オオゼキ、2009年2月期、中間決算公表、増収増益!
不適切な経理処理があったということで大幅に遅れていたオオゼキの2009年2月期の中間決算の結果が11/20公表された。結果は、332.41億円(102.0%)、営業利益26.36億円(110.8%:売上対比7.9%)、経常利益26.90億円(111.1%:売上対比8.0%)、当期純利益16.04億円(113.5%:売上対比4.8%)と増収増益の好決算となった。ただ、今期、新店がなかったために、売上は既存店のみの結果であり、102.0%と堅調な数字ではあったが、伸び悩んだといえよう。また、この決算と同時に、不適切な経理処理に関する調査結果の報告がなされており、その訂正により、平成16年度(2004年)から、今年の平成21年度、第1四半期までの決算結果をすべて訂正しており、5年間に渡る大幅な経理処理の見直しが行われた。不適切な経理処理は総額109,400,500円であったという。
オオゼキは現在、東京都(25店舗)及び神奈川県(4店舗)に計29店舗を展開しているが、将来的には50店舗構想をもっている。今期のこの中間決算発表の中でも、「次なるステップを見据えた組織体制の強化を進めてまいります。当社独自の営業施策である個店主義にての50店舗体制構築のため、「しんの商い」即ち、真・心・新の商いを標榜し、「商い」は「売ること」ではなく、「買っていただくこと」を再認識し、社員1人1人が、お客様の望んでいることを察知すること、買っていただけたことの喜びを体感すること、店舗の特性をいかした戦略を徹底すること等により、お客様のご支持を更に拡大してまいります。「あのお客様、また明日来てくれるかね?」の創業者夫妻の言葉に凝縮された創業の精神を、発展・継承してまいります。」とコメントしており、50店舗体制が当面の目標といえよう。
ただ、ここ最近新店がストップしており、今期0店であり、通期予想を見ると、売上高655.16億円(100.8%)、営業利益50.90億円(102.2%:売上対比7.7%)、経常利益 51.84億円(102.3%:売上対比7.9%)、当期純利益30.67 億袁(104.4%:売上対比4.6%)と、増収増益ではあるが、売上高100.8%を見ると、今期の新規出店も見合わせるようである。
では、出店余力がないのかというと、今期の自己資本比率は77.6%(昨年76.8%)であり、食品スーパーマーケットとしては、これ以上自己資本比率を上げるのは難しいくらい、長安定した数字である。したがって、出店余力を見ると、土地、建物、長期差入保証金等の合計は152.76億円であり、総資産323.89億円の47.1%であり、これは自己資本比率77.6%で十分に賄える範囲であり、出店余力は差引き30.5%と十分である。また、現在、オオゼキは29店舗であるので、1店舗当りでは5.2億円となり、首都圏に出店しているだけあって、通常の食品スーパーマーケットよりは高めの数字である。ちなみに、負債の中の長短借入金は0円であり、無借金経営と、財務状況は極めて健全である。
ただ、気になる数字もあり、キャッシュフローである。今期のキャッシュフローの流れは、営業キャッシュフローは21.09億円となったが、投資キャッシュフローが-37.96億円と大きくマイナスとなり、フリーキャッシュフローが、-16.87億円と逆流となったことである。特に、投資キャッシュフローの中身を見ると、定期預金の預け入れと有価証券の取得に合計75.23億円当てており、新規出店にかかわる資産関連の取得は0.9億円にとどまっている点である。そして、財務キャッシュフローであるが-4.88億円となったが、これは全額配当金の支払いに充てており、結果、キャッシュフローの合計、資金は-11.99億円とマイナスになった。今後、オオゼキの経営にとっては、新規出店が最優先の経営事項といえ、投資キャッシュフローの動きを見る限り、そのための投資が不十分であり、今後の大きな経営課題といえよう。
一方、オオゼキの今期のマーチャンダイジング力を見てみたい。原価は75.3%(昨年75.7%)と0.4ポイント引き下げており、結果、売上総利益は24.7%(昨年24.3%)と改善している。一方、販売費及び一般管理費も17.8%(昨年18.1%)と0.3ポイント改善しており、今期はダブルでの改善が図られ、結果、マーチャンダイジング力は6.9%(昨年6.2%)と0.7ポイントと大幅に強化された。これに不動産収入等1.0%(昨年1.1%)が加わり、結果、営業利益は7.9%(昨年7.3%)と0.6ポイント改善し、売上が伸び悩む中、営業利益は大きく改善しており、改めてマーチャンダイジング力の強さが実証されたといえよう。
では、なぜ、オオゼキがここまでマーチャンダイジング力が強いのかであるが、それは、オオゼキは、平均店舗面積175.5坪という小型店において、PI値最強部門の青果(売上構成比22.2%)と日配(売上構成比19.2%)を集客の柱とし、52人の従業員(従業員数/店舗数で単純算出)を投入し、個店対応を基本に、1店舗当たり年商約22億円、坪効率食品スーパーマーケット業界No.1の1,250万円を達成していることにあるといえよう。この坪効率の高さが業界屈指の経費比率17.8%につながっており、家賃、人件費などの固定費が相殺され、高効率の経営モデルを作り上げているといえよう。しかも、今期は既存店のみであり、既存店が102.0%伸びたことにより、より固定費が下がり、経営効率が高まったといえよう。
このように、オオゼキの経営内容は前期と比べ、格段と改善しており、ますます、オオゼキの強みが強化された中間決算であったといえよう。ちなみに、この中間決算の結果を独自格付けするとAAAのトリプルAとなる。あとは、不適切な経理処理問題を総括し、50店舗体制へ向けて、新店ないしはM&Aに入り、成長戦略に経営の舵を切ることが当面の課題といえよう。今期はともかく、来期のオオゼキの飛躍に期待したい。
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