イズミ、中間決算、増収減益、厳しい決算!
イズミが10/10、2009年2月期の中間決算を公表した。営業収益2,470.19億円(106.9%)、営業利益102.87億円(85.3%:営業収益比4.16%)、経常利益100.86億円(85.5%:営業収益比4.08%)、当期純利益47.21億円(73.4%:営業収益比1.91%)と、増収とはなったが、大幅な減益となる厳しい決算となった。今期は新店としては、ゆめタウン出雲(6月、島根県出雲市)を出店し、既存店99.5%をカバーし、売上は堅調な数字ではあったが、営業利益、経常利益、当期純利益ともに大幅な減益となった。また、通期予想に関しても、営業収益5,080.00億円(107.9%)、営業利益232.00億円(93.6%:営業収益比4.56%)、経常利益219.00億円(88.4%:営業収益比4.31%)、当期純利益129.00億円(94.4%:営業収益比2.53%)と、中間決算と同様に増収減益となる予想であり、今期、イズミの決算は厳しいものがあると予想される。
イズミは、通常の食品スーパーマーケット業態と違い、GMS、SCが主体の小売業である。そのため、多額の資産を取得し、その不動産を活用したテナント等の不動産収入が経営の柱となる。今期のイズミの出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金及び保証金の合計は、2,616.93億円(昨年2,350.79億円)であり、総資産の69.46%となる。イズミの店舗数は現在71店舗であるので、1店舗当たり36.85億円となり、これは、一般的な食品スーパーマーケットの約10倍近い金額であり、いかに、出店にかかわる資産が大きいかがわかる。その理由は、イズミの店舗構成比を見るとわかるが、15,000㎡(約4,500坪)が16店舗(売上構成比56.3%)、10,000㎡から15,000㎡(約3,000坪)が13店舗(売上構成比20.1%)、3,000㎡から10,000㎡(約1,000坪)が25店舗(売上構成比18.6%)、0㎡から3,000㎡(約1,000坪以下)が17店舗(売上構成比5.0%)であり、約4,500坪以上のGMS、SCタイプが全体の半分以上の売上構成比を占めているためである。イズミは食品スーパーマーケットというよりも、テナント収入を主体とした不動産業に近い業態といえる。実際、商品別の売上構成比を見ても、衣料品17.3%、住居関連品8.8%、食品33.2%と直営の合計は59.3%であり、残り約40%はテナント34.4%、商品供給6.3%であり、しかも、年々、テナントの構成比が増しているのが実情である。
したがって、出店余力は現在の自己資本比率が27.2%(昨年30.7%)であるので、ここから出店にかかわる資産69.46%を引くと-42.26%となり、大幅なマイナスとなる。自己資本の範囲内では新規出店が難しい財務構造となっており、結果、多額の負債、特に、長短借入金等を調達しての出店構造となる。その長短借入金等の合計であるが、1,576.28億円(昨年1,434.17億円)と総資産の41.8%である。これに自己資本比率の27.2%を足すと69.0%となり、ちょうど、出店にかかわる資産69.46%とほぼ同じ比率になり、バランスがとれる財務構造である。この数字を見る限り、イズミのビジネスモデルは食品スーパーマーケットとは一線を画し、多額の借入等により、膨大な不動産を取得し、その不動産に数多くのテナントを誘致し、そこから得られる収益に重点を置く業態であるといえよう。
実際、イズミのマーチャンダイジング力を見てみると、今期の原価は77.9%(昨年77.5%)と0.4ポイント上昇し、結果、売上総利益は22.1%(昨年22.5%)と0.4ポイント下がるという厳しい状況となった。一方、販売費及び一般管理費も22.6%(昨年21.9%)と0.7ポイントと大幅に上昇したため、原価、経費、ダブルでの上昇となり、マーチャンダイジング力、売上総利益-販売費及び一般管理費は-0.5%(昨年0.6%)と昨年はプラスであった数字が一転、マイナスとなってしまい、厳しい結果となった。また、不動産収入等の営業収入は4.8%(昨年4.9%)と、これも0.1ポイント下がり、結果、営業利益が4.4%(昨年5.5%)と1.1%も下がるという、トリプルでの減少となり、厳しい決算となったといえよう。ただ、イズミのこの収益構造はマーチャンダイジング力でキャッシュフローを生み出すという構造ではなく、不動産収入等の営業収入でキャッシュフローを生み出す収益構造といえ、膨大な不動産を多額の借入で行い、その不動産へテナントを誘致し、そのテナント収入からキャッシュフローを生み出すという、独特な収益構造のビジネスモデルであるといえよう。
そして、そのキャッシュフローであるが、営業キャッシュフロー(285.21億円)、投資キャッシュフロー(-180.23億円)となり、フリーキャッシュフローは、104.98億円となる。そして、財務キャッシュフローは(-76.23億円)となり、結果、資金は28.75億円となり、キャッシュの流れは順流ではある。ただ、気になるのは、投資対財務がこれだけ、大きな負債があるにもかかわらず、約5:2と投資へ傾斜気味である点である。出店余力が十分であれば、投資キャッシュフローを強く打ち出すことは問題ないと思うが、現状の出店余力を見る限り、財務の安定を図る意味でももう少し、財務キャッシュフローを高めても良いように思われる。
このように、イズミのこの中間決算をみる限り、原価、経費がダブルで上昇し、マーチャンダイジング力が下がり、キャッシュを生み出すパワーが落ちているのが気になるところである。また、イズミのキャッシュフローの主体である不動産収入等の営業収入も下がっており、これまで、好調であったビジネスモデルが厳しい状況となりつうあり、今後、多額の負債が経営に重くのしかかることになり、新規出店が厳しい状況になりかねい状況といええよう。ここは、再度、小売業の原点であるマーチャンダイジング力を高めることが最優先課題といえよう。イミズの今後のマーチャンダイジング力改善へ向けて、どのような政策を打ち出すかに注目したい。
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