マツキヨ、1,000店舗真近、過去最高の中間決算!
11/14、マツモトキヨシが2009年3月期の中間決算を公表した。売上高1,967.82億円(101.8%)、営業利益72.64億円(103.8%:売上対比3.69%)、経常利益79.93億円(105.0%:売上対比4.06%)、当期純利益34.76億円(142.3%:1.76%)と増収増益となった。この数字は、売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高の数字であるという。店舗数もグループ全体で990店舗となり、今期中には1,000店舗の大台を超える見通しである。今期は、新規に23店舗を出店し、これで1都1府35県への出店となり、日本の全都道府県への出店、全国制覇も時間の問題となったといえよう。
ここ最近、マツモトキヨシはグループ戦略が鮮明であり、今期もパパス、マックスとの仕入統合が進行し、明治堂薬品、スーパーバリュー、ラブドラックス、保健堂とのFC契約も結ぶなど、積極的なグループ化をはかっており、イオンのウェルシアグループ、WINグル―プ、富士薬品グループ、10社会等と激しい競争が全国で繰り広げられている。
ここ最近、ドラックストアは医薬品よりも、食品スーパーマーケットに近い商品群を強化し、売上を伸ばしている企業が多いが、マツモトキヨシは、郊外よりも駅前立地が多いこともあり、医薬品と化粧品、そして、雑貨の3本柱のマーチャンダイジングとなっている。実際、今期の商品別売上構成比と売買差益を見ると、医薬品(売上構成比32.0%:売買差益37.4%)、化粧品(31.4%、26.7%)雑貨(23.3%、25.0%)、一般食品(11.0%、12.6%)、DIY用品(2.0%、24.9%)、生鮮食品(0.06%、6.6%)という状況である。意外に食品関連が低いのが実態であり、医薬品以外では化粧品を強化しているのが特徴といえよう。そのマーチャンダイジング力であるが、今期の原価は72.8%であり、結果、売上総利益27.2%となる。ここから販売費及び一般管理費23.5%を引くと、マーチャンダイジング力は差引き、3.7%となり、昨対では103.8%と堅調な数字である。
これを受けて、今期の通期予想であるが、売上高4,030.00億円(103.1%)、営業利益160.00億円(101.4%:売上対比3.97%)、経常利益172.00億円(101.3%売上対比4.26%)、当期純利益78.00億円(114.7%:売上対比1.93%)と、増収増益の予想である。
この好調さを受けて、マツモトキヨシのキャッシュフローの流れを見てみたい。営業キャッシュフローは74.87億円、投資キャッシュフローは-14億円となり、結果、フリーキャッシュフローは60.87億円と順流である。もう少し投資へ振り向けても良いのでは思われるが、その分を今期は財務キャッシュフローへ振り向け、その結果は、-63.29億円となり、トータルのキャッシュフロー、資金は-2.42億円となった。特に、財務キャッシュフローでは自己株式の取得に31.28億円、配当金の支払い9.80億円と今後のM&A対策、株主への配慮もあり、しかも、長短借入金を65億円借入し、84.91億円返済し、差し引き19.91億円を削減している。トータルが若干マイナスになったが、全体としては営業キャッシュフローの範囲内での健全なキャッシュフローの流れであるといえよう。
また、マツモトキヨシの今後をうらなう上で、出店余力を見てみると、自己資本比率45.2%(昨年47.5%)であり、総資本は現在2,042.74億円である。出店にかかわる資産である土地、建物、敷金及び保証金等の合計は919.30億円と総資産の45.0%であり、ちょうど自己資本比率の45.2%と同じである。したがって、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産はわずかではあるが、0.2ポイントのプラスである。現在、マツモトキヨシは990店舗であるので、1店舗当たりでは0.92億円となり、これは、食品スーパーマーケットの数億円と比較すると、1億円を切り、低いコストであるといえよう。ドラックストアは小売業界の中でも出店しやすい財務構造であることがわかる。
ちなみに、在庫であるが、447.79億円であり、総資産の21.79%と食品スーパーマーケットと比べると格段と在庫負担が重いといえる。これは、当然、支払手形及び買掛金で相殺する部分が多いと思われ、その金額が590.56億円と総資産の28.9%であり、差し引きプラスとなり、バランスがとれているといえよう。また、負債の主要項目である長短借入金の合計を見ると、266.32億円と総資産の13.0%であり、さほど大きな負担ではなく、今後、好調な決算による安定したキャッシュフローにより、徐々に削減されてくるといえよう。財務的には出店余力もあり、キャッシュフローの流れもよく、健全な財務内容といえよう。
ここ最近、特にマツモトキヨシが取り組んでいる経営課題として、ロイヤルカスタマーの醸成に向けた販売促進策の強化がある。当然、その手段のひとつがポイントカードへの取り組みとなるが、今期のマツモトキヨシのポイント引当金は44.03億円となり、総資産の2.17%、年間売上の1.09%となる。この中間の販売費及び一般管理費の中でも13.04億円のポイント引当金繰入額を計上しており、これは売上対比0.66%とかなり大きな経費となってきている。ただ、おもしろいことに、このポイント引当金繰入額の下には給料及び手当、賞与引当金繰入額、退職給付費用等が計上されており、従業員への給与と顧客への還元と同じ経費であるが、目的が外と内と対照的な費用計上となっている。今後、小売業はこのように、売上の一部を従業員と顧客にどのように還元するかが経営戦略上、重要な課題となると思われるが、このマツモトキヨシの決算書を見ると、そのバランスが絶妙であり、今後、さらに顧客への還元が増してくるのではと思える。今後、マツモトキヨシがロイヤルカスタマーの醸成を目指し、顧客への還元のウェートをどこまで高めてゆくかに注目したい。
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