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October 29, 2008

アオキスーパー、中間決算、経費比率16.5%!

   アオキスーパーが2009年2月期の中間決算を10/3公表した。営業収益445.07億円(110.9%)、営業利益13.45億円(96.6%:営業収益比3.02%)、経常利益13.99億円(98.2%:営業収益比3.14%)、当期純利益7.42億円(108.3%:営業収益比1.66%)と、増収減益となるやや厳しい決算となった。今期は西枇杷島店(3月)を新規出店し、合計42 店舗、44,846.19 ㎡(1店舗当たり323.5坪)となり、既存店の売上が103.4%と堅調であったことが、営業収益を押し上げた要因であるといえよう。一方、減益となった要因は原価が上昇し、売上利益を大きく下げてしまったことにあるといえる。

   実際、今期のアオキスーパーのマーチャンダイジング力を見てみると、原価は83.6%(昨年83.0%)となり、資源・エネルギー高による影響が大きかったと思われ、0.6ポイントと大幅に上昇している。結果、売上総利益は16.4%(昨年17.0%)と下がった。ただ、販売費及び一般管理費は16.5%(昨年16.6%)と0.1ポイント下げており、差し引き、マーチャンダイジング力が、売上総利益16.4%-販売費及び一般管理費16.6%=-0.2%とマイナスとなったことが減益となった要因といえよう。

   今期、アオキスーパーはこのように、マーチャンダイジング力がマイナスとなったが、実は、ここがアオキスーパーの真骨頂ともいえ、アオキスーパーは経営目標として、「特に販管費率に注目し、その進捗状況に注意をはらっている」ことを掲げており、販管費にこだわっており、極限のローコストを追求している。実際、日本の上場食品スーパーマーケットの中では最も低い数字であり、食品スーパーマーケットとしては限界に近い数字といえよう。ただ、これだけ、安く販管費を下げても、粗利を上げることに重点をおかず、むしろ粗利も下げることにこだわっており、売上総利益は16.4%と今期は販管費よりも安くし、ディスカウント路線を徹底している。

   その目的は、営業収入を極限まで引きあげることにあるといえ、実際、今期の不動産等の営業収入は3.2%(昨年3.2%)であり、この分がほぼ営業利益となり、今期は営業利益が3.1%(昨年3.6%)と0.5ポイント昨年よりは下がったが、3%以上の営業利益となっている。すなわち、アオキスーパーの販管費へのこだわりは、安く売るためだけではなく、不動産収入得るための手段として割り切っている点が、アオキスーパーの経営戦略といえる。通常の食品スーパーマーケットであれば、販管費を低く抑え、売上総利益を高く設定し、マーチャンダイジング力を高めようとするが、あえて、アオキスーパーは逆張りの経営を行い、売上総利益も引き下げ、マーチャンダイジング力が下がっても(今期はマイナス)、ディスカウントにこだわり、競合店に打ち勝ち、客数を引き上げ、テナントの利益を確保し、不動産収入等の営業利益を引きあげてゆくという戦略に徹している。まさに、テナントとの運命共同体をめざすという、いわば自己犠牲の上にたったテナントの収益優先の経営戦略を選択しているともいえよう。ただ、今期は、原価の上昇が厳しいものとなり、マーチャンダイジング力がマイナスとなり、結果、テナント収入等では増益を達成することができなかったが、経営戦略にブレはなく、まさに、逆張りの経営といえよう。
   
   一方、アオキスーパーの出店余力であるが、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は121.24億円(昨年117.29億円)であり、総資産の52.29%である。1店舗当たりでは2.88億円と、通常の食品スーパーマーケットと比べ約1億円近く低い数字であり、すでに、ここからローコストが始まっているといえる。したがって、出店余力は、現在の自己資本比率が58.7%(昨年58.9%)であるので、出店にかかわる資産の合計52.29%を引くと、6.41%のプラスとなる。自己資本の範囲内での新規出店が可能な状況であり、出店余力は高いといえよう。また、負債の主要項目である長短借入金等の合計も2.25億円(昨年2.75億円)と総資産の0.97%であり、現在の当期純利益が7.42億円であるので、いつでも無借金経営が可能な状況といえ、負債依存度も低いといえ、健全な財務状況といえよう。
   
   ちなみに、キャッシュフローの流れであるが、営業活動によるキャッシュフロー(15.03億円)、投資活動によるキャッシュフロー(-8.32億円)であり、フリーキャッシュフロー(6.71億円)はプラスであり、ここから、財務活動によるキャッシュフロー(-2.32億円)を賄い、資金(4.39億円)となる順流の流れである。特に、財務キャッシュフローでは、長期借入金の返済、配当金の支払いに加え、自己株式の取得も行っており、株主への手厚い対策を打っている。

   これを受けて、通期予想であるが、営業収益877.00億円(106.4%)、営業利益25.50億円(94.9%:営業収益比2.90%)、経常利益26.00億円(94.3%:営業収益比2.96%)、当期純利益13.50億円(92.73%:営業収益比1.53%)と中間決算同様、増収減益の予想であり、今期は売上は堅調に推移する予想ではあるが、利益は厳しい予想であり、慎重に消費環境を見ているといえよう。この中間期で上昇した原価を、後半、どこまで抑え、アオキスーパーが、マーチャンダイジング力をプラスにもってゆけるかに注目したい。

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