家計調査データ2008年9月、食品98.9%、減少に転じる!
家計調査データ、2008年9月度の数字が総務省統計局から10/31、公表された。同時に公表された消費者物価指数(CPI)が102.7%と上昇気味で推移している中、家計はどのような消費状況となっているかが気になる数字であったが、二人以上の世帯の消費支出は、1世帯当たり281,433円となり、前年同月比 実質2.3%の減少となった。本ブログでは、食品スーパーマーケットの金額PI値と連動をはかるために、1日当りに換算し、全体の数字と購入世帯のみの数字と購入世帯の割合を名目で算出している。その結果を見ると、全体では9,078.48円(100.0%)と昨年と同額となり、外食を除く食品では1,909.84円(98.9%)と1.1ポイント下がった。実質、名目ともに減少傾向となり、消費者物価指数(CPI)の上昇と反比例する形で、消費の減退傾向が表れ始めたといえよう。
今回のデータは2008年9月度の数字であるので、アメリカ発の金融不安が本格化しはじめた初期の時期であるため、その影響は大きくはないが、今後の家計調査データは、その日本への影響も出始めた時期となるため、今後、消費がこの9月度以上に減退する可能性もあり、これから年末商戦を迎えるにあたり、食品スーパーマーケット業界はもちろん、小売業は厳しい消費環境の中での商売を強いられることになりそうである。
まず、大分類で見てみてみると、上昇した部門は、油脂・調味料100.23円(106.2%)、肉類204.94円(104.9%)、穀類228.74円(102.7%)、菓子類 190.16円(100.6%)の4部門であり、残りの部門はすべて昨対を下回った。厳しい順に見てみると、飲料124.13円(92.5%)、果物113.87円(94.0%)、魚介類211.61円(95.6%)、酒類108.16円(96.3%)、調理食品250.48円(97.6%)、野菜・海藻271.16円(97.9%)、乳卵類106.39円(99.5%)という状況である。値上げ関連部門である油脂・調味料、穀類、菓子、節約志向の肉類が上昇しているのに対し、嗜好品が多い飲料、果物、酒類等が厳しい数字といえよう。また、肉類を除き、生鮮、惣菜が厳しい状況であり、食費に対しても、節約志向がより鮮明になってきたといえよう。
このような傾向の中で、まず、消費が伸びた項目を見てみたい。油脂・調味料であるが、乾燥ス-プ6.42円(121.3%)、風味調味料5.03円(121.9%)、食用油9.00円(120.3%)、マーガリン2.19円(117.2%)、カレールウ4.23円(112.9%)と、まさに値上げ関連項目が好調である。肉類では、鶏肉33.42円(115.5%)、合いびき肉5.68円(115.8%)が絶好調であり、特に鶏肉は購入世帯のみの数字が113.7%、合いびき肉は購入世帯のみの数字も106.8%。購入世帯数も108.4%とバランスよく伸びているのが特徴である。穀類では、ひところ伸びていた米は105.16円(97.1%)と減少に転じたが、パン72.77円(106.5%)、食パン22.61円(105.6%)と、パンは堅調な数字で推移している。ただ、穀類では何といっても値上げ関連項目が絶好調であり、スパゲッティ3.94円(138.6%)、小麦粉1.87円(123.4%)、即席めん4.35円(114.4%)と高い伸びである。一方、気になるのはカップめんであり、7.77円(98.4%)と下がっており、特に、購入世帯が95.4%と減少しているのが特徴である。そして、菓子であるが、チョコレート菓子2.61円(119.1%)、ビスケット8.03円(118.6%)、スナック菓子10.10円(115.9%)、キャンデー5.35円(113.7%)という状況であり、値上げ関連の項目が好調であったといえよう。
一方、消費額が下がった項目であるが、飲料では茶飲料16.90円(86.9%)、果実・野菜ジュース24.52円(88.2%)と、この2つの項目が大きく下がっている。果物ではバナナ15.06円(151.1%)、かき2.77円(172.0%)は絶好調であり、特にバナナはダイエットブームにものり、異常値となったが、グレープフルーツ1.23円(59.4%)、もも3.39円(79.5%)、なし25.26円(83.9%)、ぶどう24.45円(85.1%)と厳しい状況であった。魚介類では、まぐろ13.42円(81.3%)、さんま12.35円(87.6%)、さしみ盛合わせ13.61円(89.2%)と重点商品群が大きく落ちこんでいる。酒類では値上げが浸透したビールが38.06円(83.3%)と不調であり、調理食品(惣菜)ではうなぎのかば焼き4.84円(61.7%)が異常に落ち込んでいる。購入世帯の消費額か購入世帯が落ちているのかを見ると、購入世帯の消費額は101.1%と堅調であるが、購入世帯の割合が61.1%と急減しており、うなぎのかば焼きそのものを消費者は敬遠したといえよう。これは中国産の影響が大きいといえ、同様にやきとりも4.48円(89.7%)大きく落ち込んだ。
これ以外でも野菜・海藻でキャベツ5.97円(84.5%)、レタス6.39円(86.5%)、たけのこ1.42円(89.8%)の落ち込みが特に大きく、これ以外でも微妙に昨対を切っており、青果は野菜も果物も厳しい状況であった。そして、最後に乳卵類であるが、粉ミルクは2.06円(120.8%)と好調であったが、牛乳46.58円(93.0%)、ヨーグルト21.03円(97.6%)と主力部門が厳しい状況となった。
このように、2008年9月度の家計調査データを見てみると、いよいよ、実質、名目ともに昨年の数字を割り込み、消費環境が厳しい状況になりつつあるといえよう。実際、9月に入っての食品スーパーマーケットの売上速報を見ても、全体的に伸び悩みはじめており、消費者物価指数(CPI)も高め水準が続いており、今後、消費が上昇に転じる兆候はなく、ますます、厳しい状況となろう。次回、公表は10月度となるが、この時期はアメリカの金融不安がヨーロッパ、そして、アジアにも影響が出始めた時期であり、消費環境が好転する兆しが見えない状況である。ここしばらくは家計調査データの推移に注目である。
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