東武ストア、中間決算、増収減益、自己資本比率66.9%!
東武ストアが10/9、2009年2月期の中間決算を公表した。売上高416.05億円(103.0%)、営業利益12.10億円(94.8%:売上対比2.90%)、経常利益13.21億円(98.3%:売上対比3.17%)、当期純利益11.49億円(95.2%:売上対比2.76%)と、増収とはなったが、減益となる厳しい決算であった。今期は新店の出店がなく、経費の上昇が経営を圧迫した形となった。実際、原価、経費等の状況を見てみると、原価が74.0%(昨年74.1%)と、この厳しい値上げ環境の中でも0.1ポイント削減したことがプラスではあったが、販売費及び一般管理費が23.1%(昨年22.7%)と、0.4ポイント上昇し、結果、売上総利益は改善したが、経費がそれ以上に上昇したため、差し引き、マーチャンダイジング力=営業利益は2.9%(昨年3.2%)となり、0.3ポイント下がってしまった。その結果、売上の伸び103.0%では営業利益の下げをカバーできず、減収となる決算となった。
これを受けて、通期予想であるが、売上高836.00億円(103.3%)、営業利益23.50億円(101.0%:売上対比2.81%)、経常利益25.00億円(100.2%:売上対比2.99%)、当期純利益20.50億円(102.7%:売上対比2.45%)と、わずかではあるが、増収増益を予想しており、この中間決算の減益を増益に改善してゆく予想である。
今期の東武ストアのPLはこのようにやや厳しい結果となったが、逆に、BSの方は改善が進んでおり、自己資本比率は66.9%(昨年65.0%)となり、1.9ポイント改善した。特に、負債の主要項目である長短借入金等の合計が16.12億円(昨年25.94億円)と、約10億円近く削減しており、結果、総資産のわずか5.29%となり通期予想の当期純利益が20.50億円であるので、全額返済可能な状況となり、無借金経営も時間の問題といえよう。
東武ストアの自己資本比率66.9%は、食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスであり、今後、借入金をさらに減らしていけば、70%以上も見えており、安定した財務基盤ができつつあるといえよう。したがって、今期は新規出店がなかったが、この財務状況であれば、今後、安定成長をはかってゆくことも可能であり、今後の成長を期待したいところである。その出店構造であるが、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金・敷金の合計は、178.41億円(昨年184.33億円)となり、総資産304.64億円の58.56%であり、現在、東武ストアは51店舗であるので、1店舗当たりでは、3.49億円となる。したがって、出店余力も、自己資本比率-出店にかかわる資産の合計=8.34%となり、プラスであり、自己資本の範囲内での新規出店が十分に可能な状況である。1店舗4億円弱という出店にかかわる資産であるので、単純計算で通期当期純利益約20億円÷4億円=5店舗は可能といえ、現在51店舗であるので、5店舗は約10%にあたり、110%の安定成長もけっして難しい財務状況ではない。
ちなみに、今期のキャッシュフローの流れであるが、営業活動によるキャッシュフロー(20.91億円)、投資活動によるキャッシュフロー(-4.89億円)となり、フリーキャッシュフローは16.02億円である。ここから、財務活動によるキャッシュフロー(-9.85億円)を引くと、資金は6.17億円となる。営業キャッシュフローの範囲内での投資キャッシュフロー、財務キャッシュッフローを賄っており、典型的な順流の流れである。ただ、投資対財務は1:2であり、投資よりも財務に力点があり、気になる比率である。
この背景には東武ストアの経営体制がここ数年めまぐるしく変化していることが考えられるといえよう。直近、今年の2/29現在の株主構成は丸紅30.3%、丸紅フーズインベストメント30.3%、東武鉄道26.6%という状況であり、丸紅グループが筆頭株主として経営権を取得しており、東武鉄道に経営の主導権がない状況である。これが少し前の2006年7/4時点では、丸紅フーズインベストメント30.2%、東武鉄道26.5%と筆頭株主が丸紅フーズインべストメントであるが、30.2%と微妙な比率であり、経営主体が明確でなかった。さらに、2005年6/29時点では、丸紅フーズインべストメント25.0%、マルエツ15.0%、東武鉄道16.3%であり、さらに経営主体ははっきりしていない状況であった。このように、東武ストアの経営権が、ここ数年、めまぐるしく変転しており、ここへきて、やっと、丸紅グループで過半数の株式を取得し、経営権が確定したといえる。したがって、今後は丸紅グループ主体の経営を東武ストアは実践してゆくことになるといえる。今期は、そのはじめての中間決算となった形であるため、成長戦略が明確に打ち出せなかったのではないかと思われる。
このように、東武ストアの丸紅グループが経営の主導権を握ってのはじめての中間決算となったが、残念ながら、成長に陰りがみえ、減益となる厳しい決算となった。ただ、財務状況は好転しており、以前にもまして堅固な状況になりつつある。したがって、今後は、その堅固な財務状況を基盤に、食品スーパーマーケットの経営目標である安定成長を目指した投資キャッシュフローをいかに増やし、収益を上げて行くかが問われることになろう。丸紅グループが東武ストアにおいて、どうような成長戦略を打ち出すかに注目したい。
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