カスミ、中間、増収減益、マーチャンダイジング力に課題!
カスミが10/17、2009年2月期の中間決算を公表した。営業収益1,061.92億円(104.8%)、 営業利益26.95 億円(95.9%:営業収益比2.53%)、経常利益28.84億円(93.5%:営業収益比2.71%)、当期純利益12.22億円(133.1%:営業収益比1.15%)となる、増収減益の決算であり、営業利益、経常利益ともに厳しい決算となった。また、通期予想も営業収益2,108.00億円(103.9%)、 営業利益53.00 億円(86.4%:営業収益比2.51%)、経常利益61.00億円(90.6%:営業収益比2.89%)、当期純利益29.00億円(116.6%:営業収益比1.37%)なる増収減益の予想であり、今期、収益が厳しい状況で推移しそうである。
カスミの今期増収の要因は、新規出店を米店(栃木県佐野市)、八街朝日店(千葉県八街市)と2店舗出店し、既存店のうち、北本店、鴻巣店、吹上店の3店舗を「価格・鮮度に挑戦し続けるお店」をモットーとするディスカウント業態、「FOOD OFFストッカー」に業態転換したことが大きかったといえよう。FOOD OFFストッカーは、現在、15店舗となり、結果、総店舗数は新店2店舗をいれ、135店舗となった。また、下期も、フードスクエアピアシティ石岡中央店(茨城県石岡市)、フードスクエアつくばスタイル店(茨城県つくば市)など5店舗の出店と、5店舗の改装を予定しているという。
一方、減益となった要因であるが、今期の原価は72.6%(昨年72.6%)と資本業務提携したイオンのPB、トップバリュ等の貢献(売上対比5.3%)もあったとみえ、値上げ環境の中でも、原価を上昇させることなく、昨年と同じ数字を維持できた。結果、売上総利益は27.4%(昨年27.4%)となり、安定した売上総利益が確保できたといえよう。ただ、販売費及び一般管理費が28.1%(昨年28.0%)となり、0.1ポイント上昇した。結果、マーチャンダイジング力、売上総利益-販売費及び一般管理費は-0.7%となり、マイナスとなった。また、不動産収入等の営業収入であるが、3.3%(昨年3.5%)と昨年と比べ0.2ポイント下がった。結果、営業利益は2.6%(昨年2.9%)と0.3ポイント昨年と比べ下がり、営業収益が104.8%であったにもかかわらず、営業利益が0.3ポイント下がったことが、営業利益が95.9%と減益となった要因である。このように、今期は経費が0.1ポイントあがり、不動産収入等の営業収入が0.2ポイント下がり、合計、0.3ポイント、営業利益が下がったことが大きかったといえよう。ただ、カスミのマーチャンダイジング力を見る限り、マイナス0.7%であり、まずは、このマーチャンダイジング力をプラスにすることが営業利益の改善にとっては最優先課題といえよう。
これに対し、カスミの出店余力についても見てみたい。カスミの出店にかかわる資産である土地、建物、敷金・保証金の合計は426.80億円(昨年434.54億円)となり、総資産の51.8%である。カスミは現在135店舗であるので、1店舗当たりでは3.16億円となり、通常の食品スーパーマーケットと比べると、出店にかかわる資産がかなり低いのが特徴といえよう。現在、カスミの自己資本比率は45.5%であるので、出店余力を計算すると、45.5%-51.8%=-6.3%であり、ほぼ、自己資本の範囲内での出店構造となっている。一方、負債の主要項目である長短借入金等の合計は89.42億円(昨年135.74億円)と40億円強削減されており、総資産に占める割合は10.8%と、財務の健全化が進み、出店余力が増しつつあるといえよう。
したがって、カスミの出店余力はやや借入依存型とはなっているが、ほぼ、自己資本の範囲内での出店が可能な状況といえ、しかも、1店舗当たりの出店にかかわる資産が通常の食品スーパーマーケットよりも低く抑えられており、新規出店は比較的可能な財務体質であるといえよう。また、キャッシュフローの流れを見ても、営業キャッシュフロー(86.74億円)、 投資キャッシュフロー(-28.24億円)となり、フリーキャッシュフローは58.50億円となり、営業キャッシュフローの範囲内での投資キャッシュフローとなっている。そして、財務キャッシュフロー(-25.55億円)もフリーキャッシュフローの範囲内であり、結果、資金は32.95億円となり、順流のキャッシュフローである。投資対財務もほぼ1:1となる配分であり、特に、財務キャッシュフローを見ると、確実に長期借入金の返済がすすんでおり、財務的にはまさに順流の流れとなっており、今後、数年で健全な財務基盤ができるといえよう。
このように財務状況は改善されつつあり、あとは、マーチャンダイジング力をいかに高めるかにあるといえる。現在、カスミは、商品売買から得られる粗利の範囲内で、販売費及び一般管理費を賄うことができず、この数字、すなわち、マーチャンダイジング力がマイナスとなってしまうが、この数字をいかにプラスに転嫁させ、さらには、プラス幅をどこまで拡大できるかが課題といえよう。そして、そのためには、原価を改善して粗利率を引き上げることも重要ではあるが、それ以上に、販売費及び一般管理費をどこまで圧縮できるかが今後の経営課題といえよう。一般に経費を削減する方法は、文字通り、経費を削ってゆくことも大事であるが、もうひとつは、坪効率を引きあげ、相対的に固定費を引き下げることも重要な政策であり、この両面から経費削減をはかる必要があろう。今後、カスミのマーチャンダイジング力がどこまで改善されるかに注目したい。
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