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October 20, 2008

イズミヤ、2008年2月期中間決算、微増収減益!

   大阪、イズミヤが2008年2月期の中間決算を10/8、公表した。営業収益1,898.84億円(100.5 %)、営業利益32.81億円(89.3%:営業収益比1.72%)、経常利益27.41億円(90.2%:営業収益比1.44%)、当期純利益10.36億円(115.0%:営業収益比0.54%)と微増収減益の厳しい決算となった。特に、今期の新店は、イズミヤの戦略業態、スーパーセンター6号店となる紀伊川辺店(和歌山県)を4月に開店したのみであり、新店1店舗では全86店舗を押し上げることは難しく、営業収益が微増にとどまったといえよう。イズミヤ規模のチェーンストアの場合は、年間5店舗前後の新規出店、半期では3店舗前後を安定的に出店してゆくことが課題といえ、半期、スーパーセンター1店舗では成長を維持するのはかなり難しい状況である。ちなみに、後期も11月にGMS業態の西宮ガーデンズ店(兵庫県)の1店舗のみの予定であり、安定成長を維持するには難しい状況である。通期予想も、営業収益3,860.00億円(101.3 %)、営業利益72.00億円(106.0%:営業収益比1.86%)、経常利益60.00億円(108.1%:営業収益比1.55%)、当期純利益22.00億円(109.4%:営業収益比0.56%)と、増収増益予想ではあるが、営業収益は101.3%と微増の予想である。

   イズミヤが105%から110%の安定成長が難しい要因は財務状況にあるといえる。この中間決算時の自己資本比率は40.7%(昨年40.5%)であるが、負債の主要項目である長短借入金等の合計が971.95億円(昨年978.44億円)と、総資産2,618.84億円の37.1%を占め、借入依存度が高いことである。したがって、現在の出店にかかわる資産である土地、建物、敷金及び保証金の合計1,802.12億円(昨年1,833.76億円)であるが、これは、総資産の68.8%に及び、自己資本比率40.7%の範囲内では収まらず、借入金の大半に依存する構造となっているためである。これに加え、イズミヤは、スーパーセンターを戦略業態として定め、GMSも依然として主力業態であることから、1店舗当たりの出店にかかわる資産は20.95億円と、通常の食品スーパーマーケットの4億円前後と比べると5倍以上の多額の資産を必要とするため、新規出店が容易にできる状況ではないのが現状である。

   実際、この中間期のキャッシュフローの状況を見ても、営業活動によるキャッシュフロー(125.19億円)、投資活動によるキャッシュフロー(-23.77億円)、財務活動によるキャッシュフロー(-75.32億円)、差し引き、資金(26.1億円)とキャッシュフローは投資キャッシュフローを営業キャッシュフローの範囲内で行い、さらに、財務キャッシュフィウローのマイナスをカバーする順流とはなっているが、思うように、投資キャッシュフローに資金を投入できないのが現状である。財務キャッシュフローの比率が営業キャッシュフローの約60%となるが、その中身は長期借入金の返済による支出180.67億円、社債の償還による支出5.85億円、配当金の支払額5.11億円となり、この合計はすでに、営業キャッシュフローの125.19億円を超え、結果、新たな社債発行、長期借入等を行い、資金調達せざるをえず、投資キャッシュフローに十分な資金を投入できない財務構造になっている状況である。

   したがって、出店余力が十分でなく、結果、年間数店舗が現在の財務状況では限度であり、安定成長を維持するのが難しい状況にあるといえよう。今後、イズミヤが安定成長を図ってゆくには、マーチャンダイジング力を強化し、営業キャッシュフローをいかに増加させるかがすべてといえよう。そこで、この中間決算時のマーチャンダイジング力を見てみると、原価が70.2%(昨年69.8%)と0.4ポイントと大きく上昇しており、結果、売上総利益は29.8%(昨年30.2%)となった。ここから、販売費及び一般管理費を引いたものがマーチャンダイジング力であるが、今期の販売費及び一般管理費は30.8%(昨年31.0%)と0.2ポイント改善しており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-1.0%(昨年-0.8%)と0.2ポイント下がり、マイナス1.0%となった。これに営業収入2.8%(昨年2.8%)が加わり、営業利益は1.8%(昨年2.0%)とプラスにはなったが、マーチャンダイジング力がマイナスとなっており、ここが、経営上は大きな課題といえよう。イズミヤはスーパーセンター、GMSが主力業態であるため、マーチャンダイジング力はマイナスになりがちではあるが、営業キャッシュフローを生み出すには、この数字をいかにプラスに近づけるか、あるいは、逆に、思い切って、営業収入をイオン並みに10%にまでもっていってしまうかを選択せざるをえないといえよう。

   ちなみに、今期は原価が0.4ポイント上昇したが、現在、イズミヤはPBに力を入れており、開発商品の売上高は148億円(昨年131%)となり、全体の売上高に占める構成比は9.9%(昨年7.5%)となった。特に、「good-i」は、食料品、衣料品、住居関連品を合わせた取り扱い品目数の合計が1,584品目(昨年1,465品目)となり、売上高は130億円(昨年比125%)となり、全体の売上高に占める構成比は8.8%(昨年度6.9%)と飛躍的に伸びている。これが、全体売上の15%から20%になれば、インパクトがでてくるので、今後、原価改善がどこまで進むかに注目といえよう。

   このように、イズミヤの2008年2月期の中間決算が公表されたが、売上が伸び悩み、利益は減益となる厳しい決算となった。現在、イズミヤは戦略業態として、スーパーセンターに経営資源をシフトし、6店舗までになったが、全86店舗の中では約7%であり、まだ、経営全体に大きなインパクトを与えるまでにはなっていない状況といえる。ただ、そろそろ、スーパーセンターのイズミヤにおける経営への貢献度が明確になりつつあると思うので、今後、スーパーセンターをウォルマートのように主力業態に据えられるかどうかの経営判断が問われるといえよう。今後のイズミヤのスーパーセンターの動向に注目したい。

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