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October 09, 2008

オークワ、2009年2月期中間、増収増益、堅調な決算!

   オークワが2009年2月期の中間決算を10/6公表した。小売業界は現在、2極化しており、食品スーパーマーケット、コンビニは比較的好調であるが、百貨店、GMS、外食等は厳しい状況が続いている。オークワは食品スーパーマーケットを主体とした経営であり、今回の中間決算数値を見ても堅調な結果となっている。その決算結果であるが、営業収益1,270.72億円(102.9%)、営業利益37.13億円(105.3%:営業収益比2.92%)、経常利益37.55億円(100.6%:営業収益比2.95%)、当期純利益20.62億円(102.2%:営業収益比1.62%)と増収増益となった。既存店の売上も101.0%と堅調な数字であった。

   オークワは6/30、パレを買収し、さらに傘下に収めたヒラマツ7店舗を加え、現在全部で164店舗を展開しており、この中間期には香芝インター店(奈良県)、メッサオークワ高松店(和歌山県)、プライスカット岐阜柳津店(岐阜県)と3店舗新規出店し、営業収益が102.9%となった。一般に食品スーパーマーケットは今回のオークワでもそうであるが、既存店の売上は100%強か、厳しい競合状況の場合は100%を割るのが実態であり、既存店を大きく伸ばすことは難しい状況である。したがって、成長してゆくためには、新規出店ないしはM&Aが不可欠であり、105%の成長のためには5%以上の新規出店、110%の成長のためには10%以上の新規出店が必要となる。オークワの場合であれば、現在164店舗であるので、5%成長の場合は8店舗以上、10%成長のためには16店舗以上が単純計算では必要となる。

   実際、オークワの通期予想を見ると、営業収益2,760.00億円(109.8%)、営業利益84.00億円(107.0%:営業収益比3.04%)、経常利益85.00億円(105.1%:営業収益比3.07%)、当期純利益46.00億円(113.2%:営業収益比1.66%)と中間期よりも大きく増収増益となっている。したがって、新店が通期で16店舗は必要な状況であるが、前期の新店は3店舗、後期の新店は忠岡店(大阪府)、プライスカット明石大久保店(兵庫県)、スーパーセンター御所店(奈良県)の3店舗、計、通期では6店舗の新規出店であり、105%前後の数値予想となるが、後期は、6/30に買収したパレの16店舗が加わるため、結果、109.8%の営業収入となる見込みであるといえよう。

   このように、食品スーパーマーケットの成長戦略は単純に新規出店戦略に負うところが大きく、そのためにも立地を確保することは勿論であるが、財務基盤を強固にしておかないと、成長がストップしてしまうのが実態である。そこで、オークワの自己資本比率を見てみると、自己資本比率は51.8%(昨年55.5%)という状況であり、昨年よりはやや下がっているのが気になるところである。その要因であるが、長短借入金の合計が今期は457.55億円(昨年378.36億円)と、約80億円増加し、これは総資産の31.9%である。今期、パレの買収よる資金と新規出店による資産の取得が大きかったといえる。当期純利益は20.62億円計上しているが、これだけでは新規の出店にかかわる資産をまかなうことができず、借入に依存した新規出店構造となったものといえよう。実際、出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金の合計であるが、957.16億円(昨年873.11億円)と約85億円増加しており、総資産に占める割合は66.7%であり、自己資本の51.8%ではカバーできず、約15%は借入等への依存という出店構造となっている。ちなみに、1店舗当たりの出店にかかわる資産は5.8億円である。今期は、特に、これに加え、パレ買収に伴う関連の資産が発生し、現金及び預金36.4億円、たな卸資産15.7億円、のれん33.8億円と合計86.8億円が新たに発生しており、より借り入れ依存度が高まったといえよう。したがって、今後、オークワが安定的な新規出店を果たしてゆくためにも、一層の自己資本の充実が当面の経営課題といえよう。

   さて、一方、今期のオークワの原価と経費の状況であるが、売上原価は74.8%(昨年74.7%)と0.1ポイントとわずかの上昇にとどめており、原価の上昇はこの値上げ環境の中ではほとんど見られない状況である。したがって、売上総利益は25.2%(昨年25.3%)とほぼ昨年並みの粗利が確保できた。一方、販売費及び一般管理費も25.9%(昨年25.9%)と上昇は見られず、経費の上昇をうまくマネジメントできたといえよう。結果、経費差、マーチャンダイジング力は-0.7%(昨年-0.6%)とわずかなマイナスでとどめ、これに、不動産等の営業収入3.7%(昨年3.6%)がのり、0.1ポイント挽回し、結果、営業利益を3.0%(昨年3.0%)と昨年と同じ比率の利益を確保したといえよう。ただ、経費差、マーチャンダイジング力が食品スーパーマーケット主体の経営であるにもかかわらず、マイナスとなったのは少し気になるところである。

  このように今期、2009年2月期のオークワの中間決算は堅調な増収増益となったが、今期はパレ買収に加え、新規出店のための資産取得が、借入に依存せざるをえなくなり、自己資本比率を約4%引き下げる結果となった。今後オークワが105%から110%の安定成長を継続してゆくためには、これ以上、借入依存度に頼る経営は厳しい状況といえ、今後、マーチャンダイジング力を改善し、キャッシュを生み出し、自己資本の充実をはかることが経営課題といえよう。次の本決算で買収したパレがオークワの経営にどのような影響となるかに注目である。

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