は500円のAクラスを超えた新製品がこのガルボチップス以外では、家庭用品の花王、アタック1kgの金額PI値508円のみであり、依然として、金額PI値自体は低い状況が続いている。

   さて、菓子に話をもどすが、No.1の明治製菓、ガルボチップスについで、No.2も今週初登場の新製品であり、ロッテ商事、チョコパイパーティパック9個、金額PI値271円であった。No.3は先週1位だった明治製菓、フランホイップス苺12本、金額PI値259円であり、ベスト3がすべてチョコレートなり、夏から秋のまさに新製品へと移りかわったといえよう。菓子部門はこの2品以外にもベスト10に2品初登場の新製品が入っており、No.5にカルビー、四季ポテトじゃがベーコン味65g、金額PI値233円、No.7にもカルビー、四季ポテトこんがり焼きしょうゆ味65g、金額PI値221円が入った。
 
   菓子についで、ここ最近、飲料が好調であり、今週も特に日本コカ・コーラが新製品ラッシュとなり、No.1は初登場のファンタピーチ500mlペットボトル、金額PI値305円が入った。No.7にもファンタピーチ1.5Lが金額PI値201円で入った。日本コカ・コーラは、この初登場の新製品以外にも5品ランクインしており、全20品のなかで7品がランクインするという新製品のオンパレードである。飲料部門No.2も先週1位の日本コカ・コーラ、爽健美茶五穀500mlペットボトル、金額PI値295円である。No.3はサントリー、伊右衛門焙じ茶500mlペットボトル、金額PI値252円であり、ベスト3はすべて500mlが占めた。

   また、今週は金額PI値自体は数字が小さかったが、冷凍食品が久しぶりに、アイスクリームの独占状態から脱し、冷凍食品の新製品、しかも今週初登場の新製品が数多く登場した。No.5に先週18位からニチレイフーズ、お弁当にGood!からあげチキンマヨネーズ味5個110g、金額PI値72円、No.6に今週初登場の明治乳業、レンジピッツァ&ピッツァ2枚入250g、金額PI値64円、No.9にマルハニチロ食品、イワシメンチ6個入り132g、金額PI値61円、そして、No.10に今週初登場の日本水産、大きな大きな焼きおにぎり6個480g、金額PI値54円がベスト内に入った。また、No.11以降はアイスクリームも含め、7品が今週初登場の新製品であり、冷凍食品は今週になってランキング商品がガラッとかわり、アイスクリームから冷凍食品へ新製品ランキングが入れ替わったといえよう。
 
   その他食品については、残念ながら今週初登場の新製品は0であったが、9月に入り、ラーメン、練製品がランクインするなど、新製品のランキングに変化が見られる。No.1は先週14位から急浮上した日清食品、チキンラーメン復刻版5食パック425g、金額PI値308円であり、これ以外にもチキンラーメンはNo.5にたっぷり緑野菜63g、金額PI値219円、No.6にたっぷり赤野菜64g、金額PI値208円が入った。これ以外にも、日清食品のラーメンが2品入っており、ラーメンだけで5品新製品がランクンした。また、練製品についてはNo.4に紀文食品、さつま揚(巾着)6枚150gが金額PI値242円、No.15からNo.18まで同じく紀文食品、まろやか仕込み鯛入り笹かま4枚128g、金額PI値152円、はんぺん大判110g、金額PI値145円、焼ちくわ150g、金額PI値144円、野菜てんぷら4枚200g、金額PI値139円、そして、No.20に一正蒲鉾、鱧入りちくわ50g×3本、金額PI値136円と全部で6品ランクインした。
 
   このように、今週の日経MJ新製品週間ランキングは金額PI値はAクラスの500円を超える新製品は2品のみと依然として全体的に低迷ぎみであったが、中身が9月に入り大きく入れ替わったのが特徴である。特に、菓子部門からはチョコレートが上位を占め、冷凍食品では久しぶりにアイスクリームから冷凍食品が復活し、その他食品でもラーメン、練製品が上位を占めるなど変化が見られる。また、ここへ来て、先週以上に今週初登場の新製品も数多く登場しており、新製品ランキングにアクティブな動きがみられる。来週以降、新製品ランキングがどのように変化するか注目といえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1215人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在480人)

September 05, 2008

ザ・プライス西新井店、40年後のGMSの姿!

   まずは、以下の商品をじっくり見て欲しい。9/1、9/2の日替わり商品であるが、生さんま1尾78円、バンメイえび1尾185円、国産豚もも100g98円、国産豚バラブロック100g98円、国産若鶏手羽元1本35g30円、国産若牛小間切100g188円、つがるりんご1個88円、とまと1箱298円、正田特級しょうゆ1L1本98円、サッポロ一番しょうゆ味、みそラーメン、塩らーめんどんぶり1個78円、相模屋まろやか絹150g×3 1パック78円、武蔵製菓みたらし団子焼入り、よもぎ団子つぶあん3本入り1パック78円である。

   これに加え、EDLP(EveryDay Low Price:毎日お買い得)としては、きゃべつ、だいこん、バナナ各68円、若鶏もも唐揚げ用100g98円、国産黒毛和牛ももステーキ用(4等級)100g398円、めかじき1切158円、塩銀鮭切身1切78円、刺身用まばちまぐろ100g198円、新米ひとめぼれ10kg2880円、5kg1480円、サントリー天然水南アルプス1ケース498円、コカコーラはじめ、ウーロン茶1ケース698円、ヤマザキサンブレッド1斤93円、こいしや食品踊り七福きぬこし絹豆腐300g38円、くめ納豆水戸撰品58円、アーミーグリーン1缶698円、日東紅茶1箱298円、野菜天ぷら各種1個60円、魚天ぷら各種1個80円、15穀米のミニ松花堂弁当1パック298円、江戸前寿司1パック598円が主な商品である。
  
   さらに、私自身が9/2に実際に購入した商品であるが、北総酪農3.6牛乳139円、サントリー黒烏龍茶350ml 165円、湖池屋ポテトチップス65g81円、野菜コロッケ60円、わらべやおにぎりツナマヨ98円、ヤマザキサンブレッド食パン93円、新川屋しんちゃん焼そば98円、東洋水産マルちゃん焼そば168円、キューピーマヨネーズ500g228円、シマダヤ稲庭風細うどん56円、にんじん1本25円、じゃがいも1個25円、ピーマン1個19円、たまねぎ1個25円、とまと1個68円、きゅうり1本35円、幸水梨1個50円、1/4青首大根39円、バナナ1袋68円、マロニー138円である。
  
   これが、8/29にオープンしたセブン&アイホールディングスのザ.プライス西新井店の主要商品の価格である。店内は上記のように日替わり商品とEDLP商品の組み合わせにより、価格にこだわった商品展開となっており、まさに、プライス重視のディスカウントストアといえよう。重点商品は豆腐38円、牛乳1L139円に象徴されるようにベイシアをかなり意識していると思われる価格が付けられており、食品スーパーマーケットとしての限界に近いプライスゾーンを意識しているといえよう。

   ザ・プライスの概要であるが、店舗面積は2階を含め1,000坪ジャストであり、食品が1階で全面展開し、450坪、衣料品が2階で250坪、住関連品も2階で300坪での展開である。売上目標は全体で年間40億円であり、内訳は食品が80%で32億円、衣料品が10%で4億円、住関連品が10%で4億円である。食品が32億円であるので、1日900万円弱、金額PI値(客単価)を約3,000円とすると、3,000人の1日当たりの客数となる。この数字目標から見る限り、GMSとしては、店舗面積からしてありあえないくらい小型タイプであり、売上としても食品スーパーマーケットのAクラス並みの数字目標といえ、ディスカウントストアとしては、意外にこじんまりした数値目標といえよう。食品の年商目標32億円を450坪で割ると1坪当り711万円であるので、通常の食品スーパーマーケットよりはもちろん高い数字であるが、都心部のディスカウントストアとしては、1,000万円を超えても良いのではと、逆に少し心配になるくらい控え目の数値目標といえよう。
 
   ちなみに、このザ・プライス西新井店は約40年前に創業した当時は最新業態のGMSであり、イトーヨカドー発祥の地、北千住からすぐ近くの西新井にある。この西新井にはつい最近、昨年11月にオープンしたセブン&アイホールディングスの最新業態、ポストGMSのario西新井がすぐ近くにあり、徒歩でもゆけるまさに至近距離である。私が買い物をした時には駐車場が満杯であり、ario西新井の駐車場に止めてくださいという張り紙と警備員の誘導があるくらいの近さである。本来、このario西新井ができた時点でこの店舗はGMSとしての役割は完全に終えていたわけであるが、GMSとしての復活は難しい以上、スクラップするか、小売業以外の業態へ変更するかしか選択肢はなかったといえよう。その苦悩の中での、ザ・プライスというディスカウントストアへの転換である。
 
   ディスカウントストアの完成度としては数字目標を見ても、立地、店舗面積、駐車場の状況を見ても、かなり無理があり、品揃えも1品突破を狙った単品プライスは確かに安いが、それ以外のNBはそう安いとはいえず、さらに、各カテゴリーを見ると、食生活を満たすにはかなり無理のある絞り込みが多く、プライスにこだわりすぎている点が気になるところである。今後、恐らく、不振のGMSをこのザ・プライスに次々と切り変えてゆくことになるのではと思うが、2号店の出店までに、この1号店、ザ・プライス西新井店で地元のお客さま、特に、40年以上に渡って以前の店舗をご利用いただいていたお客さまがどのような判断を下すのか興味深いところである。ザ・プライスの次の2号店がいつ、どのような形で出店するのかに注目したい。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1215人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在480人)

September 04, 2008

九九プラス、2009年3月期第1四半期、赤字決算!

   九九プラスが2009年3月期、第1四半期決算を8/11公表した。営業総収入329.33億円(104.6%)、営業利益-2.24億円、経常利益-2.04億円、当期純利益-2.26億円となる赤字となり、厳しい決算となった。九九プラスは、今年、2008年1月に筆頭株主がキョウデンからローソンに変わり、ローソン主体の経営改革に踏み込み、様々な施策を実施しており、その成果が期待される中での厳しい決算であり、今後、さらに踏み込んだ経営改革が必須となってきた。ちなみに、2008年3月期の決算結果も、売上高1,229.97億円(98.8%)、営業利益4.01億円(42.0%:売上対比0.32%)、経常利益3.56億円(41.3%:売上対比0.28%)、当期純利益0.47億円(前期赤字:売上対比0.03%)と厳しい決算であったが、この第1四半期はそれ以上の厳しい決算となった。

   この決算時にはローソンの持株比率は34.2%、キョウデンは29.6%という状況であったが、その後、8/29、かねてからのローソンが実施していたTOBが成立したとの報を受け、この9/5からはローソンが77.67%の株式を保有することとなり、キョウデンの持株比率は0%となる。その結果、九九プラスはローソンの連結子会社となる予定である。その意味で九九プラスはローソンの新業態のひとつとして、今後のローソンにとって重要な営業戦略を担うことになる。ただ、この第1四半期の決算はかなり厳しい数字であるといえ、ローソンが九九プラスの経営改革をいかに早く、進められるかが問われるといえよう。

   この第1四半期決算の中で、ローソンと九九プラスとが共同で進めた経営戦略であるが、まず、出店戦略では、「ローソンとの店舗情報の共有を進める一方で、三大商圏(首都圏、関西圏、中京圏)を中心に「収益性の高い店舗開発に重点を置き、精査して出店する」という方針に従って、店舗の収益構造の再構築を最優先とするため、調査・検討に十分時間をかけるようにし、・・」という。その結果、「前期末に比べ57店(直営:出店63店・閉店3店、FC:出店0店・閉店3店)の増加となり、3月末の総店舗数は837店(直営718店、FC119店)」になったという。

   また、商品政策では、「①当社の強みである加工食品・雑貨の開発手法、株式会社ローソンの強みである安心・健康に関する開発手法とブランド力を融合し、ローソングループとの商品共通化のスケールメリットによるコストダウンの追求とお客様への更なる安心感の提供を目的としたPB(プライベートブランド)商品「バリューライン(VL)」の導入、②ローソングループの開発力を取り入れた中食の強化、③更なる品質管理体制の強化、④お客様のニーズに応え、生鮮食品や冷凍食品などの国産化を推し進めるとともに安全性が確認された生産者からの調達、⑤お客様の利便性向上を目的に総アイテム数の2~3%を上限として、99円では揃えられないお客様のニーズに応えた商品(特定保健用食品や米5kgなど)の導入店拡大などを実施し、・・」と、ローソンと一体となった取り組みがなされている。これ以外にも物流、共同融合店舗の出店、フライチャイズパッケージの構築など様々な改革が実施されている。

   ただ、まだこれらの経営改革が数字には表れているとはいえず、厳しい状況となったその要因を原価および粗利と経費のバランスで見てみたい。まず、原価であるが74.4%(昨年73.2%)であるので、1.2ポイントと上昇している状況である。九九プラスはほとんどの商品の平均単価が100円であるので、仕入原価が上昇したことが、経営を圧迫した要因のひとつといえよう。したがって、売上総利益(粗利)は、25.6%(昨年26.8%)となり、粗利が1.2ポイント下がった。これに対し、経費であるが、26.2%(昨年25.3%)と0.9ポイント上昇しており、経費も増加したことがさらに経営を圧迫しており、結果、ダブルでの経営の圧迫となり、営業利益が赤字になったといえよう。

   これを受けて、九九プラスの株価であるが、7/16から、ローソンのTOBが1株75,000円で始まっているので、それまで約50,000円の株価が、数日で70,000円台となり、7/23には75,000円を超えた。その後、TOBは8/28まで続くが、8/11には、この第1四半期の厳しい決算が公表されるが、株価は約75,000円をキープし続けた。ただ、8/26になると株価は下がりはじめ、8/26(70,000円)、8/27(66,000円)、8/28(62,400円)、8/29(61,400円)と下がりつづけ、週明けの9/1も61,400円という株価であった。それでもTOB以前と比べると約10,000円高い株価であり、今回の第1四半期の厳しい決算そのものの影響はTOBにより、相殺されたといえよう。

   このように、九九プラスの経営は9/5以降、ローソンのTOBが8/28に成立したことにより77.67%の株式がローソンに移動し、ローソンの連結子会社となることが確定したが、経営そのものは、この第1四半期の決算結果が示すように、厳しい結果であり、今後、抜本的な経営の立て直しが急務である。特に、資源・原料高による値上の波がまだまだ続いており、九九プラス特有の100円プライスでの販売が明らかに原価を押し上げ、粗利を圧迫しており、大きなアゲインストの風の中、どう経営を立て直すが難しい状況である。九九プラスが今後とも100円というプライスを維持しつづけるのかどうか、まさに、その創業の原点が問われている経営環境の激変であるといえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1210人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在480人)

September 03, 2008

家計調査データ2008年7月度、猛暑!

   総務省統計局から、8/29、2008年7月度の家計調査データが公表された。値上げ問題真っ最中の中で心配された消費動向であったが、結果は外食を除く食品全体は2,012.16円(100.5%)となり。堅調な伸びであった。7月度は猛暑の影響もあり、これまでとはかなり消費状況が異なっているのが特徴である。たとえば、外食が446.55円(104.2%)と6月度の418.63円(99.0%)、5月度の465.45円(100.4%)と明らかに上昇したり、これまで、厳しい数字であった飲料についても156.29円(108.1%)と6月度 130.93円(90.0%)、5月度 137.06円(93.4%)と比べ急進しており、猛暑による影響が大きく反映したといえよう。特に外食については、日本そば・うどん15.61円(104.1%)、中華そば 16.10円(110.2%)、他のめん類外食5.35円(114.5%)と、麺類が好調である点から見ても、猛暑の寄与が大きかったのではないかといえよう。

   これ以外でもこの7月度は酒も好調であり、141.16円(105.8%)となり、その中でもビールは68.42円(107.0%)とよく伸びている。猛暑関連では水分補給として、果物も顕著であり、112.58円(102.0%)となり、特にももは19.39円(123.2%)と大幅に続伸している。これ以外にもぶどう9.00円(118.2%)、オレンジ1.87円(126.1%)など顕著である。これらの数字を見る限り、7月は明らかに猛暑の影響により、猛暑関連の商品が急進した特別な月となったといえよう。

   その猛暑の追い風に乗った飲料であるが、紅茶1.87円(118.4%)、茶飲料20.68円(112.1%)、果実・野菜ジュース34.74円(114.6%)、炭酸飲料11.45円(122.8%)とこれらは2桁を優に超える伸び率であり、これまでの不振を一気に挽回した伸びとなった。ただ、コーヒー11.74円(94.8%)、緑茶10.97円(94.2%)、乳酸菌飲料10.45円(98.2%)、ミネラルウォーター8.00円(99.2%)は伸び悩んでおり、すべてが伸びたわけではない。

   では、値上げ関連商品はどうであったかであるが、少し、これまでとは様相が変わってきた傾向がある。たとえば、値上げ関連の本命ともいうべき、小麦関連商品であるが、小麦粉が1.68円(94.5%)となり、数字を大きく落としている。6月度は1.87円(121.7%)という大幅な伸びであったので、94.5%は急減した数字といえよう。ただ、5月度は1.84円(98.3%)、4月度は2.13円(120.8%)であるので、月ごとに波があるともいえるので、来月度はどうなるか、読みにくいが、この7月度は明らかに失速といえよう。これに付随してか、カップめんも6.48円(88.2%)と激減、これまで順調であった即席めんも3.19円(103.1%)と伸び悩んだ。ただ、乾うどん・そば25.35円(112.0%)、スパゲッティ3.55円(114.6%)、中華めん15.74円(121.1%)は、猛暑の影響か極めて高いとみえ、大きな伸びを示しており、小麦関連は明暗が分かれる結果となった。

   また、少し気になるのは、米が70.03円(93.2%)、パンが74.39円(99.4%)と内食回帰の傾向がある中、伸び悩んでいることである。同じく、値上げ関連の乳製品であるが、ヨーグルト22.68円(101.3%)、バター1.74円(100.0%)、チーズ8.58円(101.5%)も伸び悩んでおり、今月はこれまで順調であった値上げ関連の商品に異変が起きているのが実態である。

   さらに、値上げ関連を見てみたい。調味料である。全体では油脂・調味料113.06円(101.9%)と堅調な数字であり、その中身は大きく伸びた項目と逆に落ち込んだ項目に2分した。伸びた項目は食塩1.94円(122.4%)、カレールウ4.90円(116.0%)、ふりかけ4.32円(110.7%)、マーガリン2.13円(110.0%)が2桁の伸びであり、これ以外にもマヨネーズ・ドレッシング9.32円(109.1%)、食用油15.55円(107.6%)、風味調味料4.90円(108.6%)などが良く伸びている。これに対し、酢3.87円(77.4%)、ソース1.97円(95.3%)、ケチャップ1.55円(96.0%)、砂糖3.65円(96.6%)、乾燥ス-プ4.45円(97.2%)等が伸び悩んだ。ほぼ横ばいなのがしょう油6.81円(101.9%)、みそ6.45円(102.0%)、つゆ・たれ11.97円(100.3%)である。調味料はこのように、大きく明暗が分かれた結果となった。

   もうひとつ値上げ関連の菓子であるが、205.90円(104.2%)と好調を維持している。猛暑とも重なり、アイスクリーム・シャーベット38.13円(130.2%)が絶好調であり、カステラ1.65円(121.4%)、ゼリー11.97円(114.9%)、スナック菓子10.13円(110.6%)が菓子全体を引っ張ったといえよう。逆に、伸び悩んだのは、まんじゅう3.13円(80.8%)、チョコレート5.45円(87.1%)、チョコレート菓子1.94円(89.6%)、ケーキ13.03円(89.8%)等であった。

   以上が猛暑関連、値上げ関連の消費動向であるが、全体として少し気になるは、生鮮関連が伸び悩んだことである。これまで好調であった肉類が207.84円(101.5%)となり、魚介類は212.65円(93.1%)と相変わらず厳しい状況であり、野菜・海藻も264.26円(97.6%)と伸び悩んだ。唯一、先にも見たとおり、果物だけが112.58円(102.0%)と堅調な伸びであったが、生鮮全体とは7月度は厳しい月であったといえよう。ちなみに、惣菜(調理食品)も274.58円(99.3%)という数字であり、伸び悩んでいる状況である。
 
   このように、この7月度は猛暑という特需が舞い降りた関係上、これまでの消費構造が大きく変化し、値上げ関連による追い風、内食回帰による恩恵を受けていた項目が伸び悩んだり、逆に、猛暑特需が飲料をはじめ恩恵を受けたりという結果となった。猛暑は8月度も継続していることから、当面、この7月度の状況が続いてゆくものといえ、食品スーパーマーケットとしても、激変に対応できるフレキシブルな商品戦略が求められる難しい経営環境に入ったといえよう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1210人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在480人)

September 02, 2008

Chain Store Age9/01、POS分析で売場改革、最終!

   Chain Store Age 連載の「POS分析で売場改革」実践講座、店長、バイヤー必読!が予定の6回の講座を終え、完結した。これまでの内容は、第1回目が食パンと菓子パンの話、第2回目が冷凍食品の話、第3回目がカップめんの話、第4回目がビールとウィスキーの話、第5回目がMD評価表の話、そして、今回、最終回の第6回目がスナックに見る金額PI値1円の重み!である。これで、一応、POS分析講座も完結し、当初の予定どおり、実践的なPOS分析を具体的な生データをもとに解説できたのではないかと思う。

   POS分析には3つの領域がある。ひとつは生データを全体の客数で割って、全チェーンをひとつの指標、PI値で比較検討できるようにする分析手法である。ふたつ目は、POSデータの源流にさかもどり、ジャーナルデータ、すなわち、レシートをもとに、PI値分析を試みることである。ひとつ目との違いは客数が全体客数だけでなく、商品ごとの客数=レシート枚数が把握可能となることであり、これにより、PI値、金額PI値に加え、客数PI値が新たに登場する。そして、3つ目がIDをもとにPI値分析を試みることである。ふたつ目との違いは、各レシートにID番号が振られ、各レシート間の関係がIDにもとづいて整理され、新たなID分析が可能となることである。これにより、POS分析はレシート体系での分析とID体系での分析とに2分され、2つの分析体系がDNAの二重螺旋構造のようなか形でからみあいながら進んでゆくことになる。したがって、POS分析は3つの段階に分けることができるが、ひとつ目とふたつ目は同じレシート分析であるので、大きくは2つの分析体系ということになる。

   今回はこの中でひとつめについて基本の基本を具体的な商品をもとに取り上げたわけであるが、ふたつ目、3つ目になっても、原則、ひとつ目のPOS分析手法の応用であるので、今回の6回の実践講座をしっかりマスターできれば、これにふたつ目、3つ目特有の客数PI値を加えればさほどPOS分析は難しくなく、理解し、実践に活用可能である。機会があれば、ふたつ目、3つ目についても、今回の応用編として取り上げてみたい。

   さて、最終回、第6回目であるが、スナックに見る金額PI値1円の重み!についてであるが、最終回ということもあって、POS分析の目的である金額PI値アップの重要性について、スナックのPOS分析データをもとに解説を試みた。金額PI値は顧客1人当たり(正確にはレシート1枚当たり)の売上金額であるが、これを1円改善することがいかに莫大な売上につながるか、しかも、その1円の改善はスナックから、そして、その単品であるポテトチップスから可能であることを具体的なPOS分析データで解説したものである。

   図表1でも示したが、この時期、スナックは菓子の最重点商品のひとつであり、ポケット物、米菓、和洋菓子と並び、金額PI値約10円の商品である。金額PI値10円ということはレシート1枚当たり、平均して10円の売上があるということである。このレシートは総レシート枚数であるので、スナックを購入したレシートも購入していないレシートも含めて、平均してレシート1枚当たり10円という意味である。レシート分析ができれば、さらに、客数PI値、すなわち、スナックを購入しているレシートの割合を算出し、未購入レシートへの働きかけ、販促の問題を検討することができるが、通常のPOS分析ではそこまでできないので、販促よりも商品政策、マーチャンダイジングに踏み込むことになる。それが、図表2のベストプラクティス店舗と課題店舗の抽出であり、その単品ごとのPOS分析の比較となる。

   ここから、スナックの問題点を単品レベルで特定し、最高の金額PI値の高いベストプラクティス店舗の成功事例を課題店舗に水平展開し、全体のスナックの金額PI値を1円でも改善していうということがポイントである。仮に、その結果、スナック全体の金額PI値が1円改善し、約10円が約11円となれば、その瞬間に、×(掛ける)総レシート枚数の売上効果となり、スナックの数字が飛躍的に改善することになる。その約11円がほぼ安定的に1年間維持できれば、売上では年間総レシート枚数の効果となるので、莫大な売上改善へとつながってゆく。約100店舗クラスの食品スーパーマーケットになると、年間の総レシート枚数はざっと1億枚は超えてくるので、金額PI値1円の改善は100店舗クラスの食品スーパーマーケットになると、ほぼ年間約1億円の売上アップをもたらすこととなる。

   このように、POS分析は本文の中でも解説したが、「着眼大局、着手小局」、「Think  Small!」がキーワードであり、小分類、そして、単品から取り組んでゆくことがポイントである。今回のこの6回の講座でPOS分析はひととおり、実践可能なところまで解説できたと思うので、是非、自社のPOSデータをもとに具体的な商品に適用し、実績に結びつけてもらえればと思う。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1210人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在480人)

September 01, 2008

CPI(消費者物価指数)、200807、急上昇、102.3%!

   8/29、総務省統計局からCPI(消費者物価指数)が公表された。CPIは平成17年(2005年)を100とした場合の価格上昇率を示したものであるが、同時に、前月比、前年同月比も公表されるので、総合的な物価指数といえる。ただし、相場商品である生鮮食品やここ最近のエネルギー関連の急激な上昇が全体へ大きな影響を与えることもあるため、単純総合指数に加え、生鮮を除く指数、食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く指数も同時に公表される。今回8/29に公表されたのは2008年7月度のCPIである。

   さて、その概況だが、「(1) 総合指数は平成17 年を100 として102.4 となり,前月比は0.2%の上昇。前年同月比は2.3%の上昇となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は102.4 となり,前月比は0.4%の上昇。前年同月比は2.4%の上昇となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.3 となり,前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.2%の上昇となった。」という状況であり、いわゆるCPIは102.4%となった。この102.4%が高いか低いかであるが、これを過去3年間とこの1月から7月までの月別グラフで見ると、明らかに急上昇といえる傾向を呈しており、しかも、7月度はこれまでの1月から6月度までの推移と比べても明らかに上昇しており、物価は急上昇しつつあるといえよう。過去2年間は100%から101%の範囲であり、102%を大きく上回ることはなかったので、CPI、102.4%は高い上昇率といえよう。

   その要因は概況でも示されたように、(2)の生鮮食品を除いても102.4%であり、(3)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.3%であるので、生鮮食品以外の食品とエネルギーの価格上昇がCPIを引きあげた要因といえる。実際、食品とエネルギーの主要項目の昨年同月比と比べた数字を見てみると、食品では、スパゲティ32.0%、チョコレート27.6%、チーズ22.7%、食用油20.9%、即席麺20.6%、食パン20.1%、ビスケット18.5%、小麦粉18.1%、落花生16.3%、バター16.2%という状況であり、これらを含めた生鮮食品を除く食料のみでは103.8%という状況である。また、エネルギー項目であるが、電気代5.4%、都市ガス代5.9%、そして石油製品は何と28.8%であり、しかも、その中の灯油は53.2%という暴騰価格であり、ガソリンも28.7%、プロパンガスも9.6%となり、エネルギー全体では17.4%という上昇率である。いかに、食品とエネルギーがCPIの上昇に大きな影響を与えているかがわかる。

   ちなみに、これとは逆に耐久消費材を見ると、むしろCPIが下がっており、これも同年前月比で見ると、テレビ(薄型)-22.8%、パソコン(テスクトップ型)-22.3%、パソコン(ノート型)-42.8%、カメラ-30.1%と大きく下げており、教養娯楽用耐久財全体では何と-19.4%も下がり、家庭用耐久財全体でも-2.4%、CPIが下がっているのが実情である。したがって、明らかに、生鮮食品を除く食料品、エネルギーのCPIの上昇が全体を押し上げている構図であり、その結果、全体が102.3%ということになった。

   ここで、さらに、細目の中で、CPIを押し上げている商品項目を見てみたい。CPIはほぼ家計調査データと同様な細目でも集計がなされており、かなり、細かい項目まで見ることができる。まず、20%以上、CPIが上昇した項目であるが、れんこん216.9%、さといも211.9%、ぶどうB163.5%、かんしょ142.6 %、レモン139.6%、チーズ137.9%、ごぼう132.0%、はくさい 131.9%、かぼちゃ130.5%、チョコレート128.1%、スパゲッティ125.4%、うなぎかば焼き125.4%、にんじん122.5%、ほうれんそう121.5%の14品である。生鮮では青果物が多いのが特徴といえ、いわゆる土ものがのきなみ上昇しているといえよう。

   次に、110%以上のCPIが上昇した食品を見てみると、食パン119.3%、小麦粉118.8%、食用油118.6%、たい117.0%、ねぎ116.7%、えだまめ116.7%、即席めん116.5%、バター116.2%、冷凍調理コロッケ116.2%、カレーパン115.6%、わかめ115.5%、ビスケット115.5%、ちくわ114.7%、チーズ (輸入品)114.6%、ぶどうA114.6%、落花生114.4%、あんパン113.1%、ぶり113.0%、干ししいたけ112.7%、たこ 112.6%、鶏肉112.5%、さけ112.2%、揚げかまぼこ112.0%、ひじき111.9%、マーガリン111.9%、ソーセージ111.8%、もも111.8%、ベーコン111.7%、煮豆110.9%、バナナ110.7%、さんま110.0%の31品である。特徴としては、小麦関連、乳製品関連が多いのが特徴といえよう。

   また、参考に、食品以外の衣料、住関、その他の110%以上の細目のCPIを見てみると、灯油191.2%、ガソリン146.2%、指輪146.2%、自動車バッテリー141.4%、外国パック旅行138.9%、出産入院料(国立)119.7 %、プロパンガス117.3%、ハンドバッグ(輸入品)116.0%、フィルム114.9%、自動車タイヤ112.6%、都市ガス代111.5%、ブラウス(長袖)111.1%、航空運賃110.2%、ノートブック110.1%、通学用かばん110.0%とわずか15品目であり、意外に少ないことがわかる。

   このように、この7月度のCPIは過去数年の中では最も高い上昇率となったが、その要因は原料・資源高による食品の値上げ問題による上昇と、石油を中心とするエネルギー関連の上昇に負うところが極めて大きいことが明確である。8月に入り、原料・資源およびエネルギー関連の相場がだいぶ落ち着きつつあるので、来月以降、CPIが落ち着く可能性もあり、しばらくは、上記にあげた商品の動向を注意深く、見てゆく必要があろう。

まぐまぐ、プレミアムスタート、コンサルティング、現場からのレポート執筆中!
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート(現在1210人)
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在480人)

« August 2008 | Main | October 2008 »