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October 23, 2008

ハローズ、2009年2月期中間、大幅増収増益、絶好調!

   広島のハローズが10/10、2009年2月期の中間決算を公表した。売上高312.03億円(110.2%)、営業利益11.26億円(117.0%:売上対比3.60%)、経常利益11.41億円(119.5%:売上対比3.65%)、当期純利益6.35億円(117.5%:売上対比2.03%)と、すべての指標が2桁の増収増益となる好決算となった。ハローズは現在、店舗タイプを300坪型(都市住宅地域)、450坪型、600坪型(郊外住宅地域)とし、いずれも24時間対応の食品スーパーマーケットを目指しており、最近ではNSC(近隣型ショッピングセンター)も展開するなど、新店開発にも積極的である。既存店は101.2%という伸びであるので、ここ最近の新店の貢献が大きく、売上高を大きく伸ばしたといえよう。現在、この6月に新規出店した、四国1号店となる丸亀店(香川県丸亀市:約600坪24時間)を含め、広島県19店舗、岡山県18店舗、香川県1店舗の計38店舗を展開している。

   また、すべての段階で2桁の利益となったが、その要因を原価、経費の面から見てみると、売上原価は76.9%(昨年77.0%)、0.1ポイント改善し、売上総利益23.1%(昨年23.0%)と0.1ポイント改善した。一方、販売費及び一般管理費は22.0%(昨年21.9%)、0.1ポイント上昇したが、差し引き、マーチャンダイジング力は1.1%(昨年1.1%)と昨年と同様の数字となった。これに、不動産収入、物流収入等の営業収入2.5%(昨年2.3%)と0.2ポイントが上乗せされ、結果、営業利益3.6%(昨年3.4%)と0.2ポイント改善したことが、売上の上昇と相まって、利益を大きくの伸ばした要因といえよう。経費の上昇を原価の改善で補い、さらに、NSC等の積極出店により、不動産収入等の営業収入を増し、営業利益を引きあげたといえる。特に、原価改善には、ハローズのPB、ハローズセレクションが6.9%(昨年6.0%)と、0.9ポイント伸びたことも大きかったといえよう。

   ただ、この好調な決算にもかかわらず、気になるのは自己資本比率である。今期のハローズの自己資本比率は34.2%(昨年39.7%)となり、ここ数年間で最も低い数字となった。その要因は、出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金保証金の合計159.90億円(昨年141.50億円)と、総資産の58.06%となり、1店舗当たり、全38店舗で割ると4.20億円と低く抑えてはいるが、積極的な新店展開で増加気味となっている。その結果、自己資本比率34.2%では賄えず、これを負債の主要項目である長短借入金で補う構造となっており、今期の数字は、54.58億円(昨年48.68億円)と総資産の19.82%を占めており、ほぼ、この負債を足すとバランスがとれる構造であり、借入に依存する出店構造となっていることである。

   ハローズは現在ROA(総資産経常利益率)の向上を経営目標の最重点項目にすえ、ROA=売上高経常利益率×総資本回転率の関係式から、売上高経常利益率の向上をはかるためには、高収益商品の開発、情報システム及び物流システムの改革並びに固定費の削減に取り組んでおり、その目標は4.0%である。また、総資本回転率の効率化を目指し、用地の取得形態を賃借物件3に対し、取得物件1の割合を基準とし、賃貸比率を上げ、設備投資を極力抑え、総資産回転率3.0回を目指している。実際の数字を見ると、総資産275.37億円、純資産94.20億円、年間売上高予想630.00億円、経常利益高予想20.70億円であるので、売上高経常利益率3.2%、総資本回転率2.28回転となり、目標にはまだ少し遠いのが現状であり、今後、目標ROA12%を目指し、さらに、経営改革が必要といえよう。

   ハローズはROAの分解を売上高経常利益率×総資本回転率としているが、実は、ROAは、ROA=自己資本比率×ROE(株主資本経常利益率)という分解式もあり、この分解式で見ると、現状の自己資本比率は34.2%、ROEは21.9%であるので、最大の問題は自己資本比率にあるといえる。日本の優良食品スーパーマーケットの自己資本比率は優に60%を超えるので、仮に、ハローズの自己資本比率が60%となれば、ROEは約20%であるので、その瞬間にROAは目標の12%になる。したがって、この式から見る限り、ハローズのROAが目標に届かない原因は自己資本比率の低さにあるといえ、今後、この好調な決算をもとに、いかに自己資本比率を引き上げるかが経営課題といえよう。

   そして、そのキーとなるのが、キャッシュフローといえ、今期のハローズのキャッシュフローの流れは、営業活動によるキャッシュフロー(59.62億円)、投資活動によるキャッシュフロー(-23.54億円)、財務活動によるキャッシュフロー(-9.84億円)、資金26.24億円となり、投資対財務がほぼ2対1の割合で投資優先、すなわち、新店開発に重点がおかれ、財務、特に、長短借入金等、負債の削減の比重を低く抑える構造となっている。したがって、成長性を優先するか、財務の健全性を優先するか、難しい経営判断ではあるが、ROA12%を経営目標とするのであれば、もう少し、自己資本比率を引きあげるキャッシュフローの流れをつくる必要があるように思える。

   これを受けて、ハローズの通期予想であるが、売上高630.00億円(110.5%)、営業利益21.10億円(103.2%:売上対比3.34)、経常利益20.70億円(102.3%:売上対比3.28%)、当期純利益11.60億円(102.0%:売上対比1.84%)と、この中間決算時よりは利益の伸びが抑制されてはいるが、増収増益の好決算の予想である。今後、ハローズがこの好決算を活かし、経営目標のROA12%を目指し、自己資本比率の向上にどのように取り組んでゆくのかに注目したい。

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