平和堂、2009年2月期中間、減収減益、大型店減収!
10/2、平和堂の2009年2月期の決算が公表された。翌日10/3の平和堂の株価であるが、1,355円(-147円、-9.78%)となる大幅安となった。この1週間の平和堂の株価は10/2(1,502円)、10/1(1,516円)、9/30(1,505円)、9/29(1,521円)と下げに転じており、厳しい株価が続いている。実際、チャートを見ると、ここ数ケ月間、9月の前半までは1,650円前後で推移していたので、10/3現在の1,355円は約20%の下落であり、9月中旬以降株価は下げに転じ、この中間決算発表がさらに株価の下げを加速したといえる。
その中間決算の数字であるが、営業収益2,052.88億円(99.8%)、営業利益 55.44億円(89.7%:営業収益比2.70%)、経常利益55.44億円(98.0%:営業収益比2.70%)、当期純利益 23.25億円(75.1%:営業収益比1.13%)となる減収減益の厳しい決算となった。その要因は食品スーパーマーケットのフレンドマートは110.7%と好調な数字であったが、平和堂の売上構成比の中ではわずか18.0%しかなく、10%伸びても相乗積から貢献度は1.8%しかないのが実態である。この中間決算では、売上構成比の66.3%を占めるアル・プラザが96.5%となったことに加え、残り15.7%を占めるGMSが90.9%と大幅にダウンしたことが減収となった最大の要因である。しかも、商品別に見ると、食品は102.2%と堅調であったが、衣料品93.6%、住居関連品94.7%という状況であり、食品以外の商品の不振が減収の要因であったといえよう。
したがって、今後、平和堂が増収増益を目指すには、不振のGMS、ショッピングセンター、アル・プラザ部門、特に、衣料品と住居関連品の活性化が急務であるが、消費環境は節約志向が強まり、かなり厳しい状況にあるといえよう。本来であれば好調な食品スーパーマーケット、フレンドマートを伸ばすことがポイントであるが、売上構成比が18.0%と2割を切っており、これを、30%、そして、50%へともってゆくことはすぐには難しいといえよう。可能性としては、食品スーパーマーケットのM&Aであろうが、その意味で、今後、平和堂がいつ食品スーパーマーケットのM&Aに踏み込んでもおかしくない状況にあるといえよう。
ちなみに、通期の予想であるが、今後、アル・プラザ堅田店(11月、滋賀県大津市)とフレンドマート甲南店(11月、滋賀県甲賀市)を新規出店する他、大型店舗2店舗の改装を実施し、営業収益4,210.00億円(100%)、営業利益138.00億円(101.2%:営業収益比3.27%)、 140.00億円(100.4%:営業収益比3.32%)、当期純利益64.00億円(101.6%:営業収益比1.52%)の増収増益を予想しているが、この予想数字を達成するためには、かなりの思い切った活性化策が必要といえよう。
平和堂のこの中間期の原価、経費の状況を見てみると、原価は70.5%(昨年70.5%)と昨年と全く同じ数字である。したがって、売上総利益は29.5%(昨年29.5%)とこれも昨年と同じである。これに対し、販売費及び一般管理費であるが、33.3%(昨年33.0%)と0.3ポイント増加しており、差引、粗利差は-3.8%(-3.5%)のマイナスとなっている。これは損益計算書では計算されていない指標であるが、食品スーパーマーケットの純粋な売上から経費を差し引いた利益といえ、いわばマーチャンダイジング力を表した指標ともいえよう。一般的に、食品スーパーマーケットはこの指標がプラスの傾向が強いが、平和堂のようにショッピングセンター、GMSが柱の企業では、今回のように大きくマイナスとなることが多い。そして、そのマイナスをカバーするのが、不動産収入、物流収入などの営業収入である。平和堂もこの中間期の営業収入は6.7%(昨年6.7%)もあり、その内訳はほぼ半分の約60億円が不動産収入である。結果、営業利益は2.9%(昨年3.2%)となり、経費の増加分だけ、減収となった構図である。意外なことに、原価の上昇は見られず、したがって粗利は減少せず、しかも、不振のGMS、ショッピングセンター等の不動産収入等も減少せず、経費の上昇分だけ、営業利益に影響を与え、減収となっており、これを見る限りでは、今後、経費削減が当面の優先課題といえる内容である。
一方、今後、成長戦略を描く上に重要な自己資本比率の状況を見てみると、35.3%(昨年33.5%)とわずかではるが改善している。ただ、昨年度の本決算時は35.2%であったので、この半年はほぼ同じ数字で推移しているといえ、また、食品スーパーマーケット業界平均と比べると、かなり低い数字といえよう。その要因は、負債の主要項目である長短借入金等の合計が918.30億円(昨年965.30億円)と総資産2,803.72億円の32.7%と依然としてかなりの負担となっていることである。したがって、出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金及び保証金の合計1,970.41億円(昨年1,995.56億円)、総資産の70.2%を占める資産をカバーするには自己資本比率35.3%では難しく、借入に約50%弱依存する出店構造となっていることである。どうしても、土地、建物が巨額になるGMS、ショッピングセンターを主体としているため、このような重い出店構造となる傾向は強いビジネスモデルではあるが、今後、安定的な成長路線をとってゆくためにも、自己資本比率の充実は課題といえよう。ちなみに、これを全104店舗で割ると18.94億円であり、1店舗当たりの出店にかかわる資産は通常の食品スーパーマーケットの約4倍である。
このように、平和堂の2009年2月期の中間決算が公表されたが、減収減益の厳しい決算となり、株価も大きく下げに転じ、厳しい状況が続いている。ただ、通期予想は増収増益を予想しているので、急回復がどこかで起こるとの予想であるが、消費環境はより厳しさを増しつつあり、特に、食品以外の衣料、住居関連は厳しさが予想され、さらに平和堂の主力業態であるショッピングセンター、GMSはより厳しい経営環境が予想される。こう見ると、次の半期で思い切った経営改革が必要といえ、平和堂が今後、どのような経営改革を打ち出すかに注目したい。
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