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October 18, 2008

不動産に何が、食品スーパーマーケットは大丈夫か?

   10/17、事務所に届く日経新聞に異常な枚数のちらしが入った。普段はこんなに枚数が多いことはないが、金曜日でもあるせいか、びっくりである。中身を見て、さらにびっくり、そのほとんどが不動産関連のちらしであった。以下、順不動に見てみると、三菱地所、中央商事(西早稲田、3LDK 7,820万円から)、三菱地所リアルエステートサービス、三井不動産(飛鳥山、モデルルーム)、大京(鷺ノ宮、モデルルーム)、三菱地所、藤和不動産、三菱リアルエステートサービス(本郷、モデルルーム)、三菱地所(白山、3LDK 5,520万円から)、住友不動産、阪急不動産(豊洲、3LDK5,880万円から)、野村不動産(志村、モデルルーム)、大京(志村、3LDK 3,200万円から)、東京建物(巣鴨、モデルルーム)、住友商事(駒込、3LDK 5,900万円から)、中央商事、三井不動産レジデンシャル、野村不動産アーバンネット(3LDK 6,600万円から)、扶桑レクセル(日暮里、3LDK 5300万円から)、三井不動産レジデンシャル、リスト(池袋、2LDK 6,070から)、へーベルハウス、住友林業、積水ハウス、三井ホーム(王子、モデルルーム)、アドバンコーポレーション(大塚、オープンハウス)、東急リバブル(売却不動産募集)、住友不動産(リフォーム)となり、全部で17枚である。

    アメリカのサブプライムローンの崩壊による金融不安が、日本の不動産事業に影響が及んでいるということは聞いていたが、この不動産のちらしは、どう見ても異常である。こんなに身近にアメリカ発の金融不安の日本への影響が肌で感じられるようになったとは驚きである。実際、この10月に入って、不動産関連の大型倒産が増えていのを見ても、金融よりも、その大口の借り手である不動産から影響が出始めているといえよう。帝国データバンクの公表データによれば、10月度の不動産関連の大型倒産は、セラヴィホールディングス(10/17、商業不動産、負債約30億円)、イトシロ(10/16、不動産、約33億円)、ニューシティ・レジデンス(10/9、不動産投資、負債約1,123億)、エルクリエイト(10/2、マンション開発分譲、負債約60億円)、アー・スリー(10/2、不動産、負債約46億円)と5件に上っている。特に、食品スーパーマーケットとも関係が深いと思われるのは、商業不動産のセラヴィホールディングスや、J-REIT初の倒産となった上場企業、ニューシティ・レジデンスなどがあげられよう。

   食品スーパーマーケットはここ最近NSC化による不動産との関係、また、SC(ショッピングセンター)へのテナント出店や大手は自ら経営することもあるが、今回の金融不安の動きはこれら運営主体がいきなり、金融の貸し渋りに合い、資金ショートに陥り、黒字倒産することもあるということを示している。特に、SC関連に出店戦略の比重を移しすぎることは、ここしばらくは危険な状況といえ、細心の注意が必要な状況になったといえよう。そうでなくとも、消費者の節約志向が強まり、大型SCへの来店回数が減りつつあり、地方のSCは苦しい状況が続いており、今後、ますます、その傾向は強まるといえよう。結果論であるが、街づくり3法の成立施行は、その意味では時流を先取りした動きといえ、経済産業省、国土交通省等の行政主導ではあるが、今後、コンパクトシティづくりが、まさに重要な商業の活性化策となる可能性が高まってきたといえよう。食品スーパーマーケットとしては、コンパクトシティにあった店舗開発、NSC(近隣型ショッピングセンター)づくりが、ますます重要な出店戦略となろう。

   さて、不動産がなぜ、急に倒産してしまうのかを、先の大型倒産の中で、ニューシティ・レジデンスの事例を見てみたい。ニューシティ・レジデンスは2008年2月期の本決算時では営業収益62.52億円(109.1%)、営業利益32.34億円(108.6%)、経常利益24.56億円(111.7%)、当期純利益24.53億円(111.7%)と増収増益の好調な決算であった。自己資本比率も43.5%であり、各社の格付けを見てもムーディーズ・インべスターズA2(安定的)、R&I A+(安定的)と、数字をみる限り、問題がないように見える。

   ただ、この時期、ニューシティ・レジデンスの主力商品のJ-REIT市況は外国人投資家を中心に売圧力がかかり、投資口価格は大幅な下落に見舞われており、市場再編も激しく起こっている状況であった。ニューシティ・レジデンスは先ほど見たように、決算数字は好調であるが、不動産特有の資産構造であり、総資産は何と2,027.43億円と巨額であり、自己資本比率が43.5%であるので、純資産が881.93億円、負債が1,145.49億円と巨額な額となる。この内、長短借入金が1,111.95億円とそのほとんどを占めている。したがって、成長のための新たな不動産取得の原資を生み出すには、借入に大きく依存する構造となっている状況である。今回、ニューシティ・レジデンスが公表した民事再生法申請の理由は、「今月(10月)末までに取得予定の資産の決済及び今月返済期限の到来する借入金についての調達の目途がたたない状況となったため」であるとしており、いわゆる資金ショートによる黒字倒産である。

   このように、このニューシティ・レジデンスの事例を見ても、資産を多額の借入金で賄っている財務構造の場合は、ひとたび、市況が悪化し、資産の価値が急減し、金融不安による貸し渋りが起こると、決算上は黒字でも、資金ショートによる倒産ということが、突然起こることを示す典型的な事例といえよう。したがって、食品スーパーマーケットにおいても、資産が大きく、自己資本比率が低く、借入依存度の高い財務体質の企業は、現在、資金ショートを起こしかねない状況にあるといえ、構造改革が急務であるといえよう。食品スーパーマーケット業界は、いま、まさに中間決算の公表ラッシュとなっているが、増収増益で安心するのではなく、財務面からのチェックが今期は特に重要な課題といえよう。

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