ウォルマート1兆円、潤沢なCF、第3四半期決算!
11/13、ウォルマートが2009年、第3四半期の決算を公表した。まず、驚くのは、キャッシュフローである。ウォルマートの今期、第3四半期までの合計の営業キャッシュフローは101.73億ドル(昨対105.7%、約1兆円)となり、この内、純利益からのキャッシュフローが94.64億ドル(約9,000億円)と90%を占めた。いかに営業活動によるキャッシュが大きいかがわかる。それにしても、四半期で約1兆円のキャッシュフローであり、途方もない金額である。
この潤沢なキャッシュフローを投資に充てるわけだが、今期の投資キャッシュフローは-67.97億ドル(昨対60.5%、約6,000億円強)にとどめており、今期は昨年に比べ、控え目な投資である。ただ、それでも約6,000億円と莫大な投資であり、しかも、これが営業キャッシュフローの範囲内であるので、典型的な順流のキャッシュフローである。その中身であるが、81.74億ドル(約8,000億円)が新規出店関係等の土地、設備に充てられている。結果、フリーキャッシュフローは33.76億ドル(約3,000億円)である。それにしても、営業キャッシュフローが約1兆円あり、その内、約8,000億円を成長戦略にあてられるのであるから、すごい、数字である。そして、財務キャッシュフローであるが、-27.94億ドル(約2,500億円)であり、その中身は借入金の返済、配当、株式購入などである。結果、今期のトータルのキャッシュフロー、資金は5.82億ドル(約500億円)となり、為替変動の影響もあり、最終的には3.51億ドル(約350億円弱)となった。
この潤沢なキャッシュフローを生み出した今期の営業状況であるが、累計ではなく、四半期のみでの営業収益は986.42億ドル(約10兆円弱、昨対107.3%)である。ちなみに、純粋な売上のみでは107.5%であり、その中身はウォルマート部門が106.1%(昨年107.1%)、サムズクラブ部門が11.22%(昨年107.7%)、海外部門が107.4%(昨年116.5%)であり、この10月度の失速、特に海外部門が響いた結果となったが、依然として、四半期ベースでは堅調な売上といえよう。ここから販売コスト、販売費及び一般管理費を引いた営業利益は52.92億ドル(約5,000億円、昨対106.6%)となり、さらに、税金等引いた当期純利益は31.38億ドル(約3,000億円、昨対110.2%)と2桁の増益となり、増収増益となった。純利益はこの四半期で約3,000億円であり、累計で見ると、96.08億ドル(約9,500億円)と、途方もない金額となり、これがまさに、キャッシュフローの源泉である。これを見ても、小売業はいかに、キャッシュフローを生み出せるかが成長の源泉であることがわかる。
では、その成長戦略を占う、出店余力について、今期、第3四半期の累計で見てみたい。まず、ウォルマートの自己資本比率であるが、39.0%である。総資産は1,678.43億ドル(約16兆円)である。出店にかかわる資産である土地、建物の合計は937.06億ドル(約9兆円)であり、総資産の55.8%であるので、自己資本比率39.0%から引くと、出店余力は-16.8%である。したがって、負債に依存する出店構造となっており、その負債の主要項目である長短借入金等の合計は、355.56億ドル(約3.5兆円)であり、これは総資産の21.1%である。出店余力の-16.8%とほぼ一致するので、70%は自己資本、負債には約30%依存する出店構造といえよう。ちなみに、ウォルマートの在庫であるが、404.16億ドル(約4兆円)であるので、総資産の24.0%であり、衣食住すべての商品在庫であり、かなり大きな負担であるといえる。ただ、これは、買掛金で大部分が相殺されると思われ、買掛金の数字を見ると、307.82億ドル(約3兆円)であるので、実質、100億ドル(1兆円弱)、総資産の約6%ぐらいの負担といえよう。
これを受けて、ウォルマートの11/13前後の株価を見てみたい。11/13(54.93ドル)、11/14(52.71ドル)であり、やや下げぎみに動いているのが気になるところである。ウォルマートの株価は、リーマンブラザーズショック前の9月上旬は62ドルまで上昇する好調な株価であったが、その後、株価はさすがに下がりはじめ、10/10には50.95ドルまで下がった。ただ、ここを底として、株価は上昇ぎみに動きはじめ、11月はじめには56ドルまで上昇した。そして、11/6の10月度の厳しい売上速報の公表後、株価がやや下がり気味で推移し、この第3四半期決算、公表後も先に見たように、やや株価が下がり気味の動きとなっている。このように、ウォルマートの株価は11月に入ってやや下がり気味であるが、大きく下げているわけではなく、投資家は冷静にウォルマートの株価を見守っているようである。
このように、ウォルマートの第3四半期決算が11/13に公表されたが、四半期を昨年と比べると増収増益の好決算であるが、9ケ月累計と比べるとやや伸び率が下がっており、ここへきて徐々に金融不安の影響がさすがのウォルマートにも出始めたといえよう。ただ、他の小売業等と比べると、好業績であり、改めて、ウォルマートの強さが際立っているといえよう。特に、キャッシュフローは現時点で、営業キャッシュフローが1兆円を超えるなど、抜群の財務安定感であり、きれいな順流となっている。残り、今期もあと、クリスマス、年末、年始を残すのみとなったが、景気後退の中でウォルマートがどこまで業績を維持できるか、その動向に注目といえよう。
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