サンエー、2009年2月期中間、増収減益、新店に課題?
沖縄のサンエーが10/7、2009年2月期の中間決算を公表した。営業収益659.93億円(102.5%)、営業利益45.77億円(99.3%:営業収益比6.93%)、経常利益46.67億円(99.5%:営業収益比7.07%)、当期純利益27.64億円(105.9%:営業収益比4.18%)と、増収ではあったが、営業利益、経常利益ともにわずかではあるが、減益となる厳しい決算となった。サンエーは現在、衣料品・住居関連用品・食料品を全て取り扱う「総合店舗」を20 店舗、衣料品・住居関連用品を取り扱う「衣料・住関店舗」を2店舗、食料品・住居関連用品を取り扱う「食品店舗」を37 店舗、「ドラッグストア」、「外食店舗」を16 店舗、ビジネスホテル1軒、ペンション1軒を展開し、合計76店舗を展開している。純粋な食品スーパーマーケットというよりも、総合小売業を目指した企業戦略をとっているのが特徴である。
今期減益になった要因を見てみると、原価が70.1%(昨年69.8%)となり、昨年と比べ0.3ポイント上昇しており、資源・エネルギー高の影響が大きかったといえる。したがって、売上総利益29.9%(昨年30.2%)となり、粗利も0.3ポイントダウンした。一方、販売費及び一般管理費であるが、25.7%(昨年25.7%)と昨年と同じ数字となり、結果、マーチャンダイジング力は4.2%(昨年4.5%)と0.3ポイント下がっており、商品売買から得られる利益が下がった分を経費の削減でカバーできず、マーチャンダイジング力が下がったことが大きかったといえよう。これに、不動産収入等の営業収入が2.9%(昨年2.9%)加わり、差し引き、営業利益7.1%(昨年7.4%)と原価上昇分の0.3ポイントをカバーできず、減益となる決算となった。本来であれば、原価の上昇分を経費か、不動産等の営業収入でカバーしたいところであろうが、今期は、どちらも昨年同様の数字となり、そっくり、原価上昇分が経営に重くのしかかった構図である。
ただ、通期予想は営業収益1,307.63億円(102.5%)、営業利益86.54億円(101.6%:営業収益比6.61%)、経常利益88.03億円(100.4%:営業収益比6.73%)、当期純利益52.81億円(104.9%:営業収益比4.03%)とわずかではあるが、増収増益予想であり、この中間期の減収を挽回する予想であり、どこまで数字改善ができるか期待したいところである。特に、10 月に「ジョイフル宮古店」(沖縄県宮古島市)を出店し、11 月に「経塚シティ」(沖縄県浦添市)を出店する予定であり、後期はこの2店舗の新店が売上を後押しし、売上は堅調な数字となろう。ただ、利益に関しては、アメリカ発の金融不安が実物経済に影響を与え始めており、消費の不透明感がぬぐえず、予断を許さない状況が続くといえよう。
サンエーは今期もそうであるが、食品スーパーマーケット業界屈指の営業利益率を誇る食品スーパーマーケットであり、その数字は営業収益比6.93%と7%近い数字である。先ほどマーチャンダイジング力(4.2%)を見たように、その要因は経費が低いわけではなく、粗利率の高さと安定した営業収入が支えていることであることがわかる。その粗利率であるが、現在、サンエーの商品別の昨対数字、売上構成比、推定粗利を見ると、衣料品96.3%(売上構成比11.7%、推定売買差益約35%)、住居関連用品101.3%(売上構成比27.4%、推定売買差益約25%)、食品104.8%(売上構成比56.2%、推定売買差益約27%)、外食及びホテル99.8%(売上構成比4.5%、推定売買差益約65%)という状況であり、ここから相乗積を計算すると、相乗積(粗利構成比)は、衣料品4.0%、住居関連用品6.8%、食品15.0%、外食及びホテル2.9%となる。したがって、通常の食品スーパーマーケットと比べ、異常に外食及びホテルの粗利貢献度が高く、何と2.9%、約3%もあることがわかる。これに、営業収入の2.9%、約3%が加わることにより、食品スーパーマーケットの扱い商品以外で約6%がプラスとなるという特異な収益構造となっていることがわかる。これが、サンエーの業界屈指の営業利益を稼ぎ出している要因といえ、その意味で、独特な収益構造をもつ食品スーパーマーケットといえよう。
一方、ここで、サンエーの出店余力を見てみると、自己資本比率は60.6%(昨年64.7%)であり、昨年より、下がっていることが気になるが、食品スーパーマーケットとしては抜群の安定度である。これは、長短借入金等の合計がわずか32.73億円(昨年44.85億円)と、総資産の3.96%しかなく、しかも、出店にかかわる資産である土地・建物・長期借入保証金の合計が405.93億円(昨年383.34億円)と、総資産の49.2%、1店舗当たり5.34億円と低いことによる。したがって、自己資本比率から出店にかかわる資産を引いた出店余力は11.4%と自己資本の範囲内での出店が可能な財務構造となっており、堅固な財務体質である。また、キャッシュフローも、営業活動によるキャッシュフロー(116.27億円)、投資活動によるキャッシュフロー(-17.94億円)、財務活動によるキャッシュフロ-(-10.94億円)、資金87.39億円と、この中間決算期は、期末が金融機関の休業日となり仕入債務等89.29億円の支払が翌月に繰越されたことにより、資金が膨らんでいるが、順流となっており、しかも、財務キャッシュフローでは長期借入金の返済による支出5.18 億円と配当金の支払額5.40億円とバランスのよい支出となっている。
このように、今期のサンエーの中間決算は増収減益とやや厳しい決算とはなったが、マーチャンダイジング力、出店余力、キャッシュフローの流れ、ともに良い数字であり、安定した経営であるといえよう。ただ、やや、経営が安定しすぎ、新規出店余力があるにもかかわらず、出店が思うように進んでいないきらいがあり、今後、全店舗数が現在76店舗であるので、年間5店舗ぐらいいの新規出店が欲しいところである。今後のサンエーがどのような出店戦略を打ち出すかに注目したい。
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