ウォルマート、売上速報2008年9月度、売上失速!
2008年9月度のウォルマートの売上速報が10/8、公表された。この9月度の集計は8/30から10/3までの5週間の売上集計であり、9/15のリーマンブラザーズ倒産ショック後の数字も含まれているだけに、どのような結果となるかが世界中から注目されたウォルマートの売上速報といえよう。結果は105.8%と厳しい売上となった。8月が108.7%、7月が109.4%、そして6月度が110.1%であったので、明らかに売上が失速したといえよう。特に、9/15後は相当の売上が落ち込んだと予想され、深刻な状況であるといえよう。ただ、ウォルマート自身は、サブプライムローンの暴落による金融不安の問題もあるが、この9月度は台風の影響も大きく、期間中、地域によっては341店舗の閉店もあるなど、その影響も大きかったとしており、もうしばらく様子を見る必要があろう。
ウォルマートは売上を3つの部門に分けて集計している。ディスカウントストア、スーパーセンターなどのウォルマート部門、会員性ディスカウントストアのサムズクラブ部門、そして、西友を含む海外部門である。この内、この9月度、売上が最も落ち込んだ部門は海外部門である。ウォルマートの海外部門はイギリス、ブラジル、カナダ、中国、日本、メキシコ等であるが、35週の累計115.7%に対し、107.3%とこれまで、2桁を優に超える成長を続けていたが、この9月度は1桁台となる失速である。海外部門のこの9月度の売上は90.35億ドル(約9,000億円)であり、全体の売上が360.22億ドル(約3兆6,000億円)であるので、ちょうど25%、1/4の売上規模である。したがって、相乗積から10%売上が落ち込めば2.5%の全体へのインパクトがあり、20%では5.0%のインパクトとなり、海外部門はもはやウォルマートにとっては大きな成長の柱といえる規模となった。その海外部門がこのように、この9月度落ち込んだことが大きかったといえよう。
海外部門についで、売上が落ち込んだのは大黒柱のウォルマート部門である。9月度の売上は224.82億ドル(約2兆2,500億円)と全体の60%強である。35週累計が106.7%であり、9月度が104.8%であるので、約2ポイントダウンといえる。ただ、既存店は102.0%と堅調な数字であるが、これも35週累計の102.8%と比較するとややダウンぎみであり、気になるところである。この時点では金融不安の影響が判然としないが、今後、時間がたつにしたがい、結果が表れるといえ、ウォルマートにとって、プラスとなるか、マイナスとなるか、予断をゆるさいない状況が続くものといえよう。
そして、サムズクラブ部門であるが、ここは108.0%と35週累計の107.5%と比べ0.5ポイント上昇しており、好調である。既存店も107.4%と昨年の104.1%と比べても明らかに高い数字であり、絶好調といえよう。特に、サムズクラブはガソリンの数字が大きく、その影響が3.2%売上を押し上げており、この面もプラスになった要因といえよう。ウォルマート部門はガソリンのインパクトは0.0%であるので、サムズクラブ部門特有の売上であり、ちょうど、日本のコンビニのtaspo効果によるたばこの売上のような効果といえよう。ただ、サムズクラブ部門は全体の約10%強であるので、ウォルマート全体へのインパクトは弱く、何といっても、ウォルマート部門、そして伸びていた海外部門の失速がこの9月度は大きかったといえよう。
これを受けて、ウォルマートの株価の動向であるが、株価はこの売上速報があった10/8以降大きく下げている。ウォルマートの10/8前後の株価の動きを見てみると、10/6(月)57.90ドル、10/7(火)54.84ドル、10/8(水)54.55ドル、10/9(木)51.39ドル、10/10(金)50.95ドルと、わずか数日間で10%以上株価を下げており、特に、10/10は一時は47ドルまで売り込まれおり、しかも、売買高も通常数千万株の商いが、5,000万株以上の大商いとなり、株価の下げが止まらない状況である。来週以降、ウォルマートの株価がどの辺で落ち着くか読めない状況といえよう。
ちなみに、リーマンブラザーズショックの9/15前後のウォルマートの株価を見てみると、9/11(木)63.17ドル、9/12(金)62.41ドル、9/15(月)61.63ドル、9/16(火)62.14ドル、9/17(水)59.64ドル、9/18(木)61.48ドル、9/19(金)59.70ドルであるので、さほど、影響は受けておらず、むしろ、堅調な株価の推移であったといえよう。サブプライムローンの影響はウォルマートにはあまりないと投資家は踏んでいたような動きである。むしろ、この10/8の9月度の売上速報が、これまでの推移と比べると失速したことが、投資家には大きなインパクトであったといえよう。
ウォルマートの株価は、この1年ほぼ右上がりで推移してきており、昨年12月頃は45ドル前後で推移していたが、1月に入り、株価が上昇に転じ、2月には50ドルを超え、4月に入ると55ドルを超え、5月以降は60ドル近辺に迫る勢いで上昇を続けてきた。そして、9月にはとうとう60ドルを超え、9/15のリーマンブラザーズショック以降も60ドル近辺でもみ合い、10月前半まで、60ドル前後の株価が続いていた。そして、ここへきての失速であり、まさに、株価は今後の売上動向にかかっているといえよう。
このように、2008年9月度のウォルマートの売上速報が公表されたが、明らかに失速の兆候が表れており、特に、海外部門の高成長が止まり、国内の主力部門ウォルマートの伸びも成長が抑制されており、今後、ウォルマートがどのような成長戦略を打ち出すかが注目される。このまま低成長高収益路線をとるのか、それとも、再度、高成長路線を打ち出すのか、成長著しかった海外部門の伸びが止まり始めた現在、難しい経営の選択となったといえよう。もうしばらくするとウォルマート最大の年間売上となる年末商戦を迎えるが、今年は前倒しで勝負するとのことであるが、その動向に注目といえよう。
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