売上速報、食品スーパーマーケット、潮目変わる!
食品スーパーマーケットの2008年9月度の売上速報を集計した。食品スーパーマーケットの上場企業は約50社であるが、その内、約20社強が月別の売上速報を公表しており、その数字を独自に集計したものである。結果は103.4%、既存店は98.5%となる厳しい結果となった。8月度 104.7%(既存店99.5%)、7月度 106.7%(既存店100.9%)、6月度 106.1%(既存店100.8%)、そして、2007年9月度 105.6%(既存店100.3%)と比べても最も低い数字であり、しかも失速気味で推移しており、明らかに潮目が変わったといえよう。食品スーパーマーケット業界は、これまでの好調さが一転、今後は厳しい数字になることが予想され、消費環境の動向を注意深くにらみながら、経営をしてゆく段階に入ったといえる。
ちょうど、10/22、日本チェーンストア協会からも、この9月度の売上速報を公表しているが、それを見ると、全体は97.8%(前月比92.9%)、食料品97.7%(前月比92.6%)、衣料品94.8%(前月比92.6%)、住関連97.8%(前月比93.2%)という状況であり、さらに厳しい状況である。日本チェーンストア協会は食品スーパーマーケット以外も、GMS、専門店等71社8,680店舗の集計データとなり、食品スーパーマーケットの数字が相殺されてしまうので、食品スーパーマーケットの状況をダイレクトには反映しているとはいえず、本ブログの食品スーパーマーケットの独自集計よりも厳しい結果がでる傾向にあるが、それをさし引いても厳しい数字といえよう。
さて、食品スーパーマーケットの売上速報であるが、110%以上の食品スーパーマーケットが4社ある。マックスバリュ中部119.1%(既存店97.8%)、PLANT 113.6%(既存店101.1%)、大黒天物産110.8%(既存店105.1%)、マックスバリュ西日本110.2%(既存店102.0%)である。この4社の中も、特に好調な食品スーパーマーケットが大黒天物産である。既存店が105.1%と今回集計した食品スーパーマーケット約20社の中ではトップであり、特に、既存店の客数が104.3%、客単価100.4%と客数が大きく伸びたことが大きかった。大黒天物産は今年に入り、値上げ環境の中、EDLP政策を掲げ、消費者からの支持を獲得し、既存店の客単価ではなく、客数を増やしたことが大きかったといえよう。ただ、客単価の中身はPI値が94.7%、平均単価が106.0%という結果であり、競合店と比べると十分低い価格ではあるが、昨年と比べると明らかに上昇しており、値上げ攻勢には勝てず、平均単価は昨年よりは上昇している結果となった。
大黒天物産についでPLANTも好調であり、新店が寄与し、売上は113.6%と2桁の伸びで推移している。特に、これまで厳しい状況であった既存店も101.1%と上昇に転じており、特に既存店の客単価が102.3%と安定したことが大きかったといえよう。また、マックスバリュグループは完全に西高東低となっており、今月もNo.1はマックスバリュ中部が119.1%と驚異的な数字となった。ただ、既存店が97.8%となったのが気になるところであるが、新店とM&Aにより、着実に売上を伸ばしている。マックスバリュ西日本も110.2%となり、好調である。また、110%まではいかなかったが、マックスバリュ東海も107.1%(既存店98.6%)と堅調な数字である。一方、東のマックスバリュ東北は101.3%(既存店94.5%)、マックスバリュ北海道は95.5%(既存店92.4%)と厳しい数字であった。
この4社についで、105%以上の食品スーパーマーケットを見てみると、イズミ109.0%(既存店97.5%)、九九プラス108.6%(既存店104.8%)、マックスバリュ東海107.1%(既存店98.6%)、マルエツ106.3%(既存店100.6%)という状況であり、105.0%以上の食品スーパーマーケットは全部で8社という状況であった。以下、100%以上の食品スーパーマーケットを上げてみると、ユニバース103.9%(既存店99.5%)、ヤオコー103.5%(既存店100.5%)、ダイイチ102.9%(既存店97.0%)、オオゼキ102.5%(既存店102.5%)、バロー101.8%(既存店92.6%)、マックスバリュ東北101.3%(既存店94.5%)、トーホー101.1%(既存店98.6%)、アークランドサカモト100.4%(既存店100.1%)、カスミ100.2%、CFSコーポレーション100.1%(既存店101.7%)である。
逆に、この9月度売上が伸び悩んだ食品スーパーマーケットを見てみると、マックスバリュ北海道95.5%(既存店92.4%)、いなげや96.3%(既存店95.6%)、Olympic96.7%(既存店96.7%)、スーパーバリュー96.8%(既存店96.8%)、エコス97.3%(既存店93.5%)、そして、ヤマザワ97.5%(既存店96.2%)であり、いずれも、既存店が大きく落ち込んでいることが大きいといえよう。特に、既存店の数字だけで見ると、この9月度、最も数字が落ちた食品スーパーマーケットはマックスバリュ北海道の92.4%であり、ついで、バロー92.6%、エコス93.5%、マックスバリュ東北94.5%、いなげや95.6%となり、90%前半の食品スーパーマーケットも出始めており、厳しい売上環境になってきたといえよう。
このように、この9月度の売上速報を見ると、明らかに潮目が変わったといえる動きになったといえ、8月までの好調さから失速感が出始めている状況といえよう。ちょうど、アメリカでも、これまで好調に推移していたウォルマートの数字がこの9月度は105.8%(既存店102.0%)と失速しており、特にアメリカ国内もそうであるが、売上構成比が高まってきた海外が急激に売上を落としはじめており、ウォルマートも厳しい状況になったといえる。アメリカの金融不安はまだはじまったばかりといえ、今後、さらに大きな影響がでることは必至であり、ここしばらくは注意深く食品スーパーマーケット業界の売上状況を見守ってゆくことが必要といえよう。
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