マクドナルド、2008年12月期、第3四半期増収増益!
マックドナルドが11/6、2008年12月期の第3四半期決算を公表した。売上高3,078.11億円(103.7%)、営業利益142.50億円(103.2%:売上対比4.6%)、経常利益135.62億円(103.2%:売上対比4.4%)、当期純利益97.85億円(149.7%:売上対比3.1%)と増収増益の堅調な決算結果となった。既存店も102.9%と堅調であり、特に客数が105.2%となったという。マクドナルドを含め、現在、外食産業は消費者の内食回帰が鮮明となり、逆風が吹き、厳しい状況である。この10月度の主要外食産業の売上速報を見ても、昨対で100%を超えた企業は、マクドナルド106.3%、ワタミ103.4%、吉野家103.3%、ドトールコーヒー101.8%の4社であり、これ以外の主要企業は、ジョイフル91.9%、牛角92.4%、あきんど、スシロー96.3%、グローバルダイニング96.3%、モスバーガー96.9%、スターバックスコーヒー97.5%、かっぱ寿司97.8%、WDI98.0%、サイゼリヤ99.1%と、厳しい状況である。
このような中で、マクドナルドが比較的好調であった要因は、売上=客数×客単価=客数×PI値×平均単価のMD方程式どおりに、政策が実行された点も大きいといえよう。客数アップ政策としては、24時間営業の拡大(当第3四半期末現在 1,486店舗:約40%)を実施し、PI値アップ政策としては、「シャカシャカチキン」投入によるバリューメニューの強化を行い、平均単価アップ政策としては、「プレミアムローストコーヒー」「プレミアムローストアイスコーヒー」「メガマフィン」等の平均単価アップに貢献する新商品の投入を積極的に行うなど、マーチャンダイジングの強化が図られた。
そのマーチャンダイジング力であるが、原価は83.5%(昨年83.9%)と0.4ポイント改善しており、この厳しい原材料の値上げ環境の中、減少した。その結果、売上総利益は16.5%(昨年16.1%)と改善した。一方、販売費及び一般管理費は11.9%(昨年11.4%)と、0.5ポイント上昇しており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は4.6%(昨年4.7%)と0.1ポイント減少したが、ほぼ、昨年並みの数字を確保し、売上総利益の範囲内で十分に経費を賄っており、競争力十分のマーチャンダイジング力である。
これを受けて、通期予想であるが、売上高4,120.00億円(104.3%)、営業利益195.00億円(116.5%%:売上対比4.7%)、経常利益175.00億円(112.1%:売上対比4.2%)、当期純利益115.00億円(147.1%:売上対比2.7%)と、ほぼ、この第3四半期決算に近い数字予想であり、増収増益の堅調な決算予想である。
現在、マクドナルドは、総店舗数が3,739店(直営2,494店66.7%、FC 1,245店)となり、その中でもFCの促進に積極的に取り組んでいる。全体の店舗数は昨対99.8%と減ってはいるが、FCは116.1%と大きく伸ばしており、今後、FCの促進が、マクドナルドの売上を占う上で重要なポイントである。ちなみに、マクドナルドの出店余力であるが、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金保証金等の合計は1,219.62億円(昨年1,259.20億円)となり、総資産1,972.34億円の61.8%であり、これを自己資本比率69.4%から引いた出店余力は7.6%とプラスとなり、自己資本の範囲内で新規出店が賄える財務構造であり、健全な新規出店政策といえよう。1店舗当たりでは、0.32億円であり、通常の食品スーパーマーケットのほぼ1/10弱である。また、負債の主要項目である長短借入金等の合計は105.0億円(昨年30.0億円)とやや昨年よりは増加しているが、総資産に占める割合はわずか5.3%であり、ほとんど問題のない金額といえよう。したがって、現状、出店余力は十分といえ、今後、マクドナルドが成長してゆくためには、FC化を含め、新規出店により、店舗数をどこまで拡大できるかが課題といえよう。
ただ、今期決算で、気になることもある。キャッシュフローである。これだけ財務が健全である場合はキャッシュフローは順流になるが、今期は逆流となったことである。今期は昨年と比べ、営業キャッシュフローが法人税88.66億円(昨年12.87億円)、その他負債81.01億円(昨年3.01億円)などの負担が大きくなり、85.18億円(昨年207.90億円)と大きく減少したため、投資キャッシュフローが-121.52億円となり、営業キャッシュフローの範囲内で賄えず、逆流となった。そのため、フリーキャッシュフローは、-36.34億円となり、これを財務キャッシュフロー11.20億円、特に、短期借入金50.00億円で補うという結果となったことである。ただ、財務的には極めて健全な財務状況であるので、財務が悪化するという状況ではなく、依然として、堅固な財務状況である。
このように、マクドナルドの2008年12月期の第3四半期決算は増収増益の堅調な決算となり、厳しい消費環境の中にある外食産業としては健闘している結果となった。これを受けて、マクドナルドの株価も金融不安の影響をうけ、一時は、10/10に上場来最安値となる1,291円を付けたが、その後は、株価は回復し、現在、1,700円前後で推移しており、投資家もこの決算結果を含め、一定の評価をしているといえよう。今後、既存店は好調であり、軌道に乗ってきたといえるが、全体の店舗数が減少しており、出店余力は十分であるので、FC化を含めた新規出店による健全な成長戦略をどう描くかが課題といえよう。今後、マクドナルドが成長戦略をどう打ち出すかに注目したい。
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