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November 10, 2008

ウォルマートに異変、金融危機直撃、10月度売上失速!

   ウォルマートに激震が走った。2008年10月度の売上速報が11/6、公表されたが、これまでの堅調さが一転、売上が大きく減少した。その売上であるが、この10月度は102.3%という信じられない数字である。10月までの累計が108.3%であるので、5ポイントも下がるという失速である。前月の9月度も105.8%とそれまでの8月108.7%、7月109.4%、そして6月度110.1%と比べても下げ気味で推移していたが、それを上回る大きな下げであり、ウォルマートに異変が起こったといえよう。

   その中身を見てみると、ウォルマート部門105.3%(累計106.6%)、サムズクラブ部門104.5%(累計107.2%)、海外部門-5.9%(累計113.3%)であるので、国内部門も不振であったが、海外部門がこれまで2桁以上伸びていた数字がいきなり、マイナスとなり、これが大きく響いた結果といえよう。海外部門は67.60億ドル(約6,500億円)であり、全体の売上が285.65億ドル(約2兆8,000億円)であるので、23.6%と約1/4の売上構成比であり、この部分が大きく失速すると全体への影響も大きく、今回、大きな失速となったといえる。ウォルマートはこれについて、「On a constant currency basis -- without the effect of foreign exchange rate fluctuations -- total International sales increased 8.9 percent for the four-week period.」と、コメントしており、為替変動によるものであり、実質、海外部門は108.9%であったとしている。ただ、108.9%でも累計の113.3%と比べると大きくダウンしており、国内部門も失速気味であるので、これを加味しても、この10月度は厳しい結果であったといえよう。

   ウォルマートは日本でいえば、トヨタ、ソニーのように円高による為替差損が損益に大きく響くほど、海外部門を、ここ数年2桁を優に超える勢いで伸ばし続けてきた。全体に占める売上構成比もほぼ1/4となり、全体に対するインパクトも大きく、海外の貢献度がウォルマート全体の成長を支えていたといっても過言ではない状況であった。ところが、このサブプライムローンの問題が表面化し、9月のリーマンブラザースの破たん後、金融問題に転嫁してから、為替が激しく変動をはじめた。現在、世界通貨では円が無敵となり、ほぼすべての通過に対し上昇を続けており、ドルに対しても100円を切り、98円前後で動いている。ところが、そのドルがユーロ、ボンドなどではのきなみ、ドル高となっており、ここ数ケ月の動きを見ると、ユーロもボンドも20%から30%下落しており、海外での2桁以上の売上の伸びが、帳消しになり、それ以上にマイナスになってしまう状況であるといえる。金融不安のあおりを海外部門が直撃したという状況である。

   これを受けて、ウォルマートの株価であるが、この10月度の売上速報のあった翌日11/7現在54.39ドルである。ここ数日の株価を見てみると、11/6(53.49ドル)、11/5(54.13ドル)、11/4(56.13ドル)、11/3(55.97ドル)であるので、さほど、株価は下がっておらず、投資家は冷静にこの数字を受け止めているといえよう。ただ、ウォルマートのここ数ケ月の株価の状況を見てみると、9月中旬までは、ウォルマートの株価はこの1月からほぼ右上がりで順調に株価を上げており、一時は、年初来最高値の63.85ドルを付けており、投資家から高く評価されていた。ただ、さすがに、9月中旬の金融危機以降は株価が下がりはじめ、10月に入ると55ドルとなり、一時は50ドルを切り、47ドルまで下がった。その後、株価はやや持ち直し、11/7現在54.39ドルである。

   では、この10月度の国内のウォルマートの既存店の状況を見てみると、トータルでは102.5%と堅調な数字で推移している。昨年同時期が100.7%、39週累計が103.4%であるので、累計と比べると若干下がっているが、昨年よりは回復しており、既存店自体は大きなダウンとはなっていず、落ち着いた数字といえよう。この数字はガソリン等のエネルギー関連の売上を加えた数字であるが、さすがに、アメリカでも原油価格が下がったことにより、そのインパクトはほとんどなく、0.1%である。その中で、ウォルマート部門であるが、102.2%であり、累計が102.9%であるので、ほぼ横ばいといえよう。サムズクラブは104.0%であり、累計が106.4%であり、エネルギー関連のプラス効果がなくなった分、若干、伸び率が下がったが、堅調な数字であるといえよう。特に、エネルギー関連を抜いた場合は、累計の103.5%に対し、この10月度は103.6%と唯一、累計の数字を上回ったのが、このサムズクラブ部門であり、ウォルマートの中では最も貢献度の高い部門であったといえよう。そのサムズクラブ部門については、ウォルマートは特に、生鮮、グロサリー、消費材が特に良かったとコメントしている。特に、その中でも、青果、精肉、ペットフードが絶好調であり、逆に苦戦したのは、家電、宝石、住関連分野だったという。

   このように、この10月度のウォルマートの売上が為替レートにより、海外の売上がドルベースでは激減し、これに加え、国内の売上も失速気味で推移したため、今期、最大の売上ダウンとなり、伸び率が102.3%まで下がった。為替に関しては、まだ、金融不安は始まったばかりであり、今後、これが実態経済に波及することは必至の情勢となり、当面、円以外でのドル高基調が続く懸念があり、それに加え、国内経済も失速感が出はじめており、厳しい状況が続くものと予想される。今後、年間最大の売上の時期、クリスマス、年末、年始の商戦を迎えるが、どのような数字になるか、当面、ウォルマートの動向には注目である。

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