ヤオコー、100店舗真近、2009年3月期中間、増収増益!
ヤオコーが10/30、2009年3月期の中間決算を公表した。いよいよ、2009年3月期の食品スーパーマーケットの中間決算の公表がはじまり、11月前半は決算ラッシュとなろう。その結果であるが、営業収益1,053.23億円(105.8%)、営業利益40.87億円(105.8%:営業収益比3.88%)、経常利益41.19億円(107.0%:営業収益比3.91%)、当期純利益25.70億円(121.1%:営業収益比2.44%)となり、増収増益の堅調な決算結果であった。やや、売上が伸び悩んだ感があるが、既存店は101.3%と堅調な数字であり、今期は、新店が四街道店(4月、千葉県四街道市)の1店舗のみであったためである。ただ、これで、ヤオコーの店舗数は埼玉県64店舗、千葉県12店舗、茨城県9店舗、群馬県8店舗、栃木県5店舗、東京都1店舗の計99店舗となり、いよいよ100店舗目が秒読みとなった。
ヤオコーの食品スーパーマーケットとしての最大の特徴は食品スーパーマーケット業界随一の惣菜の強さと、業界に先駆けてNSC(近隣型ショッピングセンター)へ舵をきったことであるといえよう。惣菜の強さに関しては、今期も売上構成比が生鮮3品の各部門を大きく引き離し13.9%という高さであり、昨年の13.8%と比べ、0.1ポイント上昇している。青果12.9%、精肉10.3%、鮮魚8.1%と比べても断トツの高さであり、ここまで100店舗クラスで惣菜の売上構成比の高い食品スーパーマーケットは日本にはないといえよう。しかも、惣菜の粗利率は48.61%であり、ヤオコー全部門平均の粗利率が28.66%であるので、これまた断トツの数字である。相乗積をとると、6.75%であり、約25%弱の粗利へのインパクトであり、ヤオコーの粗利率の高さの源泉となっている部門である。
ただ、この28.66%という粗利率の高さであるにもかかわらず、ヤオコーの経費比率が28.68%と高いために、マーチャンダイジング力はマイナスとなる。この粗利率は単独の数字であり、連結では28.57%の粗利率であり、ここから、連結の経費比率28.68%を引いたマーチャンダイジング力は-0.11%となり、わずかにマイナスである。粗利率はこの惣菜の強化により、食品スーパーマーケットとしては、限界に近い数字まで来ているといえるので、今後、ヤオコーがマーチャンダイジング力をプラスにもってゆくには、経費の圧縮が避けて通れない課題といえ、今後、いかに、経費比率を引き下げる経営に踏み込めるかが経営課題となろう。
では、ヤオコーの増益はどこから生み出されているかであるが、これが、もうひとつのヤオコーの強さ、NSC(近隣型ショッピングセンター)へのいち早い取り組みがひとつである。そして、もうひとつが、100店舗近いチェーンストアとなったヤオコーのチェーンメリットがもたらす物流収入である。この2つの収入が極めて大きく、ヤオコーの今期の不動産収入と物流収入等の営業収入は4.15%もあり、この数字は、食品スーパーマーケットとしては極めて高い数字である。したがって、営業利益は売上対比で4.04%と高収益となり、マーチャンダイジング力のマイナス分を十分にカバーし、大きくプラスへ転換させている。実際、ヤオコーの今期の唯一の新店、四街道店はNSCであり、今後、出店予定の岩槻西町店、高崎飯塚店、高崎高関店の3店舗もNSCであり、今期、改装をした8店舗の内、6店舗はNSCであり、現在のヤオコーの大半の店舗はNSCである。
さて、では、これらの新規出店を支える財務状況であるが、ヤオコーの現在の総資産は654.92億円であり、自己資本比率は46.4%である。昨年の43.3%よりは、改善されてはいるが、トップクラスの食品スーパーマーケットと比べると、まだ低いといえよう。一方、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計であるが、417.20億円であり、これは、総資産の63.70%であり、1店舗当たりでは4.21億円となる。これだけ、NSCに舵を切った経営をしている割には、1店舗当たり、4.21億円と意外に小さい出店にかかわる資産といえよう。ただ、総資産では63.70%となるので、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産は-17.3%と大きくマイナスであり、結果、負債の中の主要項目である長短借入金等に頼らざるをえない出店構造となっている。現在、長短借入金の合計は70.96億円と、総資産の10.83%であり、それほど、大きな割合ではないが、今後、安定成長をめざす上には、もう少し、自己資本比率を高める必要があろう。
ちなみに、キャッシュフローの流れであるが、営業活動によるキャッシュフロー31.38億円、投資活動によるキャッシュフロー-16.37億円、フリーキャッシュフローは15.01億円となる。そして、財務キャッシュフローは-3.78億円であるので、結果、資金は11.23億円となり、流れは順流のキャッシュフローとはなっているが、財務キャッシュフローの中身を見ると、長期借入金を13.83億円返済し、短期借入金を14.50億円借入しているので、結果、若干であるが、0.67億円増加しているのが気になるところではある。
そして、通期であるが、営業収益2,092.00億円(103.4%)、営業利益80.50億円(103.0%:営業収益比3.84%)、経常利益80.00億円(102.5%:営業収益比3.82%)、当期純利益43.60億円(103.1%:営業収益比2.08%)と中間決算同様、堅調な決算予想であり、いよいよ、100店舗達成の節目を迎えることになる。ヤオコーが今後、増収増益を目指し、安定成長をしてゆくためにも、今回の経営内容が示すように、さらにマーチャンダイジング力を高め、一層の自己資本比率を充実させ、出店余力を増す経営改善が今後重要な課題といえよう。
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