売上速報、食品スーパーマーケット2008年10月、低調!
食品スーパーマーケット、2008年10月度の上場企業25社の速報が出揃った。結果は103.9%(既存店99.5%)と先月の103.5%(98.4%)よりは、少し上向いたが、8月度104.7%(99.5%)、7月度106.7%(100.9%)、6月度106.1%(100.8%)、5月度106.0%(100.2%)、そして、昨年10月度104.8%(99.5%)と比べても、低調な伸びといえ、先月、9月度から、食品スーパーマーケット業界の売上がやや失速気味で推移しはじめたといえよう。これから、食品スーパーマーケット最大の売上となる年末商戦がはじまるが、ここ最近の数字を見る限り、今年は厳しい状況が予想されよう。
このような中で、大きく売上を伸ばしている食品スーパーマーケットが3社ある。PLANT、大黒天物産、マックスバリュ西日本である。先月まで120%近い伸びを示し、食品スーパーマーケット業界トップを走っていたマックスバリュ中部は、この10月度100.1%(既存店97.8%)と急激に失速し、19番目となった。これは、昨年10/1にマックスバリュ名古屋をM&Aで吸収合併し、ちょうど、1年が経過したために、その分のプラスの売上が相殺されたためである。今後、新たな新店開発がない限り、売上を伸ばすのは難しい状況といえ、マックスバリュ中部は新たな出店戦略の構築が必要といえよう。
これに変わり、トップになったのが、PLANTであり、114.3%(100.5%)と2桁の伸びである。ちょうど、改正まちづくり三法の施行前に着手したPLANT-4大熊店(3月:福島県大熊町)、PLANT-3福知山店(5月:京都府福知山市)、そして、PLANT-5鏡野店(7月:岡山県鏡野町)の新規出店の効果が大きく、来年7月まではマックスバリュ中部と同様に高い成長率が維持できるものといえよう。ただ、PLANTは現在、財務的に厳しい状況であり、今後、しばらくは新規出店が難しく、既存店の活性化が当面の成長戦略の要となるので、現在の既存店100.5%をいかに上乗せできるかが課題といえよう。
No.2は大黒天物産であり、112.2%(106.6%)と絶好調である。新店と既存店のバランスもよく、特に、既存店106.6%はこの10月度の食品スーパーマーケット25社の中でトップの伸び率である。既存店が106.6%と105%以上伸びるのは、ここ最近の食品スーパーマーケットでは稀なことであり、高い数字である。その要因を客数と金額PI値(客単価)で見てみると、既存店の客数は105.5%、金額PI値は100.6%であり、既存店の客数が伸びての売上アップであることがわかる。ただ、金額PI値の中ではPI値が95.3%、平均単価が105.6%となっており、PI値が落ち込んでいるのが気になるところだ。平均単価が上昇し、PI値が落ち込み、金額PI値が横ばいとなっているにもかかわらず、既存店の客数が伸びるという状況であり、価格が上昇しても、競合店よりは低いということであると推測され、改めて、大黒天物産の価格競争力が示されたといえよう。
No.3はマックスバリュ西日本であり、111.4%(102.1%)と堅調な数字である。つい最近まではマックスバリュグループのほとんどがベスト10を占めていたが、この10月度はベスト10に入ったのはマックスバリュ西日本1社であり、ここへ来て、マックスバリュグループも売上が厳しい状況といえよう。No.11にマックスバリュ東海105.9%(100.9%)、No.13にマックバリュ東北104.1%(96.7%)、No.19に先にもみたマックスバリュ中部100.1%(97.8%)、そして、No.25の最後にマックスバリュ北海道94.3%(88.5%)という状況であり、特に、マックスバリュ北海道は既存店が88.5%と厳しい状況といえよう。
以上がベスト3であるが、ベスト10までを見てみると、イズミ109.5%(97.6%)、ヤオコー108.7%(103.7%)、ハローズ108.1%(98.8%)、九九プラス107.3%(105.3%)、マルエツ107.3%(101.0%)、ユニバース106.5%(101.8%)、バロー106.1%(97.1)という状況であり、ベスト10を見る限りでは堅調な売上の数字であるといえよう。特に、ヤオコーはバランスの良い売上の伸びであり、全体も既存店も良く伸びているといえよう。その中身は客数が110.2%(既存店105.1%)、金額PI値98.6%(98.6%)と客数が伸びているのが好調な要因である。大黒天物産も同様であるが、この時期、金額PI値よりも、客数を伸ばした食品スーパーマーケットが好調さを維持しているのが特徴といえよう。
新店がなく、全体ではベスト10には入らなかったが、既存店だけでみるとベスト5に入ったオオゼキを見ても、既存店は客数104.0%、金額PI値99.5%と客数が伸びており、いかに、既存店の客数を伸ばすかがポイントといえよう。特にオオゼキはPI値が103.1%、平均単価が96.5%と大黒天物産とは対照的な数字であり、PI値アップが客数アップに結びついているようである。
逆に、この10月度売上が厳しかった食品スーパーマーケットを見てみると、先ほどもあげたマックスバリュ北海道94.3%(88.5%)、CFSコーポレーション95.3%(99.7%)、ヤマザワ97.3%(97.9%)、エコス97.7%(94.3%)、いなげや98.0%(97.1%)、Olympic99.7%(99.7%)という状況であり、この6社が100%を下回った食品スーパーマーケットであった。
このように、この10月度の食品スーパーマーケットも先月同様、低調な売上の伸びとなり、ここへ来て、消費環境の悪化がじわじわと進み始め、売上に影響が出始めつつあるといえよう。また、この10月度は既存店の客数を上げた食品スーパーマーケットが好調さを示しており、金額PI値を落とさず、客数を引きあげる政策がポイントといえ、各社独自の強みをしっかり、顧客に打ち出し、顧客からの支持を獲得することが課題といえよう。来月以降も食品スーパーマーケットの売上、特に既存店の客数の動向に注目である。
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