九九プラス、2009年3月期、中間決算、増収赤字転落!
11/11、九九プラスの2009年3月期の中間決算が公表された。九九プラスは、これまでのローソンとの資本業務提携をさらにすすめ、この9月にローソンがTOBにより、76.8%の株を取得し、連結子会社となり、現在、ローソン主導のもと経営再建に邁進中であるが、営業収益は堅調な結果となったものの、利益はすべての段階で赤字となる厳しい結果となった。その数字であるが、営業収益678.37億円(108.3%)、営業利益-3.56億円、経常利益-3.23億円、当期純利益-6.99億円となった。
営業収益が堅調であった要因は、特に、既存店売上高が好調であり、7月以降既存店の売上が回復し、7月107.1%、8月101.7%、9月104.8%に転じたことが大きかったという。また、業務提携したローソンの支援を受け、SHOP99やローソンストア100は、その基本コンセプトである「シングルプライス」、「適量・小分け」が消費者の支持を集め、むしろ追い風になっているとのことである。ただ、新店については、出店を抑制したために期初計画を下回る結果となり、前期末に比べ9店(直営:出店23店・閉店9店、FC:閉店5店)の増加にとどまったという。
一方、利益が赤字になった要因を原価、経費の面から見てみると、原価は売上対比で76.2%(昨年73.2%)と、昨年と比べ3.0ポイントと大幅に上昇している。これは、ローソングループとの共同仕入や物流コストの削減を積極的に推し進めて仕入れコストの改善を図ったが、小麦粉など原材料価格の高騰の影響による仕入コスト上昇の吸収が遅れたためであるという。結果、売上総利益は23.8%(昨年26.8%)となった。これに対し、販売費及び一般管理費であるが、26.3%(昨年25.8%)と0.5ポイント上昇し、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.5%(昨年1.0%)と大きくマイナスになった。これに営業収入が今期は2.0%プラスになったが、営業利益は-0.5%となる厳しい結果となった。原価、経費ともに上昇に転じており、業務改革がまだ結果には表れていない状況といえよう。
これを受けて、通期予想であるが、後半は、ローソンとの業務提携が一層進み、「①生活防衛型ニーズの顕在化による客数アップによる日販改善効果、②ローソングループとの共同商品の開発加速化と物流コストダウンによる仕入コストの改善、③中食構成比の拡大とロス改善による荒利率の改善、④既に今期実施した33店の閉店による営業利益改善効果、⑤店舗及び本部コストの削減効果などが第3四半期以降に見込まれる」とのことで、営業収益1,332.00億円(108.3%)、営業利益0.50億円(12.5%:営業収益比0.03%)、経常利益0.40億円(11.2%:営業収益比0.03%)、当期純利益-6.00億円とやや業績は持ち直すとのことである。
このような非常に厳しい状況の中で、キャッシュフローの流れはどのような状況であったのかを見てみたい。まず、営業キャッシュフローであるが、13.24億円であった。これは、税金等調整前四半期純損失は-10.09億円と大きくマイナスになったが、減価償却費が9.22億円、減損損失4.34億円、仕入債務の増減額 9.05億円などがプラスとなったためである。決算数字では赤字となったが、営業キャッシュフローではプラスとなり、このプラス13.24億円から、投資キャッシュフローとして、有形固定資産等の取得を7.69億円、実施しており、結果、フリーキャッシュフローは5.55億円のプラスとなった。キャッシュフローの流れは順流である。ここが決算の損益計算書とキャッシュフローの違いといえ、赤字決算でも、減価償却費、減損損失、仕入債務などの計上により、キャッシュフローはプラスの順流となり、新規投資が可能となることもある。逆に、損益計算書でプラスになっても、キャッシュフローがマイナスになり、逆流となり、資金ショートを起こすこともある。そして、財務キャッシュフローであるが、長期借入金8.98億円を返済するなど、-9.50億円となり、トータルキャッシュフロー、資金は-3.95億円であった。
このように決算は厳しい結果であったが、九九プラスの出店余力を見ると、まず、自己資本比率であるが、38.4%(昨年40.1%)と昨年よりも若干下がった。一方、出店にかかわる資産であるが、土地、建物、敷金・保証金の合計は90.45億円であり、総資産275.43億円の割合は32.8%である。現在、九九プラスは734店舗(別途FC112店舗)であるので、1店舗当りは0.37億円と、食品スーパーマーケットの約1/10の出店にかかわる資産である。したがって、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産は5.6%のプラスであり、自己資本が低いにもかかわらず、出店にかかわる資産が極めて低いがゆえに、出店余力はプラスとなる。ちなみに、長短借入金等の合計は、35.70億円であり、総資産の12.9%となり、財務的には大きな負担とはなっていない。
このように、この中間期九九プラスの決算は厳しいものとなったが、キャッシュフローは順流であり、しかも、自己資本比率は低いにもかかわらず、出店余力はプラスとなっており、今後、ローソンの強力な支援により、業績が回復してくれば、キャッシュフローが増加し、自己資本比率がさらに上昇し、出店余力も高まり、新規出店による成長も可能となる。問題はそのローソンの支援の効果が、今回の中間決算の数字を見る限り、まだ数字に明確に表れていないことである。後半、消費環境も厳しくなるなか、ローソンの強力な支援を受けて、どこまで業績の回復ができるかに注目である。
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