マルエツ、2008年2月期中間決算、復活か?
マルエツが10/9、2008年2月期の中間決算を公表した。営業収益1,709.58億円(102.2%)、営業利益41.31億円(120.5%:営業収益比2.41%)、経常利益39.20億円(120.8%:営業収益比2.29%)、当期純利益35.65億円(228.3%:当期純利益2.08%)と増収増益、営業収益は微増ではあったが、利益は大幅な増益となる好決算であった。マルエツが102.2%と増収となった要因であるが、既存店が前年比は103.1%と好調であったことに加え、新店も今期は、マルエツ勝どき六丁目店(東京都)、ポロロッカ護国寺駅前店(東京都)、フーデックスプレス白金台プラチナ通り店(東京都)、ポロロッカ港南シティタワー店(東京都)と4店舗を新設し、2店舗を閉鎖したが、結果、2店舗の増、総店舗数が239店舗となったことが大きかったといえよう。
一方、営業利益で120.5%と大きく利益を改善できた要因としては、原価が72.2%(昨年72.4%)と0.2ポイント改善し、結果、売上総利益が27.8%(昨年27.6%)となり、資源、エネルギー高の厳しい経営環境であるにもかかわらず、原価が下がったことが大きかったといえよう。また、販売費及び一般管理費も27.2%(昨年27.5%)と0.3ポイント下がり、結果、差し引き、マーチャンダイジング力が0.6%(昨年0.1%)と0.5ポイント改善した。これに、不動産収入等の営業収入が1.9%(昨年2.0%)と0.1ポイント下がったが、合計営業利益は2.5%(昨年2.1%)と差引き0.4ポイント改善したことが大幅な増益になった要因といえよう。原価、経費、双方を改善し、結果、マーチャンダイジング力を増したことが、利益を生み出す要因といえ、食品スーパーマーケットとしてのパワーが増しつつあるといえよう。ただ、このマーチャンダイジング力は優良食品スーパーマーケットでは4%前後あり、まだまだ改善可能な数字であり、今後どこまで改善できるかが注目である。
マルエツのこの数字を見ても営業力は確実にアップしており、今後、この好調な収益をもとに課題の財務内容の改善ができれば、成長余力も生まれ、105%から110%の成長も可能といえよう。その財務状況であるが、自己資本比率も40.5%(昨年36.8%)と着実に改善しており、今期の、キャッシュフローの流れを見ても、営業活動によるキャッシュフロー(85.43億円)、投資活動によるキャッシュフロー(-23.34億円)、財務活動によるキャッシュフロー(-61.74億円)となり、資金(0.35億円)のプラスとなった。特に、投資キャッシュフローを営業キャッシュフローの範囲内で行い、さらに、財務キャッシュフローをカバーし、まさに、順流の典型的なキャッシュフローの流れである。
マルエツは現在、長短借入金等の合計が299.51億円(昨年312.53億円)と総資産1,242.44億円の24.10%となり、経営を圧迫しており、この分の圧縮が経営課題であるが、今期は財務キャッシュフローで短期借入金35.00億円、コマーシャルペーパー20.00億円の合計55.00億円を返済しており、着実に借入依存度を減らしている。このまま好調な決算が維持できれば、数年後には確実に自己資本比率を60%以上に改善することは十分に可能であり、それまでは、今回のキャッシュフローのように、営業キャッシュフローの大半を財務キャッシュッフローに充て、投資キャッシュフローを抑制し、低成長にあまんじざるをえないと思われるが、キャッシュフローの順流が今後の成長を確実に予感させるよい流であるといえよう。
この好調さを受けて、通期の予想であるが、営業収益3,410.00億円(101.6%)、営業利益80.00億円(105.7%:営業収益2.34億円)、経常利益75.00億円(108.2%:営業収益比2.19%)、当期純利益62.00億円(131.6%:営業収益比1.81%)の増収増益である。特に、この中で、営業利益80.00億円がマルエツが最もこだわっている数字目標のひとつである。これは、以前、1990年代に確保していた数字であり、それ以来、約10年以上、一度も達成できなかった水準であり、とうとう、今期、その水準に到達し、超えることが可能なところまできたといえる。
これを受けて、マルエツの株価であるが、残念ながら、サブプライムショックに翻弄され、株価は低迷している。この中間決算の公表のあった翌日10/10は497円と一時は年初来最安値をつける状況となり、厳しい株価が続いている。9月までは1,000円前後で推移していた株価であっただけに、9月以降の下げ、10月に入ってからの一段の下げは厳しい状況といえよう。ただ、この中間決算、そして、通期予想も増収増益であり、財務内容も着実に改善しており、業績は良い方向に向いているといえ、今後、株価がいつ反転するか気になるところである。
このように、2008年2月期のマルエツの中間決算は増収増益の好決算となり、キャッシュフローの流れもよく、自己資本比率も改善し、財務内容も改善しつつある決算となった。ただ、まだ、借入金の返済に大部分のキャッシュを充てざるをえない状況であり、新店への投資が十分にできない状況であり、成長率は102.2%と微増でとどまっているが、既存店は好調に推移している。その分、内部体制が充実し、利益は大幅な増益となっており、経営の流れはよい方向に動いているといえよう。今回の好調な決算が数年継続できれば、確実に安定成長へ向けた成長戦略を打ち出すことが可能となるので、あと数年、我慢の経営が続くと思われるが、その後のマルエツの成長に期待したい。
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