ユニー、2009年2月期中間、減収増益、コンビニが救う!
名古屋を中心にGMSを主力業態として展開する小売業グループ、ユニーが10/9、2009年2月期の中間決算を公表した。ユニーは、GMS以外にも様々な業態を展開しており、この8/21にはユーストアも吸収合併している。ぞれぞれの業態の売上構成比は、総合小売業4,172.54億円(構成比70.5%、昨対97.7%)、コンビニエンスストア1,066.54億円(18.0%、104.2%)、専門店567.82億円(9.6%、92.8%)、金融123.66億円(2.1%、102.8%)、その他である。そして、その中間決算の結果であるが、営業収益5,916.12億円(98.5%)、営業利益221.25億円(117.3%:営業収益比3.73%)、経常利益212.75億円(119.2%:営業収益比3.59%)、当期純利益44.98億円(昨年は赤字:営業収益比0.76%)と減収増益となる決算であり、売上が伸び悩んだ。
今期は特に主力のGMSに新規出店がなかったことが、売上減につながったといえよう。一方、増益となった要因はコンビニエンストアの好調さにある。売上構成比はわずか20%弱であるが、利益は総合小売業(利益構成比29.8%、昨対93.0%)、コンビニエンスストア(57.7%、118.5%)、専門店(0.4%、-)、金融(9.1%、108.6%)、その他となり、約60%と圧倒的な稼ぎ頭であったことによる。売上では約70%のGMSが利益では約30%の構成比となる不振であり、ユニー全体の利益を売上構成比約20%のコンビニが救世主となる結果となった。
この利益構造を原価、経費等から見てみると、原価72.5%(昨年72.6%)と原価が0.1ポイント下がり、結果、売上総利益は27.5%(27.4%)と、0.1ポイント改善した。値上げ環境の厳しい中、原価を0.1ポイント改善したことが、粗利改善につながったといえよう。一方、販売費及び一般管理費であるが、GMS主体の独特の業態であり、40.4%(昨年40.6%)と、0.2ポイント改善はしているが、食品スーパーマーケットでは考えられない経費比率の高さである。したがって、マーチャンダイジング力、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた数字は、-12.9%(昨年-13.2%)と0.3ポイント改善したが、大幅なマイナスとなった。通常、これだけ、マーチャンダイジング力がマイナスになった場合は、営業利益は大きなマイナスとなってしまうが、GMSを主力業態にした小売業の場合は、これに多額の手数料収入や不動産収入等があるため、今期のユニーも営業収入が何と17.3%(昨年16.9%)となり、昨年よりも0.4ポイント増加し、結果、営業利益が4.4%(昨年3.7%)と大幅な増収となった。食品スーパーマーケット業界では考えられない、経費比率であり、営業収入である。
これを受けて、通期予想であるが、営業収益1兆1,950.00億円(98.3%)、営業利益404.00億円(98.6%:営業収益比3.38%)、経常利益377.00億円(100.4%:営業収益比3.15%)、当期純利益99.00億円(昨年は赤字:営業収益比0.82%)と、中間決算よりも厳しい減収減益となる予想である。コンビニの好調さだけでは、不振のGMSを補うのは難しいという判断であろう。
では、ユニーがなぜ新規出店が思うようにできないかを財務面から見てみると、ユニーの総資産は9,880.78億円であるが、この内、自己資本比率は総資産のわずか24.1%しかないのが現状である。昨年の23.9%よりは、向上しているが、それでも厳しい数字である。これに対して、GMS主体のユニーの出店にかかわる資産である土地、建物、長期差入保証金の合計は5,229.20億円(昨年5,369.54億円)と多額であり、これは総資産の52.9%となり、全157店舗で割ると、1店舗当たりでは33.30億円となる。したがって、出店余力である自己資本比率から出店にかかわる資産の合計を引いた数字は、-28.8%であり、半分は負債による出店構造となっているためであるといえよう。その負債であるが、負債の主要項目である長短借入金の合計を見ると、3,327.88億円(3,308.41億円)であり。これは総資産の33.68%となり、経営に重くのしかかっており、結果、新規出店が抑制される財務構造となっていることによるといえよう。
これをさらにキャッシュフローで見てみると、営業活動によるキャッシュフロー382.99億円、投資活動によるキャッシュフロー-297.91億円となり、フリーキャッシュフローは85.08億円となる。そして、財務活動によるキャッシュフローは45.20億円であり、資金130.28億円となる。この流れを見ると、投資キャッシュフローまでは、順流ではあるが、財務活動によるキャッシュフローがプラスになっており、フリーキャッシュフローをカバーせず、むしろ、財務キャッシュフローがプラスとなっており、逆流の流れといえる。その中身を見ると、短期借入金、長期借入金の合計159.67億円を返済しているが、新たに長期借入金、コマーシャルペーパーを合計246.00億円増やしており、結果86.33億円プラスとし、そのプラスの中で、配当、自己株式の購入等を賄っていることである。
このようにみると、この中間決算の状況は自己資本比率が低いために、出店余力が極めて厳しい状況であり、しかも、キャッシュフローの流れも投資までは順流であるが、財務で逆流となり、負債が増加する状況となっており、厳しいキャッシュフローの流れである。現時点では、新規出店を安定的に実施してゆくには、厳しい状況であるといえよう。今回、ユーストアをあえて吸収合併したが、これが契機となり、飛躍的に財務構造が転換するとは思えず、やはり、売上の約70%を占めるGMSへ思い切ったメスを入れる必要があろう。今後、ユニーがGMSにどのような経営改革を断行するかに注目したい。
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