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October 25, 2008

食品スーパーマーケットの独自格付け試案?

   いま、食品スーパーマーケット業界は、中間決算公表のラッシュである。食品スーパーマーケット業界の決算は上場企業約50社の内、65%が2月期決算企業であるため、この10月公表の企業が大半を占める。ついで、3月期決算企業が15%であり、この企業は来月から公表が始まる予定である。この両者を足すと80%となり、残りは1月、4月、5月、9月、12月となり、約20%である。本ブログでは、可能な限り、速報値をいち早く分析し、公表しているが、すべてを速報で公表するのは難しい面があり、主要な食品スーパーマーケットから順次公表している。

   その公表にあたっての分析ポイントであるが、現在、大きく、3つの角度から、独自分析を試みている。ひとつは、マーチャンダイジング力であり、これは食品スーパーマーケットのキャッシュフローを生み出すパワーがどれくらいかを推し量る指標である。財務諸表の中ではPLとキャッシュフロー計算書を参考にしている。キャッシュフロー計算書で最も重要な指標は営業キャッシュフローである。その中でも構成比の大半を占めるのが当期純利益であるが、この数値の大本は、営業利益であり、さらに、その大本は売上総利益、すなわち、商品売買から得られる粗利から、販売費及び一般管理費及を引いた数字である。このことを、本ブログではマーチャンダイジング力と呼び、商品売買を通じて得られる純粋なキャッシュッフローを表すとみて、食品スーパーマーケットでは本業のパワー、キャッシュを生み出す力としている。
  
   2つめは、出店余力である。これは食品スーパーマーケットの成長は既存店がどんなに頑張っても数%がせいぜいであり、105%、110%、そして、120%成長するには、新店開発かM&A以外にありえない。そして、そのためには、財務的な出店余力の裏付けがないと不可能なことである。そこで、本ブログでは、BSを参考に自己資本比率と出店にかかわる資産として土地、建物、敷金・保証金の合計との比率を見ることによって、出店余力を判断している。仮に、この数値がマイナスになることがあれば、それは、自己資本以外、すなわち、負債に依存していることになり、当然、負債に依存する割合が大きければ大きいほど、出店余力は弱くなり、これが極限までいくと、出店はとまり、やがては、支払金利、返済でキャッシュフローを食いつぶすという結果となる。したがって、食品スーパーマーケットの経営、特に、出店戦略をつくる上において、最も重要なものは出店余力であると判断できると考えられるからである。 
 
   そして、3つめが負債依存度である。これは2つめの出店余力と密接に絡む問題であり、出店余力が十分な食品スーパーマーケットは、自己資本比率の範囲内での新規出店が可能となり、負債に頼らない出店戦略を立案することが可能となる。ところが、自己資本の範囲を超えた新規出店を行おうとすると、負債に頼る出店構造となり、これが繰り返されると、やがては、負債が膨れ上がれ、出店がストップしてしまう。そこで、食品スーパーマーケットの経営にとって3つめに重要な指標が負債依存度であり、これが健全な内は、新店を出店し、安定成長が可能となるが、負債依存度が増してくると、出店にまわす投資ができなくなり、結果、食品スーパーマーケットの成長がストップしてしまうことになる。

   このように考えると、食品スーパーマーケットの成長戦略はマーチャンダイジング力を高めて、キャッシュフローの流れをよくし、自己資本比率を引き上げ、その範囲内で安定した新規出店ができる体制を整え、負債を可能な限り、0に近づけてゆくことが理想といえよう。そう考えると、この3つの角度から、食品スーパーマーケットの決算数値を分析することにより、食品スーパーマーケットの経営の健全性が判断できるともいえ、これを瞬時に判断するために、この3つの角度から上場食品スーパーマーケット約50社を格付けしてみたらどうかと思う。

   ひとつの試みであるが、マーチャンダイジング力(キャッシュフローの充実度:PL)は、売上総利益と一般管理費及び販売費との関係をもとに判断し、A≧3%、B≧0%、C<0%とし、出店余力(自己資本の充実度:資産と資本)は、自己資本比率と出店にかかわる資産との関係をもとに判断し、A≧10%、B≧0%、C<0%とし、負債依存度(負債の軽減度:負債)は、長短借入金と総資本との関係をもとに判断し、A≦5%、B≦20%、C>20%とすることによって判断が可能ではないかと思う。こうなると、AAAからCCCまで27パターンに分けることができ、決算書の3つの帳票を丹念に読みこまなくても、この格付けだけでかなりの経営内容を判断できるのではないかと思う。ちょうど、いま、食品スーパーマーケット約50社の上場企業の中間決算が公表されはじめたので、今後は、この格付けを意識しながら、中身の分析を行い、来月下旬にはすべての上場食品スーパーマーケットの中間決算が出揃うと思うので、その時点で一覧表を作成し、各食品スーパーマーケットの経営の健全性を推し量ってみたいと思う。

(注)格付け基準は予告なく変更することがありますので、あらかじめご了承ください。

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